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17 元婚約者たちの喧嘩
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私とミーグスは言いたいことを言ったあとは、二人に今度こそ付いてこないようにと念を押してから、またパーティー会場の中へ戻った。
「後悔させるつもりが変な考えを起こさせただけだった。ごめん」
「どうしてディランが謝るのよ。謝ってほしいのはあいつよ。まあ、これ以上顔も見たくないし声も聞きたくないけど。愛人なんて誰がなるかー!」
近くの人を驚かせないように、両拳を突き上げつつも小さな声で言った。
「フレシアもそうだけど、フェルナンディも手強いな。どうやったらあんなポジティブ思考というか、自分の都合の良いように物事を考えられるんだろう」
「自分のことしか考えてないからじゃないの?」
「じゃあ、フェルナンディはフレシアのことも考えてないっていうのか?」
「わからないわ。でも、フレシア様を好きなことは確かだと思うわよ。自分がこんなに好きなんだから、フレシア様なら自分が何をしても許してくれると思ってるんじゃないかしら」
そう私が答えた時だった。
開始時間が近づき、ざわつきはじめたホール内が、突然、静かになった。
それと同時に聞き覚えのある声が私たちの耳に届いた。
「信じられないわ、ホーリル! 私がいるのに愛人を作るっていうの!?」
「落ち着いてくれよ、フレシア。俺が愛しているのは君だけだ。ほら、ビアラに関しては、つまみ食いをするというかなんというか」
あの人、こんな大勢のいる所でなんて話をしてるのよ。
しかも、私の名前まで出さないでほしい!
それに、あなたなんかに誰がつまみ食いなんてさせてやるものですか。
どこから声が聞こえてくるのかと周りをみまわすと、先程、私たちが入ってきた出入り口付近に人だかりが出来ていた。
恐る恐る近寄っていくと、やはり、フレシア様とフェルナンディ卿だとわかった。
私たちは彼らに見つからないように少し離れた所で会話を聞くことにした。
「つまみ食いですって!? そんなことは許さないわ! じゃあ、ホーリルは私がディランを愛人にしても良いと言うの!?」
フレシア様の言葉を聞いて、ちらりとミーグスのほうを見ると「勘弁してくれ」と呟いて、こめかみを押さえていた。
フレシア様もひどいわね。
フレシア様だって、店長に浮気しそうになってたんだから、フェルナンディ卿をそう責められないと思う。
私は元々、フェルナンディ卿とは結婚する気なんてなかったけど、ミーグスは本気でフレシア様と結婚するつもりでいたのよね。
そう思うと、ミーグスがなんだか可哀想になってきたわ。
「婚約破棄してもらえて良かったわね」
慰めになるかはわからないけれど、小声で話しかけてみる。
すると、ミーグスは小さく息を吐いて頷いただけだった。
フレシア様とフェルナンディ卿のみっともない喧嘩はさらに続く。
「フレシア、君は俺がいるのに浮気しようっていうのか!?」
「していないわよ! 何よ、あなたが先に言い出したんじゃないの!」
「君がそんなに嫌がるなんて思っていなかったんだよ!」
「愛人を作るだなんて、そんなことを聞いたら嫌に決まっているじゃない!」
「フレシア、君はそんなに俺を独り占めしたかったのか?」
「そんな話をしているんじゃないのよ!」
二人の喧嘩はおさまりそうにない。
どんどん彼らの周りにギャラリーが集まっていく。
集まっていく人たちの顔を見ると明らかに面白がっている。
貴族にあまり顔が知れていない私は良いとして、ミーグスは公爵令息なんだから顔が知られていないわけがない。
それに、フレシア様の元婚約者だったから、居心地が良いわけがないわよね。
「あの、ミーグス、場所を移動する?」
「それもそうだけど、今日は挨拶したら、本当にすぐに帰ろう」
「そうね」
ミーグスの言葉に頷いたところで辺境伯夫妻が会場の端にある階段の上に現れた。
そのため、さすがのフレシア様たちも喧嘩を止めた。
結局、パーティーが始まってすぐにミーグスの元へ、主催者のほうから挨拶に来てくれたので、私たちはスムーズに会場をあとにすることが出来た。
パーティーの始まりが17時だったこともあり、転移魔法でミーグス邸に戻った時には、まだ18時にもなっていなかった。
そのため、ミーグスとレストランでの食事をと共にすることになったのだった。
「後悔させるつもりが変な考えを起こさせただけだった。ごめん」
「どうしてディランが謝るのよ。謝ってほしいのはあいつよ。まあ、これ以上顔も見たくないし声も聞きたくないけど。愛人なんて誰がなるかー!」
近くの人を驚かせないように、両拳を突き上げつつも小さな声で言った。
「フレシアもそうだけど、フェルナンディも手強いな。どうやったらあんなポジティブ思考というか、自分の都合の良いように物事を考えられるんだろう」
「自分のことしか考えてないからじゃないの?」
「じゃあ、フェルナンディはフレシアのことも考えてないっていうのか?」
「わからないわ。でも、フレシア様を好きなことは確かだと思うわよ。自分がこんなに好きなんだから、フレシア様なら自分が何をしても許してくれると思ってるんじゃないかしら」
そう私が答えた時だった。
開始時間が近づき、ざわつきはじめたホール内が、突然、静かになった。
それと同時に聞き覚えのある声が私たちの耳に届いた。
「信じられないわ、ホーリル! 私がいるのに愛人を作るっていうの!?」
「落ち着いてくれよ、フレシア。俺が愛しているのは君だけだ。ほら、ビアラに関しては、つまみ食いをするというかなんというか」
あの人、こんな大勢のいる所でなんて話をしてるのよ。
しかも、私の名前まで出さないでほしい!
それに、あなたなんかに誰がつまみ食いなんてさせてやるものですか。
どこから声が聞こえてくるのかと周りをみまわすと、先程、私たちが入ってきた出入り口付近に人だかりが出来ていた。
恐る恐る近寄っていくと、やはり、フレシア様とフェルナンディ卿だとわかった。
私たちは彼らに見つからないように少し離れた所で会話を聞くことにした。
「つまみ食いですって!? そんなことは許さないわ! じゃあ、ホーリルは私がディランを愛人にしても良いと言うの!?」
フレシア様の言葉を聞いて、ちらりとミーグスのほうを見ると「勘弁してくれ」と呟いて、こめかみを押さえていた。
フレシア様もひどいわね。
フレシア様だって、店長に浮気しそうになってたんだから、フェルナンディ卿をそう責められないと思う。
私は元々、フェルナンディ卿とは結婚する気なんてなかったけど、ミーグスは本気でフレシア様と結婚するつもりでいたのよね。
そう思うと、ミーグスがなんだか可哀想になってきたわ。
「婚約破棄してもらえて良かったわね」
慰めになるかはわからないけれど、小声で話しかけてみる。
すると、ミーグスは小さく息を吐いて頷いただけだった。
フレシア様とフェルナンディ卿のみっともない喧嘩はさらに続く。
「フレシア、君は俺がいるのに浮気しようっていうのか!?」
「していないわよ! 何よ、あなたが先に言い出したんじゃないの!」
「君がそんなに嫌がるなんて思っていなかったんだよ!」
「愛人を作るだなんて、そんなことを聞いたら嫌に決まっているじゃない!」
「フレシア、君はそんなに俺を独り占めしたかったのか?」
「そんな話をしているんじゃないのよ!」
二人の喧嘩はおさまりそうにない。
どんどん彼らの周りにギャラリーが集まっていく。
集まっていく人たちの顔を見ると明らかに面白がっている。
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「あの、ミーグス、場所を移動する?」
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「そうね」
ミーグスの言葉に頷いたところで辺境伯夫妻が会場の端にある階段の上に現れた。
そのため、さすがのフレシア様たちも喧嘩を止めた。
結局、パーティーが始まってすぐにミーグスの元へ、主催者のほうから挨拶に来てくれたので、私たちはスムーズに会場をあとにすることが出来た。
パーティーの始まりが17時だったこともあり、転移魔法でミーグス邸に戻った時には、まだ18時にもなっていなかった。
そのため、ミーグスとレストランでの食事をと共にすることになったのだった。
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