54 / 57
五十四話
しおりを挟む
【俺の妹になってください】
五十四話
~ あらすじ ~
泊りがけのデートのせいでかおかげでかは分からないが、まあ、結局は柏木の猛アタックのせいではあるのだが、また俺らはよりを戻すことになった。
*****
もういい時間なので寝ることになったのだが、柏木と同じ部屋ということと豆電球が灯っているために寝付けない。かなり疲れてるはずなんだけどなぁ。
「あ、あのさ?春樹………」
「……ん?なんだよ?」
「寒く……ない?」
「エアコンもついてるんだしそんなに寒くないけど?」
柏木と一緒に寝るなんていつぶりだろうか?
幼稚園以来かな?………じゃなくて。普通に考えて有り得んだろ。いい年頃の男女が一緒に寝るって………いや、高校生で童貞ってほうがおかしいのか?
どうなんだろ?友達という友達が居ない俺には全くわからねえ……
「ねえ春樹………」
「どうしたよ?」
「そっち行っていい?」
「………ちょ………」
そんなことを訊いておいて返事も聞かぬまま俺の布団へインしてきた柏木はやはり痴女なのだろうか?
「振り向かないでね?」
そんな勇気は俺にはないが足が足にちょっと当たったりするだけで心臓が弾けそうになる。
うっかり死んじゃうかもしれないけどそうなったら新聞記事で添い寝したら死んだ童貞高校生乙。とか言って書かれそうだなぁ。
「温かいね………」
「………そだな」
温かいですまねえよこれ……いろいろと熱いんだが……
頬も体も心も………息子も。
いや、間違いが起きても大丈夫なのか?いやいやダメだダメっ!!
静まれ俺の暴れ馬め。
なんで反応しちゃったんだよ。確かに可愛いけど違うだろ?なんていうかそのロリコンみたいじゃねえかっ!!
………俺は誰にロリコンじゃないと思われたいのだろうか?柏木がロリなことには変わりないしその彼氏ってことはもうロリコンなんじゃないだろうか?ロリコンでもいいかな?もう何考えてるんだろ。わかんねえや。
ゴンっ!!
その刹那背中にすごい衝撃が飛んできた。
「痛ったいんだが?」
振り返った瞬間、今度は顔面に強烈な蹴りが入った。
「……なんで蹴るんだよ?」
「………すぅ……」
あんなに鋭い蹴りを放っていたくせに、返ってきたのはなんと寝息だった。
なんだよこいつ………
電気消してもいいかな?俺が眠れんし……
そう思い布団から一旦出ようとすると、腕をぐいっと掴まれた。
抱き枕じゃねえんだぞ……全く……
というか腕力強すぎるだろ………また右腕だし………なに?右腕に両親殺されたの?
でも、寝顔はやっぱり可愛いな。
頭を少し撫でてみると顔が少しだけ緩む。
腕の力は緩まんのかいっ!!
俺は寝れんなこれは……
まあ、いいか。今日は楽しかったしな。
*****
外が明るくなってきた。今日も多分晴れるかな?
そして、チャンチュンと小鳥たちがさえずる。
「………ん?はるきぃ?」
「……おはよ」
これが朝チュン………というか結局寝れんかったし軽く深夜モードですね。じゃなければ朝チュンなんて幸せ単語をこんなタイミングで使うわけがない。
「……おはよう」
と、緩みきった顔でそう言う。
可愛いので許しちゃう。
とりあえず、朝起きて歯磨きを済ます。
「で?今日の予定は?」
「そうねー。どうしましょうか?」
「予定なしなのかよっ!じゃなぜ泊まった?」
「………それは……む。」
なぜか睨まれた。
俺が悪いのか?
「とりあえず、どっか行きましょっ!!」
「どっかってどこだよ」
「どっかはどっかだよっ!早く行くよっ!」
そして、チェックアウトを済ますとさっさと連れ出されてしまった。
なにも予定なんてないのにどうするんだよ……
てか、寒いし……今年の冬はやべえな。
「家帰っちゃダメかな?服もなんか昨日のままだし……」
何も聞かされてなかったのでこればっかりは仕方ないが、柏木はもう一着昨日とはまた違う黄色ベースで可愛らしい服に着替えていた。
意外と黄色も似合うな。
「………そのまま家から出てこないとかそういうことしない?」
「しないしない。だから一旦帰ろうぜ?」
どうにか柏木を説得し帰路につく。
よし、これで家に帰れる。
そして、休みの日というものは寝るために使わないといけない。休みってのは休むためにあるのだ。
家に着いたら速攻でベットじゃ。
そう意気込むと最寄り駅についた。
「じゃ、またな。勝負着でも着てるから」
「うんっ!またねっ!」
あんな笑顔でまたねなんて言われたら気が引けるじゃないか……
だが、ここで逃げないでいつ逃げるんだ。
*****
「ただいまー」
家に帰ってきて、そう言ってみるが返答がない。
まあ、姉さんもどっかに出かけているのだろう。
でもこれは好都合だな。あのやかましいのがいないのだ。眠りも捗るだろう。
早速パジャマという勝負着に着替えてベットへジャーンプっ!!
もにゅっ。
………ん?なんか、擬音にするとそんな感じの感触が布団にあった。
布団を勢いよく捲ってみると、全裸の姉がいた。
「………なにしてるの?」
さっきので飛び込みで起きたのかどうかは知らないが腹を痛そうに抑えている。
膝がその辺に刺さったのでまあ、それは仕方ない。というか天罰という奴だろう。
「か、帰ったのね……春樹……」
「まあね……で?なにをして………」
「違うわっ!!実の弟の匂いを嗅ぎながら……はぁはぁ……自慰に耽っていたら………すぅーはぁ。寝落ちしていた。だなんてことはないんだからねっ!!ほ、ほんとーなんだからねっ!!」
文字通り、赤裸々に全部語っちゃったね!
「うん。全部わかったよ姉さん。いや、風見美香さん」
ドアに手をかける。
「お、お願いっ!!お姉ちゃんを見捨てないでっ!!」
「残念ですがそれは無理です」
バタンっ!と、音が鳴るようにドアをわざと閉めてからちょっと反応を見てみる。
少しは反省するか?これで………流石に姉があれだとめんどくさいので躾くらいはしっかりしておかないといけない。
自分の部屋のドアにみみをつけ聞き耳を立ててみると、姉さんはまるで子供のように泣きじゃくっていた。
時間が経てばどうにか反省するかな?
一本アニメを見て約三十分が経ち、自分の部屋の前でもう一度聞き耳を立ててみる。
結果は同じだった。
「………はぁ。」
反省させないといけないのはわかっている。わかってるのだが………
「姉さん………もう、いいよ。もうしないよね?」
「は、春樹?………うん。もうやらないよ?」
「なら、いいよ。早く服着てきなさい」
「うんっ!!」
なんというか、スーパーのお菓子コーナーで駄々こねる子供に折れる親の気持ちがわかった気がした。
*****
「………春樹?何か言うことは?」
姉さんの躾が終わり、とりあえず小腹が空いたので下の階へと降りると見覚えのある女の子が鬼のような表層でいた。
「………や、やぁ?」
「やあ。じゃないわっ!!!デートはどうしたんだよぼけぇ!!!」
「あー。えっと………」
言い訳を考えている間に俺の顔付近まで小さい拳が飛んできていた。
あ、これは直撃だな。
事故とかの直前スローモーションになるって話を聞いたことがあるけど、本当なんだ。
綺麗に顔面にストレートが入り、ノックダウン。ワンパンでKOである。
「痛てて…」
目覚めると柏木がまたまた拳を握っていた。
「それだけは勘弁してくださいっ!!」
起き上がった瞬間に俺はぴしっと土下座を決めていた。
「ち、違くて………あー!!もういいっ!!バカ春樹っー!」
柏木はそう言いながら走って行ってしまった。
何が馬鹿なのかもわからないが、まあ、多分俺が悪いのだ。
とりあえず、謝らねえとな……
周りを見てみると氷水で満たされたバケツにタオルなんかが入ってるものが俺のベット付近にはあった。
こんなに寒いのに俺のためにあいつは………
「か、柏木っ!!」
気づくと柏木の家の前まで何も考えずにすっ飛んで来ていた。
「……え?春樹?」
インターホン越しに声が聞こえる。柏木の声だ。
「あ、あぁ……さっきは……その……ごめん」
「なんでパジャマなの?もう夜だよ?寒くなかった?」
「あー。そういえば……へっくしゅんっ!!」
「ほらぁ。とりあえず……上がってよ。少し待ってて」
それからすぐに家のドアが開き、リビングへ通された。
「はい。これ」
「なんか……ごめん」
温かいココアを受け取ると同時に謝った。すると柏木は首を横に振ると俺に寄り沿うように腰を下ろす。
「謝りに来てくれてありがとう……私こそごめんなさい……ちょっと私が大人げなかったわ。」
どこからどう見れば大人という部類に入るのか是非とも教えていただきたい。
ボゴンっ!!
と、鳴ってはいけないような音がなる。
「腹は………腹パンだけはやめて欲しかった………」
「子どもっぽくてごめんなさいねっ!!」
怒りに満ちた瞳がなぜか懐かしく感じた。こんなやりとりばっかりで俺は痛い思いばかりしているというのにも関わらず、俺はなぜかふっと笑みが漏れた。
「なんで笑ったんだ?もしかして足りなかったか?」
「じ、十分でございますっ!!」
「ならなんでだぁ?あぁん?」
どこぞのヤンキー。それも次のコマではもう恐怖顔になってるようなちょろい雑魚キャラのようなセリフで俺を脅してくる。
「いや、だって懐かしいなぁってさ?」
そして、柏木は予想外すぎたのか目を丸くした。
「………え?」
やはり柏木はちょろいな。
****
翌朝、普通に登校日である。
特に何も無い普通の学校。だが、横には柏木がいる。もう俺は迷わない。こいつが俺から離れるまでは離れない。
「なに?春樹。にやけて………正直キモいよ?」
「俺の決断を返せ。」
「あ、おっはよー!!柏木さんと風見くんっ!!」
登校中、後ろから溌剌とした声が飛んできた。
「おはよう三ヶ森さん!」
「よっす」
そう返すとニッコリと笑った。
「私今日日直だから先に行くねー!!」
そう言うとさっさと走っていってしまった。
そう言えば、三ヶ森さんなんか俺に言ってたような気がする。
なんだったっけか………家に来て俺に喝を入れてくれた時になんか………すっげえ大切というかそんな感じのことだったんだけどな。
まあ、いいか。今はそれでも。
****
学校につくとまあ、特に何もなく授業が進んでいく。
いつも通りさっぱりだ。
先生の話を右から左に受け流しながら聞いていると、黒板の横辺りに部活動禁止的なワードを見てしまい、テストなんていう不吉なワードが頭をよぎる。
なんでこんなに幸せ絶好調ってタイミングでそんなに恐ろしいものがやってくるんだ。
だが、柏木のおかげでなんとかどうにか赤点は免れているし、まあ大丈夫だろう。うん。大丈夫大丈夫……気にするな。
「テスト一週間前だからな?前のテストの結果が悪かったやつは頑張るように」
メガネの中年の教師がチャイムが鳴ったあとにそう続けた。
現実を突きつけてどうなると言うんだ……
「春樹?今日から勉強するわよっ!」
「あ、それなら私も参加したいっ!」
俺が答える前に三ヶ森さんが横から現れた。
「三ヶ森さんなら大歓迎だよ。」
ちょいと怖い目線を感じるので横にいるチビの方は見ないで三ヶ森さんに出来るだけの笑顔を向ける。
「僕らもいいかな?」
イケメンオーラを漂わせて奴は現れた。
「お前は別に成績悪くねえだろ?」
「頭のいいやつは何人いてもいいだろう?それに………」
というと、橘に視線を流す。
そう言えばあいつも悪いんだっけか?
しばかれてえのかよ。
「……そうだな。じゃ、今日の放課後は駅前のサイゼで」
そして、放課後。
意味のわからない確率の問題だ。確率を求めて何になる。
「なぁ、勉強ってなんのためにあると思う?」
「そんなことを考える暇があるなら勉強しなさいよ?」
「は、はい……ごめんなさい……」
やる意味があるのかもわからないような問題を解く。だが、やる意味が見いだせた。柏木に殺されないためには勉強をするしかないのだ。
「ねね。風見くん」
柏木がドリンクバーを取りに行って監視の外れた時、やっと俺の自由なひと時が訪れる。
そんな時に三ヶ森さんが小声で話しかけてきた。
「ん?なんだ?」
「お二人はその………元の関係に戻ったんですよね?」
「………本当ありがとう。あそこで三ヶ森さんに喝を入れてもらってなかったらまた元には戻れなかったと思う。」
「いえいえ!そんなのはいいんです!………私も本当に嬉しく思いますから………」
そう言って微笑むがその顔は妙に暗かった。
「う、うん………本当にありがとね」
口頭ではそう言っていたが、三ヶ森さんは本当に俺らが元に戻ったことを祝福していてくれているのだろうか。いや、俺なんかより俺のことを考えていてくれたんだ。喜んでくれているはずだ。
「なにしてるの?勉強は?」
柏木が絞め殺すような視線で俺を睨む。
「は、はい!今からまた手をつける所存でございます!」
「まあ、いいわ。そういえば山口くん達は?」
「なんか、遅れるって言ってたぞ?」
「はぁ。リア充たちは本当にいいですよねぇ……」
と、三ヶ森さんが漏らしながらこっちを見る。
何その目。やめてください。
「………三ヶ森さんは可愛いから大丈夫でしょ」
「確かにねー。なんて言うか猫っぽい可愛さもあるしね!」
「もう!からかわないでくださいよ!」
かわいいなぁ。やっぱり三ヶ森さんは。
そんなことをしていると、不良グループのような奴らが入店してきた。
………あれ?どっかで見たような気がするけど。
あ、そうだ!思い出した!駅で柏木を襲ってた奴らだ。
まあ、席はあっちのほうになるだろう。
と、思っていたがあいにくだか不運だかで奴ら不良グループは俺らの座っているテーブル席のすぐ横だった。
また都合の悪い………
まあ、絡んでは来ないだろうけど………
「………裕翔?」
「………え?」
五十四話
~ あらすじ ~
泊りがけのデートのせいでかおかげでかは分からないが、まあ、結局は柏木の猛アタックのせいではあるのだが、また俺らはよりを戻すことになった。
*****
もういい時間なので寝ることになったのだが、柏木と同じ部屋ということと豆電球が灯っているために寝付けない。かなり疲れてるはずなんだけどなぁ。
「あ、あのさ?春樹………」
「……ん?なんだよ?」
「寒く……ない?」
「エアコンもついてるんだしそんなに寒くないけど?」
柏木と一緒に寝るなんていつぶりだろうか?
幼稚園以来かな?………じゃなくて。普通に考えて有り得んだろ。いい年頃の男女が一緒に寝るって………いや、高校生で童貞ってほうがおかしいのか?
どうなんだろ?友達という友達が居ない俺には全くわからねえ……
「ねえ春樹………」
「どうしたよ?」
「そっち行っていい?」
「………ちょ………」
そんなことを訊いておいて返事も聞かぬまま俺の布団へインしてきた柏木はやはり痴女なのだろうか?
「振り向かないでね?」
そんな勇気は俺にはないが足が足にちょっと当たったりするだけで心臓が弾けそうになる。
うっかり死んじゃうかもしれないけどそうなったら新聞記事で添い寝したら死んだ童貞高校生乙。とか言って書かれそうだなぁ。
「温かいね………」
「………そだな」
温かいですまねえよこれ……いろいろと熱いんだが……
頬も体も心も………息子も。
いや、間違いが起きても大丈夫なのか?いやいやダメだダメっ!!
静まれ俺の暴れ馬め。
なんで反応しちゃったんだよ。確かに可愛いけど違うだろ?なんていうかそのロリコンみたいじゃねえかっ!!
………俺は誰にロリコンじゃないと思われたいのだろうか?柏木がロリなことには変わりないしその彼氏ってことはもうロリコンなんじゃないだろうか?ロリコンでもいいかな?もう何考えてるんだろ。わかんねえや。
ゴンっ!!
その刹那背中にすごい衝撃が飛んできた。
「痛ったいんだが?」
振り返った瞬間、今度は顔面に強烈な蹴りが入った。
「……なんで蹴るんだよ?」
「………すぅ……」
あんなに鋭い蹴りを放っていたくせに、返ってきたのはなんと寝息だった。
なんだよこいつ………
電気消してもいいかな?俺が眠れんし……
そう思い布団から一旦出ようとすると、腕をぐいっと掴まれた。
抱き枕じゃねえんだぞ……全く……
というか腕力強すぎるだろ………また右腕だし………なに?右腕に両親殺されたの?
でも、寝顔はやっぱり可愛いな。
頭を少し撫でてみると顔が少しだけ緩む。
腕の力は緩まんのかいっ!!
俺は寝れんなこれは……
まあ、いいか。今日は楽しかったしな。
*****
外が明るくなってきた。今日も多分晴れるかな?
そして、チャンチュンと小鳥たちがさえずる。
「………ん?はるきぃ?」
「……おはよ」
これが朝チュン………というか結局寝れんかったし軽く深夜モードですね。じゃなければ朝チュンなんて幸せ単語をこんなタイミングで使うわけがない。
「……おはよう」
と、緩みきった顔でそう言う。
可愛いので許しちゃう。
とりあえず、朝起きて歯磨きを済ます。
「で?今日の予定は?」
「そうねー。どうしましょうか?」
「予定なしなのかよっ!じゃなぜ泊まった?」
「………それは……む。」
なぜか睨まれた。
俺が悪いのか?
「とりあえず、どっか行きましょっ!!」
「どっかってどこだよ」
「どっかはどっかだよっ!早く行くよっ!」
そして、チェックアウトを済ますとさっさと連れ出されてしまった。
なにも予定なんてないのにどうするんだよ……
てか、寒いし……今年の冬はやべえな。
「家帰っちゃダメかな?服もなんか昨日のままだし……」
何も聞かされてなかったのでこればっかりは仕方ないが、柏木はもう一着昨日とはまた違う黄色ベースで可愛らしい服に着替えていた。
意外と黄色も似合うな。
「………そのまま家から出てこないとかそういうことしない?」
「しないしない。だから一旦帰ろうぜ?」
どうにか柏木を説得し帰路につく。
よし、これで家に帰れる。
そして、休みの日というものは寝るために使わないといけない。休みってのは休むためにあるのだ。
家に着いたら速攻でベットじゃ。
そう意気込むと最寄り駅についた。
「じゃ、またな。勝負着でも着てるから」
「うんっ!またねっ!」
あんな笑顔でまたねなんて言われたら気が引けるじゃないか……
だが、ここで逃げないでいつ逃げるんだ。
*****
「ただいまー」
家に帰ってきて、そう言ってみるが返答がない。
まあ、姉さんもどっかに出かけているのだろう。
でもこれは好都合だな。あのやかましいのがいないのだ。眠りも捗るだろう。
早速パジャマという勝負着に着替えてベットへジャーンプっ!!
もにゅっ。
………ん?なんか、擬音にするとそんな感じの感触が布団にあった。
布団を勢いよく捲ってみると、全裸の姉がいた。
「………なにしてるの?」
さっきので飛び込みで起きたのかどうかは知らないが腹を痛そうに抑えている。
膝がその辺に刺さったのでまあ、それは仕方ない。というか天罰という奴だろう。
「か、帰ったのね……春樹……」
「まあね……で?なにをして………」
「違うわっ!!実の弟の匂いを嗅ぎながら……はぁはぁ……自慰に耽っていたら………すぅーはぁ。寝落ちしていた。だなんてことはないんだからねっ!!ほ、ほんとーなんだからねっ!!」
文字通り、赤裸々に全部語っちゃったね!
「うん。全部わかったよ姉さん。いや、風見美香さん」
ドアに手をかける。
「お、お願いっ!!お姉ちゃんを見捨てないでっ!!」
「残念ですがそれは無理です」
バタンっ!と、音が鳴るようにドアをわざと閉めてからちょっと反応を見てみる。
少しは反省するか?これで………流石に姉があれだとめんどくさいので躾くらいはしっかりしておかないといけない。
自分の部屋のドアにみみをつけ聞き耳を立ててみると、姉さんはまるで子供のように泣きじゃくっていた。
時間が経てばどうにか反省するかな?
一本アニメを見て約三十分が経ち、自分の部屋の前でもう一度聞き耳を立ててみる。
結果は同じだった。
「………はぁ。」
反省させないといけないのはわかっている。わかってるのだが………
「姉さん………もう、いいよ。もうしないよね?」
「は、春樹?………うん。もうやらないよ?」
「なら、いいよ。早く服着てきなさい」
「うんっ!!」
なんというか、スーパーのお菓子コーナーで駄々こねる子供に折れる親の気持ちがわかった気がした。
*****
「………春樹?何か言うことは?」
姉さんの躾が終わり、とりあえず小腹が空いたので下の階へと降りると見覚えのある女の子が鬼のような表層でいた。
「………や、やぁ?」
「やあ。じゃないわっ!!!デートはどうしたんだよぼけぇ!!!」
「あー。えっと………」
言い訳を考えている間に俺の顔付近まで小さい拳が飛んできていた。
あ、これは直撃だな。
事故とかの直前スローモーションになるって話を聞いたことがあるけど、本当なんだ。
綺麗に顔面にストレートが入り、ノックダウン。ワンパンでKOである。
「痛てて…」
目覚めると柏木がまたまた拳を握っていた。
「それだけは勘弁してくださいっ!!」
起き上がった瞬間に俺はぴしっと土下座を決めていた。
「ち、違くて………あー!!もういいっ!!バカ春樹っー!」
柏木はそう言いながら走って行ってしまった。
何が馬鹿なのかもわからないが、まあ、多分俺が悪いのだ。
とりあえず、謝らねえとな……
周りを見てみると氷水で満たされたバケツにタオルなんかが入ってるものが俺のベット付近にはあった。
こんなに寒いのに俺のためにあいつは………
「か、柏木っ!!」
気づくと柏木の家の前まで何も考えずにすっ飛んで来ていた。
「……え?春樹?」
インターホン越しに声が聞こえる。柏木の声だ。
「あ、あぁ……さっきは……その……ごめん」
「なんでパジャマなの?もう夜だよ?寒くなかった?」
「あー。そういえば……へっくしゅんっ!!」
「ほらぁ。とりあえず……上がってよ。少し待ってて」
それからすぐに家のドアが開き、リビングへ通された。
「はい。これ」
「なんか……ごめん」
温かいココアを受け取ると同時に謝った。すると柏木は首を横に振ると俺に寄り沿うように腰を下ろす。
「謝りに来てくれてありがとう……私こそごめんなさい……ちょっと私が大人げなかったわ。」
どこからどう見れば大人という部類に入るのか是非とも教えていただきたい。
ボゴンっ!!
と、鳴ってはいけないような音がなる。
「腹は………腹パンだけはやめて欲しかった………」
「子どもっぽくてごめんなさいねっ!!」
怒りに満ちた瞳がなぜか懐かしく感じた。こんなやりとりばっかりで俺は痛い思いばかりしているというのにも関わらず、俺はなぜかふっと笑みが漏れた。
「なんで笑ったんだ?もしかして足りなかったか?」
「じ、十分でございますっ!!」
「ならなんでだぁ?あぁん?」
どこぞのヤンキー。それも次のコマではもう恐怖顔になってるようなちょろい雑魚キャラのようなセリフで俺を脅してくる。
「いや、だって懐かしいなぁってさ?」
そして、柏木は予想外すぎたのか目を丸くした。
「………え?」
やはり柏木はちょろいな。
****
翌朝、普通に登校日である。
特に何も無い普通の学校。だが、横には柏木がいる。もう俺は迷わない。こいつが俺から離れるまでは離れない。
「なに?春樹。にやけて………正直キモいよ?」
「俺の決断を返せ。」
「あ、おっはよー!!柏木さんと風見くんっ!!」
登校中、後ろから溌剌とした声が飛んできた。
「おはよう三ヶ森さん!」
「よっす」
そう返すとニッコリと笑った。
「私今日日直だから先に行くねー!!」
そう言うとさっさと走っていってしまった。
そう言えば、三ヶ森さんなんか俺に言ってたような気がする。
なんだったっけか………家に来て俺に喝を入れてくれた時になんか………すっげえ大切というかそんな感じのことだったんだけどな。
まあ、いいか。今はそれでも。
****
学校につくとまあ、特に何もなく授業が進んでいく。
いつも通りさっぱりだ。
先生の話を右から左に受け流しながら聞いていると、黒板の横辺りに部活動禁止的なワードを見てしまい、テストなんていう不吉なワードが頭をよぎる。
なんでこんなに幸せ絶好調ってタイミングでそんなに恐ろしいものがやってくるんだ。
だが、柏木のおかげでなんとかどうにか赤点は免れているし、まあ大丈夫だろう。うん。大丈夫大丈夫……気にするな。
「テスト一週間前だからな?前のテストの結果が悪かったやつは頑張るように」
メガネの中年の教師がチャイムが鳴ったあとにそう続けた。
現実を突きつけてどうなると言うんだ……
「春樹?今日から勉強するわよっ!」
「あ、それなら私も参加したいっ!」
俺が答える前に三ヶ森さんが横から現れた。
「三ヶ森さんなら大歓迎だよ。」
ちょいと怖い目線を感じるので横にいるチビの方は見ないで三ヶ森さんに出来るだけの笑顔を向ける。
「僕らもいいかな?」
イケメンオーラを漂わせて奴は現れた。
「お前は別に成績悪くねえだろ?」
「頭のいいやつは何人いてもいいだろう?それに………」
というと、橘に視線を流す。
そう言えばあいつも悪いんだっけか?
しばかれてえのかよ。
「……そうだな。じゃ、今日の放課後は駅前のサイゼで」
そして、放課後。
意味のわからない確率の問題だ。確率を求めて何になる。
「なぁ、勉強ってなんのためにあると思う?」
「そんなことを考える暇があるなら勉強しなさいよ?」
「は、はい……ごめんなさい……」
やる意味があるのかもわからないような問題を解く。だが、やる意味が見いだせた。柏木に殺されないためには勉強をするしかないのだ。
「ねね。風見くん」
柏木がドリンクバーを取りに行って監視の外れた時、やっと俺の自由なひと時が訪れる。
そんな時に三ヶ森さんが小声で話しかけてきた。
「ん?なんだ?」
「お二人はその………元の関係に戻ったんですよね?」
「………本当ありがとう。あそこで三ヶ森さんに喝を入れてもらってなかったらまた元には戻れなかったと思う。」
「いえいえ!そんなのはいいんです!………私も本当に嬉しく思いますから………」
そう言って微笑むがその顔は妙に暗かった。
「う、うん………本当にありがとね」
口頭ではそう言っていたが、三ヶ森さんは本当に俺らが元に戻ったことを祝福していてくれているのだろうか。いや、俺なんかより俺のことを考えていてくれたんだ。喜んでくれているはずだ。
「なにしてるの?勉強は?」
柏木が絞め殺すような視線で俺を睨む。
「は、はい!今からまた手をつける所存でございます!」
「まあ、いいわ。そういえば山口くん達は?」
「なんか、遅れるって言ってたぞ?」
「はぁ。リア充たちは本当にいいですよねぇ……」
と、三ヶ森さんが漏らしながらこっちを見る。
何その目。やめてください。
「………三ヶ森さんは可愛いから大丈夫でしょ」
「確かにねー。なんて言うか猫っぽい可愛さもあるしね!」
「もう!からかわないでくださいよ!」
かわいいなぁ。やっぱり三ヶ森さんは。
そんなことをしていると、不良グループのような奴らが入店してきた。
………あれ?どっかで見たような気がするけど。
あ、そうだ!思い出した!駅で柏木を襲ってた奴らだ。
まあ、席はあっちのほうになるだろう。
と、思っていたがあいにくだか不運だかで奴ら不良グループは俺らの座っているテーブル席のすぐ横だった。
また都合の悪い………
まあ、絡んでは来ないだろうけど………
「………裕翔?」
「………え?」
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
粗暴で優しい幼馴染彼氏はおっとり系彼女を好きすぎる
春音優月
恋愛
おっとりふわふわ大学生の一色のどかは、中学生の時から付き合っている幼馴染彼氏の黒瀬逸希と同棲中。態度や口は荒っぽい逸希だけど、のどかへの愛は大きすぎるほど。
幸せいっぱいなはずなのに、逸希から一度も「好き」と言われてないことに気がついてしまって……?
幼馴染大学生の糖度高めなショートストーリー。
2024.03.06
イラスト:雪緒さま
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
人違いラブレターに慣れていたので今回の手紙もスルーしたら、片思いしていた男の子に告白されました。この手紙が、間違いじゃないって本当ですか?
石河 翠
恋愛
クラス内に「ワタナベ」がふたりいるため、「可愛いほうのワタナベさん」宛のラブレターをしょっちゅう受け取ってしまう「そうじゃないほうのワタナベさん」こと主人公の「わたし」。
ある日「わたし」は下駄箱で、万年筆で丁寧に宛名を書いたラブレターを見つける。またかとがっかりした「わたし」は、その手紙をもうひとりの「ワタナベ」の下駄箱へ入れる。
ところが、その話を聞いた隣のクラスのサイトウくんは、「わたし」が驚くほど動揺してしまう。 実はその手紙は本当に彼女宛だったことが判明する。そしてその手紙を書いた「地味なほうのサイトウくん」にも大きな秘密があって……。
「真面目」以外にとりえがないと思っている「わたし」と、そんな彼女を見守るサイトウくんの少女マンガのような恋のおはなし。
小説家になろう及びエブリスタにも投稿しています。
扉絵は汐の音さまに描いていただきました。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
別にいいんじゃないんですか? 上手くならなくても——。
後輩マネージャーのその一言が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
だから、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると思っていたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。
しかし、そこに香奈が現れる。
成り行きで香奈を家に上げた巧だが、なぜか彼女はその後も彼の家を訪れるようになって——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
甘酸っぱくて、爽やかで、焦れったくて、クスッと笑えて……
オレンジジュース(のような青春)が好きな人必見の現代ラブコメ、ここに開幕!
※これより下では今後のストーリーの大まかな流れについて記載しています。
「話のなんとなくの流れや雰囲気を抑えておきたい」「ざまぁ展開がいつになるのか知りたい!」という方のみご一読ください。
【今後の大まかな流れ】
第1話、第2話でざまぁの伏線が作られます。
第1話はざまぁへの伏線というよりはラブコメ要素が強いので、「早くざまぁ展開見たい!」という方はサラッと読んでいただいて構いません!
本格的なざまぁが行われるのは第15話前後を予定しています。どうかお楽しみに!
また、特に第4話からは基本的にラブコメ展開が続きます。シリアス展開はないので、ほっこりしつつ甘さも補充できます!
※最初のざまぁが行われた後も基本はラブコメしつつ、ちょくちょくざまぁ要素も入れていこうかなと思っています。
少しでも「面白いな」「続きが気になる」と思った方は、ざっと内容を把握しつつ第20話、いえ第2話くらいまでお読みいただけると嬉しいです!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
私はお世話係じゃありません!
椿蛍
恋愛
幼い頃から、私、島田桜帆(しまださほ)は倉永夏向(くらながかなた)の面倒をみてきた。
幼馴染みの夏向は気づくと、天才と呼ばれ、ハッカーとしての腕を買われて時任(ときとう)グループの副社長になっていた!
けれど、日常生活能力は成長していなかった。
放って置くと干からびて、ミイラになっちゃうんじゃない?ってくらいに何もできない。
きっと神様は人としての能力値の振り方を間違えたに違いない。
幼馴染みとして、そんな夏向の面倒を見てきたけど、夏向を好きだという会社の秘書の女の子が現れた。
もうお世話係はおしまいよね?
★視点切り替えあります。
★R-18には※R-18をつけます。
★飛ばして読むことも可能です。
★時任シリーズ第2弾
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
憧れのあなたとの再会は私の運命を変えました~ハッピーウェディングは御曹司との偽装恋愛から始まる~
けいこ
恋愛
15歳のまだ子どもだった私を励まし続けてくれた家庭教師の「千隼先生」。
私は密かに先生に「憧れ」ていた。
でもこれは、恋心じゃなくただの「憧れ」。
そう思って生きてきたのに、10年の月日が過ぎ去って25歳になった私は、再び「千隼先生」に出会ってしまった。
久しぶりに会った先生は、男性なのにとんでもなく美しい顔立ちで、ありえない程の大人の魅力と色気をまとってた。
まるで人気モデルのような文句のつけようもないスタイルで、その姿は周りを魅了して止まない。
しかも、高級ホテルなどを世界展開する日本有数の大企業「晴月グループ」の御曹司だったなんて…
ウエディングプランナーとして働く私と、一緒に仕事をしている仲間達との関係、そして、家族の絆…
様々な人間関係の中で進んでいく新しい展開は、毎日何が起こってるのかわからないくらい目まぐるしくて。
『僕達の再会は…本当の奇跡だ。里桜ちゃんとの出会いを僕は大切にしたいと思ってる』
「憧れ」のままの存在だったはずの先生との再会。
気づけば「千隼先生」に偽装恋愛の相手を頼まれて…
ねえ、この出会いに何か意味はあるの?
本当に…「奇跡」なの?
それとも…
晴月グループ
LUNA BLUホテル東京ベイ 経営企画部長
晴月 千隼(はづき ちはや) 30歳
×
LUNA BLUホテル東京ベイ
ウエディングプランナー
優木 里桜(ゆうき りお) 25歳
うららかな春の到来と共に、今、2人の止まった時間がキラキラと鮮やかに動き出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる