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番外編
元夫が初夜を拒んだ理由
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ロン様に拒ばまれた初夜は、フェリックスとは無事に迎えられた。
最初は頭がふわふわして、痛いだなんて嘘だったのかと思ったら、そんなことはなかった
本当に痛くて逃げ出してしまいそうになったくらいだ。
だからといって、フェリックスを嫌いだなんて思う気持ちは全くない。
経験してみると、なんだかんだ言って、ロン様は私とこういうことがしたくなかっただけかもしれないと思い始めた。
初めては色々とあるからと、フェリックスも努力してくれていたようだから、ロン様にはそれが面倒だと思われてしまったのかもしれない。
疲れ切って眠っていたからか、時計を見ると、いつも起きる時間よりも、かなり寝坊していた。
ゆっくりと体を起こすと、フェリックスの腕が腰に巻き付いてきた。
「まだ良いだろ」
「何を言ってるの、もう8時よ」
「初夜の次の日なんだから、昼まで寝てても何も言われねぇよ」
フェリックスはそう言って、ネグリジェをめくって、私の腰にキスをした。
「ちょっと、フェリックス!」
「体調はどうだ?」
「腰とか色々と痛いところはあるけれど、気分が悪いとかはないわ。あなたは?」
「ぐっすり寝れたから大丈夫だ」
「それなら良かったわ」
もう一度、ベッドに横になると、フェリックスがぎゅうっと抱きしめてきた。
「どうして、あいつは自分でシェリルの初めてをもらおうとしなかったんだろうな」
「初めての女性は面倒だと言う人もいるじゃない。それでじゃないの?」
「失敗してカッコ悪いとか下手とか思われたくなかったとかか?」
「それだけなら、ミシェルじゃなくて、そういう女性がいる場所に行くべきじゃない?」
上半身は裸のまま、フェリックスが口を濯ぐと言って起き上がったので、私も起き上がって、一緒に移動する。
「そういう女性は病気を持ってる人もいるから、シェリルに伝染したくなかったのかもな」
「……だから、ミシェルとしようとしたと言いたいの?」
「練習台にするつもりが、ミシェルの口車に乗せられたか、もしくは、シェリルの痛そうにしてる顔を見たくなかったか」
痛そうにしている顔を見たくなかったというほうが合っているような気がした。
歯を磨いてから、ベッド脇に置かれていた果実ジュースと水を飲んで、乾いていた喉を潤す。
よっぽど喉が乾いていたのか、いつもよりも美味しく感じられた。
「何が理由であれ、あの時の私は、ロン様に私以外の人とそんなことはしてほしくなかったわ」
「シェリルはそうだろうけど、俺にとっては有り難かった」
「どういうこと?」
ベッドに腰掛けていた私の前にフェリックスが立ったので見上げて尋ねた。
すると、フェリックスは身を屈めて答える。
「明るい時に見たいものがあるんだ」
「意味がわからないわ」
眉根を寄せると、フェリックスは深く口付けてきた。
「ぅんっ!?」
驚いて声を上げる同時に、ベッドに押し倒された。
「フェリックス! 何を考えてるのよ!」
「昨日は暗かったから、シェリルの顔がはっきりとは見れなかったんだよな」
「だ、だ、駄目よ!」
彼が何をしようとしているのかわかって抵抗した。
「昨日は暗かったし、こっちもいっぱいいっぱいだったから、シェリルが辛そうにしてる顔が、あまり見えなくて良かった」
「今だって辛い顔をするわよ!」
「それはどうかわからない」
結局、フェリックスの力に勝てるはずがなく、私は呆気なく彼に美味しくいただかれてしまうのだった。
最初は頭がふわふわして、痛いだなんて嘘だったのかと思ったら、そんなことはなかった
本当に痛くて逃げ出してしまいそうになったくらいだ。
だからといって、フェリックスを嫌いだなんて思う気持ちは全くない。
経験してみると、なんだかんだ言って、ロン様は私とこういうことがしたくなかっただけかもしれないと思い始めた。
初めては色々とあるからと、フェリックスも努力してくれていたようだから、ロン様にはそれが面倒だと思われてしまったのかもしれない。
疲れ切って眠っていたからか、時計を見ると、いつも起きる時間よりも、かなり寝坊していた。
ゆっくりと体を起こすと、フェリックスの腕が腰に巻き付いてきた。
「まだ良いだろ」
「何を言ってるの、もう8時よ」
「初夜の次の日なんだから、昼まで寝てても何も言われねぇよ」
フェリックスはそう言って、ネグリジェをめくって、私の腰にキスをした。
「ちょっと、フェリックス!」
「体調はどうだ?」
「腰とか色々と痛いところはあるけれど、気分が悪いとかはないわ。あなたは?」
「ぐっすり寝れたから大丈夫だ」
「それなら良かったわ」
もう一度、ベッドに横になると、フェリックスがぎゅうっと抱きしめてきた。
「どうして、あいつは自分でシェリルの初めてをもらおうとしなかったんだろうな」
「初めての女性は面倒だと言う人もいるじゃない。それでじゃないの?」
「失敗してカッコ悪いとか下手とか思われたくなかったとかか?」
「それだけなら、ミシェルじゃなくて、そういう女性がいる場所に行くべきじゃない?」
上半身は裸のまま、フェリックスが口を濯ぐと言って起き上がったので、私も起き上がって、一緒に移動する。
「そういう女性は病気を持ってる人もいるから、シェリルに伝染したくなかったのかもな」
「……だから、ミシェルとしようとしたと言いたいの?」
「練習台にするつもりが、ミシェルの口車に乗せられたか、もしくは、シェリルの痛そうにしてる顔を見たくなかったか」
痛そうにしている顔を見たくなかったというほうが合っているような気がした。
歯を磨いてから、ベッド脇に置かれていた果実ジュースと水を飲んで、乾いていた喉を潤す。
よっぽど喉が乾いていたのか、いつもよりも美味しく感じられた。
「何が理由であれ、あの時の私は、ロン様に私以外の人とそんなことはしてほしくなかったわ」
「シェリルはそうだろうけど、俺にとっては有り難かった」
「どういうこと?」
ベッドに腰掛けていた私の前にフェリックスが立ったので見上げて尋ねた。
すると、フェリックスは身を屈めて答える。
「明るい時に見たいものがあるんだ」
「意味がわからないわ」
眉根を寄せると、フェリックスは深く口付けてきた。
「ぅんっ!?」
驚いて声を上げる同時に、ベッドに押し倒された。
「フェリックス! 何を考えてるのよ!」
「昨日は暗かったから、シェリルの顔がはっきりとは見れなかったんだよな」
「だ、だ、駄目よ!」
彼が何をしようとしているのかわかって抵抗した。
「昨日は暗かったし、こっちもいっぱいいっぱいだったから、シェリルが辛そうにしてる顔が、あまり見えなくて良かった」
「今だって辛い顔をするわよ!」
「それはどうかわからない」
結局、フェリックスの力に勝てるはずがなく、私は呆気なく彼に美味しくいただかれてしまうのだった。
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