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15 強制的に終わらせました
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あれ?
聞き間違いですよね?
今、やり直そうとかぬかしましたか?
ああ、言葉遣いが悪くなりました。
やり直そうと言いましたか?
ソラが動こうとしたのが視界に入り、我に返る事が出来た私は、視線を送り、ソラに動かないように合図を送る。
そして、口を開いた。
「やり直すも何もあなたと私は始まってもいませんが?」
「婚約者同士だったじゃないか!」
「昔の話です。今更復縁したいとでも?」
「復縁とは言ってない! いやまあ、そうなるのか。ヴィアラを愛してはいるが、やっぱり君の実家の財産が俺には必要なんだ」
「はあ!?」
本当にこんな馬鹿が存在するんですね。
私、小さな子供と話をしてるんでしたっけ?
そんな事を思っていても口に出してはいけない事くらい、子供でもわかるでしょうに。
「あの、寝ぼけた事を言わないでいただけます?」
「ど、どうしたんだよ」
「婚約者の時は目を瞑っておりましたが、はっきり言わせてもらいます。婚約者でなくなった以上、あなたは私にとってはただの他人です。あなたの都合など知ったことではありません」
「つ、つれない事を言うなよ」
「といいますか、あなた、本気で私と昔のような付き合いが出来るだなんて思ってるんですか? ブルーミング家があなたに金銭面の援助をするとでも?」
もしかしてダメ元で言っているだけなのかも、と思い直し、確認の為に聞いてみますと、ディーンは満面の笑みを浮かべて答えます。
「そりゃそうだろ。だって、君は俺の帰りを何年も待ってくれていたじゃないか」
「あなたが帰ってこないと婚約破棄が出来ないからですよ」
「は?」
「あ、いえ、なんでもないです」
危ない。
ついつい本音が出てしまった。
最初から、あなたが婚約破棄を申し出てくれるのを待っていただけですよ、なんて言おうものなら何を言われるかわからない。
ここは捨てられた惨めな令嬢、もしくは可哀想な令嬢でいなければなりません!
「今まではそうかもしれませんが、あなたに捨てられたとわかってからは、あなたを思う気持ちを捨て去るように努力して、今は綺麗サッパリ、あなたに未練なんてございません!」
「じゃあ、君に渡したお金だけでも返してくれないか?」
「バ」
馬鹿なんですか。
と言いそうになって、慌てて言葉を止めました。
馬鹿だからしか言えない事を言っている時点で、この人は馬鹿ですから、理解できるはずがありません。
話をしてみようと思った私も馬鹿ですから、人の事は言えませんが、これ以上、話を続ける意味もありません。
「お金に困っているのでしたら、結婚前の同棲期間の為に建設中の家を建てるのはお止めになっては?」
「彼女がこの地に住んでみたいと言うし、俺も君に会いに来やすいからいいだろう?」
「どうして私に会いに来る必要があるんですか! 迷惑ですよ!」
「クラーク辺境伯とお近付きになりたいんだ。もちろん、君にも顔を見せに行くよ」
「いりませんよ…」
ああ。
全く話が通じません。
「なんにしてもお断りです。…お話は終わりでよろしいですね?」
立ち上がって聞くと、ディーンも立ち上がって、私の方へ歩み寄ってこようとしましたが、ソラが間に入ってくれました。
「お帰りですか? ご案内いたします」
「なんだよ、偉そうに! 小綺麗な服を着てても中身は平民だろ!」
「平民ではありますが、あなたよりも強い自信はあります」
「そんな訳ないだろう!」
証明すると言わんばかりに、ソラはディーンの手首をつかんだ。
「どうぞ、俺の手を振り払ってみて下さい」
「…っ! 痛い! わかった! はなしてくれ!」
「お帰りになられますよね?」
「帰る! 帰るから!」
ディーンは涙目になってソラに懇願します。
ソラが私に目で指示を仰ぐので首を縦に振ると、ソラは力をゆるめ、ディーンを引っ張って部屋から出ていきます。
本当はソラの態度も窘めないといけないところですが、ディーンが相手ですから、まあ良いでしょう。
何か文句を言ってきたとしても、私が相手になりましょう。
もちろん、後で注意はしますが。
「リノア、せめてお金を貸してくれ!」
部屋を出ていった後のディーンの叫びは聞こえなかった事にしようと思います。
聞き間違いですよね?
今、やり直そうとかぬかしましたか?
ああ、言葉遣いが悪くなりました。
やり直そうと言いましたか?
ソラが動こうとしたのが視界に入り、我に返る事が出来た私は、視線を送り、ソラに動かないように合図を送る。
そして、口を開いた。
「やり直すも何もあなたと私は始まってもいませんが?」
「婚約者同士だったじゃないか!」
「昔の話です。今更復縁したいとでも?」
「復縁とは言ってない! いやまあ、そうなるのか。ヴィアラを愛してはいるが、やっぱり君の実家の財産が俺には必要なんだ」
「はあ!?」
本当にこんな馬鹿が存在するんですね。
私、小さな子供と話をしてるんでしたっけ?
そんな事を思っていても口に出してはいけない事くらい、子供でもわかるでしょうに。
「あの、寝ぼけた事を言わないでいただけます?」
「ど、どうしたんだよ」
「婚約者の時は目を瞑っておりましたが、はっきり言わせてもらいます。婚約者でなくなった以上、あなたは私にとってはただの他人です。あなたの都合など知ったことではありません」
「つ、つれない事を言うなよ」
「といいますか、あなた、本気で私と昔のような付き合いが出来るだなんて思ってるんですか? ブルーミング家があなたに金銭面の援助をするとでも?」
もしかしてダメ元で言っているだけなのかも、と思い直し、確認の為に聞いてみますと、ディーンは満面の笑みを浮かべて答えます。
「そりゃそうだろ。だって、君は俺の帰りを何年も待ってくれていたじゃないか」
「あなたが帰ってこないと婚約破棄が出来ないからですよ」
「は?」
「あ、いえ、なんでもないです」
危ない。
ついつい本音が出てしまった。
最初から、あなたが婚約破棄を申し出てくれるのを待っていただけですよ、なんて言おうものなら何を言われるかわからない。
ここは捨てられた惨めな令嬢、もしくは可哀想な令嬢でいなければなりません!
「今まではそうかもしれませんが、あなたに捨てられたとわかってからは、あなたを思う気持ちを捨て去るように努力して、今は綺麗サッパリ、あなたに未練なんてございません!」
「じゃあ、君に渡したお金だけでも返してくれないか?」
「バ」
馬鹿なんですか。
と言いそうになって、慌てて言葉を止めました。
馬鹿だからしか言えない事を言っている時点で、この人は馬鹿ですから、理解できるはずがありません。
話をしてみようと思った私も馬鹿ですから、人の事は言えませんが、これ以上、話を続ける意味もありません。
「お金に困っているのでしたら、結婚前の同棲期間の為に建設中の家を建てるのはお止めになっては?」
「彼女がこの地に住んでみたいと言うし、俺も君に会いに来やすいからいいだろう?」
「どうして私に会いに来る必要があるんですか! 迷惑ですよ!」
「クラーク辺境伯とお近付きになりたいんだ。もちろん、君にも顔を見せに行くよ」
「いりませんよ…」
ああ。
全く話が通じません。
「なんにしてもお断りです。…お話は終わりでよろしいですね?」
立ち上がって聞くと、ディーンも立ち上がって、私の方へ歩み寄ってこようとしましたが、ソラが間に入ってくれました。
「お帰りですか? ご案内いたします」
「なんだよ、偉そうに! 小綺麗な服を着てても中身は平民だろ!」
「平民ではありますが、あなたよりも強い自信はあります」
「そんな訳ないだろう!」
証明すると言わんばかりに、ソラはディーンの手首をつかんだ。
「どうぞ、俺の手を振り払ってみて下さい」
「…っ! 痛い! わかった! はなしてくれ!」
「お帰りになられますよね?」
「帰る! 帰るから!」
ディーンは涙目になってソラに懇願します。
ソラが私に目で指示を仰ぐので首を縦に振ると、ソラは力をゆるめ、ディーンを引っ張って部屋から出ていきます。
本当はソラの態度も窘めないといけないところですが、ディーンが相手ですから、まあ良いでしょう。
何か文句を言ってきたとしても、私が相手になりましょう。
もちろん、後で注意はしますが。
「リノア、せめてお金を貸してくれ!」
部屋を出ていった後のディーンの叫びは聞こえなかった事にしようと思います。
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