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12 公爵令嬢の悩み
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手紙の返事をした次の日の朝に、実家が綺麗に半分だけ焼けたという連絡が来た。
「どういうことですか?」
家族は全員無事だったことを確認したあと、意味がわからなくて伝令係の人に尋ねてみた。
「そのままの意味でして……」
苦笑して教えてくれた内容はこんなものだ。
子供たちが勝手に料理をして、何らかの理由で勢いよく周り、屋敷の半分だけが燃えた。
燃えたのは現金を置いていた部屋と、両親の自室などで、妹たちの部屋は大丈夫だったらしい。
金目のものになるものが置いてある部屋と、現金が置いてある部屋が燃えたということで、ちょうど、厨房がある上の部屋にかたまっていたそうだ。
小さな子供に料理をさせたことについては、子供たちが勝手にやったことらしい。
使用人が誰もおらず、食事は買ってきたものを与えられただけで、満足するまでは食べさせてもらっていないようだった。
「それにしても、不自然な火の回り方だと、火事の原因を調べた関係者は首を傾げていたそうです」
「素人のわたしが考えてもそう思いますもの。何か悪いことをして、罰が当たったのかもしれませんね」
両親が良い人間ではないということはわかっている。
あとからブルーノ様に聞いたけれど、両親がお金に困っていないことは知っていたらしい。
でも、可愛い盛りの娘を奪ったということで、その慰謝料も兼ねて支払ってくれていたんだそうだ。
わたしはそんなことは知らずに、純粋な気持ちで家族を助けようとしていたのだから嫌になる。
もっと疑う心を持たないといけないわ。
きっと、両親は弟妹を連れて、こちらにやって来るでしょう。
そうなった時は弟妹の様子を見て、保護しなければならない場合は保護してもらおうと思った。
親と離れたくないと言った場合は、少し考えなければならない。
わたしは両親とは縁を切ったことになっているから、近いうちに国王陛下から新たな姓を授けてもらえることになった。
だから、弟妹とは他人になってしまう。
血が繋がっていることもあるし、何よりまだ幼い子供だから、姉であるわたしがどうにかしてあげなくちゃ。
そう思っていると、伝令係の男性が笑顔で言う。
「国王陛下の命でソナルナ家には監視をつけていますので、ご家族が危険な目に遭うということはないでしょう。現在は手持ちのお金で宿屋にいるようです」
「そうですか。でも、そのうち、こちらにやって来るでしょうね」
「動きがあれば、お知らせします」
伝令係の人にお礼を言って別れてから、今日のスケジュールを確認する。
今日はテイル公爵家の長女のエルン様がやって来る。
エルン様は浮気相手だと言われたアクス様の妹で、アクス様と4歳違いだから、たしか現在は15歳だ。
兄のことで相談したいと手紙がきたから会うことにした。
前回は身体のことについて話ができなかったから、ちょうど良かったからだ。
お昼前にやって来たエルン様は、金色のゆるやかなウェーブのかかった髪に、晴れ渡った空のような綺麗な青色の瞳を持つ、目のぱっちりとした可愛らしい小柄な少女だった。
挨拶を交わしたあと、エルンと呼んでほしいとお願いされたので、テイル公爵令嬢ではなくエルン様とお呼びすることにした。
メイドにお茶を淹れてもらってから、早速、本題に入る。
「今日はどうされましたか?」
「あの、兄の体調の件で相談させていただくてやって参りました。リアンナ様の選んだ方が国王陛下になると発表された時、兄はリアンナ様の近くにいると眠くなったと言っていたんです」
「もしかして、アクス様は不眠症なんですか?」
「父も母もそうなのですが、仕事人間で仕事をしていな時間帯はほとんどありません。食事しながら仕事、馬車移動の際も仕事で、休みの日もありません。しかも、最近は仕事で忙しいだけでなく、ここ最近は、テナミ様とハリー様、それだけでなく、テナミ様の婚約者であるムーニャ様がテイル公爵家までやって来て、お兄様にリアンナ様を諦めろと言って、仕事の邪魔をしてくるのです」
エルン様の話を聞いて目眩がした。
あの三人は一体何がしたいの?
それにしても、テナミ様が国王にならなくて本当に良かったわ。
「どういうことですか?」
家族は全員無事だったことを確認したあと、意味がわからなくて伝令係の人に尋ねてみた。
「そのままの意味でして……」
苦笑して教えてくれた内容はこんなものだ。
子供たちが勝手に料理をして、何らかの理由で勢いよく周り、屋敷の半分だけが燃えた。
燃えたのは現金を置いていた部屋と、両親の自室などで、妹たちの部屋は大丈夫だったらしい。
金目のものになるものが置いてある部屋と、現金が置いてある部屋が燃えたということで、ちょうど、厨房がある上の部屋にかたまっていたそうだ。
小さな子供に料理をさせたことについては、子供たちが勝手にやったことらしい。
使用人が誰もおらず、食事は買ってきたものを与えられただけで、満足するまでは食べさせてもらっていないようだった。
「それにしても、不自然な火の回り方だと、火事の原因を調べた関係者は首を傾げていたそうです」
「素人のわたしが考えてもそう思いますもの。何か悪いことをして、罰が当たったのかもしれませんね」
両親が良い人間ではないということはわかっている。
あとからブルーノ様に聞いたけれど、両親がお金に困っていないことは知っていたらしい。
でも、可愛い盛りの娘を奪ったということで、その慰謝料も兼ねて支払ってくれていたんだそうだ。
わたしはそんなことは知らずに、純粋な気持ちで家族を助けようとしていたのだから嫌になる。
もっと疑う心を持たないといけないわ。
きっと、両親は弟妹を連れて、こちらにやって来るでしょう。
そうなった時は弟妹の様子を見て、保護しなければならない場合は保護してもらおうと思った。
親と離れたくないと言った場合は、少し考えなければならない。
わたしは両親とは縁を切ったことになっているから、近いうちに国王陛下から新たな姓を授けてもらえることになった。
だから、弟妹とは他人になってしまう。
血が繋がっていることもあるし、何よりまだ幼い子供だから、姉であるわたしがどうにかしてあげなくちゃ。
そう思っていると、伝令係の男性が笑顔で言う。
「国王陛下の命でソナルナ家には監視をつけていますので、ご家族が危険な目に遭うということはないでしょう。現在は手持ちのお金で宿屋にいるようです」
「そうですか。でも、そのうち、こちらにやって来るでしょうね」
「動きがあれば、お知らせします」
伝令係の人にお礼を言って別れてから、今日のスケジュールを確認する。
今日はテイル公爵家の長女のエルン様がやって来る。
エルン様は浮気相手だと言われたアクス様の妹で、アクス様と4歳違いだから、たしか現在は15歳だ。
兄のことで相談したいと手紙がきたから会うことにした。
前回は身体のことについて話ができなかったから、ちょうど良かったからだ。
お昼前にやって来たエルン様は、金色のゆるやかなウェーブのかかった髪に、晴れ渡った空のような綺麗な青色の瞳を持つ、目のぱっちりとした可愛らしい小柄な少女だった。
挨拶を交わしたあと、エルンと呼んでほしいとお願いされたので、テイル公爵令嬢ではなくエルン様とお呼びすることにした。
メイドにお茶を淹れてもらってから、早速、本題に入る。
「今日はどうされましたか?」
「あの、兄の体調の件で相談させていただくてやって参りました。リアンナ様の選んだ方が国王陛下になると発表された時、兄はリアンナ様の近くにいると眠くなったと言っていたんです」
「もしかして、アクス様は不眠症なんですか?」
「父も母もそうなのですが、仕事人間で仕事をしていな時間帯はほとんどありません。食事しながら仕事、馬車移動の際も仕事で、休みの日もありません。しかも、最近は仕事で忙しいだけでなく、ここ最近は、テナミ様とハリー様、それだけでなく、テナミ様の婚約者であるムーニャ様がテイル公爵家までやって来て、お兄様にリアンナ様を諦めろと言って、仕事の邪魔をしてくるのです」
エルン様の話を聞いて目眩がした。
あの三人は一体何がしたいの?
それにしても、テナミ様が国王にならなくて本当に良かったわ。
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