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閑話   浮気なんかしてない! ノウルside

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※ 読まなくても話は繋がります。読んだら、先の展開であの時こう考えてたなと思える感じの話です。元夫、あほなの? というノリで読める方はお読みくださいませ。



 ナナリーがいなくなってからの生活は最悪なものだった。テレサ様はお腹に子供がいるというのに、毎晩迫ってくるし、別の部屋に寝ていても夜中に忍び込もうとしてくる。家の仕事はしようとしないし、連れて来た犬は馬鹿でオレの言うことだけじゃなく、テレサ様の言うこともきかない。

 賢い犬が必要な世界なのに最悪だ!

「まったく良いことがない!」

 テレサ様に耐えられなくなり飛び出したオレは、戦争中だった時の部下たちを呼び出し、酒場で愚痴っていた。

「新婚なのに浮気するから悪いんですよ。隊長は世の女性を敵に回してますし、発言は気を付けたほうが良いですよ」
「じゃあ、どうしたら良かったんだよ! オレは脅されたんだぞ!?」
「嫁に確認してからとかでも良かったんじゃないですか。というか、何回かしちゃったんでしょう? 完璧な浮気ですよ。言い訳なんてできませんって」
「違う! 浮気なんかしてない! オレの心はナナリーにあったんだ!」
「そんな言い分が嫁に通じるわけがないじゃないですか。他の女を抱いたということだけで、もう気持ち悪い案件ですよ」

 部下たちはひとごとだと思ってげらげらと笑う。

 くそ。本当にオレにとっては浮気じゃなくて、義務みたいなものだったんだ!

 大きな声で話をしていたからか、顔なじみの女将が近寄ってきて、蔑むような目でオレを見て言う。

「元嫁のおかげであんたの命は繋がったんですよ。わかっていますか? 普通なら殺されてますよ。うだうだ言わないで、生まれてくる子供のために頑張って仕事したらどうです?」
「できるわけないだろ。絶対にオレの子じゃない」

 そんな簡単に子供ができるもんか。絶対に他の男との子供だ。

 ……そうか。ナナリーは自分よりも先にオレが他の女と子供を作ったことに怒っているのかもしれない。
 どうすればいい?

 ナナリーはもう、敵国の妻になるために旅立っていて、この国にはいない。

 どうすれば、ナナリーを取り返せるんだろう。

 
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