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26 頑張る事にしました ※次作につながる話になります。
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魔道具を使って私やラルフ様だけでも、先に屋敷に行く事も出来たのですが、やはり初めての場所ですし、知り合いがそばにいてくれる方が心強いため、使用人達と一緒に馬車で向かうと言った私に、ラルフ様も付き合ってくださり、3日かけて、ラルフ様のお屋敷にたどり着きました。
田舎まで一緒に来てくれていた料理人やメイドの何人かは、私の実家での仕事に戻りましたが、ソラやソラの彼女や私の侍女達は、私と一緒に付いていくと言ってくれたので、一緒に来ています。
とても心強いのです。
なぜなら、旅立つ前に弟のヒナタから通信が出来る魔道具を使って連絡があり、そこで聞いた話なのですが、ラルフ様は何度かお見合いをしているらしく、お話が進むたびに、お見合い相手をお屋敷に招かれているそうなのです。
なぜ、そんな事をするかというと、ラルフ様のご家族のご希望のようです。
ラルフ様のお父様はお亡くなりになっておられますが、ラルフ様の屋敷には現在、ご健在のお母様、そしてラルフ様のお姉さま、弟君がいらっしゃるそうで、その3人が3人共、ラルフ様が大好きなのだそうです。
「屋敷に慣れてもらうっていう口実で、相手を屋敷に滞在させて、まだ嫁にもなっていないのに、いびりやいじめがひどいらしいよ。ラルフ様の見ていない所でしかしないんだって。しかも、ラルフ様に告げ口したら自分の家がどうなるか覚えておくようにって脅してくるんだって聞いた」
ヒナタがとても心配そうな声で教えてくれたのを思い出します。
ですが、ここまで来て逃げるわけにはいきません。
何より、ラルフ様には色々としていただいたご恩があります。
馬車から降りて、目の前に建っている、私の視界に入り切らない大きな白い屋敷を見つめながら、軽く息を吐くと、ラルフ様が私の手を取って言います。
「なぜか皆、屋敷に来ると、数日後には泣きながら逃げて行くんだ。理由を教えてくれと言っても教えてくれない。君の事を忘れられていないのに、他の誰かと結婚しようとした不誠実な気持ちが伝わったのかもしれない。でも、リノア。何があっても君だけは逃がすつもりはないから、原因が他に何かあるのなら教えてくれ」
あなたのご家族が原因らしいですよ。
と言いたいところですが、さすがに自分が何かされたわけではない今は、ご家族を悪く言うべきではないと判断して、ラルフ様の手を握る。
「頑張るつもりではおりますが、駄目だと思ったら逃がして下さいね?」
「駄目だ」
にっこり笑って言った私に、ラルフ様は同じように笑顔ではっきりと私のお願いを却下されました。
ラルフ様が私にこだわる理由は、まだ教えていただけていませんが、私は私で、ラルフ様を男性として意識している事は間違いありません。
だから、一難去ってまた一難ですが、なんとか乗り越えていきたいと思います!
続きは別タイトル「婚約解消しろ? 頼む相手を間違えていますよ?」になります。
田舎まで一緒に来てくれていた料理人やメイドの何人かは、私の実家での仕事に戻りましたが、ソラやソラの彼女や私の侍女達は、私と一緒に付いていくと言ってくれたので、一緒に来ています。
とても心強いのです。
なぜなら、旅立つ前に弟のヒナタから通信が出来る魔道具を使って連絡があり、そこで聞いた話なのですが、ラルフ様は何度かお見合いをしているらしく、お話が進むたびに、お見合い相手をお屋敷に招かれているそうなのです。
なぜ、そんな事をするかというと、ラルフ様のご家族のご希望のようです。
ラルフ様のお父様はお亡くなりになっておられますが、ラルフ様の屋敷には現在、ご健在のお母様、そしてラルフ様のお姉さま、弟君がいらっしゃるそうで、その3人が3人共、ラルフ様が大好きなのだそうです。
「屋敷に慣れてもらうっていう口実で、相手を屋敷に滞在させて、まだ嫁にもなっていないのに、いびりやいじめがひどいらしいよ。ラルフ様の見ていない所でしかしないんだって。しかも、ラルフ様に告げ口したら自分の家がどうなるか覚えておくようにって脅してくるんだって聞いた」
ヒナタがとても心配そうな声で教えてくれたのを思い出します。
ですが、ここまで来て逃げるわけにはいきません。
何より、ラルフ様には色々としていただいたご恩があります。
馬車から降りて、目の前に建っている、私の視界に入り切らない大きな白い屋敷を見つめながら、軽く息を吐くと、ラルフ様が私の手を取って言います。
「なぜか皆、屋敷に来ると、数日後には泣きながら逃げて行くんだ。理由を教えてくれと言っても教えてくれない。君の事を忘れられていないのに、他の誰かと結婚しようとした不誠実な気持ちが伝わったのかもしれない。でも、リノア。何があっても君だけは逃がすつもりはないから、原因が他に何かあるのなら教えてくれ」
あなたのご家族が原因らしいですよ。
と言いたいところですが、さすがに自分が何かされたわけではない今は、ご家族を悪く言うべきではないと判断して、ラルフ様の手を握る。
「頑張るつもりではおりますが、駄目だと思ったら逃がして下さいね?」
「駄目だ」
にっこり笑って言った私に、ラルフ様は同じように笑顔ではっきりと私のお願いを却下されました。
ラルフ様が私にこだわる理由は、まだ教えていただけていませんが、私は私で、ラルフ様を男性として意識している事は間違いありません。
だから、一難去ってまた一難ですが、なんとか乗り越えていきたいと思います!
続きは別タイトル「婚約解消しろ? 頼む相手を間違えていますよ?」になります。
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