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17 リナリーとルディ
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「……ルディ、頭、大丈夫?」
「失礼だな。正気だよ」
「正気じゃないでしょう!」
(愛しの婚約者だなんて、意味がわからない! ルディは何を考えてるの?)
「断るとか無理だからね」
「……本気なの?」
どうしても信じられなくて尋ねると、ルディは微笑んで頷く。
「本気だよ」
「どうして私なの!?」
「約束しただろ?」
「約束?」
「君と結婚するって」
何の話かと一瞬考えたけど、そういえば、ルディがそんなことを言っていたのを思い出す。
「もう忘れてくれて良いです。もしくは、リナにその権利を譲ります」
「俺が約束したのは君だ。不本意だけどね」
「不本意なら、約束したことを忘れてしまえば良いじゃないですか!」
私が訴えると、ルディはまるで子供をなだめるかのように私の頭の上に手を置いた。
「俺は約束を破るのは嫌いなんだ。だから」
「約束の相手はリナということにしてください」
「違う。君としたんだ」
「あれは、リナのつもりで言ったんです! 私じゃありません」
(どうして私にこだわるのよ! リナはお咎め無しになったんだから、リナと結婚すれば良いじゃない!)
「うるさいな。俺は君と約束したんだ」
「……ルディ殿下は、そんなに私と結婚したいんですか」
「それは」
「嫌なら約束を破ればいいじゃないですか!」
「うるさい」
べしん、と、ルディは呆れた顔をして私の額を軽く叩いてから言葉を続ける。
「君が帰ってくるまでにご両親と話を終えた」
「……何のですか?」
「君はグルーラ公爵家の養女になるんだよ」
「はい?」
自分でも間抜けな声を出したと思っている。
だけど、ルディの言った言葉が理解できなかった。
「間抜けな顔するなよ。意味はわかった?」
「わかるわけないじゃないですか!」
「いくら第二王子とはいえ、ワガママを通すにも子爵令嬢では厳しいんだ。だから、君が放棄したお願いを俺が使った」
「あのお願い、そんなことに使ったんですか!?」
「それよりもこれ」
「それよりもって!」
ルディが差し出してきたのは、ティアドロップのチャームの付いたブレスレットだった。
「え? 何です?」
ルディは困惑している私の様子など気にせず、私の左手首にブレスレットをはめてから言う。
「これで逃げられないから」
「は?」
「居場所がわかるようになってるし、俺以外、外せなくなってる」
「はい?」
「君はすぐに逃げるだろ?」
ルディはにこりと微笑む。
(本当に何を考えてるのかわからない!)
「……ルディって馬鹿なの?」
「君に言われたくない」
ルディは眉根を寄せたかと思うと、すぐに優しい笑顔を見せる。
「……リナリー、ちゃんとルディって呼べるじゃないか」
「うるさい」
「リナリーもうるさい」
「ルディのほうがうるさい」
「リナリー」
「リナリー、リナリーうるさい!」
文句を言うと、ルディは笑う。
「うるさくてごめん」
「素直に謝らないでよ!」
「そういえば、あの馴れ馴れしい幼なじみ、君の彼氏じゃないよね?」
「はい? もしかして、私を尾行してたの?」
「……調査しただけだよ」
ルディは否定するけど、誰かに尾行させて、自分の目で確認したことは間違いなさそうだった。
「彼氏じゃないわ」
「好きな男でもないよね?」
「違う」
「なら良かった」
ルディは微笑むと、私の手を引いて言う。
「君のご両親が中で待ってる。君も一緒に話をしよう」
「ここ、あなたの家じゃないんだけど? ロディ、おいで」
私が呼ぶと、ピピ、とロディは返事をして、私の肩の上に飛んできた。
(まるで夢みたいな話だけど、まさか夢なんかじゃないわよね?)
確かめるため、自分の腕じゃなくてルディの腕をつねった。
「失礼だな。正気だよ」
「正気じゃないでしょう!」
(愛しの婚約者だなんて、意味がわからない! ルディは何を考えてるの?)
「断るとか無理だからね」
「……本気なの?」
どうしても信じられなくて尋ねると、ルディは微笑んで頷く。
「本気だよ」
「どうして私なの!?」
「約束しただろ?」
「約束?」
「君と結婚するって」
何の話かと一瞬考えたけど、そういえば、ルディがそんなことを言っていたのを思い出す。
「もう忘れてくれて良いです。もしくは、リナにその権利を譲ります」
「俺が約束したのは君だ。不本意だけどね」
「不本意なら、約束したことを忘れてしまえば良いじゃないですか!」
私が訴えると、ルディはまるで子供をなだめるかのように私の頭の上に手を置いた。
「俺は約束を破るのは嫌いなんだ。だから」
「約束の相手はリナということにしてください」
「違う。君としたんだ」
「あれは、リナのつもりで言ったんです! 私じゃありません」
(どうして私にこだわるのよ! リナはお咎め無しになったんだから、リナと結婚すれば良いじゃない!)
「うるさいな。俺は君と約束したんだ」
「……ルディ殿下は、そんなに私と結婚したいんですか」
「それは」
「嫌なら約束を破ればいいじゃないですか!」
「うるさい」
べしん、と、ルディは呆れた顔をして私の額を軽く叩いてから言葉を続ける。
「君が帰ってくるまでにご両親と話を終えた」
「……何のですか?」
「君はグルーラ公爵家の養女になるんだよ」
「はい?」
自分でも間抜けな声を出したと思っている。
だけど、ルディの言った言葉が理解できなかった。
「間抜けな顔するなよ。意味はわかった?」
「わかるわけないじゃないですか!」
「いくら第二王子とはいえ、ワガママを通すにも子爵令嬢では厳しいんだ。だから、君が放棄したお願いを俺が使った」
「あのお願い、そんなことに使ったんですか!?」
「それよりもこれ」
「それよりもって!」
ルディが差し出してきたのは、ティアドロップのチャームの付いたブレスレットだった。
「え? 何です?」
ルディは困惑している私の様子など気にせず、私の左手首にブレスレットをはめてから言う。
「これで逃げられないから」
「は?」
「居場所がわかるようになってるし、俺以外、外せなくなってる」
「はい?」
「君はすぐに逃げるだろ?」
ルディはにこりと微笑む。
(本当に何を考えてるのかわからない!)
「……ルディって馬鹿なの?」
「君に言われたくない」
ルディは眉根を寄せたかと思うと、すぐに優しい笑顔を見せる。
「……リナリー、ちゃんとルディって呼べるじゃないか」
「うるさい」
「リナリーもうるさい」
「ルディのほうがうるさい」
「リナリー」
「リナリー、リナリーうるさい!」
文句を言うと、ルディは笑う。
「うるさくてごめん」
「素直に謝らないでよ!」
「そういえば、あの馴れ馴れしい幼なじみ、君の彼氏じゃないよね?」
「はい? もしかして、私を尾行してたの?」
「……調査しただけだよ」
ルディは否定するけど、誰かに尾行させて、自分の目で確認したことは間違いなさそうだった。
「彼氏じゃないわ」
「好きな男でもないよね?」
「違う」
「なら良かった」
ルディは微笑むと、私の手を引いて言う。
「君のご両親が中で待ってる。君も一緒に話をしよう」
「ここ、あなたの家じゃないんだけど? ロディ、おいで」
私が呼ぶと、ピピ、とロディは返事をして、私の肩の上に飛んできた。
(まるで夢みたいな話だけど、まさか夢なんかじゃないわよね?)
確かめるため、自分の腕じゃなくてルディの腕をつねった。
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感想をありがとうございます!
申し訳ございません🙇♀
他の方にも書いているのですが、作者の趣味?です。
返信をありがとうございます✨
知っておられるのですね!
嬉しい🥰
アニメから入って、ハマっておりました♥
ご了承いただけて嬉しいです!
でも、もうちょっとわかりやすく?していきます!
感想をありがとうございます!
ごめんなさい!
明らかに私の趣味です!
なので、気に入らなかったら閉じてください。
不快な思いをさせたいわけではないので!
高橋○美子先生のら○ま1/2が子どもの頃、本当に大好きで!
高校生と一緒にすんな、かもしれませんが、恋愛はポンコツでお願いします🙇♀