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第7話 婚約解消できない理由
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わたしとトマング殿下、そして、ロリアンナ様は同じ学年で、通っている学園も同じだ。
2年前のロリアンナ様とトマング殿下は同じクラスだったけれど、わたしは違った。
ロリアンナ様とマレフィナ様は婚約者と同じ学園に通う為に、遠方から出てきていて、寮で暮らしている。
それは2年後も今も同じだけれど、お兄様と結婚してからのマレフィナ様はほとんど家に入り浸っていた。
そういえば、マレフィナ様は看病を率先してやってくれていたわね。
メイドがやると言ってもきかなかった。
今となると、とても怪しく感じてしまう。
ロリアンナ様達とはクラスが違うから、学園で2人とはそんなに顔を合わす機会はないのだけれど、トマング殿下はなぜか私を見つけては話しかけてくるので迷惑だったのを覚えている。
わたしの事を嫌っているのだから、無視すれば良いのに意味がわからないわ。
「おい!」
昼食時、全校生徒が集まる大きな食堂で食事を終えた私と友人が教室に帰ろうと、扉の前まで来たところで、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「リンスレット…、またよ」
友人のビトレイが眉間にシワを寄せて言った。
亜麻色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ、この時、私が一番仲が良かった伯爵令嬢のビトレイはトマング殿下がわたしの悪口を言う事を良しとしておらず、相手が王子だろうがおかまいなく、不機嫌さを顔に見せた。
「ごめんなさい、ビトレイ。わたし、先に行くわ」
「私も一緒に行くわよ」
人をかき分けて食堂から出て、早足で歩くと、ビトレイも一緒に付いてきてくれた。
「お、おい! 待てよ! おい! 俺を誰だと思ってるんだ! トマングだぞ!」
「トマング殿下、誰を呼んでいるのかわかりませんよ。ちゃんと名前を呼ばないと」
「え!? あ、ああ、そ、そうだな…、リン…、んんっ…、リンスレット!」
トマング殿下の付き人の候爵令息がアドバイスをしてしまった為、わたしは立ち止まらざるを得なくなり、足を止めて振り返る。
「わたしをお呼びでしたの?」
「ああ、そうだ」
彼が近付いてくる度に、あの時の笑っている顔を思い出す。
あの時よりも顔立ちは幼いけれど、彼である事に間違いはないし、あの嫌な笑顔を忘れられるはずもない。
時が経てば、どんどん、あの時の彼に近付いていくのだと思うと、背筋が凍る思いがした。
「……何か御用でしょうか、殿下」
「お前、生意気にも、俺との婚約解消を申し入れてきたらしいな」
「そのお話はわたしの父と国王陛下で話をさせていただく事になっております」
「それはそう聞いているが、何が不満なんだ」
「何が不満…? 不満なのは殿下の方ではないのですか?」
わたしが眉を寄せて尋ねると、トマング殿下は不機嫌そうな顔になって言う。
「なんで俺が不満なんだ? お前が馬鹿だからか? 間抜けだからか?」
「殿下の目にはわたしがそう見えていて、実際にそうだと思っておられるのでしたら、不満だという事は理解できますでしょう。そして、わたしだって感情がありますし、そんな事を言われてしまうと傷付きます。自分の心を守る為にも、トマング殿下のお気持ちを大事にする為にも、婚約の解消は必要な事だと思うのです」
「俺の気持ちを大事にするのなら婚約解消はしない! したくなった時に俺からしてやる!」
「したくなった時はいつになるのでしょうか? 出来れば今すぐ、そのお気持ちになってはいただけませんか?」
「うるさい! 言っておくが、お前がそうやって頼めば頼むほど、俺は婚約解消なんてしてやらないからな!」
声を荒らげた殿下を付き人が慌てて止める。
「こんな人の多いところでやめてください! リンスレット様、申し訳ございませんが、ここで失礼させていただきます」
「お、おい! 話はまだ終わってないぞ!?」
「殿下、わかって下さい! 今、こんなところでそんな話をすれば、殿下の評判が悪くなります!」
「俺は王子なんだぞ! 俺の悪口を言えば不敬罪で捕まえればいいだけだろう!」
「お願いですから、おやめ下さい!」
付き人は力ずくで殿下の体を引きずるようにして、食堂の方に向かって歩いていく。
そんな彼らの姿が見えなくなるまで見送ってから、わたしはビトレイと共に踵を返す。
昨日の内に、お父様の方から再度、国王陛下の方にトマング殿下とわたしの婚約解消をお願いした。
理由は、トマング殿下にはわたしよりももっと素敵な女性がいるはずだという単純明快な理由にした。
普通ならそんな子供みたいな理由で婚約の解消を申し出る人は少ないだろうけれど、トマング殿下が散々、わたしの事を馬鹿にしている事は国王陛下も知っておられたので、意図を察してくださり、そこまでわたしの心が傷つけられているなら、今更、トマング殿下と結婚などしたくないだろうと気持ちをわかって下さった。
けれど、王妃陛下が反対されて、その日の内には話がつかなかったみたいだった。
どうして、王妃陛下が反対されるのか、今までは理由がわからなかったけれど、今回、何でもいいから思い浮かぶ理由はないかと、お父様達に聞いてみたところ、昔、王妃陛下がイロアスのお父様であるアイル様に思いを寄せていた事が発覚した。
それを教えてくれたのはお母様で、アイル様は幼い頃からイロアスのお母様であるロンヌ様という婚約者がいたから、王妃陛下の事など目もくれなかったらしい。
王妃陛下はアイル様とロンヌ様の仲を壊したくて、わたしのお父様とお母様に2人の仲を引き裂きたいから協力してほしいと頼んだのだけれど、お父様達はそれを断ったのだそう。
もちろん、その頃はまだ王妃陛下ではなく伯爵令嬢だったから、お父様もお母様も簡単に断ることが出来たらしかった。
王妃陛下はその時は、「馬鹿な事を言ってしまいましたわね。忘れてください」と言っていたらしいけれど、もしかすると、その逆恨みで、お母様達を傷つける事は出来ないから、わたしを傷つけようとしているのかもしれないと言った。
王妃陛下はわたしがイロアスを好きだと思っているらしく、娘に同じ思いを味あわせてやる、といったところなのかもしれない。
困った人に目を付けられてしまったものだけれど、今回はお父様1人の力じゃ無理な場合は、アイル様達もわたしの婚約解消に手を貸してくださる事になっている。
今までは、そこまでしなかった。
今回、アイル様を巻き込む事になったのは、イロアスが頼んでくれたから。
わたしが死んだ原因をイロアスは知らない。
だからこそ、わたしの死はトマング殿下のせいだと思ったのかもしれない。
もしかして、トマング殿下との結婚が嫌すぎで自分で死を選んだとか、トマング殿下に殺されてしまったとか、そんな事を考えてくれたのかも?
「ねぇ、リンスレット」
「何?」
「あなたは、トマング殿下と婚約を解消するの?」
「そうするつもりなんだけど、何か問題はあるかしら?」
「……いいえ。別に。上手くいくといいわね!」
「ありがとう!」
家に帰ったら、今日の話をお父様にして、もう一度掛け合ってもらわなくちゃ。
そう思いながら、ビトレイと一緒に教室に戻った。
2年前のロリアンナ様とトマング殿下は同じクラスだったけれど、わたしは違った。
ロリアンナ様とマレフィナ様は婚約者と同じ学園に通う為に、遠方から出てきていて、寮で暮らしている。
それは2年後も今も同じだけれど、お兄様と結婚してからのマレフィナ様はほとんど家に入り浸っていた。
そういえば、マレフィナ様は看病を率先してやってくれていたわね。
メイドがやると言ってもきかなかった。
今となると、とても怪しく感じてしまう。
ロリアンナ様達とはクラスが違うから、学園で2人とはそんなに顔を合わす機会はないのだけれど、トマング殿下はなぜか私を見つけては話しかけてくるので迷惑だったのを覚えている。
わたしの事を嫌っているのだから、無視すれば良いのに意味がわからないわ。
「おい!」
昼食時、全校生徒が集まる大きな食堂で食事を終えた私と友人が教室に帰ろうと、扉の前まで来たところで、背後から聞き慣れた声が聞こえた。
「リンスレット…、またよ」
友人のビトレイが眉間にシワを寄せて言った。
亜麻色の髪にエメラルドグリーンの瞳を持つ、この時、私が一番仲が良かった伯爵令嬢のビトレイはトマング殿下がわたしの悪口を言う事を良しとしておらず、相手が王子だろうがおかまいなく、不機嫌さを顔に見せた。
「ごめんなさい、ビトレイ。わたし、先に行くわ」
「私も一緒に行くわよ」
人をかき分けて食堂から出て、早足で歩くと、ビトレイも一緒に付いてきてくれた。
「お、おい! 待てよ! おい! 俺を誰だと思ってるんだ! トマングだぞ!」
「トマング殿下、誰を呼んでいるのかわかりませんよ。ちゃんと名前を呼ばないと」
「え!? あ、ああ、そ、そうだな…、リン…、んんっ…、リンスレット!」
トマング殿下の付き人の候爵令息がアドバイスをしてしまった為、わたしは立ち止まらざるを得なくなり、足を止めて振り返る。
「わたしをお呼びでしたの?」
「ああ、そうだ」
彼が近付いてくる度に、あの時の笑っている顔を思い出す。
あの時よりも顔立ちは幼いけれど、彼である事に間違いはないし、あの嫌な笑顔を忘れられるはずもない。
時が経てば、どんどん、あの時の彼に近付いていくのだと思うと、背筋が凍る思いがした。
「……何か御用でしょうか、殿下」
「お前、生意気にも、俺との婚約解消を申し入れてきたらしいな」
「そのお話はわたしの父と国王陛下で話をさせていただく事になっております」
「それはそう聞いているが、何が不満なんだ」
「何が不満…? 不満なのは殿下の方ではないのですか?」
わたしが眉を寄せて尋ねると、トマング殿下は不機嫌そうな顔になって言う。
「なんで俺が不満なんだ? お前が馬鹿だからか? 間抜けだからか?」
「殿下の目にはわたしがそう見えていて、実際にそうだと思っておられるのでしたら、不満だという事は理解できますでしょう。そして、わたしだって感情がありますし、そんな事を言われてしまうと傷付きます。自分の心を守る為にも、トマング殿下のお気持ちを大事にする為にも、婚約の解消は必要な事だと思うのです」
「俺の気持ちを大事にするのなら婚約解消はしない! したくなった時に俺からしてやる!」
「したくなった時はいつになるのでしょうか? 出来れば今すぐ、そのお気持ちになってはいただけませんか?」
「うるさい! 言っておくが、お前がそうやって頼めば頼むほど、俺は婚約解消なんてしてやらないからな!」
声を荒らげた殿下を付き人が慌てて止める。
「こんな人の多いところでやめてください! リンスレット様、申し訳ございませんが、ここで失礼させていただきます」
「お、おい! 話はまだ終わってないぞ!?」
「殿下、わかって下さい! 今、こんなところでそんな話をすれば、殿下の評判が悪くなります!」
「俺は王子なんだぞ! 俺の悪口を言えば不敬罪で捕まえればいいだけだろう!」
「お願いですから、おやめ下さい!」
付き人は力ずくで殿下の体を引きずるようにして、食堂の方に向かって歩いていく。
そんな彼らの姿が見えなくなるまで見送ってから、わたしはビトレイと共に踵を返す。
昨日の内に、お父様の方から再度、国王陛下の方にトマング殿下とわたしの婚約解消をお願いした。
理由は、トマング殿下にはわたしよりももっと素敵な女性がいるはずだという単純明快な理由にした。
普通ならそんな子供みたいな理由で婚約の解消を申し出る人は少ないだろうけれど、トマング殿下が散々、わたしの事を馬鹿にしている事は国王陛下も知っておられたので、意図を察してくださり、そこまでわたしの心が傷つけられているなら、今更、トマング殿下と結婚などしたくないだろうと気持ちをわかって下さった。
けれど、王妃陛下が反対されて、その日の内には話がつかなかったみたいだった。
どうして、王妃陛下が反対されるのか、今までは理由がわからなかったけれど、今回、何でもいいから思い浮かぶ理由はないかと、お父様達に聞いてみたところ、昔、王妃陛下がイロアスのお父様であるアイル様に思いを寄せていた事が発覚した。
それを教えてくれたのはお母様で、アイル様は幼い頃からイロアスのお母様であるロンヌ様という婚約者がいたから、王妃陛下の事など目もくれなかったらしい。
王妃陛下はアイル様とロンヌ様の仲を壊したくて、わたしのお父様とお母様に2人の仲を引き裂きたいから協力してほしいと頼んだのだけれど、お父様達はそれを断ったのだそう。
もちろん、その頃はまだ王妃陛下ではなく伯爵令嬢だったから、お父様もお母様も簡単に断ることが出来たらしかった。
王妃陛下はその時は、「馬鹿な事を言ってしまいましたわね。忘れてください」と言っていたらしいけれど、もしかすると、その逆恨みで、お母様達を傷つける事は出来ないから、わたしを傷つけようとしているのかもしれないと言った。
王妃陛下はわたしがイロアスを好きだと思っているらしく、娘に同じ思いを味あわせてやる、といったところなのかもしれない。
困った人に目を付けられてしまったものだけれど、今回はお父様1人の力じゃ無理な場合は、アイル様達もわたしの婚約解消に手を貸してくださる事になっている。
今までは、そこまでしなかった。
今回、アイル様を巻き込む事になったのは、イロアスが頼んでくれたから。
わたしが死んだ原因をイロアスは知らない。
だからこそ、わたしの死はトマング殿下のせいだと思ったのかもしれない。
もしかして、トマング殿下との結婚が嫌すぎで自分で死を選んだとか、トマング殿下に殺されてしまったとか、そんな事を考えてくれたのかも?
「ねぇ、リンスレット」
「何?」
「あなたは、トマング殿下と婚約を解消するの?」
「そうするつもりなんだけど、何か問題はあるかしら?」
「……いいえ。別に。上手くいくといいわね!」
「ありがとう!」
家に帰ったら、今日の話をお父様にして、もう一度掛け合ってもらわなくちゃ。
そう思いながら、ビトレイと一緒に教室に戻った。
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