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※ 前作をお読みくださった前提での続編となっておりますので、前作に出ています人物の説明などは省いております。ご了承下さいませ。







 私、エアリス・ノラベルがカイジス邸にやって来て、約1年程が経った。

 ロンバートとの離婚からも半年以上たったため、エドと私は正式に婚約者となった。
 籍を入れるのはいつにするかは考えているところで、まだ夫婦にはなっていない。
 結婚式に関しては、私は一度挙げているので、正直、もう良いかなと思っていたけれど、エドの婚約者になった途端、周りが結婚式の話についてし始めたため、このままでは、また式を挙げる事になりそうだった。

 エドは私の前回の結婚式は来なかったらしい。
 だから、花嫁姿を見たいと言われてしまった。
 そして、エドの為に着てほしいと、お願いされたので断る事も出来なかった。

 式はもう少し先になるけれど、親友の一人であるビアラに結婚式に着るドレスを見に行くので付いて来てほしいとお願いしたら、承諾してもらえてたので一緒に見に行く事になった。

 なぜ、ビアラなのかというと、一度、エドと一緒に見に行ったら、全部似合う。
 と訳のわからない事を言われてしまい、全く参考にならなかった。
 着たいものを着れば良いとは思うのだけれど、誰かの意見も聞きたい。
 お店の人に聞いても良かったんだけど、ビアラに一緒に来てほしい理由もあった。

 なぜなら、彼女とディラン様の関係がはっきりしないから、エドに頼んで、ディラン様にも来てもらい、二人の幸せの手助けをしよう、なんて、おせっかいな事を考えてしまったから。

 だって、二人にはかなりお世話になったもの。
 それに、ディラン様には魔法を教えてもらえる事になった。
 エドのお母様も使えるけれど、使える魔法の数が、ディラン様の方が半端ないから。
 ビアラとディラン様を応援するからといって、二人に今すぐ結婚しろだなんて言うつもりはなくて、ビアラに試着をさせて可愛い姿をディラン様に見せてあげようなんて、楽観的に考えていたんだけど、思った様にはならなかった。

「おめでたいものを選んでる時に言うのもなんだけど、ロードウェル、出所したわよ」
「え?」

 店を貸し切りにしてもらって、私が自分の分と言いながらもビアラのドレスを選んでいた時だった。
 もうそろそろだとは思っていたけれど、はっきり聞かされると動揺してしまう。
 ロンバートの罪は殺人教唆のみ。
 だけど、ロンバートもオルザベートから頼まれたと主張したため、刑期が短くなった。
 そして、そのオルザベートは容疑を否認し、自分は何もしていないと言いはったため、証拠不十分という事でお咎めはなし。
 そういえば、男の子が無事に生まれたと聞いている。

 結局、ロンバートの子なのかしら?

「嫌な話を聞かせてごめんね。でも知らないよりかは良いかと思って。それに、ロードウェルの興味は今はあなたより、トゥッチさんにあると思うから、その点については大丈夫だと思う」
「ロンバートはオルザベートがいる場所を知っているのかしら」
「わからないけれど、彼がたどり着く頃には、彼女達はいないと思うわ。住む場所を変える事になったから」
「…どういう事?」

 ビアラはたくさんある白いドレスを何着か手にとり、私の身体にあてながら答えてくれる。

「トゥッチ嬢もオラエル先生、じゃなくて、もう、トゥッチとオラエルでいくわ。彼女達は一応、今のところ、警察はマークしていないの。エドワード様が閉じ込めてただけ。家から出られない魔法をかけたのもミーグスだし」
「ミーグスって、またビアラ、ディラン様の事をそっちの呼び方に変えたの?」
「ミーグスはミーグスだから。その話はおいておいて、さっきの話を続けるわよ。今のトゥッチのいる所は赤ちゃんに対して環境が良くないから、場所を移動する事に決まったみたい」
「エドは何も教えてくれてないけど」
「あなたに不安な思いをさせたくなかったんじゃない? って、私が言ってるわね、ごめん」

 ビアラがドレスをハンガーにかけてから、両手を合わせて謝ってくる。

「気にしないで! それに、教えてもらえない方が嫌だったから。エドにはちゃんとこれから話してもらうようにお願いするわ」
「でも…」
「いいから、そのかわり、今日はビアラも試着してね?」
「え? なんで?」
「いいから! 気に入ったものがあれば、エドが買ってくれるそうよ」
「いいわよ! さっき値札を見たけど、目が飛び出そうなくらい高かったんだけど!?」
「エドのお金だから」
「余計に良くないでしょ!」

 とりあえず今は、不安な事は忘れることにして、ビアラのドレスを選ぶ事に専念する事にしたのだった。
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