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28 どういうつもりでしょうか
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思いもよらなかった展開に心臓が口から飛び出そうです。
視界の隅に入ってきたニーニャはなぜか顔を両手で覆うほどに恥ずかしかっています。恋人がいるニーニャがそこまで恥ずかしくなるなんて、どういうことでしょう?
も、もしかして、二人はまだ、手を繋いだりしてもいないとか!?
どうでも良いことを考えてあわあわしていると、ミルルンとシェラルがニヤニヤしている顔が見えて、スッと冷静に戻りました。
「あ、あの、アデルバート様!」
「何だ? 苦しいか?」
耳元で囁かれるように尋ねられたので、一気に体の熱が上昇します。
「く、く、苦しいです! 心臓が持ちません!」
「心臓? ……ああ、もしかして意識してくれてるのか?」
「してます! 当たり前じゃないですか!」
お腹に回されているアデルバート様の手を掴んで言うと、なぜか悪い笑みを浮かべただけでなく、手を握られてしまいました。
私が手を握ると照れていたアデルバート様は一体、どこに行ってしまったんでしょうか!?
「まあ!」
「何の騒ぎだ」
騒がしくなったことで、お父様とお母様がやって来ました。お母様は私とアデルバート様の姿を見ると、一瞬だけ驚きはしたようですが、すぐに笑みを浮かべました。でも、すぐに近くにいるヴィーチに気がついて、眉根を寄せます。
お父様は始めから不満げな表情で、アデルバート様に話しかけます。
「アデルバート様、娘と仲良くしてくださるのは有り難いのですが、まだ、アンナは十六歳です」
「これは失礼しました」
アデルバート様が私を抱きしめていたのには理由があります。でも、アデルバート様は今、この場では事情を説明する必要もないと思ったようでした。誤解されたままもどうかと思いますので、お父様に話しかけます。
「お父様、あとで事情は説明いたしますね」
「自分が大人げない態度をとっていることはわかっているよ。アデルバート様も無礼をお許しください」
「俺があなたの立場なら、同じことを思うでしょうから、気になさらなくて結構ですよ」
アデルバート様は抱きしめていた腕を解くと、呆気にとられたような顔をしている、ヴィーチに話しかけます。
「というわけで、アンナとのダンスは一生諦めてくれ」
「……わかりました」
ヴィーチは不満そうにしていますが、大勢の人の注目を浴びていることもあり、素直に引き下がり、会場の外に出ていきました。
お父様が周囲の人に騒がしくしてしまったことを詫びると、予定していた時間になったのか、オーケストラの演奏が始まったのでした。
******
その後はヴィーチの姿を見ることもなく、帰ったのかと思い込んでいました。それは、パーティーが終盤に差し掛かった時でした。お手洗いに行ってくると言って、場を離れたニーニャが中々帰ってこないので、私が様子を見に行くことにしました。
ミルルンたちが見てくると言ってくれたのですが、なぜだか、嫌な予感がしたからです。シルバートレイをメイドから受け取り、念の為、アデルバート様に声をかけると、一緒に来てくれることになりました。
お父様たちにも話をしておこうと思いましたが、来客の対応で忙しそうですので、報告はミルルンたちに任せました。きっと、すぐに連絡してくれることでしょう。
ニーニャはお手洗いにいなかっただけでなく、普段使っているポーチが廊下に落ちているのを発見し、私とアデルバート様は顔を見合わせました。
「……ニーニャに何かあったのでしょうか」
「その可能性が高いな」
その時、ニーニャの侍女が泣きながら、私の所に駆け寄って来て叫びます。
「アンナ様、助けてください! 今、警備の方が話をしてくださっていますが、マイクス侯爵令息が、むりやり、ニーニャ様を中庭に連れ出そうとされたのです!」
侍女に話を聞いたところ、ニーニャがお手洗いを出たところで、ヴィーチが待ち構えていたそうです。ニーニャを助けようとした侍女は頬を叩かれたのか、白いはずの右頬が赤くなっています。
様子がおかしいことに気がついた警備兵がヴィーチに話を聞いてくれているとのことですので、ニーニャの侍女には、お父様たちに場所を伝えるようにお願いし、私とアデルバート様は急いで教えられた場所に向かったのでした。
視界の隅に入ってきたニーニャはなぜか顔を両手で覆うほどに恥ずかしかっています。恋人がいるニーニャがそこまで恥ずかしくなるなんて、どういうことでしょう?
も、もしかして、二人はまだ、手を繋いだりしてもいないとか!?
どうでも良いことを考えてあわあわしていると、ミルルンとシェラルがニヤニヤしている顔が見えて、スッと冷静に戻りました。
「あ、あの、アデルバート様!」
「何だ? 苦しいか?」
耳元で囁かれるように尋ねられたので、一気に体の熱が上昇します。
「く、く、苦しいです! 心臓が持ちません!」
「心臓? ……ああ、もしかして意識してくれてるのか?」
「してます! 当たり前じゃないですか!」
お腹に回されているアデルバート様の手を掴んで言うと、なぜか悪い笑みを浮かべただけでなく、手を握られてしまいました。
私が手を握ると照れていたアデルバート様は一体、どこに行ってしまったんでしょうか!?
「まあ!」
「何の騒ぎだ」
騒がしくなったことで、お父様とお母様がやって来ました。お母様は私とアデルバート様の姿を見ると、一瞬だけ驚きはしたようですが、すぐに笑みを浮かべました。でも、すぐに近くにいるヴィーチに気がついて、眉根を寄せます。
お父様は始めから不満げな表情で、アデルバート様に話しかけます。
「アデルバート様、娘と仲良くしてくださるのは有り難いのですが、まだ、アンナは十六歳です」
「これは失礼しました」
アデルバート様が私を抱きしめていたのには理由があります。でも、アデルバート様は今、この場では事情を説明する必要もないと思ったようでした。誤解されたままもどうかと思いますので、お父様に話しかけます。
「お父様、あとで事情は説明いたしますね」
「自分が大人げない態度をとっていることはわかっているよ。アデルバート様も無礼をお許しください」
「俺があなたの立場なら、同じことを思うでしょうから、気になさらなくて結構ですよ」
アデルバート様は抱きしめていた腕を解くと、呆気にとられたような顔をしている、ヴィーチに話しかけます。
「というわけで、アンナとのダンスは一生諦めてくれ」
「……わかりました」
ヴィーチは不満そうにしていますが、大勢の人の注目を浴びていることもあり、素直に引き下がり、会場の外に出ていきました。
お父様が周囲の人に騒がしくしてしまったことを詫びると、予定していた時間になったのか、オーケストラの演奏が始まったのでした。
******
その後はヴィーチの姿を見ることもなく、帰ったのかと思い込んでいました。それは、パーティーが終盤に差し掛かった時でした。お手洗いに行ってくると言って、場を離れたニーニャが中々帰ってこないので、私が様子を見に行くことにしました。
ミルルンたちが見てくると言ってくれたのですが、なぜだか、嫌な予感がしたからです。シルバートレイをメイドから受け取り、念の為、アデルバート様に声をかけると、一緒に来てくれることになりました。
お父様たちにも話をしておこうと思いましたが、来客の対応で忙しそうですので、報告はミルルンたちに任せました。きっと、すぐに連絡してくれることでしょう。
ニーニャはお手洗いにいなかっただけでなく、普段使っているポーチが廊下に落ちているのを発見し、私とアデルバート様は顔を見合わせました。
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