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24 育ての親との決別 ①
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わざわざエルンベル伯爵家の人たちに会うつもりはないと、最初は思っていた。
でも、養子縁組を解消してくれることは、私としては有り難いことでもあるので、そのことについての感謝は伝えたいという気持ちもあった。
こんなことをしてはいけないとは思うけれど、どうせなら正面からぶつかって勝ちたい。
今まで育ててきてくれたお礼も伝えなければならないことも確かではある。
別に私は恩を仇で返すつもりはなかった。
でも、そうさせる道を選んだのはエルンベル伯爵家でもある。
とある日の、よく晴れた日のティータイム。
エイト公爵邸の中庭にある白いガゼボの中で、私はロータス様と養子縁組の件で話をしていた。
ロータス様がのんびりとした口調で話しかけてくる。
「隠居した両親は楽しみにしてるよ。そういえば、シェリル・シドって、あまりゴロが良くないかと思ったけど、結婚したら変わるしいいか」
「それなら、ミオ・シドも良くないような気がします。個人の感想ですけれど」
「個人の感想であっても聞きたくないものだとわかっているんだから言うのはやめてくれないか」
ロータス様は情けない顔になって言った。
普段は飄々としている人だけれど、気のおけない友人などには子供のような態度を見せる。
それは昔から変わっていないようだった。
「ロータス様は私を妹にすることで、ミオ様との距離を縮めたいのでしょう。私のほうが大きなメリットがあるといえど、人のことを利用するのですから、これくらいは言わせてくださいませ」
「それだけじゃないよ。純粋にシェリルとフェリックスを応援したいんだ」
「ですが、パワーバランスの件で他の貴族から反対が出るのではないでしょうか」
「ミオ嬢は一人しかいないんだから、誰が妻にしても一緒だろう」
「それだけではなく、私がロータス様の妹になってフェリックスに嫁ぐことは、シド家の影響力が増すことになります」
私の話を聞いたロータス様は苦笑する。
「ミオ嬢を妻にしたいと思っている話は昔にしたよね」
「はい。何度も聞いていないのに教えてくださいました」
「シェリルの言いたいことをはっきり言うところ、好感が持てていいね」
「他の人がいる前では言えませんし言いません」
「そうだね。妹になるんだから言いたいことはいつでも言ってくれていいよ」
笑顔のロータス様に話題が逸れていることを伝える。
昔から話をしているんだから、対策をしてないわけがないと言いたいんでしょうけれど聞いておきたかった。
「都合の悪いことだからといって、話を逸らすのはやめてくださいませ。シド家の影響力の話についての話のお答えを聞いても良いですか」
「大して変わらないよ。シェリルも知っているだろうけど、この国の社交界での女性の地位は低い」
「妻をアクセサリーのように考えている男性は少なからずいらっしゃいますわね」
「エルンベル伯爵が君の養子縁組の解除をすぐにしなかったのもそれが理由だよ」
「私をマスコット代わりにしたのですね」
ロータス様は頷きはしなかったけれど、無言で笑顔を見せた。
「シェリル、その辺のことは僕やフェリックスに任せてくれないか。自分たちがわがままを通そうとしていることは理解しているから」
「ミオ様を幸せにしてくださるのなら、私はロータス様を応援するつもりでおります」
「ありがとう、シェリル」
「ミオ様がロータス様を嫌がるなら別ですが」
「……シェリルは相変わらずだなぁ」
ロータス様は笑うと、椅子から立ち上がる。
「話が終わったら、フェリックスの所に来いと言われているんだ。あまり長話をしたら文句を言われるし行くよ」
「生意気なことを言いましたが、ロータス様には本当に感謝しております。ありがとうございます」
立ち上がって頭を下げると、ロータス様が言う。
「シェリルの気持ちは伝わってるよ」
「それからロータス様、私はエルンベル伯爵家と話をしようと思うのですが」
「かまわないよ。そのかわり僕も一緒じゃないと駄目だ。話を聞いたらどんな顔をするのか見てみたいからさ。場所は僕の邸にすると最初から答えを教えてるようなものだから、エルンベル伯爵家が良いかな」
ロータス様はそう言うと、少し離れた場所に立っている側近二人に声をかける。
「シェリルに空いている日時を知らせてくれ。無理やりスケジュールを空けてくれても良い」
「承知いたしました」
側近たちは恭しく頭を下げたあと、一人が私の元へやって来て、スケジュールの調整をしてくれたのだった。
でも、養子縁組を解消してくれることは、私としては有り難いことでもあるので、そのことについての感謝は伝えたいという気持ちもあった。
こんなことをしてはいけないとは思うけれど、どうせなら正面からぶつかって勝ちたい。
今まで育ててきてくれたお礼も伝えなければならないことも確かではある。
別に私は恩を仇で返すつもりはなかった。
でも、そうさせる道を選んだのはエルンベル伯爵家でもある。
とある日の、よく晴れた日のティータイム。
エイト公爵邸の中庭にある白いガゼボの中で、私はロータス様と養子縁組の件で話をしていた。
ロータス様がのんびりとした口調で話しかけてくる。
「隠居した両親は楽しみにしてるよ。そういえば、シェリル・シドって、あまりゴロが良くないかと思ったけど、結婚したら変わるしいいか」
「それなら、ミオ・シドも良くないような気がします。個人の感想ですけれど」
「個人の感想であっても聞きたくないものだとわかっているんだから言うのはやめてくれないか」
ロータス様は情けない顔になって言った。
普段は飄々としている人だけれど、気のおけない友人などには子供のような態度を見せる。
それは昔から変わっていないようだった。
「ロータス様は私を妹にすることで、ミオ様との距離を縮めたいのでしょう。私のほうが大きなメリットがあるといえど、人のことを利用するのですから、これくらいは言わせてくださいませ」
「それだけじゃないよ。純粋にシェリルとフェリックスを応援したいんだ」
「ですが、パワーバランスの件で他の貴族から反対が出るのではないでしょうか」
「ミオ嬢は一人しかいないんだから、誰が妻にしても一緒だろう」
「それだけではなく、私がロータス様の妹になってフェリックスに嫁ぐことは、シド家の影響力が増すことになります」
私の話を聞いたロータス様は苦笑する。
「ミオ嬢を妻にしたいと思っている話は昔にしたよね」
「はい。何度も聞いていないのに教えてくださいました」
「シェリルの言いたいことをはっきり言うところ、好感が持てていいね」
「他の人がいる前では言えませんし言いません」
「そうだね。妹になるんだから言いたいことはいつでも言ってくれていいよ」
笑顔のロータス様に話題が逸れていることを伝える。
昔から話をしているんだから、対策をしてないわけがないと言いたいんでしょうけれど聞いておきたかった。
「都合の悪いことだからといって、話を逸らすのはやめてくださいませ。シド家の影響力の話についての話のお答えを聞いても良いですか」
「大して変わらないよ。シェリルも知っているだろうけど、この国の社交界での女性の地位は低い」
「妻をアクセサリーのように考えている男性は少なからずいらっしゃいますわね」
「エルンベル伯爵が君の養子縁組の解除をすぐにしなかったのもそれが理由だよ」
「私をマスコット代わりにしたのですね」
ロータス様は頷きはしなかったけれど、無言で笑顔を見せた。
「シェリル、その辺のことは僕やフェリックスに任せてくれないか。自分たちがわがままを通そうとしていることは理解しているから」
「ミオ様を幸せにしてくださるのなら、私はロータス様を応援するつもりでおります」
「ありがとう、シェリル」
「ミオ様がロータス様を嫌がるなら別ですが」
「……シェリルは相変わらずだなぁ」
ロータス様は笑うと、椅子から立ち上がる。
「話が終わったら、フェリックスの所に来いと言われているんだ。あまり長話をしたら文句を言われるし行くよ」
「生意気なことを言いましたが、ロータス様には本当に感謝しております。ありがとうございます」
立ち上がって頭を下げると、ロータス様が言う。
「シェリルの気持ちは伝わってるよ」
「それからロータス様、私はエルンベル伯爵家と話をしようと思うのですが」
「かまわないよ。そのかわり僕も一緒じゃないと駄目だ。話を聞いたらどんな顔をするのか見てみたいからさ。場所は僕の邸にすると最初から答えを教えてるようなものだから、エルンベル伯爵家が良いかな」
ロータス様はそう言うと、少し離れた場所に立っている側近二人に声をかける。
「シェリルに空いている日時を知らせてくれ。無理やりスケジュールを空けてくれても良い」
「承知いたしました」
側近たちは恭しく頭を下げたあと、一人が私の元へやって来て、スケジュールの調整をしてくれたのだった。
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