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26 デートのお誘い
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「フェルナンディ家をこの世から消す方法ってないのかしら」
次の日の昼休み、ノノレイと一緒に昼食を食べ終えたあと、大きなため息を吐いてから呟いた。
すると、ノノレイが小首を傾げる。
「どうかしたの?」
「昨日ね……」
ノノレイに昨日のカフェでの出来事を話すと、彼女は鼻で笑ってから話し始める。
「フェルナンディ子爵って頭が悪いわね。それにビアラに執着しすぎじゃない?」
「私を財布かなにかと間違えてるんだと思う」
「それはそれで無視しておけばいいとして、ビアラはディラン様とのこと、どうするつもりなの?」
「それ、エアリスにも言われた」
昨日の晩に話をした時に、エアリスもフェルナンディ家については呆れてたけど、ミーグスと別れろと言ってきた女子たちに対しての話では、どうするつもりなのかと聞かれたのよね。
お茶を一口飲んでから口を開く。
「どうもこうも付き合ってるフリだからね」
「ディラン様は本当にそう思ってるのかしら」
「どういうこと?」
ノノレイは近くに人がいないか確認してから、小声で私に教えてくれる。
「いくら付き合ってるフリとはいえ、バイト中のあなたの所へ行って、しかも昨日は送ってもらったんでしょう。そこまでするかしら?」
「わからないのよ。私は誰とも付き合ったことがないんだもの! ノノレイのところはどうなのよ」
私はテーブルに身を乗り出して尋ねる。
ノノレイには、この学園の生徒ではないけれど、昔から付き合ってる彼氏がいる。
でも、彼のことをノノレイがあまり話したがらないので、わざと聞かないようにしていた。
でも、私にとっては話題にあげる、ちょうどいい機会だったので、今だとばかりに聞いてみた。
「私は、休みの日に会ってるくらいかしら。たまに学園帰りに待ち合わせたりする時もあるけど」
「学園帰りに待ち合わせなんて素敵ね! 彼氏はどんな人なの?」
「会わせてもいいんだけど、ビアラもエアリスも可愛いから嫌なのよ」
「エアリスは可愛いけど、私は可愛くないわよ。それに私なんかよりノノレイのほうが可愛いじゃない」
「ビアラは自分の良さに気付いてないだけでしょう。もっとお洒落をしたらモテるのに」
「まだ恋に生きる年齢ではないのよね」
「若いくせに何を言ってるのよ」
ノノレイは呆れた顔をしたあとに話を続ける。
「あなたとエアリスを紹介して、彼がどちらかを好きになったら困るじゃない。あなたたちとは友達でいたいもの。だから、会わせたくないの」
「うそー。ノノレイったら可愛い!」
ノノレイっていつもクールな感じなのに、彼氏が相手だったらこんな感じなのね。
すごく可愛い!
テーブルに頬杖を付き、ノノレイを見て微笑むと、彼女は私を軽く睨む。
「からかわないでよ。ビアラとエアリスのことは信用しているわよ。私の彼氏がどちらかを好きになっても、あなたたちが私の彼氏を好きになんかなるわけないって思っているし」
「うーん、そうね。どんなに素敵な人でも、ノノレイの彼氏だったら、そういう感情はもたないわね」
「それなら良かったわ。で、ビアラはどうなのよ。ディラン様のこと」
「ミーグスのことは、そりゃ昔よりかは良い人かもとは思い始めてるけど、元々、そういう対象でもないからね」
どうせ好きになったって叶う恋じゃない。
ミーグスが私を選んだとしても、ミーグスの両親に反対されて終わりよ。
それなら、夢は見ないほうがいい。
こんなことは、以前にも考えたことじゃないの。
「対象じゃないってどういうこと? 身分差の話かしら」
ノノレイも私の考えていることがわかったようで、難しい顔をして私に尋ねてくる。
「だってそうでしょう。公爵令息と平民の私が対等に話をしてる時点で、本来なら許されないことなのよ。かといって、今更敬語を使うのもなんだし」
「ディラン様のことだから何か考えていそうな気もするけど」
そこまで言って、ノノレイは私の後ろを見て話を続ける。
「あら、噂をしていたら本人のお出ましよ」
「え?」
慌てて後ろを振り返ると、ミーグスが私の座っている椅子の背もたれに手を置いたところだった。
「今度の日曜日のバイト後、予定を開けておいて。行きたいところがあるんだ。それから夕食も一緒に食べよう」
「ど、どうしてよ」
「いいから」
「いいから、の意味がわからないんですけど!」
「じゃあね。聞いてないなんて言わせないから。ノノレイにも聞こえてたよね」
「もちろんです。日曜日のバイト後にビアラはディラン様とデートですよね」
ノノレイがニヤニヤして言うと、ミーグスは笑顔で頷く。
「そういうこと」
「ちょっとディラン! あなた何を考えてるのよ!?」
「将来のことを考えてる」
「はい!? 何よそれ!」
聞き返したけれど、ミーグスは私の質問には答えずに去ってしまった。
次の日の昼休み、ノノレイと一緒に昼食を食べ終えたあと、大きなため息を吐いてから呟いた。
すると、ノノレイが小首を傾げる。
「どうかしたの?」
「昨日ね……」
ノノレイに昨日のカフェでの出来事を話すと、彼女は鼻で笑ってから話し始める。
「フェルナンディ子爵って頭が悪いわね。それにビアラに執着しすぎじゃない?」
「私を財布かなにかと間違えてるんだと思う」
「それはそれで無視しておけばいいとして、ビアラはディラン様とのこと、どうするつもりなの?」
「それ、エアリスにも言われた」
昨日の晩に話をした時に、エアリスもフェルナンディ家については呆れてたけど、ミーグスと別れろと言ってきた女子たちに対しての話では、どうするつもりなのかと聞かれたのよね。
お茶を一口飲んでから口を開く。
「どうもこうも付き合ってるフリだからね」
「ディラン様は本当にそう思ってるのかしら」
「どういうこと?」
ノノレイは近くに人がいないか確認してから、小声で私に教えてくれる。
「いくら付き合ってるフリとはいえ、バイト中のあなたの所へ行って、しかも昨日は送ってもらったんでしょう。そこまでするかしら?」
「わからないのよ。私は誰とも付き合ったことがないんだもの! ノノレイのところはどうなのよ」
私はテーブルに身を乗り出して尋ねる。
ノノレイには、この学園の生徒ではないけれど、昔から付き合ってる彼氏がいる。
でも、彼のことをノノレイがあまり話したがらないので、わざと聞かないようにしていた。
でも、私にとっては話題にあげる、ちょうどいい機会だったので、今だとばかりに聞いてみた。
「私は、休みの日に会ってるくらいかしら。たまに学園帰りに待ち合わせたりする時もあるけど」
「学園帰りに待ち合わせなんて素敵ね! 彼氏はどんな人なの?」
「会わせてもいいんだけど、ビアラもエアリスも可愛いから嫌なのよ」
「エアリスは可愛いけど、私は可愛くないわよ。それに私なんかよりノノレイのほうが可愛いじゃない」
「ビアラは自分の良さに気付いてないだけでしょう。もっとお洒落をしたらモテるのに」
「まだ恋に生きる年齢ではないのよね」
「若いくせに何を言ってるのよ」
ノノレイは呆れた顔をしたあとに話を続ける。
「あなたとエアリスを紹介して、彼がどちらかを好きになったら困るじゃない。あなたたちとは友達でいたいもの。だから、会わせたくないの」
「うそー。ノノレイったら可愛い!」
ノノレイっていつもクールな感じなのに、彼氏が相手だったらこんな感じなのね。
すごく可愛い!
テーブルに頬杖を付き、ノノレイを見て微笑むと、彼女は私を軽く睨む。
「からかわないでよ。ビアラとエアリスのことは信用しているわよ。私の彼氏がどちらかを好きになっても、あなたたちが私の彼氏を好きになんかなるわけないって思っているし」
「うーん、そうね。どんなに素敵な人でも、ノノレイの彼氏だったら、そういう感情はもたないわね」
「それなら良かったわ。で、ビアラはどうなのよ。ディラン様のこと」
「ミーグスのことは、そりゃ昔よりかは良い人かもとは思い始めてるけど、元々、そういう対象でもないからね」
どうせ好きになったって叶う恋じゃない。
ミーグスが私を選んだとしても、ミーグスの両親に反対されて終わりよ。
それなら、夢は見ないほうがいい。
こんなことは、以前にも考えたことじゃないの。
「対象じゃないってどういうこと? 身分差の話かしら」
ノノレイも私の考えていることがわかったようで、難しい顔をして私に尋ねてくる。
「だってそうでしょう。公爵令息と平民の私が対等に話をしてる時点で、本来なら許されないことなのよ。かといって、今更敬語を使うのもなんだし」
「ディラン様のことだから何か考えていそうな気もするけど」
そこまで言って、ノノレイは私の後ろを見て話を続ける。
「あら、噂をしていたら本人のお出ましよ」
「え?」
慌てて後ろを振り返ると、ミーグスが私の座っている椅子の背もたれに手を置いたところだった。
「今度の日曜日のバイト後、予定を開けておいて。行きたいところがあるんだ。それから夕食も一緒に食べよう」
「ど、どうしてよ」
「いいから」
「いいから、の意味がわからないんですけど!」
「じゃあね。聞いてないなんて言わせないから。ノノレイにも聞こえてたよね」
「もちろんです。日曜日のバイト後にビアラはディラン様とデートですよね」
ノノレイがニヤニヤして言うと、ミーグスは笑顔で頷く。
「そういうこと」
「ちょっとディラン! あなた何を考えてるのよ!?」
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