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41 休暇中の出来事④

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 一泊二日で実家に帰ることを決めた一日目の昼、ダンスのレッスンを終えて、一番にケーキ屋さんに向かうと、サラとエディーさんが笑顔で出迎えてくれた。
 そして、サラの休憩時間中に店の奥にある小さな休憩スペースで試作品のケーキを食べながら今までの話をすると、サラは驚くことを言ってきた。

「ダンスの先生も先生だけど、ロキの先生に対する態度って明らかに嫉妬じゃないの。しかも、アイラもロキのことを意識し始めているのね」
「や、やっぱりそうなの?」
「だと思うわ。まあ、話を聞いていたら、意識せざるを得ないくらいにロキからアピールされているとも思うけど」

 サラが他人事だからか楽しそうに笑いながら言うので、仕返しのつもりではないけれど言い返す。

「サラのほうはエイドとはどうなの?」
「そうね。順調だと思うわよ」
「順調って……。もしかして、サラとエイドは私が知らない間に付き合うことになっていたりする?」
「ないわよ。それにもし、付き合うことになったらアイラにはすぐに連絡するわ」

 眉根を寄せたサラに謝ってから尋ねる。

「サラのご両親にはエイドとの話はしているの?」
「ええ。私だって真剣に考えているからね。アイラとロキのことでさえもかなり驚いていたのに、わたしのこともあるからパニック状態よ。でも、嬉しい話ではあると思っているみたい」

 サラが一口サイズに切り分けたケーキを口に含んで咀嚼しているのを見ながら、わたしは苦笑する。

「公爵令息と娘が結婚できるかもしれないだなんて、ご両親にとっては嬉しい話だと思うけど、信じられないという気持ちのほうが大きいわよね」
「そうだと思う。私だってエイドが公爵令息だと知って、かなり驚いたんだから」
「私もロキのことを知った時は間抜けな顔をしていたと思う」
「想像がつくわ」

 他愛のない話をして笑っていた時だった。
 店番をしてくれていたエディーさんが焦った顔で休憩スペースにやってきた。

「大変だよ、アイラちゃん!」
「……どうかされましたか?」
「ポスティム公爵令嬢がアイラちゃんに会いたいから来てほしいって。店の前に停めた馬車の中で待っているって言っているんだ」

 エディーさんの話を聞いて、私の幸せだった気持ちは一変して、憂鬱なものに変わった。
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