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42 押しかけてきた令嬢
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心配そうにしているサラとエディーさんに見送られて、わたしは店を出ると、店の前に停まっている馬車に近づいていった。
すると、御者が近づいてきて話しかけてくる。
「アイラ様ですね」
「そうです。ポスティム公爵令嬢がお呼びとのことですので参りました」
「お待ちください」
御者は恭しくお辞儀をしたあと、馬車の扉を開けてくれた。
見上げて中を見てみると、レモン色のドレスに身を包んだポスティム公爵令嬢が意地の悪そうな笑みを浮かべて、わたしを見下ろしていた。
「お久しぶりですわね。中にお入りになって」
できれば中には入りたくない。
危険だということもあるし、できれば会話の内容を他の人に聞いてほしかった。
お店の前で馬車が停まっているのは来店の邪魔になるとは思う。
中に入っていくお客さんも皆、不思議そうな顔をして、わたしたちをチラチラと見ている。
馬車がとても豪華だから、家紋ではどこの家かわからなくても、爵位の高い貴族だということはわかるのでしょうね。
「あの、このままで結構です」
「はあ? お前は何を言っているのよ。さっさお入りなさい。話がしにくいじゃないの」
「ポスティム公爵令嬢が乗っていらっしゃる馬車に、私のような位の低いものが乗るわけにはいきませんわ。それに密室になった時点で何をされるかわかりませんもの」
「なんですって!?」
ポスティム公爵令嬢は金切り声を上げて馬車の中から下りてくると、わたしの鼻先に指を突きつけて叫ぶ。
「お前は、このわたくしがお前ごときに何かするとでも言いたいの?」
「以前、扇を投げつけられたことがありますので発言させていただきました」
「うるさいわね! それはあなたが無礼だったからやったことじゃないの!」
ポスティム公爵令嬢が叫んだところで、御者やメイドが慌てて彼女に近づいてきて止める。
「お嬢様、落ち着いてください!」
「カーラ様、人が見ていますわ!」
「なんて女なの!」
御者たちの制止の言葉など耳に届かないくらいに苛立っているのか、ポスティム公爵令嬢は言う。
「絶対にお前なんかにロキアス様を渡すもんですか! 大人しく身を引かなければ痛い目に遭わせるわよ」
「公爵令嬢が脅しをするのですか?」
今は休暇期間だから、王家のチェックは入っていないでしょうけど、騒ぎが大きくなれば話はいくはずだわ。
苛立たせるだけ苛立たせてみよう。
「脅しているんじゃないわ。あなたへの優しさとして言ってやっているのよ!」
「そうは聞こえませんでしたが?」
笑顔を絶やさずに応えると、ポスティム公爵令嬢は何か言おうとして口を開いた。
でも、すぐに周りの視線に気がついて口を閉ざし、わたしを睨みつけてきた。
「どうかされましたか?」
「覚えていなさいよ。あなたが王太子妃候補でいられないようにしてあげるわ」
ポスティム公爵令嬢はわたしにもっと近づいてきて小声で言うと、馬車の中に戻っていき、少しすると馬車が走り始めた。
「どうするつもり?」
場所を見送っていると、サラが店の外まで出てきて聞いてきた。
「そうね。とりあえず、ロキに連絡をいれるわ」
どうせ噂はすぐに回るだろうけど、ポスティム公爵令嬢が何を考えているかわからないから、ロキに助けを求めることにした。
すると、御者が近づいてきて話しかけてくる。
「アイラ様ですね」
「そうです。ポスティム公爵令嬢がお呼びとのことですので参りました」
「お待ちください」
御者は恭しくお辞儀をしたあと、馬車の扉を開けてくれた。
見上げて中を見てみると、レモン色のドレスに身を包んだポスティム公爵令嬢が意地の悪そうな笑みを浮かべて、わたしを見下ろしていた。
「お久しぶりですわね。中にお入りになって」
できれば中には入りたくない。
危険だということもあるし、できれば会話の内容を他の人に聞いてほしかった。
お店の前で馬車が停まっているのは来店の邪魔になるとは思う。
中に入っていくお客さんも皆、不思議そうな顔をして、わたしたちをチラチラと見ている。
馬車がとても豪華だから、家紋ではどこの家かわからなくても、爵位の高い貴族だということはわかるのでしょうね。
「あの、このままで結構です」
「はあ? お前は何を言っているのよ。さっさお入りなさい。話がしにくいじゃないの」
「ポスティム公爵令嬢が乗っていらっしゃる馬車に、私のような位の低いものが乗るわけにはいきませんわ。それに密室になった時点で何をされるかわかりませんもの」
「なんですって!?」
ポスティム公爵令嬢は金切り声を上げて馬車の中から下りてくると、わたしの鼻先に指を突きつけて叫ぶ。
「お前は、このわたくしがお前ごときに何かするとでも言いたいの?」
「以前、扇を投げつけられたことがありますので発言させていただきました」
「うるさいわね! それはあなたが無礼だったからやったことじゃないの!」
ポスティム公爵令嬢が叫んだところで、御者やメイドが慌てて彼女に近づいてきて止める。
「お嬢様、落ち着いてください!」
「カーラ様、人が見ていますわ!」
「なんて女なの!」
御者たちの制止の言葉など耳に届かないくらいに苛立っているのか、ポスティム公爵令嬢は言う。
「絶対にお前なんかにロキアス様を渡すもんですか! 大人しく身を引かなければ痛い目に遭わせるわよ」
「公爵令嬢が脅しをするのですか?」
今は休暇期間だから、王家のチェックは入っていないでしょうけど、騒ぎが大きくなれば話はいくはずだわ。
苛立たせるだけ苛立たせてみよう。
「脅しているんじゃないわ。あなたへの優しさとして言ってやっているのよ!」
「そうは聞こえませんでしたが?」
笑顔を絶やさずに応えると、ポスティム公爵令嬢は何か言おうとして口を開いた。
でも、すぐに周りの視線に気がついて口を閉ざし、わたしを睨みつけてきた。
「どうかされましたか?」
「覚えていなさいよ。あなたが王太子妃候補でいられないようにしてあげるわ」
ポスティム公爵令嬢はわたしにもっと近づいてきて小声で言うと、馬車の中に戻っていき、少しすると馬車が走り始めた。
「どうするつもり?」
場所を見送っていると、サラが店の外まで出てきて聞いてきた。
「そうね。とりあえず、ロキに連絡をいれるわ」
どうせ噂はすぐに回るだろうけど、ポスティム公爵令嬢が何を考えているかわからないから、ロキに助けを求めることにした。
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