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22 公爵令息のお願い
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ソナルナ伯爵だけ、用意した宿屋に行ってもらい、ロザンナとロブは泊まっていくことになった。
ロザンナは明日、伯爵にわたしと一緒に住むことを伝えると言った。
「おかしいとは思っていたんです。私たちはお腹が減って苦しいのに、食べていないお母様たちが平気そうな顔をしているから」
「ロザンナは本当にしっかりしているのね」
アクス様がまだ来られないので、お風呂に入れられているロブを待っている間に、談話室でロザンナと話をしていた。
ロザンナはお茶を一口飲んで喉を潤してから応えてくれる。
「ロブはとっても呑気なんです。だから、私がしっかりしないといけないと思って。ロブは家が燃えた時も全然ショックを受けてなくて、自分の部屋が無事だったから良かったみたいな感じです」
「それはそれで心配ね。でも、火事に巻き込まれなくて本当に良かったわ」
「私もそう思います。ロブだけだったら死んでしまっていたと思います」
「火の怖さもしっかり教えないと駄目ね」
姉妹だからか、顔はあまり似ていないけど、初対面とは思えないくらいに話しやすかった。
ロザンナの考え方が大人びているのもあるのかもしれない。
「お姉様は今までどうでしたか? 辛かったですか?」
「そうね。最初はとても辛くて泣いてばかりいたわ。だけど、それよりも人を助けたいという気持ちが強くなったの。だからって、あなたたちを放置しておいて良かったことにはならないから、謝らないといけないわね」
「国のお仕事のほうが大事です。気にしないでください」
ロザンナはそう言って微笑んでくれた。
過去には戻れない。
わたしは、ロザンナたちのためにできることをやらないといけないわ。
決意を新たにしていると、ふわあとロザンナが欠伸をする。
「なんだか、リアンナお姉様といると眠くなってしまいます」
「それは、アクス様にも言われたわ」
「アクス様って、テイル公爵令息のアクス様ですか?」
眠いと言っていたのに、ロザンナは目を大きく開けて聞いてきた。
「ええ。そうだけど」
「目の下にクマがある、とても怖そうな人なのですよね?」
「興味があるなら紹介するわ。もうすぐ来られると思うから」
ちょうど良いタイミングで扉が叩かれ、アクス様が訪ねてこられたと執事が教えてくれた。
だからか、メイドがやって来て、ロザンナに話しかける。
「ロザンナお嬢様、お体や髪を洗いますので、わたくし共と一緒に来ていただけませんでしょうか」
「あの」
良いと言って良いのかわからないのか、わたしに助けを求めてきたので、笑顔で頷く。
「よっぽど嫌なら嫌だと言えば良いけれど、彼女たちは、あなたにとって良いことをしてくれるはずだから、仲良くしておいたほうが良いと思うわ」
「わかりました、お姉様。ありがとうございます」
どうしてお礼を言われたのかはわからない。
ロザンナは何に対して、お礼を言ってくれたのかは教えてくれないまま、部屋を出ていった。
わたしも急いで、アクス様を通した応接室に向かう。
お互いに簡単な挨拶を済ませたあと、まずは、ソナルナ伯爵夫人について、アクス様は話しはじめた。
「本来なら、かなり重い罪なんだが、本人に前科がないということと、反省しているらしいから、すぐに釈放されるだろう。保釈金を払えればだが」
「何が一番正しいのかわからないんです。妹は状況を理解してくれていますが、弟は年齢的にも難しいかと思います」
「意味がわからないまま、親から離されても心の傷になるだろうからな」
アクス様はそう言ってから提案してくる。
「更生施設があるから、そこへ入れてみてもいいかもな。監視が入るから、家族で住むことになっても、何かあれば異変に気付けるだろう」
「ありがとうございます」
今日の晩にロブとちゃんと話をしてみましょう。
そう思ってから、アクス様に話しかける。
「わたしに何かご用事でしょうか?」
「勝手なお願いで申し訳ないんだが、君が近くにいると、よく眠れるんだ。リアンナ嬢の都合のよい時に、近くで眠らせてもらえないだろうか」
思いもよらなかった提案に、わたしは驚きつつも、断る理由もないので承諾することにした。
ロザンナは明日、伯爵にわたしと一緒に住むことを伝えると言った。
「おかしいとは思っていたんです。私たちはお腹が減って苦しいのに、食べていないお母様たちが平気そうな顔をしているから」
「ロザンナは本当にしっかりしているのね」
アクス様がまだ来られないので、お風呂に入れられているロブを待っている間に、談話室でロザンナと話をしていた。
ロザンナはお茶を一口飲んで喉を潤してから応えてくれる。
「ロブはとっても呑気なんです。だから、私がしっかりしないといけないと思って。ロブは家が燃えた時も全然ショックを受けてなくて、自分の部屋が無事だったから良かったみたいな感じです」
「それはそれで心配ね。でも、火事に巻き込まれなくて本当に良かったわ」
「私もそう思います。ロブだけだったら死んでしまっていたと思います」
「火の怖さもしっかり教えないと駄目ね」
姉妹だからか、顔はあまり似ていないけど、初対面とは思えないくらいに話しやすかった。
ロザンナの考え方が大人びているのもあるのかもしれない。
「お姉様は今までどうでしたか? 辛かったですか?」
「そうね。最初はとても辛くて泣いてばかりいたわ。だけど、それよりも人を助けたいという気持ちが強くなったの。だからって、あなたたちを放置しておいて良かったことにはならないから、謝らないといけないわね」
「国のお仕事のほうが大事です。気にしないでください」
ロザンナはそう言って微笑んでくれた。
過去には戻れない。
わたしは、ロザンナたちのためにできることをやらないといけないわ。
決意を新たにしていると、ふわあとロザンナが欠伸をする。
「なんだか、リアンナお姉様といると眠くなってしまいます」
「それは、アクス様にも言われたわ」
「アクス様って、テイル公爵令息のアクス様ですか?」
眠いと言っていたのに、ロザンナは目を大きく開けて聞いてきた。
「ええ。そうだけど」
「目の下にクマがある、とても怖そうな人なのですよね?」
「興味があるなら紹介するわ。もうすぐ来られると思うから」
ちょうど良いタイミングで扉が叩かれ、アクス様が訪ねてこられたと執事が教えてくれた。
だからか、メイドがやって来て、ロザンナに話しかける。
「ロザンナお嬢様、お体や髪を洗いますので、わたくし共と一緒に来ていただけませんでしょうか」
「あの」
良いと言って良いのかわからないのか、わたしに助けを求めてきたので、笑顔で頷く。
「よっぽど嫌なら嫌だと言えば良いけれど、彼女たちは、あなたにとって良いことをしてくれるはずだから、仲良くしておいたほうが良いと思うわ」
「わかりました、お姉様。ありがとうございます」
どうしてお礼を言われたのかはわからない。
ロザンナは何に対して、お礼を言ってくれたのかは教えてくれないまま、部屋を出ていった。
わたしも急いで、アクス様を通した応接室に向かう。
お互いに簡単な挨拶を済ませたあと、まずは、ソナルナ伯爵夫人について、アクス様は話しはじめた。
「本来なら、かなり重い罪なんだが、本人に前科がないということと、反省しているらしいから、すぐに釈放されるだろう。保釈金を払えればだが」
「何が一番正しいのかわからないんです。妹は状況を理解してくれていますが、弟は年齢的にも難しいかと思います」
「意味がわからないまま、親から離されても心の傷になるだろうからな」
アクス様はそう言ってから提案してくる。
「更生施設があるから、そこへ入れてみてもいいかもな。監視が入るから、家族で住むことになっても、何かあれば異変に気付けるだろう」
「ありがとうございます」
今日の晩にロブとちゃんと話をしてみましょう。
そう思ってから、アクス様に話しかける。
「わたしに何かご用事でしょうか?」
「勝手なお願いで申し訳ないんだが、君が近くにいると、よく眠れるんだ。リアンナ嬢の都合のよい時に、近くで眠らせてもらえないだろうか」
思いもよらなかった提案に、わたしは驚きつつも、断る理由もないので承諾することにした。
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