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二十五話

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【俺の妹になってください】

二十五話

~ あらすじ ~

柏木が不機嫌そうだったので、千葉へおでかけにっ!
 
******

歩く狂犬こと柏木舞に連れられ、千葉すべて回る勢いで、あっちへ行ったりこっちへ行ったり………

はぁ。犬は体格がよくなるほど散歩が長くなる。ならば狂犬なら………はぁ。終わったな。俺の休日。さようなら平穏な日々。

「なにブツブツ言ってるの?早く次行きましょ?」

まだ俺はこのだだっ広い街を連れ回されるらしい。

「で?お次はどこだ?」

ため息混じりに俺はそう訊く。

「お次はそこよっ!!」

と、柏木が指を指したのは入り口部分が鮫の口になってる所だった。

「あれってなに?俺らは食われるの?」

「さあ?知らないわ。でも、ちょっと興味があったのよ」

雰囲気が完全に夜の店のようだったが、柏木はズカズカとそのビルの中に入っていく。俺はを止めることは出来なかった。どうせ俺に選ぶ権利もないんだし、ついていくしかないか………

「待ってくれよ。柏木」

「な、なによ?」

「ここって……」

俺の予想は思いっきり当たっていた。

「も、ももも戻りましょうか」

顔を真っ赤に染め上げて足と手を同時に出して歩き始める柏木。こいつは傑作だぜ。

「そうだな………」

俺は笑うのを堪えながら、そう返事をした。

そこからすぐに出て、高校生がいておかしくない自分らにあったファミレスに移動した。

「やっと休める………」

今時刻は2時半を少し過ぎたところだ。なので、ファミレス店内は結構空いている。

「まあ、昼ごはんにしては少し遅いけどね…」

ピンポーン。

柏木は一言ボソッとそう言いながら、店員を呼ぶあのベルを鳴らした。

「………嫌がらせか?」

「早く決めないと来ちゃうわよ?」

嘲笑するように俺を見下すように柏木は笑ってメニューを閉じた。

こいつ……まだ席座って五秒もたってないってのによ………

「ご注文はお決まりですか?」

「柏木先いいよ?」

「まだ決めてない」

…………は?即答しやがった。

「じ、じゃ………月見ハンバーグとドリンクバーで」

「じゃ、私はシーフードスパゲッティとドリンクバーで」

大体こいつここ来たらシーフードスパゲッティかミートドリアしか頼まねえからな。そりゃー即押せるわな。

はぁ。うぜえ。全然可愛くねえ。

店員が去っていったあと、柏木は小さく舌打ちをした。多分俺の反応がイマイチだったからだろう。

「おい。いちいち舌打ちをするんじゃない!」

「なに?知らないけど?チッ!」

思いっきりやりました大佐。あいつ思いっきりですよ?現行犯ですよ!?

いつか復讐してやるからな。覚えてろよ?

そんなことを心に刻みポケットからスマートフォンを取り出そうとすると、柏木が急に腕を振り上げた。

な、殴られる!

俺はポケットに突っ込んだ右手はそのままで左手をガードに反射的に回し衝撃に備えてみるが、なんの衝撃もこない。

「ジャンケーンぽんっ!」

目を開くと奴はパーを出していて俺は力を入れていたため拳を作っていた。つまりグーだ。

ということは負けだね。

「私、メロンソーダね?」

ニコッと笑ってそういう柏木。

「お、おい。そりゃない………」

「早くして?」

「はいっ!」

怖ぇ。睨み殺されるかと思ったぜ……

別にこんなことされなくてもジュースくらい取りに行ってやるんだがね………

そうして俺はジュースを取りに行った。

「遅いっ!」

俺が戻ると怒鳴られた。

「なんで!?」

俺はジュースを普通に持ってきた。なのに遅いはないんだよな。というかここからだってドリンクバーの機械見えるのに………

「だって……一人は楽しくないから………」

 囁くような小さい声だった。でも、しっかりそのか細い声は俺に届いた。でも、俺は何も言えなかった。それどころか聞こえないふりをして誤魔化した。

******

俺らは千葉こと本千葉町を端から端まで回り、焼肉を食ってからその帰り道。

………俺は最低だ。ファミレスでのあの一件から俺はかなり後悔していた。

なんで俺はあそこで誤魔化してしまったんだ?

「風見」

「え?あ?なに?」

「………今日はありがとね」

「え?あ、いや………」

「久々に楽しかったわ」

「そっか」

「今日も泊まるの?」

「うん。姉が怖いからな………いいか?」

「私はいいわよ?たのし………いや、何でもないわ」

柏木が楽しそうに笑えば笑うほど、後悔がどんどん深まっていっているのか、胸がどんどんと圧迫されて行く痛みがあるような気がした。

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