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1 恋が冷める
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オズック・エルモード伯爵令息から告白されたのは、わたしが13歳の時だった。
友人に招かれたホームパーティーに彼も来ていて、帰り際に声を掛けられたのだ。
彼は違うパーティーでわたしを見かけて、一目惚れしたと言い、知り合うきっかけを作ろうとしてくれていたと教えてくれた。
五つ年上で伯爵家の次男の彼は、女性に人気で社交場ではいつも噂されていた。
長身痩躯で柔らかそうな金色の短髪、青色の涼やかな瞳、鼻筋の通った顔立ちで優しくて甘い声を持っていた。
密かに彼に憧れていたわたしは、突然の告白に舞い上がってしまった。
その場での返事は待ってもらい、邸に帰って両親に相談した。
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいないため爵位はわたしが継ぐか、わたしの夫になる人が爵位を継ぐことになると言われていた。
だから、簡単には答えを出せなかった。
でも、わたしの気持ちは、ほぼ決まっていた。
オズック様に良い返事をするつもりだった。
その時は両親も喜んでいると思っていたのだけど、難しい顔をされた。
どうしてか尋ねると「女性からの良い噂を聞かないから」だった。
そう言われて、わたしは不思議だった。
だって、わたしの周りはみんな彼のことを褒めていたから。
この時のわたしは、大人の噂話と子供がする噂話は同じものだと思い込んでいた。
お願いを続けて数日後、条件付きで交際のお許しが出た。
条件は結婚するまでは清い交際を続けること。
彼が浮気したと分かればすぐに別れることだった。
条件付きではあっても、両親から交際のお許しが出た時には飛び跳ねて喜んだことを、今でも覚えている。
彼が浮気なんてするはずがない。
そう信じていたし、私とお付き合いを始めたあとは、浮気のうの字も感じさせないくらいに大事にしてくれた。
わたしが14歳になった年に、彼の就職が決まった。
その日、彼は就職祝いにほしいものだといって、婚約の書類とわたしに約束してほしいことを書いた書類を用意してきた。
『オレが浮気をしているという人がいても信じないでほしい。
オレの言葉だけを信じてくれ。
オレには君だけだ。
もし、浮気を疑って別れたいという場合は、物的証拠を見せてくれないと別れないからね。
誰かから聞いたなんて絶対に駄目だよ。』
そう書かれていた。
今となれば怪しすぎる手紙だと思う。
でも、婚約の書類を見たわたしは彼にプロポーズされたのだと舞い上がり、そちらに気を取られてしまった。
そして、彼がそんなにもわたしと別れたくないのだと捉えてしまった。
両親に相談すると、最近は嫌な噂もなく改心したのだろうということで、渋々ではあったけれど承諾してくれた。
そのかわり、今回も条件がつけられた。
今から話す内容は結婚が決まるまではオズック様だけでなく、他の人には絶対話さないという約束をさせられて話をされたのは、跡継ぎ問題のことだった。
両親は、オズック様のことを本当に信用していなかった。
だから、家督だけはオズック様に譲ることを考えていなかった。
わたしがオズック様と結婚する場合は、オズック様には家督を継がせず、わたしが家督を継ぐと決めていた。
結果、両親は正しかった。
わたしはオズック様の言うことなら何でも信じる都合のいい女だった。
このまま結婚の話を進めて、直前にその事実を知ったら彼はどんな顔をするのかしら。
でも、彼は今すぐにわたしと結婚する気はなさそうだ。
それまで騙されたふりを続けるのも馬鹿馬鹿しい。
さあ、どうすれば良いか。
オズック様とファニの浮気現場を見たわたしは、冷静になるために、その場を離れようとした。
でも、やっぱり足を止めた。
なぜ、わたしが逃げなければならないのかと思った。
二人を信じていたわたしが馬鹿だったとしても、婚約者がいるというのに浮気をしたり、恋人がいるのに友人の婚約者と恋仲になることは、人として許される行為なのだろうか。
二人が振り返っても見えない位置に立って考える。
そして、ファニと仲良くなったきっかけを思い出す。
声をかけてきたのはファニのほうからだった。
黒色の長い髪をシニヨンにしたわたしと金色のお尻まであるウェーブのかかった美しい髪を持つファニ。
ダークブラウンのアーモンド型の瞳に小顔で地味な顔立ちのわたしと青色の丸い瞳に明るくて整った顔立ちのファニ。
性格も違い、学生時代の時から「仲良くなりそうなタイプではないのに」とよく言われていた。
わたしは彼女にとって、良い引き立て役だったのね。
そんなことも知らずに、わたしはファニがオズック様と同じ職場で働くと聞いた時、万が一、浮気を疑うような素振りがあったら教えてほしいとお願いしていた。
『もちろんよ。私たちは親友なんだから、親友を悲しませることなんてしないわ。絶対に裏切ったりしない』
ファニはわたしに対して親友という言葉を使った。
あの時のファニはわたしのことを親友だと思ってくれていたのだろうか。
そして、オズック様は最初から、わたしではなくわたしの家柄しか見ていなかったのだろうか。
今回の件を、友人に頼んだ自分が悪いのだからと許せる人もいるかもしれない。
でも、わたしは許せない。
爵位だけ授かってわたしを捨てようとしている婚約者を許せるわけがない。
ファニには婚約者がいる。
だから、わたしを裏切っただけでなく、ファニの婚約者も裏切っている。
オズック様もファニも同罪だ。
あんな話を聞いた以上、オズック様が言っていたような縋るわたしにはなりたくないし、都合のいい女にもなりたくない。
許すつもりはないけれど、まずはこのまま突撃して、二人の言い分を聞いてみようと思った。
友人に招かれたホームパーティーに彼も来ていて、帰り際に声を掛けられたのだ。
彼は違うパーティーでわたしを見かけて、一目惚れしたと言い、知り合うきっかけを作ろうとしてくれていたと教えてくれた。
五つ年上で伯爵家の次男の彼は、女性に人気で社交場ではいつも噂されていた。
長身痩躯で柔らかそうな金色の短髪、青色の涼やかな瞳、鼻筋の通った顔立ちで優しくて甘い声を持っていた。
密かに彼に憧れていたわたしは、突然の告白に舞い上がってしまった。
その場での返事は待ってもらい、邸に帰って両親に相談した。
レイドック侯爵家にはわたししか子供がいないため爵位はわたしが継ぐか、わたしの夫になる人が爵位を継ぐことになると言われていた。
だから、簡単には答えを出せなかった。
でも、わたしの気持ちは、ほぼ決まっていた。
オズック様に良い返事をするつもりだった。
その時は両親も喜んでいると思っていたのだけど、難しい顔をされた。
どうしてか尋ねると「女性からの良い噂を聞かないから」だった。
そう言われて、わたしは不思議だった。
だって、わたしの周りはみんな彼のことを褒めていたから。
この時のわたしは、大人の噂話と子供がする噂話は同じものだと思い込んでいた。
お願いを続けて数日後、条件付きで交際のお許しが出た。
条件は結婚するまでは清い交際を続けること。
彼が浮気したと分かればすぐに別れることだった。
条件付きではあっても、両親から交際のお許しが出た時には飛び跳ねて喜んだことを、今でも覚えている。
彼が浮気なんてするはずがない。
そう信じていたし、私とお付き合いを始めたあとは、浮気のうの字も感じさせないくらいに大事にしてくれた。
わたしが14歳になった年に、彼の就職が決まった。
その日、彼は就職祝いにほしいものだといって、婚約の書類とわたしに約束してほしいことを書いた書類を用意してきた。
『オレが浮気をしているという人がいても信じないでほしい。
オレの言葉だけを信じてくれ。
オレには君だけだ。
もし、浮気を疑って別れたいという場合は、物的証拠を見せてくれないと別れないからね。
誰かから聞いたなんて絶対に駄目だよ。』
そう書かれていた。
今となれば怪しすぎる手紙だと思う。
でも、婚約の書類を見たわたしは彼にプロポーズされたのだと舞い上がり、そちらに気を取られてしまった。
そして、彼がそんなにもわたしと別れたくないのだと捉えてしまった。
両親に相談すると、最近は嫌な噂もなく改心したのだろうということで、渋々ではあったけれど承諾してくれた。
そのかわり、今回も条件がつけられた。
今から話す内容は結婚が決まるまではオズック様だけでなく、他の人には絶対話さないという約束をさせられて話をされたのは、跡継ぎ問題のことだった。
両親は、オズック様のことを本当に信用していなかった。
だから、家督だけはオズック様に譲ることを考えていなかった。
わたしがオズック様と結婚する場合は、オズック様には家督を継がせず、わたしが家督を継ぐと決めていた。
結果、両親は正しかった。
わたしはオズック様の言うことなら何でも信じる都合のいい女だった。
このまま結婚の話を進めて、直前にその事実を知ったら彼はどんな顔をするのかしら。
でも、彼は今すぐにわたしと結婚する気はなさそうだ。
それまで騙されたふりを続けるのも馬鹿馬鹿しい。
さあ、どうすれば良いか。
オズック様とファニの浮気現場を見たわたしは、冷静になるために、その場を離れようとした。
でも、やっぱり足を止めた。
なぜ、わたしが逃げなければならないのかと思った。
二人を信じていたわたしが馬鹿だったとしても、婚約者がいるというのに浮気をしたり、恋人がいるのに友人の婚約者と恋仲になることは、人として許される行為なのだろうか。
二人が振り返っても見えない位置に立って考える。
そして、ファニと仲良くなったきっかけを思い出す。
声をかけてきたのはファニのほうからだった。
黒色の長い髪をシニヨンにしたわたしと金色のお尻まであるウェーブのかかった美しい髪を持つファニ。
ダークブラウンのアーモンド型の瞳に小顔で地味な顔立ちのわたしと青色の丸い瞳に明るくて整った顔立ちのファニ。
性格も違い、学生時代の時から「仲良くなりそうなタイプではないのに」とよく言われていた。
わたしは彼女にとって、良い引き立て役だったのね。
そんなことも知らずに、わたしはファニがオズック様と同じ職場で働くと聞いた時、万が一、浮気を疑うような素振りがあったら教えてほしいとお願いしていた。
『もちろんよ。私たちは親友なんだから、親友を悲しませることなんてしないわ。絶対に裏切ったりしない』
ファニはわたしに対して親友という言葉を使った。
あの時のファニはわたしのことを親友だと思ってくれていたのだろうか。
そして、オズック様は最初から、わたしではなくわたしの家柄しか見ていなかったのだろうか。
今回の件を、友人に頼んだ自分が悪いのだからと許せる人もいるかもしれない。
でも、わたしは許せない。
爵位だけ授かってわたしを捨てようとしている婚約者を許せるわけがない。
ファニには婚約者がいる。
だから、わたしを裏切っただけでなく、ファニの婚約者も裏切っている。
オズック様もファニも同罪だ。
あんな話を聞いた以上、オズック様が言っていたような縋るわたしにはなりたくないし、都合のいい女にもなりたくない。
許すつもりはないけれど、まずはこのまま突撃して、二人の言い分を聞いてみようと思った。
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