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29 目的は謝罪ではない?
しおりを挟む叶斗の飛沫を受けるまで逝っても飢えが収まらなかった俺は、発情期が直ぐそこまで来ていたみたいだ。それは三人と番になる時が来たのと同じ意味で、俺は少し焦った様子の叶斗に言った。
「…まだ今すぐじゃないと思うけど、でも時間の問題だと思う。誠に連絡したほうが良いよね?あと、どうしたら…。」
自分でも冷静になろうと考えを巡らせていたけれど、何処かぼんやりとしてくる。そんな俺の様子を見て、叶斗は俺にシャワーを浴びせて言った。
「とりあえず、マットプレイのヌルヌルは取らないとベッド行けないだろ?そろそろ新も戻ってくるだろうし、俺もあちこち連絡しないと。部屋に戻ろう。…くそっ、岳の匂いが強くてマジでヤバい。でもさっきより落ち着いた?」
「…ああ。叶斗のが俺の中に入ってるからかも。」
叶斗に洗われながら、俺は目の前の叶斗をじっと見つめてしまう。ああ、このアルファを喰いたい。思わず首に手を伸ばして強請ってしまった。
「かなと…。キスして。」
叶斗は息を止めて眉を顰めると首を振った。
「応えたいけど、とりあえずベッド行こ。新にも言わないと。あー、岳が可愛いし、煽ってくるし、良い匂い過ぎて俺もう流されたい!」
俺はボンヤリした頭で、叶斗に浴室から引っ張り出されながらベッドへ連れて行かれた。叶斗が俺にネックガードの鍵について尋ねてきて、僕はスマホを取り出して認証すると、ネックの鍵と連動させた。
時々自宅では取っていたので慣れたものだ。思いの外大きな電子音が聞こえると、首がすっきりと開放感に包まれた。特殊な素材で出来たそれは蒸れるという事もなかったけれど、ネックガードがひざに落ちると、これから番うのだと妙な緊張感が感じられた。
食い入る様な視線を感じて顔をあげると、叶斗が顔を赤くして俺を見下ろしていた。
「ふー、ヤバい。ガード無しとかエロい。」
俺はクスッと笑って何も防御されてない首を撫でた。
「何それ。でも何も無いと怖い感じするのって、アルファのお前が側にいるせいかな…。まだ噛むなよ?正直本格的な発情期来ないと噛んでも痛いだけみたいだし。」
すると叶斗は両手で顔を覆って上を向いた。
「あー!しまったぁっ!これって一番最初が新ってことじゃん!」
そう言って悲嘆にくれる叶斗を呆れて見つめながら、それでも自分の中でじわじわ暴れ出す覚えのある感覚に息を吐き出した。丁度その時、新が帰ってきて口元に腕を押し付けながら俺たちを見つめた。
「え!どういう事!?凄い匂いだぞ!?」
まるで俺が臭い元の様な言い草に、俺は新を睨んだ。すると新は両手に下げた荷物をテーブルに置いて呟いた。
「マジで…。発情期来るの?」
俺は新の顔が満面の笑みに変わるのを見つめながら、荷物に目を移して言った。
「とりあえず、まだ冷静なうちに腹ごしらえするよ。父さんにも連絡しなくちゃ。」
「…まだ今すぐじゃないと思うけど、でも時間の問題だと思う。誠に連絡したほうが良いよね?あと、どうしたら…。」
自分でも冷静になろうと考えを巡らせていたけれど、何処かぼんやりとしてくる。そんな俺の様子を見て、叶斗は俺にシャワーを浴びせて言った。
「とりあえず、マットプレイのヌルヌルは取らないとベッド行けないだろ?そろそろ新も戻ってくるだろうし、俺もあちこち連絡しないと。部屋に戻ろう。…くそっ、岳の匂いが強くてマジでヤバい。でもさっきより落ち着いた?」
「…ああ。叶斗のが俺の中に入ってるからかも。」
叶斗に洗われながら、俺は目の前の叶斗をじっと見つめてしまう。ああ、このアルファを喰いたい。思わず首に手を伸ばして強請ってしまった。
「かなと…。キスして。」
叶斗は息を止めて眉を顰めると首を振った。
「応えたいけど、とりあえずベッド行こ。新にも言わないと。あー、岳が可愛いし、煽ってくるし、良い匂い過ぎて俺もう流されたい!」
俺はボンヤリした頭で、叶斗に浴室から引っ張り出されながらベッドへ連れて行かれた。叶斗が俺にネックガードの鍵について尋ねてきて、僕はスマホを取り出して認証すると、ネックの鍵と連動させた。
時々自宅では取っていたので慣れたものだ。思いの外大きな電子音が聞こえると、首がすっきりと開放感に包まれた。特殊な素材で出来たそれは蒸れるという事もなかったけれど、ネックガードがひざに落ちると、これから番うのだと妙な緊張感が感じられた。
食い入る様な視線を感じて顔をあげると、叶斗が顔を赤くして俺を見下ろしていた。
「ふー、ヤバい。ガード無しとかエロい。」
俺はクスッと笑って何も防御されてない首を撫でた。
「何それ。でも何も無いと怖い感じするのって、アルファのお前が側にいるせいかな…。まだ噛むなよ?正直本格的な発情期来ないと噛んでも痛いだけみたいだし。」
すると叶斗は両手で顔を覆って上を向いた。
「あー!しまったぁっ!これって一番最初が新ってことじゃん!」
そう言って悲嘆にくれる叶斗を呆れて見つめながら、それでも自分の中でじわじわ暴れ出す覚えのある感覚に息を吐き出した。丁度その時、新が帰ってきて口元に腕を押し付けながら俺たちを見つめた。
「え!どういう事!?凄い匂いだぞ!?」
まるで俺が臭い元の様な言い草に、俺は新を睨んだ。すると新は両手に下げた荷物をテーブルに置いて呟いた。
「マジで…。発情期来るの?」
俺は新の顔が満面の笑みに変わるのを見つめながら、荷物に目を移して言った。
「とりあえず、まだ冷静なうちに腹ごしらえするよ。父さんにも連絡しなくちゃ。」
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