26 / 44
26話
しおりを挟む
26話
これって、ガチめのジェットコースターじゃねえかっ!!
その化物級のマシーンは高いところで隣にある大きな観覧車と並ぶ。いや、それ以上。そして、落ちる斜行がほぼ九十度。垂直に落ちる。そして、それに追い打ちにかけるように、手足ぷらんぷらん、宙ぶらりんで、支えるのは肩の固定ロックのみで乗るマシーンだそうだ。想像しただけで吐き気が襲ってくる。
「あ、あの白崎さん?本当に行くんですか?」
「はいっ!!行きましょうっ!!」
そして、その白崎さんに引きずられるように、そのマシーンの列にはいる。その後に僕らを追うように、先輩達とバカップルもやってくる。
****
ガチャン!!!
がっつり肩を抑えられ、足が地面から離れる。これで完璧に手足がプラプラ状態だ。
みんなさっきの二人組で隣同士で座る。
というとこは、必然的に白崎さんが僕の横になる。
素直に嬉しいだが、そんなことを言っている場合でもない。そう。やつに拘束されて今から発進するらしいからだ。
そしてそいつは、クラウチングスタートの時のように、前にのめり込むように傾いた。
え、ええ?
カカカカカ…………
という機械音をさせながらそいつは、地面から遠のいていく。
なんだ?この感じは……モノレールの下にペタッとくっついたような感じだ。
てか、死ぬよこれっ!!!
目の前は地面だし、人が点に見えるほど高い位置。
「高い高い高いっ!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ!!!」
「ひゃぁっほぉーいっ!!!」
と、楽しそうに叫んでいる白崎さん。
そして、地面に真っ逆さまに九十度に堕ちていく。
「ふぁぁぁうぁうぁぁぃぁ!!!!!」
…………だめだこれ……
*****
………ん?なんだか心地いい………天使も見えるし………
「ここは天国?」
そして、目を開ける。
「お?士郎くん。起きましたねっ」
「あ、はい」
天使、もとい、白崎さんが僕を覗き込むように、上から見ていた。でも、やけに顔が近く無いか?そしてこの心地よさ……
「お?士郎起きたの?」
と、あいつらバカップルの火憐の声が聞こえた。
「あ、あの、士郎君。お、起きてくれないですか?」
と、僕から目をそらして恥ずかしそうにそう言う。
「あ、すいません。心地よくて………」
僕はその言葉通りに、起きた。
そして、周りを確認する。
ここはベンチかそして、横には白崎さんがいる。………ん?もう一度言おう。横には、先ほど僕の頭のあった位置に白崎の足。というか太ももがあった。
ってことは………膝の上で寝ていた。ってことは………膝枕だとぉ!!?
「ご、ごめんなさいっ!!!」
とっさに出てきた言葉がこれだった。
「いえいえ、私がしたかったからやっただけですよっ!!」
と、笑いながら言ってくれる白崎さんはマジ天使。なのに、こいつらは、チュロスを片手に持って笑ってやがる。う、うぜえっ!!
「士郎。あれは傑作だったぞ。降りてきたときのあの顔………ぷ。わははは」
「あれは………やばかった。あははは」
と、バカ笑いするバカップル。馬鹿なんじゃねえか?
「ふざけやがって、人の恐怖をなんだと思ってんだよっ!!」
「え?ネタだけど?」
もう、いいや………
「あ、私達ちょっと、審査員だから会場行かないと」
「あ、そうだった。すっかり士郎のあの顔のせいで、用件を忘れるところだったぜ。ありがとうな。火憐っ!!」
「なによダーリン。照れるじゃないっ!!」
「あはははー」
絵に描いたようなバカップルが僕らの前にいた。
ムカつくぜ………
「さっさと行きやがれっ!!」
と、追っ払う。
そして、ラブラブオーラ全開でどんどんと遠のいていく奴ら………人間として負けた感があった。
「士郎さん。なんか、渚先輩たちもいませんし、これじゃデートみたいですねっ!!」
と、白崎さん。
え?な、なんだって?
でで、デートだと!?
あ、しまった。しらけてしまった。
「で、であの……ど、どこ行きましょうか………」
すかさず話題を提示する。
もう、だんまりはうんざりだ。
「え、えっと……じゃ、か、観覧車とかどうですか?」
と、白崎さんから提案が来た。
か、かかか観覧車!?
女の子というか、白崎さんと二人っきりで、小部屋で!?
や、やばい。なんか色々な一線を越えてしまいそうな、そんなシュツエーションで僕は精神を保っていられるのだろうか?
あ、これ題名になりそうだ。
「だ、駄目ですか?」
と、白崎さんが上目遣いでのジャブを放ってくる。
それを僕はもろに食らう。
そこに、すかさず白崎さんからの「前のめり胸チラ」という、強烈なブローっ!!
カンカンカンカンッ!!
決まったぁぁぁ!!
士郎K.O。
そして、僕らは観覧車までやってきた。
「結構、遠かったですね」
そう、結構遠かった。特にあれはメリーゴーランド前はひどかった。非リアからしてみれば、地獄絵図である。
「そうですね……」
や、やべえな。
ちらっと白崎さんが目に入る。着ぐるみとはいえ、露出が高く、言ってしまえば、アフリカのサバンナで踊り子さんたちが着てそうな服によく似ていた。
いつも家で着ていたので、さっきまでは別になにも感じなかったが、服が軽くずれたのかわからないが、胸元がひどいことになっていた。
「じゃ、乗りましょうか」
「はきいっ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、す、すいません。大丈夫です」
ってなわけねえだろっ!
でも、指摘なんて出来る訳もねえし…
なんて悩んでいると、白崎さんは服をいつも通りに何食わぬ顔で、なおした。
ふう。解決はしたから、これでいいよね?
回っていて止まることをしない観覧車。そして今、僕には選択肢が二つある。そう、乗り方だ。先に白崎さんを安全にしっかりと真正面に来るときに乗せて、僕があとからギリギリで乗り込む。後一つは、僕がさっさと乗り込んで、白崎さんを引っ張り上げる。という選択肢だ。
勿論、僕が選ぶのは後者っ!と言いたいところなんだが、手を繋ぐという。かなり高度なことをしないといけない。
くそ。どうしよう。
「はい。きますよ。これに乗ってください」
店員に催促され、足取り悪くスタートをかける。こうなったら、さっさと白崎さんを引き上げよう。大丈夫だ。やってやろう。こんなの出来ないと告白なんてできない。
観覧車の小部屋が僕の腰のあたりまできたところで、僕はそれに乗り込む。
そして、僕が乗ると白崎さんもついてきていた。
そんな白崎さんに僕は手を差し伸べ安全にその観覧車に引き入れる。
その時。白崎さんと手が触れる。
や、柔らかい……気持ちいいし、スベスベだし……もう、神ってる。だが、痛い。なんでこんなに痛いかわからないが、チクリと心臓を突かれるような。そんな痛みがあった。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい」
すぐ横には白崎さん。くっそ。こうなるのはわかってたけど、なんなの?このシーンとした空気。白崎さんとは絶対にこうなるのは、なんで?好きなのに、話せない。目を見れない。なんでなんだ?本当はもっと話したいのに、いろいろなことを話して、知って、をしたいのに、なんでなんだ?
「うわぁ。綺麗……」
と、白崎さんが呟く。
そして、僕も外を見る。
そこにあったのは、夜景。どこかの外国で50億ドルの夜景。とか言われそうな夜景だった。確かに綺麗。だが、いまは昼。ということは、これって、VR(バーチャルリアル)じゃねえかっ!!
それが観覧車内で僕らを包むようにというか、枠もなにもなく上下左右どこをみても動画。なので、その五十億ドルの夜景の上空を飛んでるようだった。
全然気づかなかったが、怖い。
絶叫マシンとかなにが楽しいのかわからないし、あんなのは心臓に悪いだけで他にはなにも得られないと思っているような僕には、VRとはいえ、下を見るほどの度胸はなかった。
でも、下を見なければ綺麗な夜景だ。
なら、下を見なければいいじゃないか。
でも、絶景ってだけで、この場の空気はなにも変えてくれなかった。
シーンとした。そんな静かなところ。
ここに水音と鹿おどしやらをつけると、かなり風流な感じになりそうってほどに静かだった。
というか、白崎さんって僕のことどう思ってるんだろう。僕は白崎さんにとってなんだろう……
*****
そして、少女も考えていた。
士郎くんって、私と二人っきりとかになると急にだんまりしてつまらなそうにため息とかついてる。あの部活の家では、先輩と楽しそうに話しているのを寝たふりしながら聞いてて、すっごい胸のあたりがチクチクして痛い。
この痛みが好きってのもしってる。けど、士郎くんが選ぶのは先輩。これは変えようもない事実。
でも、せめてこの遊園地は楽しくしたいな……好きな人とのデートだもん。精一杯やりきろう。なにをしていいかはわからないけど、とにかく、精一杯やりきろう。
そして、観覧車が終わった。
「観覧車。綺麗でしたねっ!!」
「そうですねっ!」
この国の科学力はすごいと、本当にそう思う。画質はもうリアルと区別がつかないくらいまで来ているのに、政治家はゴミ以下の仕事しかしねえし、ふざけんなっ!!
「うーんじゃ、あ、士郎さん。ここから近いメリーゴーランド行きませんか?」
くっ!あの、リア充共がたむろってるところじゃねえか………
「あの、白崎さん…………」
断ろうとしたところ、白崎さんと目があう。
上目遣いだとぉぉぉ!!!
そんな、ふざけやがって。クソかわいいじゃねえか。
当然、断る訳もなく………
リア充の巣窟にやって来た。
くっそなんだよ。あのピンク色のオーラは。キャッキャウフフとはこのことか………
「じゃ、行きましょうっ!士郎くんっ!!」
と、るんるんな白崎さん。何が楽しいんだか理解できないんだが……
そして、僕らはその巣窟に乗り込んでいく。
……………浮いてる感がぱねえ。
みんないちゃいちゃしやがって……みせつけてんのか?
でも、冷たい目線が送られてこないな。なんで?
あ、ああ。女の子と一緒だからか……
やっぱり、どう思ってんだろ?すげえ気になる。
「士郎くん?大丈夫?なんか、人が殺せそうな顔してるけど……」
「い、いやー。あははーなんでもないですよ……なんでも……」
「………相談くらい乗りますよ?………友達なんだから……」
……………やっぱり、友達辺りなのか……
そして、彼女も同じようなことを考えていた。
やっぱり、渚先輩だよね?
………そりゃ、そうだよね。私みたいな子供っぽいやつなんて……友達程度だよね……
さっきは覚悟したけど、やっぱり、士郎くんの隣に立っているだけで、辛いな。
「ご、ごめんなさい。ちょっと、席外しますね……………」
「どこに行くん………」
彼女のどんどんと遠くなる背中を、僕は見ていることしかできなかった。
今……泣いてた?
「あーあ。士郎さん」
うわっ!!
「心臓とまりかけたじゃねえかっ!!」
「そんなこと言ってる場合ですか?」
「え?」
いつもは優しい。でもふざけているような。若干むかつくようなそんな奴だが、今この時だけは違った。
「また、繰り返すように、あの子を泣かせて……士郎さんはそれでいいんですか!?」
「………そんなのよくないに決まってるけど……けど、なんで泣いてたのかわからないんだよっ!!それで、なにに謝れっていうんだよっ!!」
パシンッ!!
そんな音と同時に頬に痛みが走る。
「そんなの言い訳ですっ!!女の子泣かせて………逃げるなんてそんなの……そんなの……男じゃないですっ!!人じゃないですっ!!人外ですっ!!」
彼女の必死の語りかけに、気づかされた。
逃げるな。嫌なこと。怖いことから逃げてるから、今のこんなどうしようもない僕が出来てしまったんだ。
逃げちゃダメなんだ。
白崎さんに告白する。とか言っといて、いつもいつも逃げていた。もう、逃げちゃダメなんだ。
「ごめん。お前の言ってた通り、逃げちゃダメだな。ちょっと、告白してくる」
「そうですか。では、頑張ってくださいっ!!」
奴のいつもの明るい笑顔に背中を押され、僕は白崎さんの走って行ってしまった方向に駆け出した。
******
つい、逃げ出してきちゃったけど、どうしよう。私一人だ。
リア充からの冷たい目線が私に突き刺さる。
嫌だ。もう、こんなの嫌だ。私だってあの人たちみたいになりたい。けど、なれない。だって、士郎くんは……私の好きな人は、先輩に………
「なにしてるの?しかりん」
私の前に立っていたのは、渚先輩だった。
「い、いや……なんでもないですよ?」
「なんでもない?女の子の涙に理由がないっていうの?」
「そ、それは……目にゴミが入って」
「そんなわけないじゃない。じゃ、なんで士郎はいないの?」
「そ、それは……」
「喧嘩でもしたの?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど…………」
「なに?恋の感じなの?」
グギっ!!
と、背筋に電撃が走る。
「わかりやすすぎだよ」
と、笑いながら先輩。
「い、いや……」
「あ、士郎の事好きなんでしょ?」
「い、いや、別に………」
「本音を言いなさい?びっくりするくらいに嘘つく才能ないわよ?」
「で、でも………」
「好きなら好きでいいじゃない。自分に素直になりなさい?」
そうか。人がどう思ってるかなんて、そんなのどうでもいいんだ。自分の気持ちが何よりも大切なのだから。
「そうですよね。私、やっとわかりました。自分の気持ちを奥にしまいこんではいけないんですね」
そして、私はメリーゴーランドに走って向かう。
******
「いないな」
確かにこっちに行ったのに。
そして、近くにあったベンチに腰掛ける。
はぁ………
でも、なんで泣いてたのだろうか?
全然わかんないや。
「士郎くんっ!!」
突然、僕を呼ぶ声がした。
「し、白崎さん!?」
思わず立ち上がる。
ど、どうしよう。あったらいう言葉なんてまだ考えてなかった。
「あの、す、すいませんっ!」
「え?」
「えっと、その……心配かけてごめんなさいっ!」
……戸惑ってる白崎さんもかわいいな。
「あ、あの。聞いてます?」
「は、はい」
そして、暫く沈黙が訪れる。だが、この沈黙は悪くない気がした。
「「あ、あのっ!!」」
完全に声が揃う。
「「お先にどうぞ」」
また、揃う。
「じゃ、士郎くんからどうぞ」
白崎さんが僕に譲ってくれた。
「では……」
ここで少し止まる。
ん?なにを話すんだっけ?
「な、夏祭りとか楽しかったですね」
いや、そうじゃない。
「あ、そ、そうですね」
ダメだ。逃げちゃダメだ。
ふう。
深呼吸で呼吸と弾けそうな鼓動を抑え、白崎さんのことを真っ直ぐみる。
多分顔が真っ赤だろう。だが、そんなことはどうでもいい。
「夏祭りとか、本当にすっごく楽しかったです」
そうか、告白の言葉なんて考える必要ないじゃん。
「だからずっと、来年も再来年もその次の年も、一緒にいてくださいっ!」
今、思っていたことを全てぶつけた。だが、言いたいことは一つだった。
彼女とずっと一緒にいたい。ただ、それだけだった。
「はい。私なんかでよければ……喜んでっ!」
と、笑顔で、だが、目に涙して。白崎さんはそう言った。
これって、ガチめのジェットコースターじゃねえかっ!!
その化物級のマシーンは高いところで隣にある大きな観覧車と並ぶ。いや、それ以上。そして、落ちる斜行がほぼ九十度。垂直に落ちる。そして、それに追い打ちにかけるように、手足ぷらんぷらん、宙ぶらりんで、支えるのは肩の固定ロックのみで乗るマシーンだそうだ。想像しただけで吐き気が襲ってくる。
「あ、あの白崎さん?本当に行くんですか?」
「はいっ!!行きましょうっ!!」
そして、その白崎さんに引きずられるように、そのマシーンの列にはいる。その後に僕らを追うように、先輩達とバカップルもやってくる。
****
ガチャン!!!
がっつり肩を抑えられ、足が地面から離れる。これで完璧に手足がプラプラ状態だ。
みんなさっきの二人組で隣同士で座る。
というとこは、必然的に白崎さんが僕の横になる。
素直に嬉しいだが、そんなことを言っている場合でもない。そう。やつに拘束されて今から発進するらしいからだ。
そしてそいつは、クラウチングスタートの時のように、前にのめり込むように傾いた。
え、ええ?
カカカカカ…………
という機械音をさせながらそいつは、地面から遠のいていく。
なんだ?この感じは……モノレールの下にペタッとくっついたような感じだ。
てか、死ぬよこれっ!!!
目の前は地面だし、人が点に見えるほど高い位置。
「高い高い高いっ!!!死ぬ死ぬ死ぬ死ぬっ!!!」
「ひゃぁっほぉーいっ!!!」
と、楽しそうに叫んでいる白崎さん。
そして、地面に真っ逆さまに九十度に堕ちていく。
「ふぁぁぁうぁうぁぁぃぁ!!!!!」
…………だめだこれ……
*****
………ん?なんだか心地いい………天使も見えるし………
「ここは天国?」
そして、目を開ける。
「お?士郎くん。起きましたねっ」
「あ、はい」
天使、もとい、白崎さんが僕を覗き込むように、上から見ていた。でも、やけに顔が近く無いか?そしてこの心地よさ……
「お?士郎起きたの?」
と、あいつらバカップルの火憐の声が聞こえた。
「あ、あの、士郎君。お、起きてくれないですか?」
と、僕から目をそらして恥ずかしそうにそう言う。
「あ、すいません。心地よくて………」
僕はその言葉通りに、起きた。
そして、周りを確認する。
ここはベンチかそして、横には白崎さんがいる。………ん?もう一度言おう。横には、先ほど僕の頭のあった位置に白崎の足。というか太ももがあった。
ってことは………膝の上で寝ていた。ってことは………膝枕だとぉ!!?
「ご、ごめんなさいっ!!!」
とっさに出てきた言葉がこれだった。
「いえいえ、私がしたかったからやっただけですよっ!!」
と、笑いながら言ってくれる白崎さんはマジ天使。なのに、こいつらは、チュロスを片手に持って笑ってやがる。う、うぜえっ!!
「士郎。あれは傑作だったぞ。降りてきたときのあの顔………ぷ。わははは」
「あれは………やばかった。あははは」
と、バカ笑いするバカップル。馬鹿なんじゃねえか?
「ふざけやがって、人の恐怖をなんだと思ってんだよっ!!」
「え?ネタだけど?」
もう、いいや………
「あ、私達ちょっと、審査員だから会場行かないと」
「あ、そうだった。すっかり士郎のあの顔のせいで、用件を忘れるところだったぜ。ありがとうな。火憐っ!!」
「なによダーリン。照れるじゃないっ!!」
「あはははー」
絵に描いたようなバカップルが僕らの前にいた。
ムカつくぜ………
「さっさと行きやがれっ!!」
と、追っ払う。
そして、ラブラブオーラ全開でどんどんと遠のいていく奴ら………人間として負けた感があった。
「士郎さん。なんか、渚先輩たちもいませんし、これじゃデートみたいですねっ!!」
と、白崎さん。
え?な、なんだって?
でで、デートだと!?
あ、しまった。しらけてしまった。
「で、であの……ど、どこ行きましょうか………」
すかさず話題を提示する。
もう、だんまりはうんざりだ。
「え、えっと……じゃ、か、観覧車とかどうですか?」
と、白崎さんから提案が来た。
か、かかか観覧車!?
女の子というか、白崎さんと二人っきりで、小部屋で!?
や、やばい。なんか色々な一線を越えてしまいそうな、そんなシュツエーションで僕は精神を保っていられるのだろうか?
あ、これ題名になりそうだ。
「だ、駄目ですか?」
と、白崎さんが上目遣いでのジャブを放ってくる。
それを僕はもろに食らう。
そこに、すかさず白崎さんからの「前のめり胸チラ」という、強烈なブローっ!!
カンカンカンカンッ!!
決まったぁぁぁ!!
士郎K.O。
そして、僕らは観覧車までやってきた。
「結構、遠かったですね」
そう、結構遠かった。特にあれはメリーゴーランド前はひどかった。非リアからしてみれば、地獄絵図である。
「そうですね……」
や、やべえな。
ちらっと白崎さんが目に入る。着ぐるみとはいえ、露出が高く、言ってしまえば、アフリカのサバンナで踊り子さんたちが着てそうな服によく似ていた。
いつも家で着ていたので、さっきまでは別になにも感じなかったが、服が軽くずれたのかわからないが、胸元がひどいことになっていた。
「じゃ、乗りましょうか」
「はきいっ!」
「だ、大丈夫ですか?」
「あ、す、すいません。大丈夫です」
ってなわけねえだろっ!
でも、指摘なんて出来る訳もねえし…
なんて悩んでいると、白崎さんは服をいつも通りに何食わぬ顔で、なおした。
ふう。解決はしたから、これでいいよね?
回っていて止まることをしない観覧車。そして今、僕には選択肢が二つある。そう、乗り方だ。先に白崎さんを安全にしっかりと真正面に来るときに乗せて、僕があとからギリギリで乗り込む。後一つは、僕がさっさと乗り込んで、白崎さんを引っ張り上げる。という選択肢だ。
勿論、僕が選ぶのは後者っ!と言いたいところなんだが、手を繋ぐという。かなり高度なことをしないといけない。
くそ。どうしよう。
「はい。きますよ。これに乗ってください」
店員に催促され、足取り悪くスタートをかける。こうなったら、さっさと白崎さんを引き上げよう。大丈夫だ。やってやろう。こんなの出来ないと告白なんてできない。
観覧車の小部屋が僕の腰のあたりまできたところで、僕はそれに乗り込む。
そして、僕が乗ると白崎さんもついてきていた。
そんな白崎さんに僕は手を差し伸べ安全にその観覧車に引き入れる。
その時。白崎さんと手が触れる。
や、柔らかい……気持ちいいし、スベスベだし……もう、神ってる。だが、痛い。なんでこんなに痛いかわからないが、チクリと心臓を突かれるような。そんな痛みがあった。
「あ、あの、大丈夫ですか?」
「あ、はい」
すぐ横には白崎さん。くっそ。こうなるのはわかってたけど、なんなの?このシーンとした空気。白崎さんとは絶対にこうなるのは、なんで?好きなのに、話せない。目を見れない。なんでなんだ?本当はもっと話したいのに、いろいろなことを話して、知って、をしたいのに、なんでなんだ?
「うわぁ。綺麗……」
と、白崎さんが呟く。
そして、僕も外を見る。
そこにあったのは、夜景。どこかの外国で50億ドルの夜景。とか言われそうな夜景だった。確かに綺麗。だが、いまは昼。ということは、これって、VR(バーチャルリアル)じゃねえかっ!!
それが観覧車内で僕らを包むようにというか、枠もなにもなく上下左右どこをみても動画。なので、その五十億ドルの夜景の上空を飛んでるようだった。
全然気づかなかったが、怖い。
絶叫マシンとかなにが楽しいのかわからないし、あんなのは心臓に悪いだけで他にはなにも得られないと思っているような僕には、VRとはいえ、下を見るほどの度胸はなかった。
でも、下を見なければ綺麗な夜景だ。
なら、下を見なければいいじゃないか。
でも、絶景ってだけで、この場の空気はなにも変えてくれなかった。
シーンとした。そんな静かなところ。
ここに水音と鹿おどしやらをつけると、かなり風流な感じになりそうってほどに静かだった。
というか、白崎さんって僕のことどう思ってるんだろう。僕は白崎さんにとってなんだろう……
*****
そして、少女も考えていた。
士郎くんって、私と二人っきりとかになると急にだんまりしてつまらなそうにため息とかついてる。あの部活の家では、先輩と楽しそうに話しているのを寝たふりしながら聞いてて、すっごい胸のあたりがチクチクして痛い。
この痛みが好きってのもしってる。けど、士郎くんが選ぶのは先輩。これは変えようもない事実。
でも、せめてこの遊園地は楽しくしたいな……好きな人とのデートだもん。精一杯やりきろう。なにをしていいかはわからないけど、とにかく、精一杯やりきろう。
そして、観覧車が終わった。
「観覧車。綺麗でしたねっ!!」
「そうですねっ!」
この国の科学力はすごいと、本当にそう思う。画質はもうリアルと区別がつかないくらいまで来ているのに、政治家はゴミ以下の仕事しかしねえし、ふざけんなっ!!
「うーんじゃ、あ、士郎さん。ここから近いメリーゴーランド行きませんか?」
くっ!あの、リア充共がたむろってるところじゃねえか………
「あの、白崎さん…………」
断ろうとしたところ、白崎さんと目があう。
上目遣いだとぉぉぉ!!!
そんな、ふざけやがって。クソかわいいじゃねえか。
当然、断る訳もなく………
リア充の巣窟にやって来た。
くっそなんだよ。あのピンク色のオーラは。キャッキャウフフとはこのことか………
「じゃ、行きましょうっ!士郎くんっ!!」
と、るんるんな白崎さん。何が楽しいんだか理解できないんだが……
そして、僕らはその巣窟に乗り込んでいく。
……………浮いてる感がぱねえ。
みんないちゃいちゃしやがって……みせつけてんのか?
でも、冷たい目線が送られてこないな。なんで?
あ、ああ。女の子と一緒だからか……
やっぱり、どう思ってんだろ?すげえ気になる。
「士郎くん?大丈夫?なんか、人が殺せそうな顔してるけど……」
「い、いやー。あははーなんでもないですよ……なんでも……」
「………相談くらい乗りますよ?………友達なんだから……」
……………やっぱり、友達辺りなのか……
そして、彼女も同じようなことを考えていた。
やっぱり、渚先輩だよね?
………そりゃ、そうだよね。私みたいな子供っぽいやつなんて……友達程度だよね……
さっきは覚悟したけど、やっぱり、士郎くんの隣に立っているだけで、辛いな。
「ご、ごめんなさい。ちょっと、席外しますね……………」
「どこに行くん………」
彼女のどんどんと遠くなる背中を、僕は見ていることしかできなかった。
今……泣いてた?
「あーあ。士郎さん」
うわっ!!
「心臓とまりかけたじゃねえかっ!!」
「そんなこと言ってる場合ですか?」
「え?」
いつもは優しい。でもふざけているような。若干むかつくようなそんな奴だが、今この時だけは違った。
「また、繰り返すように、あの子を泣かせて……士郎さんはそれでいいんですか!?」
「………そんなのよくないに決まってるけど……けど、なんで泣いてたのかわからないんだよっ!!それで、なにに謝れっていうんだよっ!!」
パシンッ!!
そんな音と同時に頬に痛みが走る。
「そんなの言い訳ですっ!!女の子泣かせて………逃げるなんてそんなの……そんなの……男じゃないですっ!!人じゃないですっ!!人外ですっ!!」
彼女の必死の語りかけに、気づかされた。
逃げるな。嫌なこと。怖いことから逃げてるから、今のこんなどうしようもない僕が出来てしまったんだ。
逃げちゃダメなんだ。
白崎さんに告白する。とか言っといて、いつもいつも逃げていた。もう、逃げちゃダメなんだ。
「ごめん。お前の言ってた通り、逃げちゃダメだな。ちょっと、告白してくる」
「そうですか。では、頑張ってくださいっ!!」
奴のいつもの明るい笑顔に背中を押され、僕は白崎さんの走って行ってしまった方向に駆け出した。
******
つい、逃げ出してきちゃったけど、どうしよう。私一人だ。
リア充からの冷たい目線が私に突き刺さる。
嫌だ。もう、こんなの嫌だ。私だってあの人たちみたいになりたい。けど、なれない。だって、士郎くんは……私の好きな人は、先輩に………
「なにしてるの?しかりん」
私の前に立っていたのは、渚先輩だった。
「い、いや……なんでもないですよ?」
「なんでもない?女の子の涙に理由がないっていうの?」
「そ、それは……目にゴミが入って」
「そんなわけないじゃない。じゃ、なんで士郎はいないの?」
「そ、それは……」
「喧嘩でもしたの?」
「いや、そういうわけじゃないんですけど…………」
「なに?恋の感じなの?」
グギっ!!
と、背筋に電撃が走る。
「わかりやすすぎだよ」
と、笑いながら先輩。
「い、いや……」
「あ、士郎の事好きなんでしょ?」
「い、いや、別に………」
「本音を言いなさい?びっくりするくらいに嘘つく才能ないわよ?」
「で、でも………」
「好きなら好きでいいじゃない。自分に素直になりなさい?」
そうか。人がどう思ってるかなんて、そんなのどうでもいいんだ。自分の気持ちが何よりも大切なのだから。
「そうですよね。私、やっとわかりました。自分の気持ちを奥にしまいこんではいけないんですね」
そして、私はメリーゴーランドに走って向かう。
******
「いないな」
確かにこっちに行ったのに。
そして、近くにあったベンチに腰掛ける。
はぁ………
でも、なんで泣いてたのだろうか?
全然わかんないや。
「士郎くんっ!!」
突然、僕を呼ぶ声がした。
「し、白崎さん!?」
思わず立ち上がる。
ど、どうしよう。あったらいう言葉なんてまだ考えてなかった。
「あの、す、すいませんっ!」
「え?」
「えっと、その……心配かけてごめんなさいっ!」
……戸惑ってる白崎さんもかわいいな。
「あ、あの。聞いてます?」
「は、はい」
そして、暫く沈黙が訪れる。だが、この沈黙は悪くない気がした。
「「あ、あのっ!!」」
完全に声が揃う。
「「お先にどうぞ」」
また、揃う。
「じゃ、士郎くんからどうぞ」
白崎さんが僕に譲ってくれた。
「では……」
ここで少し止まる。
ん?なにを話すんだっけ?
「な、夏祭りとか楽しかったですね」
いや、そうじゃない。
「あ、そ、そうですね」
ダメだ。逃げちゃダメだ。
ふう。
深呼吸で呼吸と弾けそうな鼓動を抑え、白崎さんのことを真っ直ぐみる。
多分顔が真っ赤だろう。だが、そんなことはどうでもいい。
「夏祭りとか、本当にすっごく楽しかったです」
そうか、告白の言葉なんて考える必要ないじゃん。
「だからずっと、来年も再来年もその次の年も、一緒にいてくださいっ!」
今、思っていたことを全てぶつけた。だが、言いたいことは一つだった。
彼女とずっと一緒にいたい。ただ、それだけだった。
「はい。私なんかでよければ……喜んでっ!」
と、笑顔で、だが、目に涙して。白崎さんはそう言った。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
母になる、その途中で
ゆう
恋愛
『母になる、その途中で』
大学卒業を控えた21歳の如月あゆみは、かつての恩師・星宮すばると再会する。すばるがシングルファーザーで、二人の子ども(れん・りお)を育てていることを知ったあゆみは、家族としての役割に戸惑いながらも、次第に彼らとの絆を深めていく。しかし、子どもを愛せるのか、母親としての自分を受け入れられるのか、悩む日々が続く。
完璧な母親像に縛られることなく、ありのままの自分で家族と向き合うあゆみの成長と葛藤を描いた物語。家庭の温かさや絆、自己成長の大切さを通じて、家族の意味を見つけていく彼女の姿に共感すること間違いなしです。
不安と迷いを抱えながらも、自分を信じて前に進むあゆみの姿が描かれた、感動的で温かいストーリー。あなたもきっと、あゆみの成長に胸を打たれることでしょう。
【この物語の魅力】
成長する主人公が描く心温まる家族の物語
母親としての葛藤と自己矛盾を描いたリアルな感情
家族としての絆を深めながら進んでいく愛と挑戦
心温まるストーリーをぜひお楽しみください。
異世界国盗り物語 ~野望に燃えるエーリカは第六天魔皇になりて天下に武を布く~
ももちく
ファンタジー
天帝と教皇をトップに据えるテクロ大陸本土には4つの王国とその王国を護る4人の偉大なる魔法使いが存在した
創造主:Y.O.N.Nはこの世界のシステムの再構築を行おうとした
その過程において、テクロ大陸本土の西国にて冥皇が生まれる
冥皇の登場により、各国のパワーバランスが大きく崩れ、テクロ大陸は長い戦国時代へと入る
テクロ大陸が戦国時代に突入してから190年の月日が流れる
7つの聖痕のひとつである【暴食】を宿す剣王が若き戦士との戦いを経て、新しき世代に聖痕を譲り渡す
若き戦士は剣王の名を引き継ぎ、未だに終わりをしらない戦国乱世真っ只中のテクロ大陸へと殴り込みをかける
そこからさらに10年の月日が流れた
ホバート王国という島国のさらに辺境にあるオダーニの村から、ひとりの少女が世界に殴り込みをかけにいく
少女は|血濡れの女王《ブラッディ・エーリカ》の団を結成し、自分たちが世の中へ打って出る日を待ち続けていたのだ
その少女の名前はエーリカ=スミス
とある刀鍛冶の一人娘である
エーリカは分不相応と言われても仕方が無いほどのでっかい野望を抱いていた
エーリカの野望は『1国の主』となることであった
誰もが笑って暮らせる平和で豊かな国、そんな国を自分の手で興したいと望んでいた
エーリカは救国の士となるのか?
それとも国すら盗む大盗賊と呼ばれるようになるのか?
はたまた大帝国の祖となるのか?
エーリカは野望を成し遂げるその日まで、決して歩みを止めようとはしなかった……
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ヤクザの若頭は、年の離れた婚約者が可愛くて仕方がない
絹乃
恋愛
ヤクザの若頭の花隈(はなくま)には、婚約者がいる。十七歳下の少女で組長の一人娘である月葉(つきは)だ。保護者代わりの花隈は月葉のことをとても可愛がっているが、もちろん恋ではない。強面ヤクザと年の離れたお嬢さまの、恋に発展する前の、もどかしくドキドキするお話。
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
病弱な幼馴染と婚約者の目の前で私は攫われました。
鍋
恋愛
フィオナ・ローレラは、ローレラ伯爵家の長女。
キリアン・ライアット侯爵令息と婚約中。
けれど、夜会ではいつもキリアンは美しく儚げな女性をエスコートし、仲睦まじくダンスを踊っている。キリアンがエスコートしている女性の名はセレニティー・トマンティノ伯爵令嬢。
セレニティーとキリアンとフィオナは幼馴染。
キリアンはセレニティーが好きだったが、セレニティーは病弱で婚約出来ず、キリアンの両親は健康なフィオナを婚約者に選んだ。
『ごめん。セレニティーの身体が心配だから……。』
キリアンはそう言って、夜会ではいつもセレニティーをエスコートしていた。
そんなある日、フィオナはキリアンとセレニティーが濃厚な口づけを交わしているのを目撃してしまう。
※ゆるふわ設定
※ご都合主義
※一話の長さがバラバラになりがち。
※お人好しヒロインと俺様ヒーローです。
※感想欄ネタバレ配慮ないのでお気をつけくださいませ。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる