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14 再会 ②
しおりを挟む 俺が生まれた当時、エルフ達の間では魔法が絶対であり、扱える自分達は特別な存在だという考えを持っていた。
そんな中、魔法の才能を持たずに生まれて来た俺は、里の者達は愚か親からも白い目で見られていた。
「ファイア!! ファイア!! ファイア!!」
当然、努力はした。毎日、魔法を唱えていたが、一向に扱える様にはならなかった。
「はぁ……はぁ……はぁ……どうして俺だけ……」
「頑張ってるな」
声のした方向に顔を向けると、一人の男性エルフが立っていた。
「誰だ、お前?」
「俺は“トレディ”、よろしく」
そう言って、トレディと名乗るその男は右手を差し出し、握手を求めた。
「…………それで? わざわざ笑いに来たのか、トレディ?」
俺はその手を払い除け、トレディに対して悪態をついた。
「おいおい、折角心配して来てやったのに、そう冷たくあしらうなよ」
「冷たく? 事実を述べただけだ」
「事実だって? 俺はお前の事を笑ったりしないけどな」
「随分と嘘が下手みたいだな」
「そんな事無いぜ。こう見ても、人を騙すのは得意な方だ」
「そうかい」
トレディの言葉をまともに取り合わず、そそくさと家に帰ろうとした。
「おいおい、ちょっと待てよ。何処に行くつもりだ?」
「帰るんだよ、家にな」
「練習はもういいのか?」
「もう諦めた。これだけやっても扱う事が出来ないんだ。俺には、魔法の才能が無かったんだよ」
「そう悲観的になるなよ。諦めなければきっと……あっ、おい!!」
結局、最後まで聞かず、足早にその場を離れた。
「(明日は別の場所で練習しないといけないな)」
俺は嘘をついた。諦めきれなかった。魔法を扱える様になって、皆から認められたい。その為には、気の散る存在が側にいてはいけないのだ。
***
「よっ、今日も頑張ってるな」
「…………」
次の日、場所を変えて魔法の練習をしていると、トレディが軽い挨拶を交わしながらやって来た。
「上手く撒いたつもりだったかもしれないが、俺は信じていたぜ。お前は決して諦めない男だってな」
「…………何が目的だ?」
「え?」
「エルフなのに魔法が扱えない俺を、嘲笑いたいのか!? それとも、日頃のストレス解消として利用したいのか!?」
四六時中、周囲から迫害を受け、ストレスが溜まっていた俺は、二日連続で付きまとって来たトレディに向かって、怒りをぶつけた。
「俺は只、お前の力になりたいんだ」
「力になりたい!? なら、二度と関わらないでくれ!! 魔法が扱えるお前には分からないかもしれないが、扱えない俺からしたら、お前が側にいるだけで劣等感を感じて、集中する事が出来ないんだよ!!」
「…………」
「……そ、そう言う訳だから、もう関わって来るなよ……」
大声を上げた事で、気まずい雰囲気になってしまい、居た堪れなくなった俺は逃げる様に、その場を去った。
「ちょっと言い過ぎたか? いや、面白半分で来たあいつの方が悪いんだ。そうさ、俺は悪くなっ……!!?」
などと、歩きながら自問自答で罪悪感を払拭しようすると、道中で擦れ違ったエルフ達の一人と肩がぶつかってしまった。
「何すんだって……お前、確か魔法が扱えない……」
「…………」
「あっ、おい!! 待ちやがれ!!」
関わり合いを持ちたくなかった俺は、その場を走り出して逃げようとした。
「待てって言ってんだよ!! “ファイア”!!」
必死で逃げる中、追い掛けるエルフ達の一人が魔法を唱えた。赤々と燃える炎が生成され、そのまま俺目掛けて放たれた。
「ああああああ!!!」
背中に直撃した炎は、やがて全身を包み込んだ。急いで消火を試みるが、魔法で生成された炎は、詠唱した者より高い実力が無ければ、消す事が出来ない。つまり、魔法が扱えない俺はその命燃え尽きるまで、もがき苦しむしかなかった。
「お、おい……これヤバいんじゃないか?」
「し、知らね!! 俺、知らね!!」
「俺も!!」
想像以上に苦しむ俺の姿を目の当たりにしたエルフ達は、責任逃れの如く慌ててその場を去った。
「(せめて……消してから逃げろよな……あぁ、このまま死ぬのかな……結局、俺は誰にも認められず、死ぬんだな……)」
意識が遠退く。惨めな日々を過ごした俺の人生は、惨めなラストを迎えるのだった。
「“ウォーター”!!」
が、その直後何処から途もなく放たれた水によって、全身を覆っていた炎が消火された。
「大丈夫か!!? おい、しっかりしろ!!」
すると目の前に、トレディが現れた。どうやら先程の水は、トレディの唱えた魔法だったらしい。
「うぅ……」
「火傷が酷い……急いで薬剤師の所に連れて行かないと!!」
そこで俺の意識は途絶えた。覚えているのは断片的な記憶で、重症の俺をトレディが担ぎ上げ、治癒用のポーションなどを作っている里の薬剤師の下へ、運んだ。
***
「…………んっ……」
目を覚ますと、そこは薬剤師が経営する診療所のベッドの上だった。
「おっ、目が覚めたか?」
「お前…………」
側にはトレディがいた。俺が目を覚ましたのを確認するとあいつは、いつもと同じ態度で気さくに話掛けた。
「いやー、ポーションって効くんだな。あんなに酷かった火傷が、綺麗さっぱり無くなってるんだからな」
「……何で……」
「ん?」
「何で俺なんかを助けたんだよ……知ってるだろ、里中から迫害されているの……」
「あぁ、知ってるよ」
「なら、どうして助けたんだ? こんな事をすれば、お前だって立場が悪くなるぞ」
「……俺はさ、常々この里の考え方は間違っていると思ってるんだ。ユグジィも、そう思うだろ?」
「それは……」
「魔法は便利だ、それは認める。でも優れているかと問われれば、そうとは言い切れない。魔法にだって、得意不得意がある。それは生き物にも同じ事が言える。エルフだからと言って、必ずしも魔法が扱える訳じゃない。皆、それぞれ個性があり、その個性を尊重する事が大切なんだ」
ずっと思っていた。もしかしたら俺は、エルフ達の中で異物なんじゃないかと。間違っているのは、周りの連中では無く、エルフなのに魔法を扱えない俺の方なのでは。だけど今、目の前に俺と同じ想いのエルフがいた。
「ユグジィ、俺いつか里の長になろうと思っているんだ」
「えっ?」
「長になれば、皆の考え方を変えられるかもしれないだろ?」
「そうかもしれないな……」
「それでさ、お前には俺の補佐をして貰いたいんだ」
「補佐?」
「あぁ、俺一人だけじゃ、どうしても力不足だ。でも、俺達二人が力を合わせれば、きっと里を変えられる!!」
「……い、いやいや、無理だよ!! だって俺、魔法扱えないし……」
「それが何だ!? 俺達が目指すのは、魔法が全てじゃないという柔軟な考えを持った里だ」
「いやでも、俺なんかが関わったら、迷惑になるし……」
「ユグジィ……“一人で抱え込まないでくれ”!!」
「!!!」
「俺達、同じ想いを抱く仲間だろ!? それぞれが辛い想いをしていたら、その気持ちを分かち合って、少しでも負担を減らすんだ!! お前の気持ちの半分は俺が背負う。だから、俺の気持ちの半分はお前が背負ってくれ!!」
「トレディ……わかった、わかったよ。お前には負けたよ」
「そうこなくっちゃ!!」
根負けした俺に、トレディは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「けど真面目な話、魔法が扱えないエルフを背負うのは、足枷になるぞ? どうするつもりなんだ?」
「そうだな……魔法が扱えないのなら、肉体面を鍛えるってのはどうだ?」
「肉体? 体を鍛えるのか?」
「そうだ、丁度良い事にここの薬剤師が取り扱っている薬草が、お前の治療で底をついた。どうやら里からかなり離れた位置に、自生しているらしい。それを毎日ダッシュで取りに行ったらどうだ? 代金の代わりにもなるし」
「うーん、それは別に構わないけど、筋肉ムキムキなエルフって気持ち悪くないか?」
「そうか? 俺は強そうで良いと思うけどな」
「……まぁ、それならやってみるかな」
「よし!! ここからが俺達の伝説の第一歩だ!! やるぞぉおおおおお!!!」
「全く……大袈裟だな……」
だけど、悪い気はしなかった。そうして俺とトレディによる、里の長になる為の戦いが始まった。
「さてさて~、エルフの里は何処にあるのでしょうかね~?」
そんな中、魔法の才能を持たずに生まれて来た俺は、里の者達は愚か親からも白い目で見られていた。
「ファイア!! ファイア!! ファイア!!」
当然、努力はした。毎日、魔法を唱えていたが、一向に扱える様にはならなかった。
「はぁ……はぁ……はぁ……どうして俺だけ……」
「頑張ってるな」
声のした方向に顔を向けると、一人の男性エルフが立っていた。
「誰だ、お前?」
「俺は“トレディ”、よろしく」
そう言って、トレディと名乗るその男は右手を差し出し、握手を求めた。
「…………それで? わざわざ笑いに来たのか、トレディ?」
俺はその手を払い除け、トレディに対して悪態をついた。
「おいおい、折角心配して来てやったのに、そう冷たくあしらうなよ」
「冷たく? 事実を述べただけだ」
「事実だって? 俺はお前の事を笑ったりしないけどな」
「随分と嘘が下手みたいだな」
「そんな事無いぜ。こう見ても、人を騙すのは得意な方だ」
「そうかい」
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「おいおい、ちょっと待てよ。何処に行くつもりだ?」
「帰るんだよ、家にな」
「練習はもういいのか?」
「もう諦めた。これだけやっても扱う事が出来ないんだ。俺には、魔法の才能が無かったんだよ」
「そう悲観的になるなよ。諦めなければきっと……あっ、おい!!」
結局、最後まで聞かず、足早にその場を離れた。
「(明日は別の場所で練習しないといけないな)」
俺は嘘をついた。諦めきれなかった。魔法を扱える様になって、皆から認められたい。その為には、気の散る存在が側にいてはいけないのだ。
***
「よっ、今日も頑張ってるな」
「…………」
次の日、場所を変えて魔法の練習をしていると、トレディが軽い挨拶を交わしながらやって来た。
「上手く撒いたつもりだったかもしれないが、俺は信じていたぜ。お前は決して諦めない男だってな」
「…………何が目的だ?」
「え?」
「エルフなのに魔法が扱えない俺を、嘲笑いたいのか!? それとも、日頃のストレス解消として利用したいのか!?」
四六時中、周囲から迫害を受け、ストレスが溜まっていた俺は、二日連続で付きまとって来たトレディに向かって、怒りをぶつけた。
「俺は只、お前の力になりたいんだ」
「力になりたい!? なら、二度と関わらないでくれ!! 魔法が扱えるお前には分からないかもしれないが、扱えない俺からしたら、お前が側にいるだけで劣等感を感じて、集中する事が出来ないんだよ!!」
「…………」
「……そ、そう言う訳だから、もう関わって来るなよ……」
大声を上げた事で、気まずい雰囲気になってしまい、居た堪れなくなった俺は逃げる様に、その場を去った。
「ちょっと言い過ぎたか? いや、面白半分で来たあいつの方が悪いんだ。そうさ、俺は悪くなっ……!!?」
などと、歩きながら自問自答で罪悪感を払拭しようすると、道中で擦れ違ったエルフ達の一人と肩がぶつかってしまった。
「何すんだって……お前、確か魔法が扱えない……」
「…………」
「あっ、おい!! 待ちやがれ!!」
関わり合いを持ちたくなかった俺は、その場を走り出して逃げようとした。
「待てって言ってんだよ!! “ファイア”!!」
必死で逃げる中、追い掛けるエルフ達の一人が魔法を唱えた。赤々と燃える炎が生成され、そのまま俺目掛けて放たれた。
「ああああああ!!!」
背中に直撃した炎は、やがて全身を包み込んだ。急いで消火を試みるが、魔法で生成された炎は、詠唱した者より高い実力が無ければ、消す事が出来ない。つまり、魔法が扱えない俺はその命燃え尽きるまで、もがき苦しむしかなかった。
「お、おい……これヤバいんじゃないか?」
「し、知らね!! 俺、知らね!!」
「俺も!!」
想像以上に苦しむ俺の姿を目の当たりにしたエルフ達は、責任逃れの如く慌ててその場を去った。
「(せめて……消してから逃げろよな……あぁ、このまま死ぬのかな……結局、俺は誰にも認められず、死ぬんだな……)」
意識が遠退く。惨めな日々を過ごした俺の人生は、惨めなラストを迎えるのだった。
「“ウォーター”!!」
が、その直後何処から途もなく放たれた水によって、全身を覆っていた炎が消火された。
「大丈夫か!!? おい、しっかりしろ!!」
すると目の前に、トレディが現れた。どうやら先程の水は、トレディの唱えた魔法だったらしい。
「うぅ……」
「火傷が酷い……急いで薬剤師の所に連れて行かないと!!」
そこで俺の意識は途絶えた。覚えているのは断片的な記憶で、重症の俺をトレディが担ぎ上げ、治癒用のポーションなどを作っている里の薬剤師の下へ、運んだ。
***
「…………んっ……」
目を覚ますと、そこは薬剤師が経営する診療所のベッドの上だった。
「おっ、目が覚めたか?」
「お前…………」
側にはトレディがいた。俺が目を覚ましたのを確認するとあいつは、いつもと同じ態度で気さくに話掛けた。
「いやー、ポーションって効くんだな。あんなに酷かった火傷が、綺麗さっぱり無くなってるんだからな」
「……何で……」
「ん?」
「何で俺なんかを助けたんだよ……知ってるだろ、里中から迫害されているの……」
「あぁ、知ってるよ」
「なら、どうして助けたんだ? こんな事をすれば、お前だって立場が悪くなるぞ」
「……俺はさ、常々この里の考え方は間違っていると思ってるんだ。ユグジィも、そう思うだろ?」
「それは……」
「魔法は便利だ、それは認める。でも優れているかと問われれば、そうとは言い切れない。魔法にだって、得意不得意がある。それは生き物にも同じ事が言える。エルフだからと言って、必ずしも魔法が扱える訳じゃない。皆、それぞれ個性があり、その個性を尊重する事が大切なんだ」
ずっと思っていた。もしかしたら俺は、エルフ達の中で異物なんじゃないかと。間違っているのは、周りの連中では無く、エルフなのに魔法を扱えない俺の方なのでは。だけど今、目の前に俺と同じ想いのエルフがいた。
「ユグジィ、俺いつか里の長になろうと思っているんだ」
「えっ?」
「長になれば、皆の考え方を変えられるかもしれないだろ?」
「そうかもしれないな……」
「それでさ、お前には俺の補佐をして貰いたいんだ」
「補佐?」
「あぁ、俺一人だけじゃ、どうしても力不足だ。でも、俺達二人が力を合わせれば、きっと里を変えられる!!」
「……い、いやいや、無理だよ!! だって俺、魔法扱えないし……」
「それが何だ!? 俺達が目指すのは、魔法が全てじゃないという柔軟な考えを持った里だ」
「いやでも、俺なんかが関わったら、迷惑になるし……」
「ユグジィ……“一人で抱え込まないでくれ”!!」
「!!!」
「俺達、同じ想いを抱く仲間だろ!? それぞれが辛い想いをしていたら、その気持ちを分かち合って、少しでも負担を減らすんだ!! お前の気持ちの半分は俺が背負う。だから、俺の気持ちの半分はお前が背負ってくれ!!」
「トレディ……わかった、わかったよ。お前には負けたよ」
「そうこなくっちゃ!!」
根負けした俺に、トレディは嬉しそうに笑みを浮かべた。
「けど真面目な話、魔法が扱えないエルフを背負うのは、足枷になるぞ? どうするつもりなんだ?」
「そうだな……魔法が扱えないのなら、肉体面を鍛えるってのはどうだ?」
「肉体? 体を鍛えるのか?」
「そうだ、丁度良い事にここの薬剤師が取り扱っている薬草が、お前の治療で底をついた。どうやら里からかなり離れた位置に、自生しているらしい。それを毎日ダッシュで取りに行ったらどうだ? 代金の代わりにもなるし」
「うーん、それは別に構わないけど、筋肉ムキムキなエルフって気持ち悪くないか?」
「そうか? 俺は強そうで良いと思うけどな」
「……まぁ、それならやってみるかな」
「よし!! ここからが俺達の伝説の第一歩だ!! やるぞぉおおおおお!!!」
「全く……大袈裟だな……」
だけど、悪い気はしなかった。そうして俺とトレディによる、里の長になる為の戦いが始まった。
「さてさて~、エルフの里は何処にあるのでしょうかね~?」
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