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7 夫は義父と同じ道を歩んでいるらしい
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クリスティーナ様がターチ様にべったりなおかげで、ターチ様の仕事をするようになったわたしは、仕事の手紙に紛れ込ませて、ユーリ様宛に手紙を送った。守秘義務があるけれど、念の為に配達員にはチップを多めに渡して口止めをしておいた。
このまま夜は出ていかないのかと焦ったけれど、夜になると、クリスティーナ様はターチ様を外出させた。
自分が溺愛している弟が、夫に賭けで負けるなんてことは許せないのだと思われる。ロブ様も慰謝料を払うために働いているというけど、実際は女性から巻き上げたお金や、賭けで勝ったお金で払うつもりなのでしょう。ロブ様については、ユーリ様が動いてくれているので、そちらはお任せすることにした。
クリスティーナ様はターチ様を見送ると、なぜかわたしの所までやって来て、彼女の気が済むまで、書類の字が汚いなど嫌味を言ってきた。最初は大人しく聞いていたわたしだったが、はや2日目にして我慢できなくなった。
「クリスティーナ様、これ以上、わたしに何か言うようでしたら、お義母様が戻ってきた時に、ロブ様の話をさせていただきますが?」
「言うなって言ったでしょう! もう、忘れたの?」
「わたしにとってクリスティーナ様が良い義姉であるならまだしも、嫌な人間でしかないのに気を遣う必要はありますか?」
「生意気な子! そんな子だとは思ってなかったわ!」
クリスティーナ様は顔を真っ赤にして叫ぶと、怒りながら部屋を出て行き、その日からはわたしを避けてくれるようになった。
次の日にはユーリ様から、ターチ様の浮気相手の身元が全てわかったと連絡があった。ほとんどの人が、ターチ様が独身だと思っていた人たちばかりで「いつか、結婚しよう」というターチ様の言葉を信じて、今まで付き合ってきたらしい。そんな報告書を読んで、ターチ様への嫌悪感が増した。
女性たちは事実を知って、知らなかったとはいえ、わたしに申し訳ないので会って謝りたいと言っているらしい。できれば、浮気現場に踏み込んで言い逃れできないようにするつもりだったので謝らなくても良いから、協力してほしいと相談を持ちかけることにした。
その報告書と一緒に、調べてほしいとお願いしていたターチ様のお父様がどうして亡くなったのかという理由も書かれていた。その理由を知って、義母たちが隠したがっていた理由がわかった。
ターチ様のお父様は浮気性で、結婚後も複数人の女性と繋がっていたらしい。その中の一人と別れ話で口論になり……といったものだった。
浮気でのトラブルはお父様の件で恐ろしいとは思わなかったのかしら。ターチ様が何を考えているのかまったくわからない。
自分は大丈夫だと思っているのかもしれないけど、絶対なんてことは、今回についてはありえないはずなのに。
義父の亡くなった理由がわかったことで、クリスティーナ様がスカベラ様に今回の浮気の件を知られたくない理由もわかった。
スカベラ様は浮気をする人間を憎んでいる。そして、それを許す人間のことも許さないはずだ。それをわかっていて、浮気を許したクリスティーナ様の話を聞いたら――
スカベラ様とはいつ連絡が取れるかわからない。
なら、他人を傷つけてでも自分たちのことを優先する人たちには、わたしなりのお返しをさせてもらうわ。
このまま夜は出ていかないのかと焦ったけれど、夜になると、クリスティーナ様はターチ様を外出させた。
自分が溺愛している弟が、夫に賭けで負けるなんてことは許せないのだと思われる。ロブ様も慰謝料を払うために働いているというけど、実際は女性から巻き上げたお金や、賭けで勝ったお金で払うつもりなのでしょう。ロブ様については、ユーリ様が動いてくれているので、そちらはお任せすることにした。
クリスティーナ様はターチ様を見送ると、なぜかわたしの所までやって来て、彼女の気が済むまで、書類の字が汚いなど嫌味を言ってきた。最初は大人しく聞いていたわたしだったが、はや2日目にして我慢できなくなった。
「クリスティーナ様、これ以上、わたしに何か言うようでしたら、お義母様が戻ってきた時に、ロブ様の話をさせていただきますが?」
「言うなって言ったでしょう! もう、忘れたの?」
「わたしにとってクリスティーナ様が良い義姉であるならまだしも、嫌な人間でしかないのに気を遣う必要はありますか?」
「生意気な子! そんな子だとは思ってなかったわ!」
クリスティーナ様は顔を真っ赤にして叫ぶと、怒りながら部屋を出て行き、その日からはわたしを避けてくれるようになった。
次の日にはユーリ様から、ターチ様の浮気相手の身元が全てわかったと連絡があった。ほとんどの人が、ターチ様が独身だと思っていた人たちばかりで「いつか、結婚しよう」というターチ様の言葉を信じて、今まで付き合ってきたらしい。そんな報告書を読んで、ターチ様への嫌悪感が増した。
女性たちは事実を知って、知らなかったとはいえ、わたしに申し訳ないので会って謝りたいと言っているらしい。できれば、浮気現場に踏み込んで言い逃れできないようにするつもりだったので謝らなくても良いから、協力してほしいと相談を持ちかけることにした。
その報告書と一緒に、調べてほしいとお願いしていたターチ様のお父様がどうして亡くなったのかという理由も書かれていた。その理由を知って、義母たちが隠したがっていた理由がわかった。
ターチ様のお父様は浮気性で、結婚後も複数人の女性と繋がっていたらしい。その中の一人と別れ話で口論になり……といったものだった。
浮気でのトラブルはお父様の件で恐ろしいとは思わなかったのかしら。ターチ様が何を考えているのかまったくわからない。
自分は大丈夫だと思っているのかもしれないけど、絶対なんてことは、今回についてはありえないはずなのに。
義父の亡くなった理由がわかったことで、クリスティーナ様がスカベラ様に今回の浮気の件を知られたくない理由もわかった。
スカベラ様は浮気をする人間を憎んでいる。そして、それを許す人間のことも許さないはずだ。それをわかっていて、浮気を許したクリスティーナ様の話を聞いたら――
スカベラ様とはいつ連絡が取れるかわからない。
なら、他人を傷つけてでも自分たちのことを優先する人たちには、わたしなりのお返しをさせてもらうわ。
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