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9 帰りたくありません!
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『今日は本当に疲れた!』
ふりふりとしっぽを振りながら、ふかふかの犬用ベッドに寝転んだリリは笑顔で私を見つめた。笑顔というのはキラキラした目で口を開けて私を見ているから、そう見えているだけで本当に笑顔かはわからない。
「皆と仲良くなれそう?」
『うん!』
簡単な言葉なら、リリは人間の言葉も理解してくれるので本当に賢い。
『でんかとも仲良くなれそう。犬たちにもとても人気があるの』
『そうなのね』
持参の水色の寝間着に着替えた私は、ベッドに寝転がって今日一日の出来事を振り返る。
本当に色んなことがあったわ。
フェル殿下に会えたこともそうだけど、彼は鳥と話ができるということも驚きだった。そして、クヤイズ殿下のふざけた謝罪と鳥たちの襲撃。
……クヤイズ殿下の顔に鳥のフンが落ちた時の顔を思い出すと笑ってしまいそうになる。
『ナナリー、何が嬉しいの?』
『クヤイズ殿下の顔に鳥のフンが落ちた時のことを思い出しちゃって……』
『フンおうじ……じゃなくて、フンでんか?』
『食べ物の名前はつけないの?』
『嫌いな人には食べ物の名前はつけないの』
リリはきっぱりと答えた。
『ということは、私のことも嫌いなの?』
『ううん。ナナリーは大好きだからナナリーなの。ビスケットでんかも良い人だと思ったら覚える』
『フェル殿下って呼んでくれない? 勢いで私もビスケット殿下って呼んじゃいそう』
『ビスケットでんかは間違えても呼んでも、きっと怒らないと思うわ』
「そうね」
声に出して同意した。
フェル殿下は会って一日も経っていないけど、悪い人ではないと感じている。クヤイズ殿下に比べたら、かなり良い人だ。謁見した両陛下も私を歓迎してくれたし、嫌な感じは受けなかった。
私をこの国に呼んだのは、一番賢い犬を育て上げ、私とフェル殿下の犬にするためだった。そうすれば、パゼリノ王国内でのおかしな上下関係はなくなる。
フェル殿下が言うには、宰相の飼っている犬が、パゼリノ王国内で一番利口だと言われているらしい。そのせいで、王家の意見に対しても口を出すんだそうだ。昔からのしきたりが悪いように使われている。
どの子を賢く育てるかは今のところ決めていなくて、城内にいる犬のどれかにするつもりだそうだ。パゼリノ王国の王城内にいる犬の多くは国王陛下のもので、チクワは女王陛下の飼い犬らしい。フェル殿下は白い毛を持つ大きな犬が相棒で、その子には明日に会わせてもらうことになっている。
サモエドのリリよりも大きいと言っていたから、グレートピレニーズかもしれない。珍しい犬種な上に賢いから、話をすれば宰相の犬よりも賢いと思わせることができるでしょう。
『リリ、明日はフェル殿下がカンバーを紹介してくれるそうだから仲良くしてね』
『カンバー?』
『ええ。フェル殿下の中では、私にとってリリの存在のような犬よ』
『大事な犬のなのね! カンバーは、いつも美味しいものを食べているの?』
『良い子にしていたら食べていると思うわ』
『そっか! 分けてもらえるかなぁ』
リリは嬉しそうに尻尾を振った。
無邪気なリリに癒されつつ、ふと頭に浮かんだのは、クヤイズ殿下たちのことだった。
テグノ伯爵夫人は、クヤイズ殿下と浮気していた。彼女にも婚約者はいたはずだし、クヤイズ殿下と浮気する必要はあったのかしら。
リリが寝息を立て始めたので、私も眠ろうかと思った。だけど、やっぱり眠れなくて、部屋に届けられていた、プロウス王国の新聞を読むことにした。
一面の記事を読んだあとは、他の面を流し読みをしていると、メッセージ欄が目に入った。
メッセージ欄というのは、その名の通り、個人が新聞を通じてメッセージを送る欄だ。内容は失踪した人に呼びかけたり、尋ね人、個人の訃報など色々だ。
そこに、ナナリーへと書かれたメッセージがあることに気づき、気になって読んでみることにした。
そこには【後悔している】【会いたい】【愛している】などの言葉が書かれていた。
……まさか、ノウル様じゃないわよね。
気になって他の日の新聞を見てみても、同じような内容が書いてある。
ナナリーという名前は多くはないが、まったくない名前でもない。気持ちが悪くなった私は、名前が同じ人なのだと思うことにして、私は他の欄を読むことにした。
******
次の日の朝、起こしに来てくれたメイドにフェル殿下に相談したいことがあると伝えると、すぐに連絡しに行ってくれ、朝食を両陛下やフェル殿下、犬たちと一緒にとることになった。
相談内容は昨日の新聞のことだ。なんだかんだと考えていたらほとんど眠れなかったし、考えれば考えるほど、ノウル様のような気がしてきた。
ダイニングルームで両陛下とフェル殿下に挨拶をすると、カンバーらしき犬が近寄って来た。リリよりも大きな白い毛を持ち、私の体半分以上の大きさの犬だった。
予想通り、グレートピレニーズね。
『グレートピーナッツ!』
もう、ピレニーズのピしか合っていない。ツッコミを入れる気にもならず見守っていると、リリが『おはよう~』と近寄っていく。すると、『おはよう。はじめまして、ぼくはカンバーだ』と自己紹介してくれた。
『はじめまして、カンバー。私はナナリー、この子はリリよ』
『犬と話ができると主が言っていたが、本当だったのだね』
カンバーはそう言うと、ごろんと横になってお腹を見せてくれた。
『主の妻になる人はぼくにとっては主人の一人だ。ナナリー、すきなだけモフりたまえ』
「か、可愛い!」
モフりたい気持ちはやまやまだけど、今はそれどころではなかった。優しく見守ってくれている両陛下たちに詫びてから、カンバーに話しかける。
『モフるのは後でも良いかしら?』
『もちろんだよ』
『イケイヌ! 素敵!』
起き上がったカンバーを見たリリが何やら叫んでいる。そんなリリをメイドに任せて私は食事の席に着き、ノウル様の話を始めた。
「新聞記事に載っていたメッセージが気持ち悪くて」
そう言って、メイドから新聞をフェル殿下に渡してもらって読んでもらう。
「何だこれ」
「実は、ノウル様はお付き合いする前から、とても執着してくる人でした。こんなことを言うのはなんですが、関わりたくなかったので、告白されても何度もお断りしていました。それでも、とにかく試しに付き合ってくれと言われて、根負けしてお付き合いしたら……といった感じです。別れようとしましたがしつこくて、最終的には情に流された形なんです」
「愛を押し付けられる形になったのね。結婚をしても良いと思えるようになるまでは大変だったでしょう」
同情してくれる王妃陛下に対し、国王陛下は眉根を寄せる。
「嫌いだと断れば良かっただろう」
「あなた。そういうわけにもいかないわ。ナナリーさんの元夫のようなタイプは、自分から彼女が離れようとすれば死ぬと脅したり、ナナリーさんを殺そうとする可能性があるわ」
「そこまで愛が重いと逆に嫌われると思わないのか」
「思わないから危険なの」
王妃陛下がため息を吐くと、国王陛下はそれ以上は何も言わなかった。代わりに、フェル殿下が尋ねてくる。
「結局、ナナリーは彼に愛情はなかったのか?」
「良い人だと思うことはありました。だから、結婚したんです。なんといいますか、怖い部分から目を逸らしていました」
外見が生理的に無理だったなら、結婚はしていなかったと思う。それに、私は実家に居場所がなかったから、結婚して少しでも早く家を出たかったという理由もある。愛情は幸せな結婚生活を続ければ芽生えていくと思っていた。
「そうか。わかった。自分のことかと思うと気持ちが悪いよな。彼に監視をつけて調べるから安心しろ」
「ありがとうございます」
フェル殿下に頭を下げると、王妃陛下が話しかけてくる。
「あなたはフェルの婚約者よ。婚約者が不安になっているんだから、フェルが調べるのは当然のことだわ。ところで、ナナリーさん。あなた、プロウス王国に帰りたい?」
「はい? あ、あの、どういう意味でしょうか」
「あなたの気持ちを聞いてから返事をするつもりなんだけど、プロウス王国側が、やっぱりあなたを返せと言ってきているの」
「絶対に帰りたくありません!」
詳しい話を聞く前に、私はきっぱりとお断りした。
ふりふりとしっぽを振りながら、ふかふかの犬用ベッドに寝転んだリリは笑顔で私を見つめた。笑顔というのはキラキラした目で口を開けて私を見ているから、そう見えているだけで本当に笑顔かはわからない。
「皆と仲良くなれそう?」
『うん!』
簡単な言葉なら、リリは人間の言葉も理解してくれるので本当に賢い。
『でんかとも仲良くなれそう。犬たちにもとても人気があるの』
『そうなのね』
持参の水色の寝間着に着替えた私は、ベッドに寝転がって今日一日の出来事を振り返る。
本当に色んなことがあったわ。
フェル殿下に会えたこともそうだけど、彼は鳥と話ができるということも驚きだった。そして、クヤイズ殿下のふざけた謝罪と鳥たちの襲撃。
……クヤイズ殿下の顔に鳥のフンが落ちた時の顔を思い出すと笑ってしまいそうになる。
『ナナリー、何が嬉しいの?』
『クヤイズ殿下の顔に鳥のフンが落ちた時のことを思い出しちゃって……』
『フンおうじ……じゃなくて、フンでんか?』
『食べ物の名前はつけないの?』
『嫌いな人には食べ物の名前はつけないの』
リリはきっぱりと答えた。
『ということは、私のことも嫌いなの?』
『ううん。ナナリーは大好きだからナナリーなの。ビスケットでんかも良い人だと思ったら覚える』
『フェル殿下って呼んでくれない? 勢いで私もビスケット殿下って呼んじゃいそう』
『ビスケットでんかは間違えても呼んでも、きっと怒らないと思うわ』
「そうね」
声に出して同意した。
フェル殿下は会って一日も経っていないけど、悪い人ではないと感じている。クヤイズ殿下に比べたら、かなり良い人だ。謁見した両陛下も私を歓迎してくれたし、嫌な感じは受けなかった。
私をこの国に呼んだのは、一番賢い犬を育て上げ、私とフェル殿下の犬にするためだった。そうすれば、パゼリノ王国内でのおかしな上下関係はなくなる。
フェル殿下が言うには、宰相の飼っている犬が、パゼリノ王国内で一番利口だと言われているらしい。そのせいで、王家の意見に対しても口を出すんだそうだ。昔からのしきたりが悪いように使われている。
どの子を賢く育てるかは今のところ決めていなくて、城内にいる犬のどれかにするつもりだそうだ。パゼリノ王国の王城内にいる犬の多くは国王陛下のもので、チクワは女王陛下の飼い犬らしい。フェル殿下は白い毛を持つ大きな犬が相棒で、その子には明日に会わせてもらうことになっている。
サモエドのリリよりも大きいと言っていたから、グレートピレニーズかもしれない。珍しい犬種な上に賢いから、話をすれば宰相の犬よりも賢いと思わせることができるでしょう。
『リリ、明日はフェル殿下がカンバーを紹介してくれるそうだから仲良くしてね』
『カンバー?』
『ええ。フェル殿下の中では、私にとってリリの存在のような犬よ』
『大事な犬のなのね! カンバーは、いつも美味しいものを食べているの?』
『良い子にしていたら食べていると思うわ』
『そっか! 分けてもらえるかなぁ』
リリは嬉しそうに尻尾を振った。
無邪気なリリに癒されつつ、ふと頭に浮かんだのは、クヤイズ殿下たちのことだった。
テグノ伯爵夫人は、クヤイズ殿下と浮気していた。彼女にも婚約者はいたはずだし、クヤイズ殿下と浮気する必要はあったのかしら。
リリが寝息を立て始めたので、私も眠ろうかと思った。だけど、やっぱり眠れなくて、部屋に届けられていた、プロウス王国の新聞を読むことにした。
一面の記事を読んだあとは、他の面を流し読みをしていると、メッセージ欄が目に入った。
メッセージ欄というのは、その名の通り、個人が新聞を通じてメッセージを送る欄だ。内容は失踪した人に呼びかけたり、尋ね人、個人の訃報など色々だ。
そこに、ナナリーへと書かれたメッセージがあることに気づき、気になって読んでみることにした。
そこには【後悔している】【会いたい】【愛している】などの言葉が書かれていた。
……まさか、ノウル様じゃないわよね。
気になって他の日の新聞を見てみても、同じような内容が書いてある。
ナナリーという名前は多くはないが、まったくない名前でもない。気持ちが悪くなった私は、名前が同じ人なのだと思うことにして、私は他の欄を読むことにした。
******
次の日の朝、起こしに来てくれたメイドにフェル殿下に相談したいことがあると伝えると、すぐに連絡しに行ってくれ、朝食を両陛下やフェル殿下、犬たちと一緒にとることになった。
相談内容は昨日の新聞のことだ。なんだかんだと考えていたらほとんど眠れなかったし、考えれば考えるほど、ノウル様のような気がしてきた。
ダイニングルームで両陛下とフェル殿下に挨拶をすると、カンバーらしき犬が近寄って来た。リリよりも大きな白い毛を持ち、私の体半分以上の大きさの犬だった。
予想通り、グレートピレニーズね。
『グレートピーナッツ!』
もう、ピレニーズのピしか合っていない。ツッコミを入れる気にもならず見守っていると、リリが『おはよう~』と近寄っていく。すると、『おはよう。はじめまして、ぼくはカンバーだ』と自己紹介してくれた。
『はじめまして、カンバー。私はナナリー、この子はリリよ』
『犬と話ができると主が言っていたが、本当だったのだね』
カンバーはそう言うと、ごろんと横になってお腹を見せてくれた。
『主の妻になる人はぼくにとっては主人の一人だ。ナナリー、すきなだけモフりたまえ』
「か、可愛い!」
モフりたい気持ちはやまやまだけど、今はそれどころではなかった。優しく見守ってくれている両陛下たちに詫びてから、カンバーに話しかける。
『モフるのは後でも良いかしら?』
『もちろんだよ』
『イケイヌ! 素敵!』
起き上がったカンバーを見たリリが何やら叫んでいる。そんなリリをメイドに任せて私は食事の席に着き、ノウル様の話を始めた。
「新聞記事に載っていたメッセージが気持ち悪くて」
そう言って、メイドから新聞をフェル殿下に渡してもらって読んでもらう。
「何だこれ」
「実は、ノウル様はお付き合いする前から、とても執着してくる人でした。こんなことを言うのはなんですが、関わりたくなかったので、告白されても何度もお断りしていました。それでも、とにかく試しに付き合ってくれと言われて、根負けしてお付き合いしたら……といった感じです。別れようとしましたがしつこくて、最終的には情に流された形なんです」
「愛を押し付けられる形になったのね。結婚をしても良いと思えるようになるまでは大変だったでしょう」
同情してくれる王妃陛下に対し、国王陛下は眉根を寄せる。
「嫌いだと断れば良かっただろう」
「あなた。そういうわけにもいかないわ。ナナリーさんの元夫のようなタイプは、自分から彼女が離れようとすれば死ぬと脅したり、ナナリーさんを殺そうとする可能性があるわ」
「そこまで愛が重いと逆に嫌われると思わないのか」
「思わないから危険なの」
王妃陛下がため息を吐くと、国王陛下はそれ以上は何も言わなかった。代わりに、フェル殿下が尋ねてくる。
「結局、ナナリーは彼に愛情はなかったのか?」
「良い人だと思うことはありました。だから、結婚したんです。なんといいますか、怖い部分から目を逸らしていました」
外見が生理的に無理だったなら、結婚はしていなかったと思う。それに、私は実家に居場所がなかったから、結婚して少しでも早く家を出たかったという理由もある。愛情は幸せな結婚生活を続ければ芽生えていくと思っていた。
「そうか。わかった。自分のことかと思うと気持ちが悪いよな。彼に監視をつけて調べるから安心しろ」
「ありがとうございます」
フェル殿下に頭を下げると、王妃陛下が話しかけてくる。
「あなたはフェルの婚約者よ。婚約者が不安になっているんだから、フェルが調べるのは当然のことだわ。ところで、ナナリーさん。あなた、プロウス王国に帰りたい?」
「はい? あ、あの、どういう意味でしょうか」
「あなたの気持ちを聞いてから返事をするつもりなんだけど、プロウス王国側が、やっぱりあなたを返せと言ってきているの」
「絶対に帰りたくありません!」
詳しい話を聞く前に、私はきっぱりとお断りした。
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