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4−3 オルザベート視点 1
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ロンバートが私達に付きまとう様になってから、もう何日も過ぎた。
彼が何の為に私達に付きまとっているのかを知りたくて、接触しようと試みてはいるけれど、ティンカーが邪魔してきて無理だった。
ティンカーはロンバートに私が奪われるのではないかと恐れているみたい。
その考えは間違ってはいないんだけどね。
だって、ティンカーには男としての魅力を感じないから。
ロンバートの場合は一時でも、エアリスの夫になったのだから我慢できるわ。
それが、魅了魔法のせいだったとしても、エアリスはロンバートに触れたのだから、触れてあげてもいい。
そんな日々が続いていた、ある日の事だった。
どうにかして、ロンバートと接触する為に、ティンカーと一緒にわざと外を出歩いていると、いつも立ち話をしている近所のおばさん達の会話が聞こえてきた。
「カイジス公爵が夫人になる人と一緒に、こちらへ視察に来るそうだよ」
「視察って、ここには何もないのにねぇ」
カイジス公爵だけなら素通り出来た。
夫人になる人と一緒、という事は…。
「あの、すいません!」
私は話をした事もないおばさん達の輪の中に入っていき、内容を詳しく聞こうとしたけど、おばさん達が知ってた内容は、さっき、私の耳に届いたものくらいしかなかった。
「オルザベート、もうエアリスの事は…」
「あなた、この事を知っていたの!?」
「…視察に来る事だけは知ってたよ」
「どうして教えてくれなかったの!?」
おばさん達と別れて、待っていたティンカーの所に戻ると、そんな事を言われたので、頭にきて叫ぶ。
「そう簡単に忘れられない事くらいわかってよ!」
「君が考えないといけないのは自分の子供の事なんじゃないのか? それに、俺との将来も考えてくれているのかよ!」
その時、凄まじい殺気を感じて振り返った。
すると、少し離れた場所の道の端の木の陰に隠れていたロンバートが、恐ろしい形相でティンカーを見つめていた。
「あの男! 魅了魔法をかけて、どこかに行かせてやる!」
「待って、ティンカー! あなた、そう同時に魔法をかけられないんでしょう? 今、かけている女性の魅了魔法の効果が薄れたらどうするの」
「だけど…」
「落ち着いて、ティンカー。今、私と一緒にいるのはあなたなのよ?」
ロンバートを刺激するわけにもいかないから、今は必要以上にボディータッチは出来ない。
だから、小声で彼に囁く。
「あんな男よりもあなたの方が魅力的よ」
真っ赤な嘘だけれど、そんな事を知らない彼は私の言葉を聞いて赤くなり、頷いて私の手を握った。
それから数日後、また、近所のおばさん達から、カイジス公爵が街にやって来たという話を聞いた。
「ちょっと出かけてくるわ。エアリスに会えるかもしれない」
私が潜伏先の家から出ていこうとすると、ティンカーが言う。
「待って、僕も一緒に行くよ」
「一人で大丈夫よ。エアリスがいるかどうか、遠くから見に行くだけだから」
「駄目だ。外にはあの男がいるに決まってる!」
それがわかっているから一人で出ていこうとしているのに、本当に邪魔でしょうがない男だわ。
「話をしなければいいんでしょう?」
「君が一人で出ていけば、向こうから話しかけてくるさ」
そう言って、ティンカーは素早く出かける用意を済ませ、私と一緒に家を出ようとした。
すると、扉を開けてすぐの所に、ロンバートが立っていた。
「きゃっ!」
「うわぁっ!」
まさか、扉の前に立っているとは思っていなかったので、思わず私とティンカーは悲鳴を上げる。
「久しぶりだな、オルザベート」
「え、ええ。久しぶりね、ロンバート。あなたが元気そうで良かったわ。無事に出所出来たのね」
「ああ。君のお迎えはなかったけどな」
ロンバートは不服そうな顔をしたあと、私を見て言う。
「とにかく家の中に入れてくれないか。僕は見張られているんだ。君達もだがな」
「…なんですって!?」
ロンバートは私達を押しのけて、無理矢理、家の中に入ってきた。
「中に入ってしまえば、僕達がどんな話をしているかはわからない。オルザベート、僕と一緒に逃げる気があるなら、君をエアリスに会わせる手助けをしよう」
ロンバートの言葉は、私にとっては、それはもう嬉しい申し出だった。
彼が何の為に私達に付きまとっているのかを知りたくて、接触しようと試みてはいるけれど、ティンカーが邪魔してきて無理だった。
ティンカーはロンバートに私が奪われるのではないかと恐れているみたい。
その考えは間違ってはいないんだけどね。
だって、ティンカーには男としての魅力を感じないから。
ロンバートの場合は一時でも、エアリスの夫になったのだから我慢できるわ。
それが、魅了魔法のせいだったとしても、エアリスはロンバートに触れたのだから、触れてあげてもいい。
そんな日々が続いていた、ある日の事だった。
どうにかして、ロンバートと接触する為に、ティンカーと一緒にわざと外を出歩いていると、いつも立ち話をしている近所のおばさん達の会話が聞こえてきた。
「カイジス公爵が夫人になる人と一緒に、こちらへ視察に来るそうだよ」
「視察って、ここには何もないのにねぇ」
カイジス公爵だけなら素通り出来た。
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「あの、すいません!」
私は話をした事もないおばさん達の輪の中に入っていき、内容を詳しく聞こうとしたけど、おばさん達が知ってた内容は、さっき、私の耳に届いたものくらいしかなかった。
「オルザベート、もうエアリスの事は…」
「あなた、この事を知っていたの!?」
「…視察に来る事だけは知ってたよ」
「どうして教えてくれなかったの!?」
おばさん達と別れて、待っていたティンカーの所に戻ると、そんな事を言われたので、頭にきて叫ぶ。
「そう簡単に忘れられない事くらいわかってよ!」
「君が考えないといけないのは自分の子供の事なんじゃないのか? それに、俺との将来も考えてくれているのかよ!」
その時、凄まじい殺気を感じて振り返った。
すると、少し離れた場所の道の端の木の陰に隠れていたロンバートが、恐ろしい形相でティンカーを見つめていた。
「あの男! 魅了魔法をかけて、どこかに行かせてやる!」
「待って、ティンカー! あなた、そう同時に魔法をかけられないんでしょう? 今、かけている女性の魅了魔法の効果が薄れたらどうするの」
「だけど…」
「落ち着いて、ティンカー。今、私と一緒にいるのはあなたなのよ?」
ロンバートを刺激するわけにもいかないから、今は必要以上にボディータッチは出来ない。
だから、小声で彼に囁く。
「あんな男よりもあなたの方が魅力的よ」
真っ赤な嘘だけれど、そんな事を知らない彼は私の言葉を聞いて赤くなり、頷いて私の手を握った。
それから数日後、また、近所のおばさん達から、カイジス公爵が街にやって来たという話を聞いた。
「ちょっと出かけてくるわ。エアリスに会えるかもしれない」
私が潜伏先の家から出ていこうとすると、ティンカーが言う。
「待って、僕も一緒に行くよ」
「一人で大丈夫よ。エアリスがいるかどうか、遠くから見に行くだけだから」
「駄目だ。外にはあの男がいるに決まってる!」
それがわかっているから一人で出ていこうとしているのに、本当に邪魔でしょうがない男だわ。
「話をしなければいいんでしょう?」
「君が一人で出ていけば、向こうから話しかけてくるさ」
そう言って、ティンカーは素早く出かける用意を済ませ、私と一緒に家を出ようとした。
すると、扉を開けてすぐの所に、ロンバートが立っていた。
「きゃっ!」
「うわぁっ!」
まさか、扉の前に立っているとは思っていなかったので、思わず私とティンカーは悲鳴を上げる。
「久しぶりだな、オルザベート」
「え、ええ。久しぶりね、ロンバート。あなたが元気そうで良かったわ。無事に出所出来たのね」
「ああ。君のお迎えはなかったけどな」
ロンバートは不服そうな顔をしたあと、私を見て言う。
「とにかく家の中に入れてくれないか。僕は見張られているんだ。君達もだがな」
「…なんですって!?」
ロンバートは私達を押しのけて、無理矢理、家の中に入ってきた。
「中に入ってしまえば、僕達がどんな話をしているかはわからない。オルザベート、僕と一緒に逃げる気があるなら、君をエアリスに会わせる手助けをしよう」
ロンバートの言葉は、私にとっては、それはもう嬉しい申し出だった。
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