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2 王太子の側近とメイドたちが熱い
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学園最後の日に婚約破棄をされるという最悪な事態に陥ってしまった私は、重い気持ちで帰途についたのだけれど、ポジティブな性格のため、結婚前に結婚してはいけない相手だったということがわかって良かったのかもしれないと考え、神様に感謝することにした。
婚約破棄宣言をされたことで、この先、私は嫁にいけそうにないとわかったので、その日の晩は卒園のお祝いムードは消全くなく、お店の売れ残りのケーキをテーブルの中心に置いて家族会議をした。
そうこうしているうちに、夜だというのにグライト家から婚約を破棄する書類が送られてきた。
そこには向こうの一方的な破棄ではあるけれど、原因は私にあるということで、慰謝料は渡さないと書かれていた。
グライト家は商人であって貴族ではない。
だけど、とても裕福だ。
私に落ち度があるのかもしれないけれど、貧乏だからという理由での婚約破棄なら慰謝料くらい払ってくれたら良いのにと思ってしまう。
彼の父親は性格が悪く、あからさまに貧乏な人たちを馬鹿にしていた。
そして、婚約者であったマグナも、その兆候が現れてきていたのも確かで、私の7つ下の弟はマグナのことが嫌いだった。
婚約破棄の書類に同意したあと、また家族会議を再開した。
当分の間はお母様がやっていた店の接客を私が担当することになった。
ケーキを作るのは父の友人のパティシエのエディさんだ。
息子さんに家督を譲っておられていて、屋敷にいても暇だからといって、安い賃金で働いてくれている。
お金に困ってはいないだろうけれど、経営者側の立場としては、儲けることも大事だし、そこからエディさんのお給料だけでも出せる様にしたい。
だから、材料はそのままで、利益が出せるように値段をもう少しだけ上げて売らせてもらうことにした。
値上げというやつだ。
お母様は友人から紹介してもらった貴族の家のお子さんの家庭教師として働きに出ることになった。
お母様のお給料がとても良いので、ケーキ屋さんで利益が出なかった場合は、その分のお金をエディさんのお給料にまわそうという話になった。
エディさんはケーキ作りは趣味みたいなものだから気にしなくていいと言ってくれているけれど、そうはいかない。
金銭のトラブルは大事な人とは余計に起こしたくないもの。
「おはようございます!」
卒業してから10日が経ち、初出勤して5日目の朝、店舗に入り、いつも先に来てくれているエディーさんに挨拶をした。
すると、白エプロン姿の恰幅のいい丸顔の中年のおじ様、エディーさんが温和な笑みを浮かべて挨拶を返してくれる。
「おはよう。今日は特に元気だね。アイラちゃんもドキドキしてるのかな?」
「何の話ですか?」
開店準備をしながら聞いてみると、エディーさんは優しい笑みを浮かべて話をしてくれる。
「今日は王太子妃候補の発表の日だよ」
「王太子妃候補ですか? ……そう言われてみれば、そんな話を聞いたことがあるかもしれません」
私が住んでいる国、ファルスタ国では王太子殿下が19歳になる年に、王太子妃候補が数人選別され別邸に住むことになるらしい。
そして約1年間の間、別邸で過ごし、誰が王太子妃にふさわしいかをジャッジされるのだそうだ。
「ということは王太子殿下は私と同じ年なのね」
今年、19歳になるというのなら私と同じ年齢で、学年も同じだ。
この国の王太子殿下は19歳になるまで、公務に参加されない。
だから、王太子殿下がどんな姿なのかは国民のほとんどが知らない。
「そうそう。今年は王太子妃候補の人数が急遽、6人になったみたいだよ」
「いつもは違うんですか?」
「ああ。いつもは5人らしくて今回は異例だそうだよ。王太子殿下たっての希望らしい」
「そうなんですね。好きな人でも参加させるんでしょうか」
他人事でしか無いけれど、気になって聞いてみた。
「急に決まったみたいだし、好きな人ではないだろうなあ。好きな人なら、最初から候補に入れているだろうしね。今の王妃陛下も陛下が候補にあげたみたいだよ。だから、陛下が判断するのではなく、第三者が誰がふさわしいかを決めて、今の王妃様に決まったらしい。今回もそうなるかもしれないね」
「そうなんですね」
きっと、王妃様も陛下のことが好きだったのね。
そうじゃないと王妃陛下になろうだなんて思えない気がする。
「ああ、私にもお金持ちの王子様が迎えに来てくれないかしら」
王妃陛下になりたいと思わないけれど、王妃陛下になればお金がたくさんもらえるのかしら。
と夢のないことを考えた時だった。
「王子様の直接のお出迎えではありませんので申し訳ございませんが、王太子殿下がアイラ様を別邸にお迎えしたいとおっしゃられています!」
エディーさんとは違う人の声で反応があったので、驚いて声のした方向を振り返る。
すると、エプロンドレスを着た若い美女が笑顔で開店前のお店の中に入ってきていた。
「お邪魔させてもらっております」
「ど、どちら様でしょうか」
全く気配を感じさせなかった上に、おとぎ話の世界から出てきたのかと思うくらいに綺麗な人だから、こっちがオドオドしてしまう。
「失礼しました。アイラ様のお家にお伺いさせていただきましたところ、こちらにいらっしゃるとお聞きしました。店の扉が開いていたとはいえ、お声もかけずに勝手に入ってしまい申し訳ございません。御無礼をお許し下さいませ」
「そ、それは気にしないで下さい。あの、申し訳ないんですが、まだ開店前でして」
お客様が入ってきてしまったのかと思ったのだけれど、見知らぬ美女は笑顔を絶やさずに言う。
「私が店員になりますので、ご心配いただかなくて結構ですよ」
「はい?」
「アイラ様たちにしてみれば、何がなんだかわかりませんわよね。まずはこちら、王太子殿下からのお手紙でございます」
金色の髪をシニヨンにした深緑色の綺麗な瞳を持つ、モデル体型の美女は、応対した私に白い封筒を両手で差し出してきた。
「受け取れば良いんでしょうか」
「どうぞ、お受け取りいただき、中をご確認ください」
封筒を恐る恐る受け取って確認すると、宛名の部分には私の名前が書かれていた。
差出人を見てみると、見たことのある名前が書かれている。
ただ、あまりにも現実味がなさすぎて、相手が誰だかすぐに思い浮かばなかった。
「こ、この、封蝋は」
エディーさんが私の隣に立って、封筒に押された封蝋を指差しながら叫ぶ。
「もしかして、アイラちゃんが王太子妃候補に選ばれたですか!」
「はい、そうでございます。おめでとうございます、アイラ様。栄えある追加枠の一人に選ばれました! ささ、外に馬車を待たせておりますので、どうぞこちらに!」
「追加枠の一人ってどういうことですか!?」
意味がわからなくて封筒を持ったまま聞くと、美女は私に向き直って深々と頭を下げる。
「申し遅れました。わたくし、シフォン・ミゲスダットと申します。王太子殿下の側近の一人でございます。お店の事は、わたくしにお任せくださいませ」
「はい? 王太子殿下の側近!? お店をお任せってどういうことですか!?」
ミゲスダット家というと、公爵家の名前だから余計に動揺してしまう。
「アイラ様が抜けてしまいますと、お店が大変でしょう? わたくしが僭越ながらお手伝いさせていただきますわ。ふふ。王太子殿下ったら、あなたが他の男性に愛想を振りまくのが嫌だなんて可愛いことをおっしゃいますのよ」
見た目はミステリアスな美女という感じなのに、すごくフレンドリーな上に強引な方なのね。
公爵令嬢ってもっとツンケンしているのかと思っていたわ。
どうでも良いことを考えていると、メイド姿の女性3人が店内に入ってきた。
そして、私の所まで来ると、深々と一礼してから、一番年上と思われる女性が代表して口を開く。
「今から私共と一緒に移動していただけますでしょうか」
「ちょ、ちょっと待ってください! 今いち、状況が把握できていないんですけど、本当に私が王太子妃候補に選ばれたんですか?」
シフォン様に尋ねると、彼女は笑顔で首を縦に振る。
「王太子殿下はアイラ様に長い間、片思いをしていらっしゃったようです。ですが、アイラ様には婚約者がいらっしゃいました。泣く泣く諦めようとしていたところに、なんとお相手の方が婚約破棄をしてくださったのです!」
「あの、すみません。王太子殿下のそんなプライベートな情報を話しても良いのでしょうか」
「大丈夫ですわ。会えばわかっていただけます。こんなことを言ったとわかったら怒られてしまうでしょうけれど、わたくしは気にいたしません」
そういう問題なのかしら。
どうしたら良いのか迷っていると、メイドたちが慌て始める。
「アイラ様、申し訳ございませんが、お時間が迫ってきておりますので移動をお願い致します。私共にお任せいただければ、他の候補者の方に負けないようにアイラ様を美しくしてみせます!」
「そうですわ! 他の家のメイドたちには負けません!」
「アイラ様、これからよろしくお願い致します!」
一体、どういうことなの。
どうして、メイドたちは臨戦態勢なの?
というか、私を王太子妃候補に選ぶだなんて王太子殿下は何を考えていらっしゃるのよ!
婚約破棄宣言をされたことで、この先、私は嫁にいけそうにないとわかったので、その日の晩は卒園のお祝いムードは消全くなく、お店の売れ残りのケーキをテーブルの中心に置いて家族会議をした。
そうこうしているうちに、夜だというのにグライト家から婚約を破棄する書類が送られてきた。
そこには向こうの一方的な破棄ではあるけれど、原因は私にあるということで、慰謝料は渡さないと書かれていた。
グライト家は商人であって貴族ではない。
だけど、とても裕福だ。
私に落ち度があるのかもしれないけれど、貧乏だからという理由での婚約破棄なら慰謝料くらい払ってくれたら良いのにと思ってしまう。
彼の父親は性格が悪く、あからさまに貧乏な人たちを馬鹿にしていた。
そして、婚約者であったマグナも、その兆候が現れてきていたのも確かで、私の7つ下の弟はマグナのことが嫌いだった。
婚約破棄の書類に同意したあと、また家族会議を再開した。
当分の間はお母様がやっていた店の接客を私が担当することになった。
ケーキを作るのは父の友人のパティシエのエディさんだ。
息子さんに家督を譲っておられていて、屋敷にいても暇だからといって、安い賃金で働いてくれている。
お金に困ってはいないだろうけれど、経営者側の立場としては、儲けることも大事だし、そこからエディさんのお給料だけでも出せる様にしたい。
だから、材料はそのままで、利益が出せるように値段をもう少しだけ上げて売らせてもらうことにした。
値上げというやつだ。
お母様は友人から紹介してもらった貴族の家のお子さんの家庭教師として働きに出ることになった。
お母様のお給料がとても良いので、ケーキ屋さんで利益が出なかった場合は、その分のお金をエディさんのお給料にまわそうという話になった。
エディさんはケーキ作りは趣味みたいなものだから気にしなくていいと言ってくれているけれど、そうはいかない。
金銭のトラブルは大事な人とは余計に起こしたくないもの。
「おはようございます!」
卒業してから10日が経ち、初出勤して5日目の朝、店舗に入り、いつも先に来てくれているエディーさんに挨拶をした。
すると、白エプロン姿の恰幅のいい丸顔の中年のおじ様、エディーさんが温和な笑みを浮かべて挨拶を返してくれる。
「おはよう。今日は特に元気だね。アイラちゃんもドキドキしてるのかな?」
「何の話ですか?」
開店準備をしながら聞いてみると、エディーさんは優しい笑みを浮かべて話をしてくれる。
「今日は王太子妃候補の発表の日だよ」
「王太子妃候補ですか? ……そう言われてみれば、そんな話を聞いたことがあるかもしれません」
私が住んでいる国、ファルスタ国では王太子殿下が19歳になる年に、王太子妃候補が数人選別され別邸に住むことになるらしい。
そして約1年間の間、別邸で過ごし、誰が王太子妃にふさわしいかをジャッジされるのだそうだ。
「ということは王太子殿下は私と同じ年なのね」
今年、19歳になるというのなら私と同じ年齢で、学年も同じだ。
この国の王太子殿下は19歳になるまで、公務に参加されない。
だから、王太子殿下がどんな姿なのかは国民のほとんどが知らない。
「そうそう。今年は王太子妃候補の人数が急遽、6人になったみたいだよ」
「いつもは違うんですか?」
「ああ。いつもは5人らしくて今回は異例だそうだよ。王太子殿下たっての希望らしい」
「そうなんですね。好きな人でも参加させるんでしょうか」
他人事でしか無いけれど、気になって聞いてみた。
「急に決まったみたいだし、好きな人ではないだろうなあ。好きな人なら、最初から候補に入れているだろうしね。今の王妃陛下も陛下が候補にあげたみたいだよ。だから、陛下が判断するのではなく、第三者が誰がふさわしいかを決めて、今の王妃様に決まったらしい。今回もそうなるかもしれないね」
「そうなんですね」
きっと、王妃様も陛下のことが好きだったのね。
そうじゃないと王妃陛下になろうだなんて思えない気がする。
「ああ、私にもお金持ちの王子様が迎えに来てくれないかしら」
王妃陛下になりたいと思わないけれど、王妃陛下になればお金がたくさんもらえるのかしら。
と夢のないことを考えた時だった。
「王子様の直接のお出迎えではありませんので申し訳ございませんが、王太子殿下がアイラ様を別邸にお迎えしたいとおっしゃられています!」
エディーさんとは違う人の声で反応があったので、驚いて声のした方向を振り返る。
すると、エプロンドレスを着た若い美女が笑顔で開店前のお店の中に入ってきていた。
「お邪魔させてもらっております」
「ど、どちら様でしょうか」
全く気配を感じさせなかった上に、おとぎ話の世界から出てきたのかと思うくらいに綺麗な人だから、こっちがオドオドしてしまう。
「失礼しました。アイラ様のお家にお伺いさせていただきましたところ、こちらにいらっしゃるとお聞きしました。店の扉が開いていたとはいえ、お声もかけずに勝手に入ってしまい申し訳ございません。御無礼をお許し下さいませ」
「そ、それは気にしないで下さい。あの、申し訳ないんですが、まだ開店前でして」
お客様が入ってきてしまったのかと思ったのだけれど、見知らぬ美女は笑顔を絶やさずに言う。
「私が店員になりますので、ご心配いただかなくて結構ですよ」
「はい?」
「アイラ様たちにしてみれば、何がなんだかわかりませんわよね。まずはこちら、王太子殿下からのお手紙でございます」
金色の髪をシニヨンにした深緑色の綺麗な瞳を持つ、モデル体型の美女は、応対した私に白い封筒を両手で差し出してきた。
「受け取れば良いんでしょうか」
「どうぞ、お受け取りいただき、中をご確認ください」
封筒を恐る恐る受け取って確認すると、宛名の部分には私の名前が書かれていた。
差出人を見てみると、見たことのある名前が書かれている。
ただ、あまりにも現実味がなさすぎて、相手が誰だかすぐに思い浮かばなかった。
「こ、この、封蝋は」
エディーさんが私の隣に立って、封筒に押された封蝋を指差しながら叫ぶ。
「もしかして、アイラちゃんが王太子妃候補に選ばれたですか!」
「はい、そうでございます。おめでとうございます、アイラ様。栄えある追加枠の一人に選ばれました! ささ、外に馬車を待たせておりますので、どうぞこちらに!」
「追加枠の一人ってどういうことですか!?」
意味がわからなくて封筒を持ったまま聞くと、美女は私に向き直って深々と頭を下げる。
「申し遅れました。わたくし、シフォン・ミゲスダットと申します。王太子殿下の側近の一人でございます。お店の事は、わたくしにお任せくださいませ」
「はい? 王太子殿下の側近!? お店をお任せってどういうことですか!?」
ミゲスダット家というと、公爵家の名前だから余計に動揺してしまう。
「アイラ様が抜けてしまいますと、お店が大変でしょう? わたくしが僭越ながらお手伝いさせていただきますわ。ふふ。王太子殿下ったら、あなたが他の男性に愛想を振りまくのが嫌だなんて可愛いことをおっしゃいますのよ」
見た目はミステリアスな美女という感じなのに、すごくフレンドリーな上に強引な方なのね。
公爵令嬢ってもっとツンケンしているのかと思っていたわ。
どうでも良いことを考えていると、メイド姿の女性3人が店内に入ってきた。
そして、私の所まで来ると、深々と一礼してから、一番年上と思われる女性が代表して口を開く。
「今から私共と一緒に移動していただけますでしょうか」
「ちょ、ちょっと待ってください! 今いち、状況が把握できていないんですけど、本当に私が王太子妃候補に選ばれたんですか?」
シフォン様に尋ねると、彼女は笑顔で首を縦に振る。
「王太子殿下はアイラ様に長い間、片思いをしていらっしゃったようです。ですが、アイラ様には婚約者がいらっしゃいました。泣く泣く諦めようとしていたところに、なんとお相手の方が婚約破棄をしてくださったのです!」
「あの、すみません。王太子殿下のそんなプライベートな情報を話しても良いのでしょうか」
「大丈夫ですわ。会えばわかっていただけます。こんなことを言ったとわかったら怒られてしまうでしょうけれど、わたくしは気にいたしません」
そういう問題なのかしら。
どうしたら良いのか迷っていると、メイドたちが慌て始める。
「アイラ様、申し訳ございませんが、お時間が迫ってきておりますので移動をお願い致します。私共にお任せいただければ、他の候補者の方に負けないようにアイラ様を美しくしてみせます!」
「そうですわ! 他の家のメイドたちには負けません!」
「アイラ様、これからよろしくお願い致します!」
一体、どういうことなの。
どうして、メイドたちは臨戦態勢なの?
というか、私を王太子妃候補に選ぶだなんて王太子殿下は何を考えていらっしゃるのよ!
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