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27  驚きました!

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 パーティーが始まり、私のお披露目が終わったあとは歓談タイムになりました。シルバートレイは専属メイドに持っておいてもらい、アデルバート様の所に行くよりも先に、ニーニャたちの所に向かいました。

 すると、三人は目を輝かせて褒めてくれます。

「「アンナ、すごく可愛い!」」
「アンナさん、……す、素敵です!」
「嬉しいです! ありがとうございます! でも、皆さんも本当に素敵です!」

 ニーニャたちは落ち着いた色合いのドレス姿で化粧や髪形も学園で会う時とは違っていて、いつもよりも美人に見えました。

「ありがとう! それから、アンナ。社交界デビュー、おめでとう」
「ありがとうございます」

 ミルルンたちに拍手され、照れながらお礼を言うと「ほら、早く行けよ」「うるさいな。まだ話してるだろ」という会話が聞こえてきました。 

 聞き慣れた声なので、顔を見なくてもわかります。クラスメイトの男子も呼んでいるので、アデルバート様とクラスメイトの男子がじゃれ合っているようです。

「ルージン、あなた、アデルバート様で遊ぶんじゃないわよ! アデルバート様、申し訳ないんですけど、アンナをもう少しだけ貸してください!」

 シェラルに叱られたルージンさんは「悪い、悪い」と苦笑し、アデルバート様は「気にしなくていい。ゆっくり話せよ」と答えました。
 そして、すぐにアデルバート様はルージンさんの首を絞めながら、小声で言います。

「友人を優先させない男は嫌われるって本で読んだって言ってただろうが!」
「落ち着け、アデル! 優先させすぎるのも良くない! 束縛しすぎるのは駄目だってことだよ! ぐええぇぇ」

 ルージンさんが変な声を上げたので、私は驚きましたが、アデルバート様たちを囲んでいるクラスメイトは、みんな笑っています。ミルルンたちも吹き出したので、仲良しだからできることのようです。

 アデルバート様だって、本気でやっているわけじゃないでしょうし、仲が良いのは良いことですね。
 特別クラスに入って本当に良かったです。入って1年目は変な人がいましたが、それからは良い人ばかりです。

 和んでいると、私に近づいてくる人がいました。

「おめでとうございます」

 話しかけてきたのはヴィーチでした。タキシード姿のヴィーチは今までに見たことのない、爽やかな笑みを浮かべています。

 こんなことを言ってはいけないのでしょうけれど、気持ちが悪いです。

 得体のしれないものを見た衝撃が強く、お礼を言うのを忘れていました。

「本日は、ご参加いただきありがとうございます」

 こちらも笑顔を作って礼を言うと、ヴィーチはとんでもないことを言います。

「アンナ嬢、よろしければ、この後、一曲踊っていただけないでしょうか」
「え?」

 驚いて聞き返すと、ヴィーチは首を傾げました。

「今日はダンスをする時間はありますよね」
「も、もちろんありますが」

 どうして、私がヴィーチと踊らなければならないんですか!? 何か魂胆があるのが見え見えではないですか!

 警戒していることがわかったのか、ヴィーチは苦笑します。

「今まで失礼な態度をとっていたことを反省しているんです。心を入れ替えましたので、仲良くしていただけないでしょうか」
「申し訳ございませんが、それはできません」

 めでたい場所でこんな嫌な話をしたくはありませんが、曖昧に答えるわけにもいきません。躊躇せずにお断りします。

「したほうはすぐに忘れられるかもしれませんが、されたほうはそう簡単に忘れられるものではないのです」
「おっしゃっていることはよくわかります。ですが、私も反省しているんですよ。その気持ちを理解していただけませんかね」
「謝る立場の人間が言う言葉だとは思えませんが?」
「……誠意を伝えたいので、まずは、仲直りするためにダンスを踊ってもらえませんか」

 大勢の前ではできない話をしたいようです。一体、ヴィーチは私と何を話すつもりなのでしょう。……と、ミルーナ様の話しかないでしょうね。

 さて、どう断ろうかと考えていますと、いきなり後ろから、誰かに抱きしめられました。

「ひあっ!?」

 背後を警戒していなかったので、無防備状態だったため、かなり、驚いて変な声を上げてしまいました。私を後ろから抱きしめている相手は、そんなことは気にせずにヴィーチに話しかけます。

「お前はアンナとダンスはできない。悪いが、アンナに触れていい男は俺だけなんだ」

 アデルバート様はそう言うと、私を抱きしめる腕を強めたのでした。
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