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20 妻の罠③
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今回のパーティーに来る前に、レオたちとは何度も話し合った。
その結果、まずは自分たち以外の人にターズ殿下や国王陛下の不思議な力のことや狙いを知ってもらわなければならないという話になった。
まずはレオがパーティーの来場者であり、その中でも高位貴族にあたる人たちを探す。
洗脳状態にあるであろう人たちに声を掛け、彼がその人たちを見つめることによって不思議な力から解放する。
正常に戻った状態で、私とターズ様の話を聞いてもらうつもりだった。
でも、ターズ様が私と2人で話をしたいがために、他の人がレオに接触するように仕向けてくれた。
そのせいで手間は省けたけれど、思った以上に時間がかかってしまったようだった。
「話題があったからといって、短期間の内にそんなに簡単に仲良くなれるものではないでしょう」
「あなたもご存知だと思いますが、紫色の瞳は世界でも珍しいんですよ。話すきっかけもありますし、あなたという面倒な相手がいるのですから余計にです」
「そんな言い方は失礼ではないですか! 大体、紫色の瞳が珍しいということは良くないものだから、中々生まれないのではないですか」
「そうですね。良くないかどうかはわかりませんが、何ものかによって消されていた可能性も考えられますね。あなただって、本当は紫色の瞳を持つ人間を良く思っていないのでしょう?」
レオの発言に驚いて、彼の顔を見た。
私の視線に気付いているだろうけど、レオはターズ様を見つめたままだ。
代々の王家は他国を含め、紫色の瞳を持つ人を消していたということ?
もしかして、ターズ様が私を妻にしたのは殺すためだったの?
何も知らずに結婚生活を続けていたら、自分がどうなっていたのかわからないと思うと、急に怖くなった。
少しの間を空けて、ターズ殿下がレオに話しかける。
「レオナルド殿下は何か誤解をされているようですが、別に僕は紫色の瞳を持つものに恨みを持ったりなんてしていません」
「恨みはなくても邪魔な存在だということは確かでしょう」
「どうしても僕や父を悪者にしたいようですが、そうはいきませんよ」
「あなたを悪者にしたいんではなく、あなたが悪い人間だと確信しています」
「レオナルド殿下! いくら王太子とはいえ、人にそんな発言することは良くありません!」
厳しい口調で言うと、ターズ殿下は私に手を伸ばす。
「帰ろう、リリララ。レオナルド殿下は同じ色の瞳を持っている人に出会えて浮かれているだけだ。珍しいと思わなくなったら君を捨てるに決まっている」
「紫色の瞳の人に出会えて浮かれているのは私も同じです」
「浮かれてない」
ターズ殿下に言い返した私の言葉が気に食わなかったらしい。
レオが睨んできたので謝る。
「ごめんなさい。そうだった場合の話をしたかったの。私はあなたに出会えて嬉しかったから」
「俺の場合はきっかけはそうかもしれないが、今はそれだけじゃない」
「それは私も同じ気持ちです」
「リリララの気持ちと俺の気持ちは少し違うと思うけどな」
レオが含みのある言い方をしたのでどういうことか問いかけようとしたけど、ターズ様の姿が目に入ったのでやめた。
ターズ様は唾を飛ばして叫ぶ。
「やっぱり仲良くなってるんじゃないか! リリララ、君は浮気したんだ! 絶対に許さない!」
「私とレオナルド殿下は、あなたが思っているような仲ではありません。それに、私はあなたと別れたと思っていたんですから、浮気だなんて言われる筋合いはありません! といいますか、あなたが私にそんなことを言える立場ではないでしょう! 許さないなんて、それはこちらのセリフです!」
「父上の魔の手から君を守っていたのは僕なんだぞ!」
こちらから聞かずとも、ターズ様の口から私たちが聞きたい話をしてくれそうなので、この機を逃さぬように慎重に尋ねる。
「意味がわかりません。ターズ様が私を守ってくれていたというのは、どういうことなのでしょうか」
「父上は君を危険視していたから、君の家族に頼んで、君を事故に見せかけて殺そうとしていたんだ」
「……それを止めてくれていたのがターズ殿下だと言うのですか?」
「そうだよ。僕が止めていなければ、君は今、この世にいないだろう」
困惑している私の代わりにレオが尋ねる。
「サレナールの国王陛下がリリララを殺そうとしていたのですか?」
「リリララの家族にそう命令しようとしていたんだ。だけど、それを僕が止めた。だから、僕はリリララの命の恩人なんだ」
「自分で言うのはどうかと思いますが……」
レオは失笑して念押しする。
「もう一度確認しますが、国王陛下がリリララを殺そうとしていたということは間違いないのですね」
「そうです。だから、リリララは僕の側にいるべきなんだ!」
「……何か言うことはあるか?」
レオが私に聞いてきた。
不思議な力についての話は、まだ終わっていない。
私とターズ様の話を終わらせない限り、その話に移りづらいわ。
「ターズ様はどうすれば私との離婚を認めてくれるのですか?」
「僕は認めない!」
話し合いは無駄みたいね。
「……では、強硬手段に出させていただきます」
「……どういうことだ?」
「ターズ様、国王陛下のお話に戻っても良いでしょうか」
「気になるだろう! はっきり言ってくれよ!」
わざわざ何をしようとしているか教えてあげる必要もないので、勝手に話を進める。
「国王陛下は代々、サレナール王国に伝わっている不思議な力を使って世界を征服しようとした。この話は間違っていませんね?」
「世界征服じゃない! 統一しようとしていたんだ」
「統一ですか。それはどうしてなのです?」
レオが尋ねると、ターズ様は苦虫を噛み潰したような顔をして答える。
「あなたも王族ならわかるでしょう。優れた人間が王族であるべきだ。あなたは紫色の瞳を持っていたから特別扱いされているようですけど、それ以外はどこも同じじゃないですか」
「それなら、私も世界を統一しても良いということですか」
「そ、そういうわけじゃ」
「結局、ターズ様は国王陛下の企みを止めるつもりはないのですね?」
私が尋ねると、ターズ様は焦った顔になった。
止めてみせると言っておきながら、結局は自分の父親の肩を持つつもりだったのね。
それくらい簡単に私を扱えると思われていたなんて、もっとしっかりしないといけないわ。
「リリララ、僕の手を取らなければ君は父上に殺される。死にたくないなら僕と一緒に来るんだ」
「お断りします。あなたの手を取ったら、私は悪事に加担することになります。絶対に嫌です」
「じゃあ聞くが、僕が父上と戦うと言ったら、君は戻ってきてくれるのか」
「申し訳ございませんが無理です。ターズ様が国王陛下に勝てるとは思えません」
笑顔ではっきり伝えると、ターズ様は顔を真っ赤にして叫ぶ。
「そんなことはわからないだろう! もういい! 今日は帰る!」
「残念ですが、もう帰れませんよ」
「どういうことだ?」
ターズ様が聞き返したと同時に、バルコニーとダンスホールを繋ぐ扉から、複数人の男性が入ってきた。
そちらに向かおうとしていたターズ様は足を止めて困惑の表情を浮かべる。
「い、一体何なんだ?」
「我々はサレナール王国とライレフ王国の問題を精査している調査機関の者です。先ほどまでの会話を聞かせていただきました。もっと詳しい話をお聞きしたいので、我々とご同行願えますでしょうか」
「そ、そんな……! リリララ! 騙していたのか!」
ターズ様は私のほうに振り返り、情けない顔で叫んだ。
その結果、まずは自分たち以外の人にターズ殿下や国王陛下の不思議な力のことや狙いを知ってもらわなければならないという話になった。
まずはレオがパーティーの来場者であり、その中でも高位貴族にあたる人たちを探す。
洗脳状態にあるであろう人たちに声を掛け、彼がその人たちを見つめることによって不思議な力から解放する。
正常に戻った状態で、私とターズ様の話を聞いてもらうつもりだった。
でも、ターズ様が私と2人で話をしたいがために、他の人がレオに接触するように仕向けてくれた。
そのせいで手間は省けたけれど、思った以上に時間がかかってしまったようだった。
「話題があったからといって、短期間の内にそんなに簡単に仲良くなれるものではないでしょう」
「あなたもご存知だと思いますが、紫色の瞳は世界でも珍しいんですよ。話すきっかけもありますし、あなたという面倒な相手がいるのですから余計にです」
「そんな言い方は失礼ではないですか! 大体、紫色の瞳が珍しいということは良くないものだから、中々生まれないのではないですか」
「そうですね。良くないかどうかはわかりませんが、何ものかによって消されていた可能性も考えられますね。あなただって、本当は紫色の瞳を持つ人間を良く思っていないのでしょう?」
レオの発言に驚いて、彼の顔を見た。
私の視線に気付いているだろうけど、レオはターズ様を見つめたままだ。
代々の王家は他国を含め、紫色の瞳を持つ人を消していたということ?
もしかして、ターズ様が私を妻にしたのは殺すためだったの?
何も知らずに結婚生活を続けていたら、自分がどうなっていたのかわからないと思うと、急に怖くなった。
少しの間を空けて、ターズ殿下がレオに話しかける。
「レオナルド殿下は何か誤解をされているようですが、別に僕は紫色の瞳を持つものに恨みを持ったりなんてしていません」
「恨みはなくても邪魔な存在だということは確かでしょう」
「どうしても僕や父を悪者にしたいようですが、そうはいきませんよ」
「あなたを悪者にしたいんではなく、あなたが悪い人間だと確信しています」
「レオナルド殿下! いくら王太子とはいえ、人にそんな発言することは良くありません!」
厳しい口調で言うと、ターズ殿下は私に手を伸ばす。
「帰ろう、リリララ。レオナルド殿下は同じ色の瞳を持っている人に出会えて浮かれているだけだ。珍しいと思わなくなったら君を捨てるに決まっている」
「紫色の瞳の人に出会えて浮かれているのは私も同じです」
「浮かれてない」
ターズ殿下に言い返した私の言葉が気に食わなかったらしい。
レオが睨んできたので謝る。
「ごめんなさい。そうだった場合の話をしたかったの。私はあなたに出会えて嬉しかったから」
「俺の場合はきっかけはそうかもしれないが、今はそれだけじゃない」
「それは私も同じ気持ちです」
「リリララの気持ちと俺の気持ちは少し違うと思うけどな」
レオが含みのある言い方をしたのでどういうことか問いかけようとしたけど、ターズ様の姿が目に入ったのでやめた。
ターズ様は唾を飛ばして叫ぶ。
「やっぱり仲良くなってるんじゃないか! リリララ、君は浮気したんだ! 絶対に許さない!」
「私とレオナルド殿下は、あなたが思っているような仲ではありません。それに、私はあなたと別れたと思っていたんですから、浮気だなんて言われる筋合いはありません! といいますか、あなたが私にそんなことを言える立場ではないでしょう! 許さないなんて、それはこちらのセリフです!」
「父上の魔の手から君を守っていたのは僕なんだぞ!」
こちらから聞かずとも、ターズ様の口から私たちが聞きたい話をしてくれそうなので、この機を逃さぬように慎重に尋ねる。
「意味がわかりません。ターズ様が私を守ってくれていたというのは、どういうことなのでしょうか」
「父上は君を危険視していたから、君の家族に頼んで、君を事故に見せかけて殺そうとしていたんだ」
「……それを止めてくれていたのがターズ殿下だと言うのですか?」
「そうだよ。僕が止めていなければ、君は今、この世にいないだろう」
困惑している私の代わりにレオが尋ねる。
「サレナールの国王陛下がリリララを殺そうとしていたのですか?」
「リリララの家族にそう命令しようとしていたんだ。だけど、それを僕が止めた。だから、僕はリリララの命の恩人なんだ」
「自分で言うのはどうかと思いますが……」
レオは失笑して念押しする。
「もう一度確認しますが、国王陛下がリリララを殺そうとしていたということは間違いないのですね」
「そうです。だから、リリララは僕の側にいるべきなんだ!」
「……何か言うことはあるか?」
レオが私に聞いてきた。
不思議な力についての話は、まだ終わっていない。
私とターズ様の話を終わらせない限り、その話に移りづらいわ。
「ターズ様はどうすれば私との離婚を認めてくれるのですか?」
「僕は認めない!」
話し合いは無駄みたいね。
「……では、強硬手段に出させていただきます」
「……どういうことだ?」
「ターズ様、国王陛下のお話に戻っても良いでしょうか」
「気になるだろう! はっきり言ってくれよ!」
わざわざ何をしようとしているか教えてあげる必要もないので、勝手に話を進める。
「国王陛下は代々、サレナール王国に伝わっている不思議な力を使って世界を征服しようとした。この話は間違っていませんね?」
「世界征服じゃない! 統一しようとしていたんだ」
「統一ですか。それはどうしてなのです?」
レオが尋ねると、ターズ様は苦虫を噛み潰したような顔をして答える。
「あなたも王族ならわかるでしょう。優れた人間が王族であるべきだ。あなたは紫色の瞳を持っていたから特別扱いされているようですけど、それ以外はどこも同じじゃないですか」
「それなら、私も世界を統一しても良いということですか」
「そ、そういうわけじゃ」
「結局、ターズ様は国王陛下の企みを止めるつもりはないのですね?」
私が尋ねると、ターズ様は焦った顔になった。
止めてみせると言っておきながら、結局は自分の父親の肩を持つつもりだったのね。
それくらい簡単に私を扱えると思われていたなんて、もっとしっかりしないといけないわ。
「リリララ、僕の手を取らなければ君は父上に殺される。死にたくないなら僕と一緒に来るんだ」
「お断りします。あなたの手を取ったら、私は悪事に加担することになります。絶対に嫌です」
「じゃあ聞くが、僕が父上と戦うと言ったら、君は戻ってきてくれるのか」
「申し訳ございませんが無理です。ターズ様が国王陛下に勝てるとは思えません」
笑顔ではっきり伝えると、ターズ様は顔を真っ赤にして叫ぶ。
「そんなことはわからないだろう! もういい! 今日は帰る!」
「残念ですが、もう帰れませんよ」
「どういうことだ?」
ターズ様が聞き返したと同時に、バルコニーとダンスホールを繋ぐ扉から、複数人の男性が入ってきた。
そちらに向かおうとしていたターズ様は足を止めて困惑の表情を浮かべる。
「い、一体何なんだ?」
「我々はサレナール王国とライレフ王国の問題を精査している調査機関の者です。先ほどまでの会話を聞かせていただきました。もっと詳しい話をお聞きしたいので、我々とご同行願えますでしょうか」
「そ、そんな……! リリララ! 騙していたのか!」
ターズ様は私のほうに振り返り、情けない顔で叫んだ。
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