俺の妹になってください

クレハ@WME

文字の大きさ
上 下
14 / 57

十四話

しおりを挟む
【俺の妹になってください】

十四話

~ あらすじ ~

親が帰ってこないらしいので、一晩姉と一つ屋根の下で過ごして貞操の危機ではあったが、全部未遂で終わりなんとかその一日を乗り切って学校に行くと、やっと柏木と話せた。

****

教室で合宿の班であった全員が揃っていた。それなりに暖かいこれは昼寝に最適だ。と言わんばかりの晴天の中、合宿も終わったし話す必要なんてないのだが、それと昼を一緒に食べていた。

「その弁当……お姉さんが?」

まじまじとその問題である弁当を眺めながら、三ヶ森さんがそういった。

「あ、うん」

俺的には問題なくても、他の人からするとキモいよな。

白飯の上にピンク色のふりかけかなにかで、【LOVE】と、書いてその上に大きなハートマークが描かれていた。せめてライクにしてくれよ。愛すな。

「かなり、あの姉さん。………凄いわよね。昔から」

うんうん、と、頷きながら柏木はそう言う。

「………やっぱり?」

どうにかして、あの姉の目を覚まさせてやりたいのだが、俺はどうしようもない。

「いいお姉さんだと思いますけどね。僕は」

そんないかれた発言をしたのは、イケメンな青年だった。

「なんで?」

「だって、好きなんですよ?なら、いいじゃないですか」

「………ま、まあ」

確かにそうだ。好きならいい。嫌われるよりかは全然いいことだが、限度というものもあるだろう。

この弁当を見て、なにも思わなかったか?俺には重すぎる愛だ。そんなに愛さなくていい。と、思ってしまうほどに俺は姉に愛されてるのだ。

「それもそうだけど、あのお姉さんどう考えてもやり過ぎよね?普通に考えて前の合宿について来ちゃうって結構危ないし……」

「まあ、そうだな。昨日も危なかったし……」

「ん?なにが?」

「昨日は親がいなくてな………あはは」

俺の貞操が危なかったなんて言えるわけがなく、笑って誤魔化す。

「やっぱりあんたの姉変よっ!」

柏木は机を強く叩いて立ち上がって、熱い眼差しを向ける。

なんだよ。わかったのか?

「まあまあ、静かにな?」

「そ、そうね……」

周りをキョロキョロしてから、少し顔を赤らめてまた座った。

「今日はお母さんとか帰ってくるの?」

「うーん。書き置きはなかったし、いつも俺が起きる前にはいないしなー」

「電話しなさい」

えー。めんどくさ。口には出さなかったが、ものすごくめんどくさい。柏木や皆は知らないと思うが、俺の母ながら圧巻のめんどくささである。『あー。あの姉さんのお母さんねー。』と、誰もが納得してしまうレベルでめんどくさい。

「なにその嫌そうな顔は」

「………あ、あんまり風見くん……乗り気じゃないみたいだし、別にいいんじゃないですか?」

そんな掠れた三ヶ森さんの声を差し置いて、柏木が吠えた。

「じゃ、今日。私の家にきなさい」

「……………は?」

「だから、私の家にきなさいっ!」

「えー?なんで?」

「なんでもっ!!」

「近い近い……」

幼女はこっちに身を乗り出し、ぷくーっと、頬を膨らましていた。こっちの方がめんどくさいかもしれない。

そして、俺はどちらがめんどくさくないかを考えた末に、柏木の家に行ったのである。

「いらっしゃい」

柏木の家に着くと、「待ってて。準備するから」と、家に俺を外に置いて柏木は俺の家と変わらないくらいの大きさの家に入っていく。

家の前にしゃがみ込んでスマートフォンを弄っていると、柏木が玄関のドアを開けた。

「いらっしゃい。風見」

「………あ、うん」

薄いピンク色を主体にしたフリル付きのエプロンをつけて彼女は出てきた。容姿は幼く男を誘惑するような色っぽさなんて皆無であるはずなのに、どこからか溢れでている圧倒的な新妻感でそれをカバーしていた。

なんでこんなにエロいんだろう。俺はそんな特殊な性癖があったのか!?

こうして、新たな性癖が生まれた。

新妻好き(ロリっ子のみ)

嫌だ嫌だ嫌だ。

俺はそんな性癖ないからな?そ、そうだ。エプロンが似合ってるからだ。それだけ。

そう、頭で整理しようとすると、【悲報、男子高校生エプロンに欲情する】

う、嘘だ!!それはない。エプロンに欲情なんてするはずが……

息子よ。黙れ。切り落としちゃうわよっ!?

「あ、あの。早く入ってくれない?」

俺が自分自身の性癖と葛藤している中、そんな声がかかった。

「あ、そ、そうだよな。あはは」

愛想笑いを浮かべてとりあえず、家の中に入る。

「おじゃましまーす」

「なんで震えてるの?キモいわよ?」

冷たい眼差しをを向けながら、柏木はそう言った。

「む、武者震いだしー」

「なにと戦うってのよ」

そんなことを話しながらリビングに案内されて、俺はとりあえずダイニングの椅子に「ここに座って」と、言われたので座った。

久々に柏木の家に来たが、あまり変わっていない。

ダイニングとリビングと分けられていて、リビングにはテレビやらくつろげそうなソファーやらがある。ものの散乱具合からみてそこのソファーでゴロゴロしたりしてるのだろう。

「飲み物はコーヒーでいいか」

勝手に納得している柏木がキッチンに立ってそう呟くと、ヤカンに水を入れて火をかけた。

まあ、別にいいんだけどね。

「ねえ、風見。今日は泊まるんだよね?」

「は、はぁ?知らん。俺はなんか連れてこられたと言うかそんな感じだしな」

「じゃ、私の部屋でいいか」

「それはよくないっ!!」

鋭いツッコミを返す。ボケなのか本気なのかはよくわからなかったが、会心のツッコミを返した。

「え?なんで?」

「なんでもなにもねえわっ!普通に考えて同じ床に着くなんて彼氏彼女以外でないだろ。変態かよっ!」

「私はそんなことしないわっ!」

自信満々な表情でそう言ったところで、やかんがピューっと音を立てて『お湯、沸いたヒャッホー』と、言わんばかりにピーピーなった。

「ほい。コーヒーね」

「サンキュー」

柏木は俺の正面に座って、コーヒーをすする。

「なあ、本当に俺と一緒に寝るのか?」

「嘘に決まってるじゃない」

微笑して俺で遊ぶ彼女は可愛い。じゃなかった。

「俺で遊ぶな。で、今日は柏木のお母さんとかは帰ってくるのか?」

「え?帰ってこないわよ?」

え?こいつなに言ってんのキモッ。みたいな表情をしてそう返して来た。

「当たり前のことのように言わんでもらえますかね?」

嫌味を言うように返してやると、彼女は微笑んでじーっと俺をみつめてきたので、俺も目を覗き返す。

それから三十秒くらい経ったろうか。それとも一時間くらい経っただろうか。未だに奴は俺の目を覗いている。

もう、無理。

先にしびれを切らしたのは俺だった。

「………すいませんでした」

その一言で彼女はぱぁっと、満開の笑顔を浮かべた。

ふざけんなよ。かわいいじゃねえか。

「じゃ、私は夕飯作るから。適当につくろいでて」

「おう」

彼女はコーヒーを一気に飲み干すと、コップを持って台所に行った。

くつろいでて。なんて言われてくつろげるわけがない。

どうしろってんだろ?

だから、俺はただボケーっと座っていた。

視界にふと入ったコーヒーをなんとなく一口飲むと、口一杯にあの苦味が広がった。

苦い………不味い。

よくこんなの飲めるな。俺はいちごオレとかコーヒー牛乳とかそう言うのがいいんだよなぁ。

なんて、後悔したりしているとキッチンからいい匂いがしてきた。

そっちを見てみると、柏木がフライパンを華麗に振り回していた。

「今日はなに?」

「えーっと、オムレツよ?」

「オムレツかー」

ツッコミなしか。いつも食べてる風に言ってみたのにな。

「…………その質問はなに?私を新妻か何かだと思ってるの?」

その時風見に電流走る。

「そ、そんなわけないじゃないですかー。冗談きついぜー」

「………その反応………図星ね?」

「い、いやいや。そんな訳ないじゃないですか。嫌だなぁー。あはは………」

なんとか誤魔化しているが、脳内は破茶滅茶で、カオスそのものだった。折角忘れてたのに、なんで新妻なんて単語使うんすかね。他にもあったでしょ。

俺は新妻やら人妻やらでは興奮したりしません。それもロリっ子になんて絶対………

あ。ダメだ。悟り開けそう。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

命を狙われたお飾り妃の最後の願い

幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】 重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。 イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。 短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。 『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。

ツンデレ王子とヤンデレ執事 (旧 安息を求めた婚約破棄(連載版))

あみにあ
恋愛
公爵家の長女として生まれたシャーロット。 学ぶことが好きで、気が付けば皆の手本となる令嬢へ成長した。 だけど突然妹であるシンシアに嫌われ、そしてなぜか自分を嫌っている第一王子マーティンとの婚約が決まってしまった。 窮屈で居心地の悪い世界で、これが自分のあるべき姿だと言い聞かせるレールにそった人生を歩んでいく。 そんなときある夜会で騎士と出会った。 その騎士との出会いに、新たな想いが芽生え始めるが、彼女に選択できる自由はない。 そして思い悩んだ末、シャーロットが導きだした答えとは……。 表紙イラスト:San+様(Twitterアカウント@San_plus_) ※以前、短編にて投稿しておりました「安息を求めた婚約破棄」の連載版となります。短編を読んでいない方にもわかるようになっておりますので、ご安心下さい。 結末は短編と違いがございますので、最後まで楽しんで頂ければ幸いです。 ※毎日更新、全3部構成 全81話。(2020年3月7日21時完結)  ★おまけ投稿中★ ※小説家になろう様でも掲載しております。

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...