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7 情報が売られてました

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 ラルフ様からいただいた情報を、侍女にお願いして確認させると、やはり間違いなかった。
 私の住んでいる場所から歩いて十分もかからない所に、ディーンは家を建てようとしていた。
 二人が結婚するまでは、その家に住むというんです!

 なんて迷惑な!
 というか、どうしてラルフ様といい、私の居場所がバレてしまったんでしょうか!

 これについては、ラルフ様に聞けばわかるかもしれないので、次の日、屋敷に迎えに来てくれたラルフ様に、早速、質問をぶつけてみた。

「あの、ラルフ様。出かける前に確認しておきたいのですが、ラルフ様はどうやって私の居場所をお知りなったんですか? 家族以外には屋敷の者にしか知る者はいないはずなのですが…」
「ああ。君は知らないかもしれないが、頼めば、個人の情報を売ってくれる所があるんだ」
「そ、そんな店が!」
「一般の人間は存在を知らないし、俺はそれで良いと思っている。誰だって知られたくない事があるだろうからな」

 私の引越し先がバレてしまった事がまさに、それに当たるのですが…。

 そう思ったけれど、口には出さずに違う質問をする。

「どうしてディーン達は私の住む場所の近くに家を買ったのでしょうか。その理由はおわかりになりますか?」
「ディーン?」
「あ、カンタス伯爵です」

 元婚約者の名前はディーン・カンタスというのだけれど、今までの癖で呼び捨てで呼んでしまい、慌てて訂正する。

「そうだな。彼が決めた理由と恋人が決めた理由は違うもののようだし、理由は知っている。ただ、あなたが嫌なら潰そうか?」
「つ、潰す!?」
「彼に爵位を授与するのに、俺も関与しているからな」
「そうなのですか?」
「…ああ」

 少し困ったような顔をして、ラルフ様は頷かれると、私の手をとりました。

「話が長くなりそうだから、今はこの話はやめておこう。女性に人気のスイーツ店を予約しておいたから、そこに行ってから話そうか」
「ラルフ様がスイーツですか」

 そんなイメージがなくてキョトンとすると、ラルフ様は私の手をはなし、顔を背けられました。

 もしかして、照れていらっしゃる?

 ここ何回かお会いして気付きましたが、やはり、ラルフ様は悪い人ではなさそうです。
 私を食べようとしている事をのぞいては。
 そうなるとやはり、私なんかより美味しいものが、たくさんある事を知っていただかねば!

「本当はラルフ様は何がお好きなんですか? スイーツは、私に気を遣って決めて下さったんでしょう?」
「俺は、そうだな。肉料理が好きかな」
「肉料理!」

 一瞬、ドキリとしましたが、ラルフ様はすぐに言葉を付け加えられました。

「ステーキなんかは、戦場に出たら食べられないからな」

 そうですよね。
 ラルフ様は国の為に戦っておられるお方です。
 贅沢な料理を食べる日にちの方が少ないのかもしれません。
 ただ、それでしたら、私なんかより美味しいものなんて、たくさんありますよね?

「私なんかより、違うものの方が美味しいのだと認識していただかなくては」
「何か言ったか?」
「いいえ。何でもありません。今日はよろしくお願い致します」

 膝を折り頭を下げると、ラルフ様は再度、私の手を取ると、転移の魔道具を使われました。
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