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29 遊ばせようと思います
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騒いでいるテグノ伯爵に気がついたクランボ様たちが言い合いをやめて私たちを見た。
「一体、何があったんです!?」
「テグノ伯爵がナナリーに手を出そうとしたから、ナナリーが自分で自分の身を守っただけだ」
クランボ様の問いかけにフェル殿下が答えると、テグノ伯爵がクランボ様たちに訴える。
「ナナリーが持っているシルバートレイは危険です! 触れるとなぜか足の小指に激痛がはしるんですよ! 考えている以上に痛いんです!」
「「「はあ?」」」
クランボ様と両陛下は座り込んでいるテグノ伯爵を見下ろして笑う。
「足の小指に激痛が走るって何を言っているのよ」
王妃陛下が失笑すると、陛下は鼻を鳴らす。
「本当にくだらない」
「シルバートレイを足の小指の上に落としたのか落とされたのかは知りませんが、そんなことを言われなくても痛いことくらいはわかりますよ」
陛下のあとにクランボ様が言う。
馬鹿にしたくなる気持ちもわかるけど、足の小指をぶつけた時って本当に痛いのよ。
ぶつけたことがないのかしら。
「違う! オレは何もしていないんだ!」
テグノ伯爵が敬語を忘れて叫んだ時、リリが近寄ってきて私を見上げる。
『ナナリー、シルバートレイで遊んでもいい?』
『駄目よ、危ないわ。それに、今はそれどころじゃないの』
『シルバートレイが当たったら痛いんでしょ?』
『そうよ。遊んでいて、カンバーに当たったらどうするの』
『だいじょうぶ! カンバー様には当てないわ』
リリはそう言うと、私の手からシルバートレイを奪い取ると、まるでボール遊びをするかのように口にくわえて歩き出す。
くわえにくそうだけど、噛む力が強いからか落とす様子はなく、尻尾を振りながらクランボ様たちに近づいていく。
「なんですか? 遊びませんよ」
クランボ様が不機嫌そうな顔で言った時、リリは自分の顔を左右に振り始めた。
ガンガン!
という音と共に、リリはクランボ様たちにシルバートレイをぶつけていく。
向こう脛や膝、股間などを狙っているように見えるのは気のせいかしら。
勢い良くシルバートレイをぶつけられたクランボ様たちは、リリから離れて床にしゃがみ込む。
「痛い! 痛いじゃないの! って……当たった膝だけじゃなく、小指も痛いわ!」
王妃陛下が叫ぶと、国王陛下も同調する。
「ぐうううっ! 痛い! くそ! 何でこんなに痛いんだ!」
『えいっ!』
リリは両陛下の反応には満足したけど、クランボ様が痛みを我慢しているのが気に食わなかったのか、わざわざシルバートレイをぶつけに行った。
「な、何でこっちに来るんですか!」
クランボ様は足を引きずりながら、リリから逃げるけれど、すぐに追いつかれた。
『はっはっはっ。リリはやんちゃだなぁ』
ふさふさの尻尾を振っているカンバーと、シルバートレイを振り回しているリリを見て、フェル殿下が呆れた顔で言う。
「今の状態なら、俺でもリリとカンバーが何を言っているのかわかる気がする」
「リリもカンバーも楽しそうですし、もう少しだけ、リリを遊ばせようと思います」
リリから逃げようとするクランボ様たちを、追いかけるリリがとても楽しそうなので、少しの間だけ好きなようにさせることにした。
※
急な体調不良で、書き溜めしていなかったこちらの話の更新が不定期になっております。
必ず終わらせますので、もう少しだけお付き合いくださいませ。(これを打っている今は元気です!)
体調が崩れやすい時期ですので、皆様もご自愛くださいませ。
「一体、何があったんです!?」
「テグノ伯爵がナナリーに手を出そうとしたから、ナナリーが自分で自分の身を守っただけだ」
クランボ様の問いかけにフェル殿下が答えると、テグノ伯爵がクランボ様たちに訴える。
「ナナリーが持っているシルバートレイは危険です! 触れるとなぜか足の小指に激痛がはしるんですよ! 考えている以上に痛いんです!」
「「「はあ?」」」
クランボ様と両陛下は座り込んでいるテグノ伯爵を見下ろして笑う。
「足の小指に激痛が走るって何を言っているのよ」
王妃陛下が失笑すると、陛下は鼻を鳴らす。
「本当にくだらない」
「シルバートレイを足の小指の上に落としたのか落とされたのかは知りませんが、そんなことを言われなくても痛いことくらいはわかりますよ」
陛下のあとにクランボ様が言う。
馬鹿にしたくなる気持ちもわかるけど、足の小指をぶつけた時って本当に痛いのよ。
ぶつけたことがないのかしら。
「違う! オレは何もしていないんだ!」
テグノ伯爵が敬語を忘れて叫んだ時、リリが近寄ってきて私を見上げる。
『ナナリー、シルバートレイで遊んでもいい?』
『駄目よ、危ないわ。それに、今はそれどころじゃないの』
『シルバートレイが当たったら痛いんでしょ?』
『そうよ。遊んでいて、カンバーに当たったらどうするの』
『だいじょうぶ! カンバー様には当てないわ』
リリはそう言うと、私の手からシルバートレイを奪い取ると、まるでボール遊びをするかのように口にくわえて歩き出す。
くわえにくそうだけど、噛む力が強いからか落とす様子はなく、尻尾を振りながらクランボ様たちに近づいていく。
「なんですか? 遊びませんよ」
クランボ様が不機嫌そうな顔で言った時、リリは自分の顔を左右に振り始めた。
ガンガン!
という音と共に、リリはクランボ様たちにシルバートレイをぶつけていく。
向こう脛や膝、股間などを狙っているように見えるのは気のせいかしら。
勢い良くシルバートレイをぶつけられたクランボ様たちは、リリから離れて床にしゃがみ込む。
「痛い! 痛いじゃないの! って……当たった膝だけじゃなく、小指も痛いわ!」
王妃陛下が叫ぶと、国王陛下も同調する。
「ぐうううっ! 痛い! くそ! 何でこんなに痛いんだ!」
『えいっ!』
リリは両陛下の反応には満足したけど、クランボ様が痛みを我慢しているのが気に食わなかったのか、わざわざシルバートレイをぶつけに行った。
「な、何でこっちに来るんですか!」
クランボ様は足を引きずりながら、リリから逃げるけれど、すぐに追いつかれた。
『はっはっはっ。リリはやんちゃだなぁ』
ふさふさの尻尾を振っているカンバーと、シルバートレイを振り回しているリリを見て、フェル殿下が呆れた顔で言う。
「今の状態なら、俺でもリリとカンバーが何を言っているのかわかる気がする」
「リリもカンバーも楽しそうですし、もう少しだけ、リリを遊ばせようと思います」
リリから逃げようとするクランボ様たちを、追いかけるリリがとても楽しそうなので、少しの間だけ好きなようにさせることにした。
※
急な体調不良で、書き溜めしていなかったこちらの話の更新が不定期になっております。
必ず終わらせますので、もう少しだけお付き合いくださいませ。(これを打っている今は元気です!)
体調が崩れやすい時期ですので、皆様もご自愛くださいませ。
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