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2 始まりの朝
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眠ってしまった私は、鳥の囀りで目を覚ました。
地下牢に鳥の声が聞こえることはなかった。
ということは、眠っている間に外にある処刑場に連れてこられたの?
そう思って、目を大きく開けた。
独房に入れられてからは目を開ければ、石造りの天井が見えるだけだった。
それなのに、今日は違った。
見覚えのある白い壁紙が貼られた天井に小さなシャンデリアが2つ視界に入ってきた。
ここは外じゃないのかしら?
どういう状況か理解できないまま、ゆっくりと顔を横に向ける。
私はどこかの部屋のベッドの上で横になっているようだった。
目だけ動かすと、これまた見覚えのあるドレッサーと本棚が見えた。
手に触れているのは柔らかくて清潔な白いシーツだ。
眠る前に見た、薄汚れていたはずの自分の手も、とても綺麗で爪も透明なマニキュアで保護されている。
処刑前に身体を洗ってくれたのかしら?
ううん。そんなことをされたら、さすがに泣き疲れて眠っていたにしても、目を覚ますわよね?
上半身を起こして部屋の中を見回してみる。
そして私は、自分の目を疑った。
「う、嘘でしょう? ここって!」
驚きで自分の声が震えているのがわかった。
私は今、自分の部屋にいる。
見覚えがあると思ったドレッサーも、私の部屋にあるものなのだから当たり前だ。
枕元には栞がはさまれた状態の本が置かれていたので、手に取ってみる。
緑色のしっかりした装丁でかなり分厚い。
題名を確認してみると、たしか3年前くらいに流行っていた冒険小説で、最後まで読み終えた記憶がある。
たしか、シリーズ物で、もうすぐ3作目が出ると噂されていた。
サブタイトルを見てみると、1作目のものだった。
ゆっくりとベッドから出て、ベッド脇に置かれていたピンク色のパンプスを履く。
ここ最近は裸足だったから、靴を履くと少し窮屈に感じた。
ドレッサーに向かい、椅子に座って鏡で自分の姿を確認する。
私が着ているのは、白のレースが多く使われている青色のネグリジェだ。
私の記憶では2年くらい前まで気に入って、よく着ていたものだった。
鏡に映る私は、小顔で二重のぱっちりとした丸目で髪と同じ色の瞳に小さな鼻と口。
肌艶も良く、腰のあたりまで伸びた軽いウェーブのかかったダークブラウンの髪はツヤツヤで、記憶にある最近の自分とは全く異なっていた。
それよりももっと驚いたことがあった。
「若返ってない?」
両手を頬に当てて、誰に言うでもなく呟いた。
「一体、どうなってるの? 私は捕まっていたんじゃなかったの?」
パニックになりそうになったけれど、ふと壁にかけられている時計を見て冷静になった。
時刻は9時をまわったところで、部屋の中に差し込む太陽の光で、朝の9時だということはすぐにわかった。
「急がなくちゃ」
何がどうなっているか、全くわからない。
だけど、私の頭の中に浮かんだのは、リュカとの約束だった。
目覚めた日の昼の1時にドルセン広場と言っていたわよね?
それから、リュカの言葉通りなら、私は過去に戻っている。
正確に、何年前に戻ってるのかを確認しないといけないわ。
部屋の扉を乱暴に開けて廊下に出ると、私は自分の専属メイドの名を呼んだ。
「マララ!」
「どうかなさいましたか、お嬢様?」
気怠げな表情で隣の部屋から顔を出したのは、私が名を呼んだメイドだ。
彼女の部屋は私の部屋の隣にあり、呼んだらすぐに出てくることになっている。
マララは私より3つ年上で、水色の髪をシニヨンにした赤ら顔の女性だ。
不機嫌そうな顔をして、緑色の瞳を向けてきた。
背が高く細身のマララの態度の悪さに、少し苛立ちを覚える。
彼女が裏切った可能性が高いと思うから、余計に腹が立つのかもしれない。
「マララ、聞きたいのだけれど、私って、今は何歳だったかしら?」
「ええ!? いきなり何なんです? お嬢様はもうすぐ16歳になられますが、そんなことも忘れたんですか?」
「ちょっと確認したかっただけよ。教えてくれてありがとう! で、1時までにドルセン広場に行きたいのよ。今すぐに馬車の手配をしてちょうだい!」
「ちょっと、私の質問にちゃんと答えてくださいよ!」
偉そうに言うマララを睨みつける。
「あなた、どうしてそんなに私に偉そうにしているの? あなたは、私の専属メイドなのよね? いいから手配してちょうだい! 仕事ができないなら辞めてもらってもいいわ!」
強い口調で指示をすると、マララの返答は待たずに、部屋の中に戻って扉の鍵をかけた。
もうすぐ16歳ということは、私は3年前に戻っている。アイザックとの婚約もまだだし、テレサとも出会っていない!
なぜ、この日に戻っているのかはわからない。
でも、私にとって、今の時期は好条件だった。
ミアシス伯爵家の令嬢である私は、16歳の誕生日にアイザックとの婚約が決まった。
でも、まだ誕生日を迎えていない今なら、この話を白紙にできる可能性が高い。
友人だったテレサともアイザックとの婚約が決まったあとに知り合ったことだけはわかっているので、運命は変えられると思った。
アイザックとは絶対に婚約なんてしないわ! これで、家族を犠牲にしなくてすむはずだし、冤罪を着せられることもない!
ポジティブに考えていると、ノックの音と共に不機嫌そうなマララの声が聞こえてきた。
「お嬢さま、馬車の手配はしてきました! 着替えをお手伝いいたします!」
「大丈夫よ! 着替えくらい一人で出来るわ!」
「そんな! お嬢様は服の着替え方なんてわからないでしょうに!」
地下牢に閉じ込められている間は、自分のことは自分でやって来た。
体を洗ったり、着替えたりすることも一人でできた。
コルセットなどが必要のない服を着るくらいなら、マララの手を借りる必要はない。
「大丈夫だから放っておいて!」
「今日は一体、どうしたって言うんですか! ああ、もう、まずはお食事をお済ませ下さい! そちらが先です!」
マララは投げやりな口調で言ってきた。
今まで気にしていなかったけれど、何だか言い方がキツくないかしら。
それともマララのことを疑っているから、そう聞こえるだけなの?
いえ、違うわよね。
態度が悪すぎる。
昔の私はこんな彼女を許してきたのね!
どっちにしても、マララを信用してはいけない。
「わかったわ。すぐに食べられるようにしてちょうだい」
「承知しました」
どこか不服そうな口調で、扉の向こうのマララは返事をした。
そして、厨房に伝えに行くつもりなのか、彼女の足が遠ざかっていくのがわかった。
当たり前かもしれれないけれど、気が休まらないわね。
マララの様子が気になってしょうがないわ。
ああ、でも、今はそれどころじゃない。
余計なことは考えずに、リュカとの約束を守ることだけ考えないと。
この機会を逃せば、リュカと二度と会えなくなってしまう可能性が高い。
約束を守りたいし、リュカに会って話をしたい。
動きやすくて、自分ひとりでも着替えられる膝下丈の水色のシンプルなワンピースに着替え、いつもマララがしてくれているメイクも見よう見真似でやってみた。
上手くはないけれど、見れなくはないわよね?
鏡の中の自分を見つめてみる。
口紅は少しはみ出し気味だったので、水に濡らしたコットンで拭いて綺麗に整えてみた。
子供がおままごとをしているようなメイクになってしまったけれど、どうしても、マララにやってもらいたくなかった。
お父様にお願いして、専属メイドを変更してもらわなくちゃ。
そう考えたあと、朝食をとるために部屋を出た。
地下牢に鳥の声が聞こえることはなかった。
ということは、眠っている間に外にある処刑場に連れてこられたの?
そう思って、目を大きく開けた。
独房に入れられてからは目を開ければ、石造りの天井が見えるだけだった。
それなのに、今日は違った。
見覚えのある白い壁紙が貼られた天井に小さなシャンデリアが2つ視界に入ってきた。
ここは外じゃないのかしら?
どういう状況か理解できないまま、ゆっくりと顔を横に向ける。
私はどこかの部屋のベッドの上で横になっているようだった。
目だけ動かすと、これまた見覚えのあるドレッサーと本棚が見えた。
手に触れているのは柔らかくて清潔な白いシーツだ。
眠る前に見た、薄汚れていたはずの自分の手も、とても綺麗で爪も透明なマニキュアで保護されている。
処刑前に身体を洗ってくれたのかしら?
ううん。そんなことをされたら、さすがに泣き疲れて眠っていたにしても、目を覚ますわよね?
上半身を起こして部屋の中を見回してみる。
そして私は、自分の目を疑った。
「う、嘘でしょう? ここって!」
驚きで自分の声が震えているのがわかった。
私は今、自分の部屋にいる。
見覚えがあると思ったドレッサーも、私の部屋にあるものなのだから当たり前だ。
枕元には栞がはさまれた状態の本が置かれていたので、手に取ってみる。
緑色のしっかりした装丁でかなり分厚い。
題名を確認してみると、たしか3年前くらいに流行っていた冒険小説で、最後まで読み終えた記憶がある。
たしか、シリーズ物で、もうすぐ3作目が出ると噂されていた。
サブタイトルを見てみると、1作目のものだった。
ゆっくりとベッドから出て、ベッド脇に置かれていたピンク色のパンプスを履く。
ここ最近は裸足だったから、靴を履くと少し窮屈に感じた。
ドレッサーに向かい、椅子に座って鏡で自分の姿を確認する。
私が着ているのは、白のレースが多く使われている青色のネグリジェだ。
私の記憶では2年くらい前まで気に入って、よく着ていたものだった。
鏡に映る私は、小顔で二重のぱっちりとした丸目で髪と同じ色の瞳に小さな鼻と口。
肌艶も良く、腰のあたりまで伸びた軽いウェーブのかかったダークブラウンの髪はツヤツヤで、記憶にある最近の自分とは全く異なっていた。
それよりももっと驚いたことがあった。
「若返ってない?」
両手を頬に当てて、誰に言うでもなく呟いた。
「一体、どうなってるの? 私は捕まっていたんじゃなかったの?」
パニックになりそうになったけれど、ふと壁にかけられている時計を見て冷静になった。
時刻は9時をまわったところで、部屋の中に差し込む太陽の光で、朝の9時だということはすぐにわかった。
「急がなくちゃ」
何がどうなっているか、全くわからない。
だけど、私の頭の中に浮かんだのは、リュカとの約束だった。
目覚めた日の昼の1時にドルセン広場と言っていたわよね?
それから、リュカの言葉通りなら、私は過去に戻っている。
正確に、何年前に戻ってるのかを確認しないといけないわ。
部屋の扉を乱暴に開けて廊下に出ると、私は自分の専属メイドの名を呼んだ。
「マララ!」
「どうかなさいましたか、お嬢様?」
気怠げな表情で隣の部屋から顔を出したのは、私が名を呼んだメイドだ。
彼女の部屋は私の部屋の隣にあり、呼んだらすぐに出てくることになっている。
マララは私より3つ年上で、水色の髪をシニヨンにした赤ら顔の女性だ。
不機嫌そうな顔をして、緑色の瞳を向けてきた。
背が高く細身のマララの態度の悪さに、少し苛立ちを覚える。
彼女が裏切った可能性が高いと思うから、余計に腹が立つのかもしれない。
「マララ、聞きたいのだけれど、私って、今は何歳だったかしら?」
「ええ!? いきなり何なんです? お嬢様はもうすぐ16歳になられますが、そんなことも忘れたんですか?」
「ちょっと確認したかっただけよ。教えてくれてありがとう! で、1時までにドルセン広場に行きたいのよ。今すぐに馬車の手配をしてちょうだい!」
「ちょっと、私の質問にちゃんと答えてくださいよ!」
偉そうに言うマララを睨みつける。
「あなた、どうしてそんなに私に偉そうにしているの? あなたは、私の専属メイドなのよね? いいから手配してちょうだい! 仕事ができないなら辞めてもらってもいいわ!」
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もうすぐ16歳ということは、私は3年前に戻っている。アイザックとの婚約もまだだし、テレサとも出会っていない!
なぜ、この日に戻っているのかはわからない。
でも、私にとって、今の時期は好条件だった。
ミアシス伯爵家の令嬢である私は、16歳の誕生日にアイザックとの婚約が決まった。
でも、まだ誕生日を迎えていない今なら、この話を白紙にできる可能性が高い。
友人だったテレサともアイザックとの婚約が決まったあとに知り合ったことだけはわかっているので、運命は変えられると思った。
アイザックとは絶対に婚約なんてしないわ! これで、家族を犠牲にしなくてすむはずだし、冤罪を着せられることもない!
ポジティブに考えていると、ノックの音と共に不機嫌そうなマララの声が聞こえてきた。
「お嬢さま、馬車の手配はしてきました! 着替えをお手伝いいたします!」
「大丈夫よ! 着替えくらい一人で出来るわ!」
「そんな! お嬢様は服の着替え方なんてわからないでしょうに!」
地下牢に閉じ込められている間は、自分のことは自分でやって来た。
体を洗ったり、着替えたりすることも一人でできた。
コルセットなどが必要のない服を着るくらいなら、マララの手を借りる必要はない。
「大丈夫だから放っておいて!」
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マララは投げやりな口調で言ってきた。
今まで気にしていなかったけれど、何だか言い方がキツくないかしら。
それともマララのことを疑っているから、そう聞こえるだけなの?
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態度が悪すぎる。
昔の私はこんな彼女を許してきたのね!
どっちにしても、マララを信用してはいけない。
「わかったわ。すぐに食べられるようにしてちょうだい」
「承知しました」
どこか不服そうな口調で、扉の向こうのマララは返事をした。
そして、厨房に伝えに行くつもりなのか、彼女の足が遠ざかっていくのがわかった。
当たり前かもしれれないけれど、気が休まらないわね。
マララの様子が気になってしょうがないわ。
ああ、でも、今はそれどころじゃない。
余計なことは考えずに、リュカとの約束を守ることだけ考えないと。
この機会を逃せば、リュカと二度と会えなくなってしまう可能性が高い。
約束を守りたいし、リュカに会って話をしたい。
動きやすくて、自分ひとりでも着替えられる膝下丈の水色のシンプルなワンピースに着替え、いつもマララがしてくれているメイクも見よう見真似でやってみた。
上手くはないけれど、見れなくはないわよね?
鏡の中の自分を見つめてみる。
口紅は少しはみ出し気味だったので、水に濡らしたコットンで拭いて綺麗に整えてみた。
子供がおままごとをしているようなメイクになってしまったけれど、どうしても、マララにやってもらいたくなかった。
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