8 / 29
7 情報が売られてました
しおりを挟む
ラルフ様からいただいた情報を、侍女にお願いして確認させると、やはり間違いなかった。
私の住んでいる場所から歩いて十分もかからない所に、ディーンは家を建てようとしていた。
二人が結婚するまでは、その家に住むというんです!
なんて迷惑な!
というか、どうしてラルフ様といい、私の居場所がバレてしまったんでしょうか!
これについては、ラルフ様に聞けばわかるかもしれないので、次の日、屋敷に迎えに来てくれたラルフ様に、早速、質問をぶつけてみた。
「あの、ラルフ様。出かける前に確認しておきたいのですが、ラルフ様はどうやって私の居場所をお知りなったんですか? 家族以外には屋敷の者にしか知る者はいないはずなのですが…」
「ああ。君は知らないかもしれないが、頼めば、個人の情報を売ってくれる所があるんだ」
「そ、そんな店が!」
「一般の人間は存在を知らないし、俺はそれで良いと思っている。誰だって知られたくない事があるだろうからな」
私の引越し先がバレてしまった事がまさに、それに当たるのですが…。
そう思ったけれど、口には出さずに違う質問をする。
「どうしてディーン達は私の住む場所の近くに家を買ったのでしょうか。その理由はおわかりになりますか?」
「ディーン?」
「あ、カンタス伯爵です」
元婚約者の名前はディーン・カンタスというのだけれど、今までの癖で呼び捨てで呼んでしまい、慌てて訂正する。
「そうだな。彼が決めた理由と恋人が決めた理由は違うもののようだし、理由は知っている。ただ、あなたが嫌なら潰そうか?」
「つ、潰す!?」
「彼に爵位を授与するのに、俺も関与しているからな」
「そうなのですか?」
「…ああ」
少し困ったような顔をして、ラルフ様は頷かれると、私の手をとりました。
「話が長くなりそうだから、今はこの話はやめておこう。女性に人気のスイーツ店を予約しておいたから、そこに行ってから話そうか」
「ラルフ様がスイーツですか」
そんなイメージがなくてキョトンとすると、ラルフ様は私の手をはなし、顔を背けられました。
もしかして、照れていらっしゃる?
ここ何回かお会いして気付きましたが、やはり、ラルフ様は悪い人ではなさそうです。
私を食べようとしている事をのぞいては。
そうなるとやはり、私なんかより美味しいものが、たくさんある事を知っていただかねば!
「本当はラルフ様は何がお好きなんですか? スイーツは、私に気を遣って決めて下さったんでしょう?」
「俺は、そうだな。肉料理が好きかな」
「肉料理!」
一瞬、ドキリとしましたが、ラルフ様はすぐに言葉を付け加えられました。
「ステーキなんかは、戦場に出たら食べられないからな」
そうですよね。
ラルフ様は国の為に戦っておられるお方です。
贅沢な料理を食べる日にちの方が少ないのかもしれません。
ただ、それでしたら、私なんかより美味しいものなんて、たくさんありますよね?
「私なんかより、違うものの方が美味しいのだと認識していただかなくては」
「何か言ったか?」
「いいえ。何でもありません。今日はよろしくお願い致します」
膝を折り頭を下げると、ラルフ様は再度、私の手を取ると、転移の魔道具を使われました。
私の住んでいる場所から歩いて十分もかからない所に、ディーンは家を建てようとしていた。
二人が結婚するまでは、その家に住むというんです!
なんて迷惑な!
というか、どうしてラルフ様といい、私の居場所がバレてしまったんでしょうか!
これについては、ラルフ様に聞けばわかるかもしれないので、次の日、屋敷に迎えに来てくれたラルフ様に、早速、質問をぶつけてみた。
「あの、ラルフ様。出かける前に確認しておきたいのですが、ラルフ様はどうやって私の居場所をお知りなったんですか? 家族以外には屋敷の者にしか知る者はいないはずなのですが…」
「ああ。君は知らないかもしれないが、頼めば、個人の情報を売ってくれる所があるんだ」
「そ、そんな店が!」
「一般の人間は存在を知らないし、俺はそれで良いと思っている。誰だって知られたくない事があるだろうからな」
私の引越し先がバレてしまった事がまさに、それに当たるのですが…。
そう思ったけれど、口には出さずに違う質問をする。
「どうしてディーン達は私の住む場所の近くに家を買ったのでしょうか。その理由はおわかりになりますか?」
「ディーン?」
「あ、カンタス伯爵です」
元婚約者の名前はディーン・カンタスというのだけれど、今までの癖で呼び捨てで呼んでしまい、慌てて訂正する。
「そうだな。彼が決めた理由と恋人が決めた理由は違うもののようだし、理由は知っている。ただ、あなたが嫌なら潰そうか?」
「つ、潰す!?」
「彼に爵位を授与するのに、俺も関与しているからな」
「そうなのですか?」
「…ああ」
少し困ったような顔をして、ラルフ様は頷かれると、私の手をとりました。
「話が長くなりそうだから、今はこの話はやめておこう。女性に人気のスイーツ店を予約しておいたから、そこに行ってから話そうか」
「ラルフ様がスイーツですか」
そんなイメージがなくてキョトンとすると、ラルフ様は私の手をはなし、顔を背けられました。
もしかして、照れていらっしゃる?
ここ何回かお会いして気付きましたが、やはり、ラルフ様は悪い人ではなさそうです。
私を食べようとしている事をのぞいては。
そうなるとやはり、私なんかより美味しいものが、たくさんある事を知っていただかねば!
「本当はラルフ様は何がお好きなんですか? スイーツは、私に気を遣って決めて下さったんでしょう?」
「俺は、そうだな。肉料理が好きかな」
「肉料理!」
一瞬、ドキリとしましたが、ラルフ様はすぐに言葉を付け加えられました。
「ステーキなんかは、戦場に出たら食べられないからな」
そうですよね。
ラルフ様は国の為に戦っておられるお方です。
贅沢な料理を食べる日にちの方が少ないのかもしれません。
ただ、それでしたら、私なんかより美味しいものなんて、たくさんありますよね?
「私なんかより、違うものの方が美味しいのだと認識していただかなくては」
「何か言ったか?」
「いいえ。何でもありません。今日はよろしくお願い致します」
膝を折り頭を下げると、ラルフ様は再度、私の手を取ると、転移の魔道具を使われました。
75
お気に入りに追加
3,643
あなたにおすすめの小説
【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです
果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。
幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。
ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。
月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。
パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。
これでは、結婚した後は別居かしら。
お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。
だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。
婚約破棄ですか?勿論お受けします。
アズやっこ
恋愛
私は婚約者が嫌い。
そんな婚約者が女性と一緒に待ち合わせ場所に来た。
婚約破棄するとようやく言ってくれたわ!
慰謝料?そんなのいらないわよ。
それより早く婚約破棄しましょう。
❈ 作者独自の世界観です。
【完結】虐げられていた侯爵令嬢が幸せになるお話
彩伊
恋愛
歴史ある侯爵家のアルラーナ家、生まれてくる子供は皆決まって金髪碧眼。
しかし彼女は燃えるような紅眼の持ち主だったために、アルラーナ家の人間とは認められず、疎まれた。
彼女は敷地内の端にある寂れた塔に幽閉され、意地悪な義母そして義妹が幸せに暮らしているのをみているだけ。
............そんな彼女の生活を一変させたのは、王家からの”あるパーティー”への招待状。
招待状の主は義妹が恋い焦がれているこの国の”第3皇子”だった。
送り先を間違えたのだと、彼女はその招待状を義妹に渡してしまうが、実際に第3皇子が彼女を迎えにきて.........。
そして、このパーティーで彼女の紅眼には大きな秘密があることが明らかにされる。
『これは虐げられていた侯爵令嬢が”愛”を知り、幸せになるまでのお話。』
一日一話
14話完結
どうして別れるのかと聞かれても。お気の毒な旦那さま、まさかとは思いますが、あなたのようなクズが女性に愛されると信じていらっしゃるのですか?
石河 翠
恋愛
主人公のモニカは、既婚者にばかり声をかけるはしたない女性として有名だ。愛人稼業をしているだとか、天然の毒婦だとか、聞こえてくるのは下品な噂ばかり。社交界での評判も地に落ちている。
ある日モニカは、溺愛のあまり茶会や夜会に妻を一切参加させないことで有名な愛妻家の男性に声をかける。おしどり夫婦の愛の巣に押しかけたモニカは、そこで虐げられている女性を発見する。
彼女が愛妻家として評判の男性の奥方だと気がついたモニカは、彼女を毎日お茶に誘うようになり……。
八方塞がりな状況で抵抗する力を失っていた孤独なヒロインと、彼女に手を差し伸べ広い世界に連れ出したしたたかな年下ヒーローのお話。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID24694748)をお借りしています。
(完結)逆行令嬢の婚約回避
あかる
恋愛
わたくし、スカーレット・ガゼルは公爵令嬢ですわ。
わたくしは第二王子と婚約して、ガゼル領を継ぐ筈でしたが、婚約破棄され、何故か国外追放に…そして隣国との国境の山まで来た時に、御者の方に殺されてしまったはずでした。それが何故か、婚約をする5歳の時まで戻ってしまいました。夢ではないはずですわ…剣で刺された時の痛みをまだ覚えていますもの。
何故かは分からないけど、ラッキーですわ。もう二度とあんな思いはしたくありません。回避させて頂きます。
完結しています。忘れなければ毎日投稿します。
生命(きみ)を手放す
基本二度寝
恋愛
多くの貴族の前で婚約破棄を宣言した。
平凡な容姿の伯爵令嬢。
妃教育もままならない程に不健康で病弱な令嬢。
なぜこれが王太子の婚約者なのか。
伯爵令嬢は、王太子の宣言に呆然としていた。
※現代の血清とお話の中の血清とは別物でござる。
にんにん。
振られたから諦めるつもりだったのに…
しゃーりん
恋愛
伯爵令嬢ヴィッテは公爵令息ディートに告白して振られた。
自分の意に沿わない婚約を結ぶ前のダメ元での告白だった。
その後、相手しか得のない婚約を結ぶことになった。
一方、ディートは告白からヴィッテを目で追うようになって…
婚約を解消したいヴィッテとヴィッテが気になりだしたディートのお話です。
【完結】私の婚約者は妹のおさがりです
葉桜鹿乃
恋愛
「もう要らないわ、お姉様にあげる」
サリバン辺境伯領の領主代行として領地に籠もりがちな私リリーに対し、王都の社交界で華々しく活動……悪く言えば男をとっかえひっかえ……していた妹ローズが、そう言って寄越したのは、それまで送ってきていたドレスでも宝飾品でもなく、私の初恋の方でした。
ローズのせいで広まっていたサリバン辺境伯家の悪評を止めるために、彼は敢えてローズに近付き一切身体を許さず私を待っていてくれていた。
そして彼の初恋も私で、私はクールな彼にいつのまにか溺愛されて……?
妹のおさがりばかりを貰っていた私は、初めて本でも家庭教師でも実権でもないものを、両親にねだる。
「お父様、お母様、私この方と婚約したいです」
リリーの大事なものを守る為に奮闘する侯爵家次男レイノルズと、領地を大事に思うリリー。そしてリリーと自分を比べ、態と奔放に振る舞い続けた妹ローズがハッピーエンドを目指す物語。
小説家になろう様でも別名義にて連載しています。
※感想の取り扱いについては近況ボードを参照ください。(10/27追記)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる