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第12話 疑心暗鬼?

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「ええ? そんな事があったの?」
「そうなのよ。ビトレイのところはどう? 専属メイドって、そこまで自分についてる人の事を詳しく把握しているものなのかしら?」
「そうね…。私はそこまでメイドと親しくないからわからないわ。あなたの所は仲が良いんでしょう?」

 昼食時、他愛のない会話として、ドリーの話をすると、ビトレイは食べる手を止めて真剣に考えてくれてから、質問を返してきたので、その質問に対して答える。

「ええ。ドリーとは私が小さい頃からの付き合いよ。彼女が専属メイドになってくれたのは最近なんだけど」
「……そうなのね。今までは気になった事はなかったの?」
「あまり、そういう質問をされた覚えがないのよ。彼女に日記帳を買ってきてもらった覚えがないの。そんなものって自分で気に入ったものを買ったと思うのよね。それに日記帳の事を気にされるなんて嫌じゃない? わたしがいない間に読まれてる可能性もあるじゃないの。きっと読んでいないと思うけど…」

 ビトレイにはもちろんの事だけれど、私が未来に殺されただなんて話はしておらず、持ち物をメイドが全て一々把握してるのかどうかを聞いただけで、日記帳の話を例であげてみた。

「そうね。きっと大丈夫だと思うけれど…、心配は心配よね」
「鍵付きの引き出しにしまっているんだけれど、鍵の場所を変えた方がいいかしら?」
「……でも、鍵をどこに置いたか忘れてしまったらどうするの?」
「うーん、そうね。別に日記帳だから買い直せばいいし…。引き出しを使えなくなるのは困るけれど…」
「もったいないじゃない。最近、書き始めたんでしょう? ページだってもったいないわ」
「そう…、そうね…」

 ビトレイの言葉に頷きはしたけれど、気になる言葉があって、胸がもやっとした。
 神経が過敏になりすぎているだけ?
 それとも、私は無意識の内に、彼女にその話を伝えていたのかしら…?

 どうして、最近、書き始めたと知ってるの?

 ……ビトレイに詳しい話をしていなかった事は正しい事なのかもしれないわ。

 イロアスからは他の人には言うなと言われていたから、過去に戻ったという事をイロアス以外は知らない。

 だけど、友達であるドリーやビトレイに知らせたいという気持ちが強かった。

 イロアスに止められた事もあったのと、やはりどこか怖くてやめていた。
 でも、今は言わなくて本当に良かったと思っている。
 色んな人が怪しく思えてきてしょうがない。

 ビトレイがマレフィナ様と繋がっていたりする?
 そんな事はないわよね?
 じゃあ、どういう理由?

 それとも、私が過敏になっているだけなの?

「じゃあ、ビトレイ、覚えていてくれない? もし、私が鍵が見つからないんだけど、どこに隠すか言ってた? と聞く事があったら、鍵はウォークインクローゼットの中にある宝石箱に入れたって教えてくれない?」
「かまわないわ。けれど、それ以外に場所を変えた時には言ってよね?」
「もちろんよ」

 わたしが頷くと、ビトレイが微笑んだ。

 こんな事を普通は話をするものなの?
 友達だからこそするのかしら?

 今は誰かを信じる事が怖くなっているから、ビトレイが相手でも怖くなってしまうの?

 嫌な予感しかしない。

 わたしの考えが間違いであってほしいと祈りながら、私はある事をして確かめる事にした。
 

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