14 / 25
4−2
しおりを挟む
一週間後、私とエドと護衛の人達、そして、休暇を取ったビアラは、ロンバートからオルザベートがいると報告された場所の近くまでやって来ていた。
ロンバートは未だ、オルザベートに接触は出来ていないみたいだけど、オルザベートやロンバートを監視している人達に言わせれば、オルザベートの方はロンバートが付いてきている事に気付いているようだと教えてくれた。
オルザベートの方もロンバートに接触しようとしているみたいだけど、オラエル先生がそれを許さないらしい。
彼もロンバートの存在に気付いているから妨害しているのではないかという見解だった。
ロンバートの事だから、ねっとりとした視線をオルザベートに送ってそうだし、仲良さそうにしているオラエル先生にも殺気を剥き出しにしてそう。
オラエル先生が魔法でロンバートを対処しないのは、オルザベートに止められているのかしら?
もしくは、魔法を何個も継続で使うのがオラエル先生には難しいのかもしれない。
その事を考えたら、私のお祖父様達は本当にすごい。
私の魔力を使っている時もあるとはいえ、亡くなっても魔法が続いているのだから。
エドは新婚旅行先と言ったけれど、はっきり言って観光地でもなんでもない普通の街のため、明らかにオルザベートをおびき寄せるための旅行だった。
あと、エドはここ最近、働き詰めだったので、少し骨休めしたいというのもあったのかもしれない。
「エドワード様とエアリスがこの地に来ているのは、トゥッチも知ってるんですよね?」
繁華街にあるカフェでお茶をする事になり、オーダーを終えたあと、隣に座るビアラが、テーブルをはさんで斜向いに座るエドに尋ねた。
「視察として公爵、まあ、僕の事だけど、僕が婚約者と共に、この街に来るという記事を新聞に載せさせたから、たぶん知っているはずだし、その話題をわざと住民達の前で護衛騎士に会話させたから、耳には入っているだろう。ロードウェルも人が話していたのを聞いたと言っていたらしいからな」
「でも、トゥッチ達はあまり外に出ていないんでしょう?」
「いや、トゥッチはロードウェルと接触したいがために、外出が増えてるようだ。まあ、一人で外出してるわけではないが」
ビアラがテーブルに頬杖をついてため息を吐く。
「エアリス見たさで近寄ってきて、近くに私がいるなんて知ったら、それはもう怒り狂うでしょうね」
「ビアラを危ない目に合わせたくはないけど、おびき寄せるなら、ビアラにくっついて歩いた方がいいの?」
エドに尋ねると、少しだけ困った顔になったけれど、すぐに頷く。
「挑発するにはそうした方がいいだろうな」
「ビアラが危ない目に合わなければいいけど」
「多少の危険は百も承知よ。それに友達の為だしね」
「あのね、ビアラ。私だって友達が自分のせいで危険な目に合うなんて嫌なんだけど?」
軽いノリのビアラを心配して言った時だった。
店の外にいた護衛の一人が、私達のテーブルにやって来ると、エドに耳打ちした。
その瞬間、エドの表情が一気に険しくなった。
それを見た私とビアラは顔を見合わせる。
エドが護衛に軽く礼を言うと、護衛はまた店の外に出て行った。
「エド、どうかしたの?」
「かかった」
「え?」
私とビアラの聞き返す声が重なった。
「トゥッチが餌に食いついた」
餌に食いついたという事は。
オルザベートが近くに来ているって事?
覚悟してきたはずなのに、考えただけで、全身に悪寒が走った。
ロンバートは未だ、オルザベートに接触は出来ていないみたいだけど、オルザベートやロンバートを監視している人達に言わせれば、オルザベートの方はロンバートが付いてきている事に気付いているようだと教えてくれた。
オルザベートの方もロンバートに接触しようとしているみたいだけど、オラエル先生がそれを許さないらしい。
彼もロンバートの存在に気付いているから妨害しているのではないかという見解だった。
ロンバートの事だから、ねっとりとした視線をオルザベートに送ってそうだし、仲良さそうにしているオラエル先生にも殺気を剥き出しにしてそう。
オラエル先生が魔法でロンバートを対処しないのは、オルザベートに止められているのかしら?
もしくは、魔法を何個も継続で使うのがオラエル先生には難しいのかもしれない。
その事を考えたら、私のお祖父様達は本当にすごい。
私の魔力を使っている時もあるとはいえ、亡くなっても魔法が続いているのだから。
エドは新婚旅行先と言ったけれど、はっきり言って観光地でもなんでもない普通の街のため、明らかにオルザベートをおびき寄せるための旅行だった。
あと、エドはここ最近、働き詰めだったので、少し骨休めしたいというのもあったのかもしれない。
「エドワード様とエアリスがこの地に来ているのは、トゥッチも知ってるんですよね?」
繁華街にあるカフェでお茶をする事になり、オーダーを終えたあと、隣に座るビアラが、テーブルをはさんで斜向いに座るエドに尋ねた。
「視察として公爵、まあ、僕の事だけど、僕が婚約者と共に、この街に来るという記事を新聞に載せさせたから、たぶん知っているはずだし、その話題をわざと住民達の前で護衛騎士に会話させたから、耳には入っているだろう。ロードウェルも人が話していたのを聞いたと言っていたらしいからな」
「でも、トゥッチ達はあまり外に出ていないんでしょう?」
「いや、トゥッチはロードウェルと接触したいがために、外出が増えてるようだ。まあ、一人で外出してるわけではないが」
ビアラがテーブルに頬杖をついてため息を吐く。
「エアリス見たさで近寄ってきて、近くに私がいるなんて知ったら、それはもう怒り狂うでしょうね」
「ビアラを危ない目に合わせたくはないけど、おびき寄せるなら、ビアラにくっついて歩いた方がいいの?」
エドに尋ねると、少しだけ困った顔になったけれど、すぐに頷く。
「挑発するにはそうした方がいいだろうな」
「ビアラが危ない目に合わなければいいけど」
「多少の危険は百も承知よ。それに友達の為だしね」
「あのね、ビアラ。私だって友達が自分のせいで危険な目に合うなんて嫌なんだけど?」
軽いノリのビアラを心配して言った時だった。
店の外にいた護衛の一人が、私達のテーブルにやって来ると、エドに耳打ちした。
その瞬間、エドの表情が一気に険しくなった。
それを見た私とビアラは顔を見合わせる。
エドが護衛に軽く礼を言うと、護衛はまた店の外に出て行った。
「エド、どうかしたの?」
「かかった」
「え?」
私とビアラの聞き返す声が重なった。
「トゥッチが餌に食いついた」
餌に食いついたという事は。
オルザベートが近くに来ているって事?
覚悟してきたはずなのに、考えただけで、全身に悪寒が走った。
応援ありがとうございます!
21
お気に入りに追加
986
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる