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4 脅してくる夫
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その後は、気を利かしてくれたターズ様の側近である、侯爵令息のルド様が2人を連れていってくれたので、くだらない争いをせずに済んだ。
ターズ様の側近は3人いて、その内の1人はターズ様を崇拝している。
その彼が今日の当番だったら、どうなっていたかわからない。
残りの1人は崇拝まではしていないものの、私のことを嫌っているから、その人が当番だったとしても、また違うことになっていたでしょうね。
ルド様は私の友人の婚約者だから信用できる人でもあるし、彼がターズ様の側近の一人で本当に良かった。
「ターズ様の今日の側近が他の2人ではなくて本当に良かったです」
同じことを考えたのか、侍女たちが小声で話す声が聞こえてきた。
それからの私は、昼食も休憩もとらずに夜まで働いた。
ターズ様はファナ様の相手が忙しいのか、執務室にほとんどいなかった。
そのため、今日の分の急ぎの仕事が私にまわってきたのだ。
気が付いたルド様が申し訳ないと言って、手伝ってくれたけど、それでもかなりの量だった。
でも、仕事量が多かった分、嫌なことを考えずに済んだし、時間が経つのも早かった。
ターズ様の仕事をしているのではなく、頑張っているターズ様以外の誰かのために仕事をしていると思えば、させられているという気分にもならなかった。
夜になって、何とか今日のノルマをこなしたので、夕食をとることにした。
両手を伸ばして体をほぐしながら歩いていると、目の前を歩いていた侍女の足が止まった。
しかも、曲がり角を曲がろうとしていたのに、わざわざ戻ってくる。
「どうかしたの?」
「……リリララ様、この先の道は通れないようです」
「通れないだなんて、そんなことはないでしょう」
曲がり角の手前で立ち止まった侍女に答えた時、ターズ様の声が聞こえてきた。
「僕は僕なりに頑張っているんだ。君まで僕を責めるのはやめてくれ」
「殿下を責めているわけではありません。ファナ様の態度を窘めていただけないかとお願いしているのです」
「仕事のことでも文句を言っただろう。他の奴らは何も言わないよ」
「彼らはリリララ様に押し付ければ良いと思っているからです。では、仕事のことは忘れてください。僕が何とかします。ですが、ファナ様のリリララ様への態度は無礼すぎます」
ターズ様と話をしている相手がルド様だとわかり、私と侍女たちは身を隠して、二人の会話を聞くことにした。
「言っても無駄だよ。それなら会わせないようにすれば良いだけだ」
「リリララ様本人の前でだけではありません。リリララ様がその場にいなくても、公の場所でリリララ様のことを馬鹿にするような発言をやめさせてください。リリララ様は正式な王太子妃なのですよ?」
「それだよ」
ターズ様は大きなため息を吐いて続ける。
「リリララを特別扱いすると女性たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは彼女たちの前では9番と呼んでいるんだ」
「そんな……! あまりにも失礼ではありませんか!」
「そうかな」
「そうです! リリララ様がそのことを知ったら、ショックを受けるに決まっています! 自分の他に8人も妻がいたということだけでもショックのはずです」
信じられない。
私のことを番号で呼んでいるですって?
「本人にバレなければいいんだ。だから言うなよ。彼女がそれを知ったら気にするだろうからな」
「そう思うのであれば、そんな呼び方をしないほうがよいかと思います」
「僕なりに彼女を守っているんだ。君にどうこう言われたくない」
私を守っているですって?
馬鹿にされているだけだわ。
今すぐに、ターズ様の前に現れて問いただそうか。
でも、そんなことをしても何も変わらないわよね。
私が9番だと呼ばれていることを知れたのは、ルド様のおかげだ。
ここで私が出ていけば、誰に聞かれるかわからない場所で話をしたとして、ルド様が罰を与えられてしまうかもしれない。
もしかして、ルド様は罰を与えられることを覚悟で、ここでこんな話をしてくれたのかもしれない。
きっと、ターズ様には私に言うなと口止めされているはずだもの。
証拠がない限り、ターズ様は謝るだけで終わり。
陰で9番と呼び続けるだけだわ。
侍女と護衛の表情を見ていると不快なものを聞いたような表情になっているから、ここにいる人たちは常識的な人が多くて良かったと胸を撫で下ろす。
私の感覚はおかしくない。
もう無理だわ。
番号で呼ばれているなんてことを知って、良い妻でなんていられない。
番号で呼ばれているということは知らないふりをして、違う理由で離婚を申し出ましょう。
「行きましょう」
小声で侍女たちを促し、ターズ様たちには、今、私たちが近づいてきたようなふりをする。
「今日は昼食をとっていないからお腹がすいたわ。いつもよりも夕食の量を増やしてもらおうかしら」
「承知しました。料理人に伝えに行ってまいります」
侍女がわざと大きな声で応えてから、早足で歩き出す。
そして、角を曲がったところで、今、初めてターズ様たちの存在に気が付いたふりをした。
*****
その日の夕食後、ターズ様に少しだけ時間をもらった。
私の部屋に入ってきたターズ様は笑顔で話しかけてくる。
「リリララから呼んでくれるなんて嬉しいな。最近はゆっくり話ができていなかったしね」
「ターズ様、早速本題に入らせていただきますが、円満な離婚を考えていただきたいのです。お願いいたします」
「何を馬鹿なことを言っているんだ」
「私は本気です」
「いい加減にしろ!」
ターズ様は私の顎を掴んで、顔を上げさせると叫ぶ。
「君が一番だと言っているだろう。何が気に食わないんだ!」
「それなら、9人も妻はいらないでしょう」
「いるんだよ! ワガママを言うな!」
「ワガママ? 離婚したいという理由も聞かずにワガママで片付けるのはやめてください!」
「君を特別扱いしているのに離婚したいと言うだなんてワガママだろう!」
9番目と呼んでいるくせに特別ですって?
ああ、そうね。
私だけ番号で呼んでいるのならば、それは特別かもしれないわ。
でも、私はそんな特別なんていらない。
「ワガママでかまいません。離婚してください。そして、他の8人の奥様の中から正妃を選んでください。10番目に結婚しようとしている方でもかまいません」
「正妃は君じゃないと駄目なんだ!」
「正妃が私である必要はないでしょう! 他国であろうと嫁いでもらうことは可能なはずです」
「僕は君が良いと言っているじゃないか!」
「では、お聞きします! 私の何が良いと言うのですか!」
睨みつけると、ターズ様は私の顎から手を離すことなく、視線を逸らして舌打ちをした。
こんな時は視線を合わせようとしないのね。
そう言いたくなるのをこらえていると、ターズ様が口を開く。
「昔から君のことが好きだった。その理由では駄目なのか」
「その理由ですと、複数の妻を持つ理由がわからなくなります」
「だから言い寄られたって言ってるだろう! 大体、そんなに嫌ならもっと早くに言え!」
「私に隠れて結婚していたのはあなたでしょう!」
「おかしいと思わなかった君が悪いんだ!」
「何を言っているんですか。私に知られないように根回しして結婚していたのでしょう! どうやって気づくというのですか! 私にそのことを教える人がいたら情報を漏らしたとして、その人を捕まえたでしょう?」
誰だって自分の身は可愛い。
それに、王太子の秘密を話すということは、ここだけの話ができない人間だと判断されてしまい、たとえ、私に感謝されても、その人の立場は悪くなる。
私の家族が何も言わなかったのは私への嫌がらせでしょうから、また別物だけど――
「そうだな。秘密にしておけと言った話を正義を理由に軽々しく口にする人間は、僕の周りにいてほしくない」
「なら、どうすれば私が気が付くと言うんですか。それとも、あなたが浮気をするために旅行に出かけていると疑っていたほうが良かったのですか?」
「とにかく聞いてくれ! これ以上、君に不快な思いをさせないように他の妻には伝えておく」
「そんなことは結構です! 離婚してくだされば良いのです!」
「嫌だと言っているだろう! 前も言ったが、君の家族がどうなるかわかってるのか!」
「家族がどうなろうが知ったことではありません」
自分を見捨てた家族を気遣うほど、私は優しくない。
「では、君の友人がどうなるかな。たしか、ルドの婚約者だったよな」
「……あなたは、それでも王太子なんですか。国民を人質にとるような真似をするだなんて」
「うるさい! そうさせているのは君だ! 友人を傷つけたくなければ、二度と離婚だなど馬鹿な話をするな!」
ターズ様は声を荒らげ、私の顎を乱暴に放すと「話は終わりだ」と言って、逃げるように部屋から出ていった。
意味がわからない。
多くの妻が必要な理由は何だっていうの?
それに、どうして私と別れることを拒むのよ。
私に残された道で、今考えられるのはターズ様に嫌われるしかない。
不審死を装ったり逃げたりすれば、友人が危険だ。
離婚するためには、ターズ様が私に執着する理由を掴まなくてはならないわ。
ターズ様の側近は3人いて、その内の1人はターズ様を崇拝している。
その彼が今日の当番だったら、どうなっていたかわからない。
残りの1人は崇拝まではしていないものの、私のことを嫌っているから、その人が当番だったとしても、また違うことになっていたでしょうね。
ルド様は私の友人の婚約者だから信用できる人でもあるし、彼がターズ様の側近の一人で本当に良かった。
「ターズ様の今日の側近が他の2人ではなくて本当に良かったです」
同じことを考えたのか、侍女たちが小声で話す声が聞こえてきた。
それからの私は、昼食も休憩もとらずに夜まで働いた。
ターズ様はファナ様の相手が忙しいのか、執務室にほとんどいなかった。
そのため、今日の分の急ぎの仕事が私にまわってきたのだ。
気が付いたルド様が申し訳ないと言って、手伝ってくれたけど、それでもかなりの量だった。
でも、仕事量が多かった分、嫌なことを考えずに済んだし、時間が経つのも早かった。
ターズ様の仕事をしているのではなく、頑張っているターズ様以外の誰かのために仕事をしていると思えば、させられているという気分にもならなかった。
夜になって、何とか今日のノルマをこなしたので、夕食をとることにした。
両手を伸ばして体をほぐしながら歩いていると、目の前を歩いていた侍女の足が止まった。
しかも、曲がり角を曲がろうとしていたのに、わざわざ戻ってくる。
「どうかしたの?」
「……リリララ様、この先の道は通れないようです」
「通れないだなんて、そんなことはないでしょう」
曲がり角の手前で立ち止まった侍女に答えた時、ターズ様の声が聞こえてきた。
「僕は僕なりに頑張っているんだ。君まで僕を責めるのはやめてくれ」
「殿下を責めているわけではありません。ファナ様の態度を窘めていただけないかとお願いしているのです」
「仕事のことでも文句を言っただろう。他の奴らは何も言わないよ」
「彼らはリリララ様に押し付ければ良いと思っているからです。では、仕事のことは忘れてください。僕が何とかします。ですが、ファナ様のリリララ様への態度は無礼すぎます」
ターズ様と話をしている相手がルド様だとわかり、私と侍女たちは身を隠して、二人の会話を聞くことにした。
「言っても無駄だよ。それなら会わせないようにすれば良いだけだ」
「リリララ様本人の前でだけではありません。リリララ様がその場にいなくても、公の場所でリリララ様のことを馬鹿にするような発言をやめさせてください。リリララ様は正式な王太子妃なのですよ?」
「それだよ」
ターズ様は大きなため息を吐いて続ける。
「リリララを特別扱いすると女性たちの嫉妬が酷くてね。リリララのことは彼女たちの前では9番と呼んでいるんだ」
「そんな……! あまりにも失礼ではありませんか!」
「そうかな」
「そうです! リリララ様がそのことを知ったら、ショックを受けるに決まっています! 自分の他に8人も妻がいたということだけでもショックのはずです」
信じられない。
私のことを番号で呼んでいるですって?
「本人にバレなければいいんだ。だから言うなよ。彼女がそれを知ったら気にするだろうからな」
「そう思うのであれば、そんな呼び方をしないほうがよいかと思います」
「僕なりに彼女を守っているんだ。君にどうこう言われたくない」
私を守っているですって?
馬鹿にされているだけだわ。
今すぐに、ターズ様の前に現れて問いただそうか。
でも、そんなことをしても何も変わらないわよね。
私が9番だと呼ばれていることを知れたのは、ルド様のおかげだ。
ここで私が出ていけば、誰に聞かれるかわからない場所で話をしたとして、ルド様が罰を与えられてしまうかもしれない。
もしかして、ルド様は罰を与えられることを覚悟で、ここでこんな話をしてくれたのかもしれない。
きっと、ターズ様には私に言うなと口止めされているはずだもの。
証拠がない限り、ターズ様は謝るだけで終わり。
陰で9番と呼び続けるだけだわ。
侍女と護衛の表情を見ていると不快なものを聞いたような表情になっているから、ここにいる人たちは常識的な人が多くて良かったと胸を撫で下ろす。
私の感覚はおかしくない。
もう無理だわ。
番号で呼ばれているなんてことを知って、良い妻でなんていられない。
番号で呼ばれているということは知らないふりをして、違う理由で離婚を申し出ましょう。
「行きましょう」
小声で侍女たちを促し、ターズ様たちには、今、私たちが近づいてきたようなふりをする。
「今日は昼食をとっていないからお腹がすいたわ。いつもよりも夕食の量を増やしてもらおうかしら」
「承知しました。料理人に伝えに行ってまいります」
侍女がわざと大きな声で応えてから、早足で歩き出す。
そして、角を曲がったところで、今、初めてターズ様たちの存在に気が付いたふりをした。
*****
その日の夕食後、ターズ様に少しだけ時間をもらった。
私の部屋に入ってきたターズ様は笑顔で話しかけてくる。
「リリララから呼んでくれるなんて嬉しいな。最近はゆっくり話ができていなかったしね」
「ターズ様、早速本題に入らせていただきますが、円満な離婚を考えていただきたいのです。お願いいたします」
「何を馬鹿なことを言っているんだ」
「私は本気です」
「いい加減にしろ!」
ターズ様は私の顎を掴んで、顔を上げさせると叫ぶ。
「君が一番だと言っているだろう。何が気に食わないんだ!」
「それなら、9人も妻はいらないでしょう」
「いるんだよ! ワガママを言うな!」
「ワガママ? 離婚したいという理由も聞かずにワガママで片付けるのはやめてください!」
「君を特別扱いしているのに離婚したいと言うだなんてワガママだろう!」
9番目と呼んでいるくせに特別ですって?
ああ、そうね。
私だけ番号で呼んでいるのならば、それは特別かもしれないわ。
でも、私はそんな特別なんていらない。
「ワガママでかまいません。離婚してください。そして、他の8人の奥様の中から正妃を選んでください。10番目に結婚しようとしている方でもかまいません」
「正妃は君じゃないと駄目なんだ!」
「正妃が私である必要はないでしょう! 他国であろうと嫁いでもらうことは可能なはずです」
「僕は君が良いと言っているじゃないか!」
「では、お聞きします! 私の何が良いと言うのですか!」
睨みつけると、ターズ様は私の顎から手を離すことなく、視線を逸らして舌打ちをした。
こんな時は視線を合わせようとしないのね。
そう言いたくなるのをこらえていると、ターズ様が口を開く。
「昔から君のことが好きだった。その理由では駄目なのか」
「その理由ですと、複数の妻を持つ理由がわからなくなります」
「だから言い寄られたって言ってるだろう! 大体、そんなに嫌ならもっと早くに言え!」
「私に隠れて結婚していたのはあなたでしょう!」
「おかしいと思わなかった君が悪いんだ!」
「何を言っているんですか。私に知られないように根回しして結婚していたのでしょう! どうやって気づくというのですか! 私にそのことを教える人がいたら情報を漏らしたとして、その人を捕まえたでしょう?」
誰だって自分の身は可愛い。
それに、王太子の秘密を話すということは、ここだけの話ができない人間だと判断されてしまい、たとえ、私に感謝されても、その人の立場は悪くなる。
私の家族が何も言わなかったのは私への嫌がらせでしょうから、また別物だけど――
「そうだな。秘密にしておけと言った話を正義を理由に軽々しく口にする人間は、僕の周りにいてほしくない」
「なら、どうすれば私が気が付くと言うんですか。それとも、あなたが浮気をするために旅行に出かけていると疑っていたほうが良かったのですか?」
「とにかく聞いてくれ! これ以上、君に不快な思いをさせないように他の妻には伝えておく」
「そんなことは結構です! 離婚してくだされば良いのです!」
「嫌だと言っているだろう! 前も言ったが、君の家族がどうなるかわかってるのか!」
「家族がどうなろうが知ったことではありません」
自分を見捨てた家族を気遣うほど、私は優しくない。
「では、君の友人がどうなるかな。たしか、ルドの婚約者だったよな」
「……あなたは、それでも王太子なんですか。国民を人質にとるような真似をするだなんて」
「うるさい! そうさせているのは君だ! 友人を傷つけたくなければ、二度と離婚だなど馬鹿な話をするな!」
ターズ様は声を荒らげ、私の顎を乱暴に放すと「話は終わりだ」と言って、逃げるように部屋から出ていった。
意味がわからない。
多くの妻が必要な理由は何だっていうの?
それに、どうして私と別れることを拒むのよ。
私に残された道で、今考えられるのはターズ様に嫌われるしかない。
不審死を装ったり逃げたりすれば、友人が危険だ。
離婚するためには、ターズ様が私に執着する理由を掴まなくてはならないわ。
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