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24 嫌な奴みたいですよ
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クランボ様はこれが私たちの罠だとわかっていながらも、どうしても王太子の座が欲しかったらしい。話をしてから二日後、国王陛下の元に、私から聞いた話を受けるという連絡があったとフェル殿下から教えてもらった。
「君が考えた案を相談してみたところ、他国の国王陛下も力を貸してくれるそうだ。自分の国に不利益が出るわけではないからだろうな」
「各国の国王陛下が手を貸してくださるなら、クランボ様に勝算はありませんね」
「ああ。どうやら、奴は勝算があると思っているようだから、このまま、油断しておいてほしいものだ」
「そうですね。自分の思い通りに進むと思っているから話を受けたのでしょうし、できれば、私たちが何を企んでいるのか調べようとするのはやめていただきたいですね」
情報が漏れることはないと思うし、クランボ様には私たちは何を考えていようが何とかなると思っていてほしい。クランボ様がプロウス王国に行くまでは慎重に動くことを、フェル殿下に伝えた。その後、フェル殿下が話題を変える。
「レフだが、驚くくらいに言うことを聞くようになったそうだ」
「クランボ様を主人と認めるふりをしてもらっているんです」
「ということは、今、言うことを聞いているのは、そういうふりをしているからで、レフは本当はクランボを認めていないのか?」
「彼にとっても嫌な奴みたいですよ。でも、美味しい食べ物をくれるから、まあいいやといった感じのようです」
本当はあんな人のところに置いておきたくないけれど、レフは食べ物が良ければそれで良いらしい。レフが急に覚えが良くなったことで、クランボ様には犬をうまく扱える実力があると見せかけ、プロウス王国に推薦しやすくしたのだ。
「心配なのは、レフが向こうに行ってからのことです」
「もし、虐待するようなことがあれば、鳥たちに連絡してもらうから、そうなったら強制的に引き離そう」
「お願いいたします」
レフには気を付けるように伝えているけれど、限界があるものね。利用してしまったことは申し訳ないけれど、彼に協力してもらわなければ、ここまですんなりうまくはいかなかったはずだ。
今度、レフの大好きなおやつをプレゼントしよう。
数日後、クランボ様はレフを連れて、プロウス王国に旅立っていった。それと同時に、私たちはしきたりの一部を変更するために動き始めた。そして、それから数日後、私たちの元にクランボ様の件とは別で衝撃的なニュースが入ってきたのだった。
◇◆◇◆◇◆
(テレサ視点)
「おめでとうございます。可愛い男の子です」
中年の助産師が笑顔で赤ん坊を抱いて連れて来てくれた時は、とても感動したことを覚えている。
他人の子供なら不細工だと言っていたかもしれない。でも、苦労して産んだわが子はとても愛おしかった。クヤイズ殿下が殺されてすぐに生まれた子供なので、ノウル様は「クヤイズ殿下の生まれ変わりなんかじゃないか」と言っていた。
すぐに出ていけと言われていたけれど、やっぱり、ノウル様も子供は可愛いらしい。落ち着くまではいても良いと言ってくれた。
浮気相手だったクヤイズ殿下はいなくなった。これで、わたくしたちの秘密は誰からも漏れることはない。このまま、ノウル様とわたくしと子供の三人で幸せに暮らしていくのだ。
そう思っていたのに、目が開き、髪の毛の色がはっきりしはじめた頃、ノウル様が言った。
「この子の髪と瞳の色は、オレやあなたのものとも違いますね」
「え?」
「ほら、金色の髪と青色の瞳といえば、あの人を思い出しませんか?」
赤ん坊が生まれて、わたくしたちは良好な関係が築けると思っていた。生まれた子供が逆に、わたくしを不幸に導くことになるだなんて思ってもいなかった。
「た……、たまたまですわ。わたくしか、ノウル様の先祖に同じ髪色と瞳の色がいて、それでなのでしょう!」
「わかりました。では、調べてみましょう。違った場合は、すぐにここから出て行ってもらいます」
ノウル様は冷たい目で私を見つめてそう言うと、赤ん坊には見向きもせずに部屋から出ていった。
ああ。
どうか、お願いします、神様。
どちらかの先祖にクヤイズ殿下と同じ髪色と瞳の色をした人がいますように!
「君が考えた案を相談してみたところ、他国の国王陛下も力を貸してくれるそうだ。自分の国に不利益が出るわけではないからだろうな」
「各国の国王陛下が手を貸してくださるなら、クランボ様に勝算はありませんね」
「ああ。どうやら、奴は勝算があると思っているようだから、このまま、油断しておいてほしいものだ」
「そうですね。自分の思い通りに進むと思っているから話を受けたのでしょうし、できれば、私たちが何を企んでいるのか調べようとするのはやめていただきたいですね」
情報が漏れることはないと思うし、クランボ様には私たちは何を考えていようが何とかなると思っていてほしい。クランボ様がプロウス王国に行くまでは慎重に動くことを、フェル殿下に伝えた。その後、フェル殿下が話題を変える。
「レフだが、驚くくらいに言うことを聞くようになったそうだ」
「クランボ様を主人と認めるふりをしてもらっているんです」
「ということは、今、言うことを聞いているのは、そういうふりをしているからで、レフは本当はクランボを認めていないのか?」
「彼にとっても嫌な奴みたいですよ。でも、美味しい食べ物をくれるから、まあいいやといった感じのようです」
本当はあんな人のところに置いておきたくないけれど、レフは食べ物が良ければそれで良いらしい。レフが急に覚えが良くなったことで、クランボ様には犬をうまく扱える実力があると見せかけ、プロウス王国に推薦しやすくしたのだ。
「心配なのは、レフが向こうに行ってからのことです」
「もし、虐待するようなことがあれば、鳥たちに連絡してもらうから、そうなったら強制的に引き離そう」
「お願いいたします」
レフには気を付けるように伝えているけれど、限界があるものね。利用してしまったことは申し訳ないけれど、彼に協力してもらわなければ、ここまですんなりうまくはいかなかったはずだ。
今度、レフの大好きなおやつをプレゼントしよう。
数日後、クランボ様はレフを連れて、プロウス王国に旅立っていった。それと同時に、私たちはしきたりの一部を変更するために動き始めた。そして、それから数日後、私たちの元にクランボ様の件とは別で衝撃的なニュースが入ってきたのだった。
◇◆◇◆◇◆
(テレサ視点)
「おめでとうございます。可愛い男の子です」
中年の助産師が笑顔で赤ん坊を抱いて連れて来てくれた時は、とても感動したことを覚えている。
他人の子供なら不細工だと言っていたかもしれない。でも、苦労して産んだわが子はとても愛おしかった。クヤイズ殿下が殺されてすぐに生まれた子供なので、ノウル様は「クヤイズ殿下の生まれ変わりなんかじゃないか」と言っていた。
すぐに出ていけと言われていたけれど、やっぱり、ノウル様も子供は可愛いらしい。落ち着くまではいても良いと言ってくれた。
浮気相手だったクヤイズ殿下はいなくなった。これで、わたくしたちの秘密は誰からも漏れることはない。このまま、ノウル様とわたくしと子供の三人で幸せに暮らしていくのだ。
そう思っていたのに、目が開き、髪の毛の色がはっきりしはじめた頃、ノウル様が言った。
「この子の髪と瞳の色は、オレやあなたのものとも違いますね」
「え?」
「ほら、金色の髪と青色の瞳といえば、あの人を思い出しませんか?」
赤ん坊が生まれて、わたくしたちは良好な関係が築けると思っていた。生まれた子供が逆に、わたくしを不幸に導くことになるだなんて思ってもいなかった。
「た……、たまたまですわ。わたくしか、ノウル様の先祖に同じ髪色と瞳の色がいて、それでなのでしょう!」
「わかりました。では、調べてみましょう。違った場合は、すぐにここから出て行ってもらいます」
ノウル様は冷たい目で私を見つめてそう言うと、赤ん坊には見向きもせずに部屋から出ていった。
ああ。
どうか、お願いします、神様。
どちらかの先祖にクヤイズ殿下と同じ髪色と瞳の色をした人がいますように!
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