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番外編
それぞれのその後
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※ミシェルのその後もありますが、因果応報のようなものです。残酷なラストや厳しいざまぁのようなものを望まれている方には、時間の無駄になりますので読むのはお控えください。
ミシェルが仮釈放されたという連絡が入ったのは、私とフェリックスが結婚してから5年後のことだった。
彼女がどうなっているかは、定期的に知らせを受けていたので仮釈放の話を聞かされた時は、そう驚きはしなかった。
朝食の時にその話題を出してきたフェリックスに尋ねる。
「仮釈放ということは彼女は模範囚だったってことよね?」
「刑務所内部でのいじめもあって、かなり大人しくなってたらしいぞ」
「反省はしているのかしら」
「さあな」
「で、ミシェルが今、どうしているのかわかるの?」
「気になるのか」
フェリックスが眉根を寄せて聞いてきた。
私がミシェルを心配しているとでも思っているのかしら。
苦笑して正直な気持ちを伝える。
「冷たいと思われるかもしれないけれど、ただの興味本位よ」
「それなら良い。ミシェルだが、まずはエルンベル男爵の所に行ったが門前払いされてる」
「新しい家族ができたソラン様にしてみれば、ミシェルなんて絶対に受け入れたくないでしょうね」
ソラン様は2年前に再婚していた。
お相手は男爵家の女性で結婚していたけれど、夫の浮気で離婚し、元夫との間に生まれた子供を連れて実家に戻り、ソラン様の家のメイドとして働いていた。
ソラン様は自分の子供と会えなくなったこともあり、彼女の子供を連れて屋敷に連れてこさせて、とても可愛がったらしい。
そこから関係が発展していったそうだ。
「兄が無理だとわかったあとは知り合いの貴族の屋敷をまわったそうだが、誰も相手にしてくれず、今はあんなに嫌っていた平民にお世話になってる」
「その人に迷惑をかけていないのなら良いけど、どうなの?」
「お互い様ってとこなんじゃねぇかな。そこで働くかわりに衣食住の面倒を見てもらってるって感じだから」
フェリックスがミシェルの働き先を口にするのを躊躇っているように思えた。
ということはミシェルが今、お世話になっているところは表向きはどうだかわからないけれど、裏では自分の身を売るようなところではないかと思われる。
今は聞かせたくない相手が側にいるから言えないみたいだった。
「後で詳しい話をしてくれる?」
「ああ。チビたちがいないとこでな」
この5年の間に私とフェリックスの間に子供が二人できた。
娘と息子で、今年で4歳と2歳になる。
4歳の娘はフェリックスにべったりで言葉遣いが悪く、2歳の息子は私にくっついて離れない。
「おかーしゃま、だっこ」
「ちゃんと食べ終えてからね」
「んー! だっこしちぇ!」
スプーンを皿に放りだして、息子が小さな手を伸ばしてきた。
「おとーさま、わたしもだっこしてください!」
そんな弟の様子を見ていた娘は、隣に座るフェリックスに手を伸ばす。
私の幼い頃に似ていると言われる娘におねだりされ、フェリックスは破顔した。
「いいぞ。おいで」
「ちょっとフェリックス! 甘やかすのはやめてって言ってるでしょう! フェリル、抱っこは食事を終えてからにしてもらいなさい」
「はーい」
娘のフェリルは、素直に言うことを聞いて途中だった食事を再開した。
それから約二十日後、ミシェルは雇ってくれた店で客とトラブルを起こし、刑務所に戻ることになった。
そして、その後は塀の中で一生を終えることになるのだった。
※
最後までお読みいただきありがとうございました。
そして、リクエストもありがとうございました。
現在、連載中の「許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?」などでお会いできますと幸いです。
ミシェルが仮釈放されたという連絡が入ったのは、私とフェリックスが結婚してから5年後のことだった。
彼女がどうなっているかは、定期的に知らせを受けていたので仮釈放の話を聞かされた時は、そう驚きはしなかった。
朝食の時にその話題を出してきたフェリックスに尋ねる。
「仮釈放ということは彼女は模範囚だったってことよね?」
「刑務所内部でのいじめもあって、かなり大人しくなってたらしいぞ」
「反省はしているのかしら」
「さあな」
「で、ミシェルが今、どうしているのかわかるの?」
「気になるのか」
フェリックスが眉根を寄せて聞いてきた。
私がミシェルを心配しているとでも思っているのかしら。
苦笑して正直な気持ちを伝える。
「冷たいと思われるかもしれないけれど、ただの興味本位よ」
「それなら良い。ミシェルだが、まずはエルンベル男爵の所に行ったが門前払いされてる」
「新しい家族ができたソラン様にしてみれば、ミシェルなんて絶対に受け入れたくないでしょうね」
ソラン様は2年前に再婚していた。
お相手は男爵家の女性で結婚していたけれど、夫の浮気で離婚し、元夫との間に生まれた子供を連れて実家に戻り、ソラン様の家のメイドとして働いていた。
ソラン様は自分の子供と会えなくなったこともあり、彼女の子供を連れて屋敷に連れてこさせて、とても可愛がったらしい。
そこから関係が発展していったそうだ。
「兄が無理だとわかったあとは知り合いの貴族の屋敷をまわったそうだが、誰も相手にしてくれず、今はあんなに嫌っていた平民にお世話になってる」
「その人に迷惑をかけていないのなら良いけど、どうなの?」
「お互い様ってとこなんじゃねぇかな。そこで働くかわりに衣食住の面倒を見てもらってるって感じだから」
フェリックスがミシェルの働き先を口にするのを躊躇っているように思えた。
ということはミシェルが今、お世話になっているところは表向きはどうだかわからないけれど、裏では自分の身を売るようなところではないかと思われる。
今は聞かせたくない相手が側にいるから言えないみたいだった。
「後で詳しい話をしてくれる?」
「ああ。チビたちがいないとこでな」
この5年の間に私とフェリックスの間に子供が二人できた。
娘と息子で、今年で4歳と2歳になる。
4歳の娘はフェリックスにべったりで言葉遣いが悪く、2歳の息子は私にくっついて離れない。
「おかーしゃま、だっこ」
「ちゃんと食べ終えてからね」
「んー! だっこしちぇ!」
スプーンを皿に放りだして、息子が小さな手を伸ばしてきた。
「おとーさま、わたしもだっこしてください!」
そんな弟の様子を見ていた娘は、隣に座るフェリックスに手を伸ばす。
私の幼い頃に似ていると言われる娘におねだりされ、フェリックスは破顔した。
「いいぞ。おいで」
「ちょっとフェリックス! 甘やかすのはやめてって言ってるでしょう! フェリル、抱っこは食事を終えてからにしてもらいなさい」
「はーい」
娘のフェリルは、素直に言うことを聞いて途中だった食事を再開した。
それから約二十日後、ミシェルは雇ってくれた店で客とトラブルを起こし、刑務所に戻ることになった。
そして、その後は塀の中で一生を終えることになるのだった。
※
最後までお読みいただきありがとうございました。
そして、リクエストもありがとうございました。
現在、連載中の「許してもらえるだなんて本気で思っているのですか?」などでお会いできますと幸いです。
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教えていただきありがとうございます!
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感想をありがとうございます!
楽しんで読んでもらえたなら嬉しいです✨
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感想をありがとうございます。
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