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16 殿下とピンク色
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その日の内に私はアーク殿下の命により、ヴァージニア様の侍女の任を解かれた。
けれど、元々の仕えている先であるガルシア公爵家に戻る事は許されず、なぜか城内に滞在し続けないといけなかった。
突如、暇になった私は癒やされ…ではなく、色々と相談したくて、ミア様の所に行こうとしたけれど、外に出ると危険かもしれないからと却下され、そのかわり、一日たった今日に、ミア様を城に呼んでもらえる事になった。
もちろん、昨日の事を殿下に報告したから、こんな事になっている。
私自身はあんな脅しに負けるような精神でもないし、何より恐怖よりも怒りの方が勝っていた。
私の命を狙うなら狙えば良いと思う。
もし、私に何かあっても殿下ならきっと犯人を捕まえてくれるし、誰の指示かも突き止めてくれるはず。
そうなれば、ヴァージニア様も終わりだからね。
「ルルアったら、殿下にそんな事を言ったの? 好きな人に良い人を紹介してくれなんて言ったら、さすがの殿下も傷付いたんじゃない?」
「やんわりお断りする事が駄目だと気付いたんです。こうなったら私が悪者になってでも、殿下にとって本当にふさわしい人を見つけてほしいんですよ。ひどい事をいった方が嫌われるでしょう?」
「ルルアは本当に自分に自信がないから困るわね。それに、殿下の思いを甘くみすぎよ」
ティーテーブルを挟んで話していたミア様は苦笑してから立ち上がり、私の横まで来ると、私をぎゅうっと抱きしめる。
「大丈夫よ、ルルア。何があっても、私はあなたの味方だから。だから話してみて?」
「…ミア様。殿下が私のせいでバッシングを受けるとなったら、私は身を引かなかった事を後悔します。傷つく必要のなかったことで、殿下を傷つけるかもしれません。それに、私みたいな女を殿下がいつまでも好きでいてくれるかどうかもわからないですし…」
「そんな事を言ったら、私だって、どうしてレオが私の事を好きなのかわからないし、これからも好きでいてくれるかなんて自信がないわ!」
ミア様はどんと胸を張って続ける。
「だけど、レオが私を好きだって言ってくれてるのなら、信じようと思うし、もっと好きになってほしいって思うから頑張るのみよ!」
「そ、そんなものですか」
「人によって違うと思うけどね? ルルアはアーク殿下にわざと冷たくして嫌われたいみたいだけど、そんなのアーク殿下はわかってるわ? だから、余計に諦められないのよ」
「…? どういう事ですか?」
「自分の為に身を引こうとしてくれてるなんて思ったら、余計にいじらしくなっちゃうそうよ?」
「それ、殿下が言ってたんですか?」
何だか恥ずかしくなって聞き返すと、ミア様は苦笑して頷く。
「実は殿下と文通してるの。最近はレオと会ってても殿下へのお手紙の返事に夢中になっちゃって、レオから怒られたんだけど…」
「文通?」
「殿下ったら、こういう時のルルアは、こういう気持ちだと思うんだが、これで合ってるだろうか、って答え合わせをしてくるの。一日に何回か届く時があるわ」
「も、申し訳ございません!」
「ルルアが謝る事じゃないわ。私も楽しんでいるしね。ルルアが切羽詰まってるのもわかるし」
ミア様はクスクスと笑ったあと、私の頭を撫でてくれながら言う。
「ルルアは真面目だものね。でも、だからこそ出来る事があるんじゃないかと思うの」
「ミア様…」
弱音を吐きたくなって、涙が出そうになったその時だった。
部屋の扉がノックされ返事をすると、アーク殿下が中に入って来た。
「話がある。ちょうどいい。ミアも聞いてくれ」
「どうしたんですか?」
焦った表情の殿下に私が尋ねると、彼が手に握っていた紙を私に差し出してきた。
内容に目を通して驚いた。
そこに書かれていたのは、アーク殿下の婚約者を王族を含めた上位貴族の投票で決めると書かれてあったから。
「今日の会議で決まった。俺も出席していたから、これについては賛成した」
「ど、どういう事ですか?」
突然の展開にどう対応して良いかわからず、焦って聞き返すと、殿下が言った。
「候補者は二人。コッポラ嬢とルア、お前だ」
「これは大変ですね。ところで上位貴族は辺境伯も含まれます?」
何も言えなくなってしまった私の代わりにミア様が殿下に尋ねる。
「ああ。辺境伯以上だ」
「という事は、知り合いがいますから、お話をしてみます。あと、公爵である私のお父様にも投票権はありますよね?」
「王族とガルシア公爵はルアに入れるだろう。問題は残りの票だ」
「期限は?」
「二週間後」
「のんびりしていられませんね。ルルア、また連絡するわね。あと、細かいことは考えないで、自分の気持ちに素直になって! どうせお見通しなんだから!」
ミア様は私に手を振って、慌てて部屋を出ていかれた。
殿下と二人きりになっても、私の頭の中はまだパニック状態だった。
このまま、私が何もしなければ、ヴァージニア様と殿下が結婚する事になるの?
それは、この国にとって良い事なの?
もちろん、殿下にとってもだけど…。
「ルア」
「……」
「あまり長く答えは待っていられない。もちろん、お前の意思は尊重したい」
言い訳するように殿下は続ける。
「だけど、こうするしかなかった」
殿下は私に嫌われるかもしれないのがわかってて、一か八かの賭けに出たんだろう。
それに私に嫌われたとしても、私に票が集まれば、私は殿下のものになる。
「私は犯罪者の娘ですけど…」
「告発したのはお前だろう。お前は何も悪くない」
「殿下は私と地獄に落ちてもいいんですか?」
「お前がいるなら、俺はどんな時だろうが、どんな場所であろうが天国だ」
「何度も聞きますが、諦める気はないんですね?」
「じゃあ、俺も何度も言う。諦める気はないし、俺の手の届く範囲からはなすつもりもない。お前が俺を拒否したら、俺の部屋に閉じ込めて、俺の事しか考えられなくなるまでヤ」
「ちょっと! その先は言わなくていいです! どこでそんな言葉を覚えたんですか!」
殿下の口を慌てておさえるけど、すぐに私の手をはがして続ける。
「初めてだから下手かもしれんが、上達するように」
「だから、もういいです! 脳内がピンク色になりすぎです!」
悩んでたのが馬鹿みたいだわ。
私は最初から勝てもしない負け戦に挑んでたのね。
「わかりました。やれるだけやってみます。とにかく票集めをしないと駄目なんですよね?」
「……」
殿下がきょとんとした顔で私を見る。
「どうしたんですか」
「好きだ」
ぎゅうっと、殿下が私を抱きしめてきた。
ああ、もう。
こういうのはズルい。
「…ですよ」
「なんだって?」
「勝ったら言います」
殿下の背中に腕を回してから言うと、殿下は私を抱きしめる腕を強めた。
けれど、元々の仕えている先であるガルシア公爵家に戻る事は許されず、なぜか城内に滞在し続けないといけなかった。
突如、暇になった私は癒やされ…ではなく、色々と相談したくて、ミア様の所に行こうとしたけれど、外に出ると危険かもしれないからと却下され、そのかわり、一日たった今日に、ミア様を城に呼んでもらえる事になった。
もちろん、昨日の事を殿下に報告したから、こんな事になっている。
私自身はあんな脅しに負けるような精神でもないし、何より恐怖よりも怒りの方が勝っていた。
私の命を狙うなら狙えば良いと思う。
もし、私に何かあっても殿下ならきっと犯人を捕まえてくれるし、誰の指示かも突き止めてくれるはず。
そうなれば、ヴァージニア様も終わりだからね。
「ルルアったら、殿下にそんな事を言ったの? 好きな人に良い人を紹介してくれなんて言ったら、さすがの殿下も傷付いたんじゃない?」
「やんわりお断りする事が駄目だと気付いたんです。こうなったら私が悪者になってでも、殿下にとって本当にふさわしい人を見つけてほしいんですよ。ひどい事をいった方が嫌われるでしょう?」
「ルルアは本当に自分に自信がないから困るわね。それに、殿下の思いを甘くみすぎよ」
ティーテーブルを挟んで話していたミア様は苦笑してから立ち上がり、私の横まで来ると、私をぎゅうっと抱きしめる。
「大丈夫よ、ルルア。何があっても、私はあなたの味方だから。だから話してみて?」
「…ミア様。殿下が私のせいでバッシングを受けるとなったら、私は身を引かなかった事を後悔します。傷つく必要のなかったことで、殿下を傷つけるかもしれません。それに、私みたいな女を殿下がいつまでも好きでいてくれるかどうかもわからないですし…」
「そんな事を言ったら、私だって、どうしてレオが私の事を好きなのかわからないし、これからも好きでいてくれるかなんて自信がないわ!」
ミア様はどんと胸を張って続ける。
「だけど、レオが私を好きだって言ってくれてるのなら、信じようと思うし、もっと好きになってほしいって思うから頑張るのみよ!」
「そ、そんなものですか」
「人によって違うと思うけどね? ルルアはアーク殿下にわざと冷たくして嫌われたいみたいだけど、そんなのアーク殿下はわかってるわ? だから、余計に諦められないのよ」
「…? どういう事ですか?」
「自分の為に身を引こうとしてくれてるなんて思ったら、余計にいじらしくなっちゃうそうよ?」
「それ、殿下が言ってたんですか?」
何だか恥ずかしくなって聞き返すと、ミア様は苦笑して頷く。
「実は殿下と文通してるの。最近はレオと会ってても殿下へのお手紙の返事に夢中になっちゃって、レオから怒られたんだけど…」
「文通?」
「殿下ったら、こういう時のルルアは、こういう気持ちだと思うんだが、これで合ってるだろうか、って答え合わせをしてくるの。一日に何回か届く時があるわ」
「も、申し訳ございません!」
「ルルアが謝る事じゃないわ。私も楽しんでいるしね。ルルアが切羽詰まってるのもわかるし」
ミア様はクスクスと笑ったあと、私の頭を撫でてくれながら言う。
「ルルアは真面目だものね。でも、だからこそ出来る事があるんじゃないかと思うの」
「ミア様…」
弱音を吐きたくなって、涙が出そうになったその時だった。
部屋の扉がノックされ返事をすると、アーク殿下が中に入って来た。
「話がある。ちょうどいい。ミアも聞いてくれ」
「どうしたんですか?」
焦った表情の殿下に私が尋ねると、彼が手に握っていた紙を私に差し出してきた。
内容に目を通して驚いた。
そこに書かれていたのは、アーク殿下の婚約者を王族を含めた上位貴族の投票で決めると書かれてあったから。
「今日の会議で決まった。俺も出席していたから、これについては賛成した」
「ど、どういう事ですか?」
突然の展開にどう対応して良いかわからず、焦って聞き返すと、殿下が言った。
「候補者は二人。コッポラ嬢とルア、お前だ」
「これは大変ですね。ところで上位貴族は辺境伯も含まれます?」
何も言えなくなってしまった私の代わりにミア様が殿下に尋ねる。
「ああ。辺境伯以上だ」
「という事は、知り合いがいますから、お話をしてみます。あと、公爵である私のお父様にも投票権はありますよね?」
「王族とガルシア公爵はルアに入れるだろう。問題は残りの票だ」
「期限は?」
「二週間後」
「のんびりしていられませんね。ルルア、また連絡するわね。あと、細かいことは考えないで、自分の気持ちに素直になって! どうせお見通しなんだから!」
ミア様は私に手を振って、慌てて部屋を出ていかれた。
殿下と二人きりになっても、私の頭の中はまだパニック状態だった。
このまま、私が何もしなければ、ヴァージニア様と殿下が結婚する事になるの?
それは、この国にとって良い事なの?
もちろん、殿下にとってもだけど…。
「ルア」
「……」
「あまり長く答えは待っていられない。もちろん、お前の意思は尊重したい」
言い訳するように殿下は続ける。
「だけど、こうするしかなかった」
殿下は私に嫌われるかもしれないのがわかってて、一か八かの賭けに出たんだろう。
それに私に嫌われたとしても、私に票が集まれば、私は殿下のものになる。
「私は犯罪者の娘ですけど…」
「告発したのはお前だろう。お前は何も悪くない」
「殿下は私と地獄に落ちてもいいんですか?」
「お前がいるなら、俺はどんな時だろうが、どんな場所であろうが天国だ」
「何度も聞きますが、諦める気はないんですね?」
「じゃあ、俺も何度も言う。諦める気はないし、俺の手の届く範囲からはなすつもりもない。お前が俺を拒否したら、俺の部屋に閉じ込めて、俺の事しか考えられなくなるまでヤ」
「ちょっと! その先は言わなくていいです! どこでそんな言葉を覚えたんですか!」
殿下の口を慌てておさえるけど、すぐに私の手をはがして続ける。
「初めてだから下手かもしれんが、上達するように」
「だから、もういいです! 脳内がピンク色になりすぎです!」
悩んでたのが馬鹿みたいだわ。
私は最初から勝てもしない負け戦に挑んでたのね。
「わかりました。やれるだけやってみます。とにかく票集めをしないと駄目なんですよね?」
「……」
殿下がきょとんとした顔で私を見る。
「どうしたんですか」
「好きだ」
ぎゅうっと、殿下が私を抱きしめてきた。
ああ、もう。
こういうのはズルい。
「…ですよ」
「なんだって?」
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殿下の背中に腕を回してから言うと、殿下は私を抱きしめる腕を強めた。
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