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実家からの使者

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王様との謁見は受けることにした。
一応シルフィと話をした結果だ。

シルフィは今や精霊王という立場で、この世界の理で言えば人間の王にかしずく必要など全くなく、本来であれば謁見など蹴飛ばして転がしておいても、人間が文句を言える存在ではないらしい。
ちなみにその理屈は精霊王が伴侶と定めた私にも言えるらしく、だいぶ昔精霊王と伴侶となった者はこうした謁見などの要請さえ受け付けなかったらしい。

が……今回は……というかシルフィと私は、今後のことを考えという結果になり、王様との謁見を受けることにした。



♢♢♢



「本当に何と言っていいのか分からない……申し訳ないとしか言えないのが不甲斐ない」


そう私とシルヴァシルフィミーヤお母様に頭を下げるのは、過去兄であった人だ。
彼は今日、実家のホーグワット家当主代理で継嗣自ら使者として、来てくれたらしい。
ちなみに当主である父は王宮へ嫁いだ娘……現王太子妃であるカーミラへの対応でてんてこ舞いらしい。


「分不相応な望みと、セレーネ様への数々の失礼まことに申しわけない。ただ、姉のカーミラの言動はホーグワット家の本意ではない。当主である父自ら諫めており、王太子妃という立場になったからとて、責任放棄する気はないけれど、姉の……王太子妃である姉の言動が我が家と同意であるなどとは思わないで頂きたい」


深々と頭を下げ、当主である父が書いた書簡を差し出してきた。
本日使者としてきた兄は先頃、正式にホーグワット家の継嗣として発表され子爵の位を頂いたらしい。
まだ父が健在ということもあり、当主就任はまだまだ先の予定らしいが、現王太子妃となった娘カーミラのお目付け役として父が王宮に上がることも多くなったので少し予定を早めたらしい。
まぁ……夏季休暇前にシルヴァへのあの言動やそれ以前の噂を鑑みると、お目付け役を付けてどうにかなるものか疑問にも思うのだけれど……。


「姉上であっても王太子妃様なのだからこんなことを言っては不敬なのだけれど、夫である王太子殿下が諫めても収まらないらしく……」


深いため息を吐く兄上を見ながら、先日王太子妃であるカーミラ様より届いた書簡の内容を思い出す。
夏季休暇前より聞こえていた王太子妃様のウワサ……というか行いはシルヴァにもジルベルト様お父様にも及んでいたことは知っての通りなのだが……まぁ案の定、私達の婚約の知らせを聞き猛抗議を起こしてきたのだ。精霊王が顕現したことの王国への報告義務を怠った……とか、なぜ王太子妃である自分につかないのか……とか。
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