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34 何があったんですか?!
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ユウヤくんに手を引かれるまま連れて行かれた場所は、今まで来たことのない場所だった。
お城の裏に回り込み、外灯に照らされた小道を進んでいくと、見た目の造りは豪勢で、真っ白な壁に赤色の屋根はとても綺麗だけれど、一階しかなく正面から見ただけでは、とても小さな建物の前にたどり着いた。
ユウヤくんはノックもせず中に入るから 私も後をついていく。
かすかに消毒液の匂いがしたような気がした。
小さな建物かと思ったけれど、そうではなく奥に広い建物で、見ただけでも廊下に沿って、左右に各10以上の扉が見える。
「ユウヤ殿下」
白い布を口に巻いた男性が、一つの部屋から出てくると、ユウヤくんに気付き挨拶をしたあと、すぐに困ったような顔をして続ける。
「御本人とユウマ殿下から、職員やユウヤ殿下以外は誰も通さないように命令を」
「大丈夫だ。オレが責任をとる」
「ですが・・・・・」
会った事のない人だし、私を警戒しているのかな、と思ったら、そうではなかったみたいで。
「女性が見られますと驚かれるのでは?」
「どんな状況なんだよ」
「御本人は落ち着いておられまして、今、ユウマ殿下は服を取りに行っておられます」
二人は話しながら、一番奥の部屋まで早足で歩いていくから、私は小走りになって追いかける。
ユウマくんとはすれ違わなかったけど、違う道から行ったのかな?
「悪い」
「大丈夫」
そんな事を考えていたら、私の小走りに気付いたユウヤくんが速度を緩めて謝ってくれた。
でも、それくらい緊迫してるのかも、と思い不安になる。
「何があったの?」
「いや、ちょっと疲れただけじゃねえかな?」
ユウヤくんは誤魔化そうとしたけど、案内してくれる人が不思議そうにして、彼の言葉を訂正する。
「殿下、今回は過労ではありませんよ」
「空気読んでくれよ」
なんで嘘をつこうとするんだろう?
聞こうとした所で、案内してくれていた人が足を止めた。
「失礼します。ユウヤ殿下がお見えなんですが」
ノックをした後に返ってきた返事は、ラス様のもので、扉を開いて見えたのも、やはり彼だった。
けれど、ラス様はベッドの上にいた。
「ラス様!」
「な、なんで!」
ラス様は上半身を起こしていた状態だったけれど、なぜか、慌てて顔まで隠すほどに、掛けられた白いシーツに潜りこんだから、やけに怪しく感じて、男性の静止を振り切って中に入る。
「一体何があったんですか!」
「何もありませんよ! 寝ていただけです!」
ぐいぐい布を引っ張るけれど、中々手を放そうとしない。
おかしい。
絶対に何かある。
「ユウヤ! なんで連れてきた?!」
「いや、ちょうど部屋にユーニが来てて。ほら、ユーニには嘘をつきにくいだろ?」
「そんなもん知るか!」
ラス様が怒りに任せて、シーツから顔を出した、その時、彼のシャツの袖が見えて、私は動きを止めた。
「ラス様、それ!」
手首をつかんで確認する。
「これ、血ですか」
ラス様の袖にまだじっとりと染みている、赤黒い何か。
「諦めろって」
「はあ」
ラス様は声に出してため息を吐くと、布をつかむのを止めて、上半身を起こした。
彼のシャツの胸元には血と思われるものが広がっていて、思わず、その場にしゃがみこみそうになる。
「ユーニ!」
慌ててユウヤくんが後ろから抱きとめてくれた。
「だから知らせたくなかったんです」
「それ……、それって、ラス様の?」
ユウヤくんに礼を言ってから、気をしっかり持って、自分の足でしっかり立つ。
そうしてから尋ねると、ラス様は私を支えたままのユウヤくんの方を見た。
「オレを睨むなよ」
「なんて言ったら彼女は納得するんです」
「だから諦めろって」
「~っ」
ラス様が片方の手で頭をおさえたところで、部屋にある窓が突然開き、ユウマくんが顔を出した。
「着替えの服持ってきたぞ! とりあえず、オレので、って、もう遅いか」
「いえ、後で着替えるのに借りますよ」
「そうだな。血がついてるシャツで歩き回られても、見た人間は恐怖だろうしな」
ユウマくんは軽々とした動作で、窓から部屋の中に入ってくると、着替えをラス様に渡しながら、私の方を向いて続ける。
「せっかく言わないようにしてたのによ」
「いや、教えてもらわないといけない事じゃない? というか、なんで? 怪我ですか?」
私の隣に立ったユウマくんに答えたあと、私はもう一度ラス様に問う。
「油断しただけです。次はないように気をつけます」
「だから、なんで血がついてるんですか! ラス様の血なんですよね?」
「城の中にいる回復魔法を使える人間にちゃんと診てもらいましたから大丈夫です」
「だから」
「毒だ」
言いかけた私の言葉を遮って、ユウヤくんが言った。
え?
なんて?
「毒?」
耳を疑って、思わず聞き返した。
「珍しいことではありません。ユウヤも経験があります」
「ちょ、ちょっと待って、どういう事ですか?!」
隠すことを諦めたラス様から話を聞き出したところ、夜遅くまで部下の人達と仕事をしていたら、ラス様への差し入れを持ってきた誰かがいたらしい。
受け取ったのはラス様ではなくて、入って間がない部下の人で、しかもその差し入れがラス様がよく持ち帰りしているお店のものだったらしい。
部下の人は疑いもなく、それをラス様に渡してしまって、ラス様はラス様で部下の人の話をちゃんと聞いていなかったらしく、部下が買ってきた、と思いこんで食べてしまったところ、それが毒入りだったらしい。
すぐに気がついて吐き出したけれど、全部は無理で、執務室を出て部下の人に助けを求めて、すぐに発覚できたから大事に至らなかったみたい。
「殺すつもりなら即効性のものを差し入れたりしないでしょう」
「ラスは小さい頃から毒に身体が慣れるようにされてはいたんだろ?」
「ああ。だから今回は完璧に俺のミス。なんの疑いもなく人からもらったものを食べるなんて、やらかすにも程がある」
ユウマくんの言葉にラス様は大きくため息を吐いた。
「疲れてたから判断能力が落ちてたんじゃないですか?」
「それもあるかもしれませんが、もしそうであったとしたら余計に駄目な気もしますね」
「そうならないように休んでくださいよ。というか、回復魔法をかけてもいいですか」
「気にしなくて大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃないです。体内に毒が残ってたらどうするんですか」
これだけは譲らない。
ラス様を睨むように見ると、困った顔をして言った。
「毒消しなら他の方でもできますよ」
「完璧に治したいんです。というか、私の安心と安眠のために!」
「ユーニ、ラスはオマエの回復魔法が他の誰かにばれたら困るから遠慮してんだぞ?」
ムキになっている私をなだめるように、ユウヤくんが頭をなでてくれる。
「魔力が違うってバレるって事ですか? それなら他の方に頼んだって言えばいいじゃないですか」
「それだけじゃないです。あなたの場合は問題の所以外まで治してしまうのは自分でも理解されてるでしょう?」
「そ、それは」
「多少、弱ったところを見せといた方がいいんだって。これはたぶん、警告だろうからな」
ユウマくんがそこまで言ったところで、ユウヤくんがユウマくんの頭を殴り、同じくラス様が身体を動かして、足元付近にいた彼のお腹に蹴りを入れた。
「なんなんだよ!」
「彼女の前でする話じゃないだろ!」
「オマエ、そういう所、リアちゃんに怒られてんじゃねぇの?」
ユウヤくんに思い切りにらまれて、ユウマくんも自分の失言に気がついたらしく、私の方を見て言った。
「さ、ユーニちゃんも疲れたろ? ラスの事はオレが見てるから部屋帰りな」
「そうですよ。お騒がせしました。心配はありませんので、ゆっくりお休みください」
「さ、行くか」
半ば、追いやられるようにして、私はユウヤくんと共に部屋の外に出されてしまった。
けれど、このまま寝られるはずがない。
ユウマくんは警告って言ってた。
という事は、これからも続くかもしれないってこと?
でも、それはなんで?
「別に珍しいことじゃねぇから気にすんな」
「でも! それにユウヤくんもあんな事あったの?」
「だから、小さい頃にオマエのいる村に行って、オマエと出会ったんだろ」
「そういう事か・・・・・」
諦めて部屋に戻る道を歩きながら、小さくため息を吐いた。
弱音を吐いてしまいそうになるけど、もっと強くならなくちゃ。
ユウヤくんの事もラス様の事も、私がちゃんと守ったらいいんだ。
今日はしっかり寝て、明日、ラス様のところに突撃しよう、そう決めて、今のところはユウヤくんと話をつけるはずだった、パーティーの話をする事にしたのだった。
お城の裏に回り込み、外灯に照らされた小道を進んでいくと、見た目の造りは豪勢で、真っ白な壁に赤色の屋根はとても綺麗だけれど、一階しかなく正面から見ただけでは、とても小さな建物の前にたどり着いた。
ユウヤくんはノックもせず中に入るから 私も後をついていく。
かすかに消毒液の匂いがしたような気がした。
小さな建物かと思ったけれど、そうではなく奥に広い建物で、見ただけでも廊下に沿って、左右に各10以上の扉が見える。
「ユウヤ殿下」
白い布を口に巻いた男性が、一つの部屋から出てくると、ユウヤくんに気付き挨拶をしたあと、すぐに困ったような顔をして続ける。
「御本人とユウマ殿下から、職員やユウヤ殿下以外は誰も通さないように命令を」
「大丈夫だ。オレが責任をとる」
「ですが・・・・・」
会った事のない人だし、私を警戒しているのかな、と思ったら、そうではなかったみたいで。
「女性が見られますと驚かれるのでは?」
「どんな状況なんだよ」
「御本人は落ち着いておられまして、今、ユウマ殿下は服を取りに行っておられます」
二人は話しながら、一番奥の部屋まで早足で歩いていくから、私は小走りになって追いかける。
ユウマくんとはすれ違わなかったけど、違う道から行ったのかな?
「悪い」
「大丈夫」
そんな事を考えていたら、私の小走りに気付いたユウヤくんが速度を緩めて謝ってくれた。
でも、それくらい緊迫してるのかも、と思い不安になる。
「何があったの?」
「いや、ちょっと疲れただけじゃねえかな?」
ユウヤくんは誤魔化そうとしたけど、案内してくれる人が不思議そうにして、彼の言葉を訂正する。
「殿下、今回は過労ではありませんよ」
「空気読んでくれよ」
なんで嘘をつこうとするんだろう?
聞こうとした所で、案内してくれていた人が足を止めた。
「失礼します。ユウヤ殿下がお見えなんですが」
ノックをした後に返ってきた返事は、ラス様のもので、扉を開いて見えたのも、やはり彼だった。
けれど、ラス様はベッドの上にいた。
「ラス様!」
「な、なんで!」
ラス様は上半身を起こしていた状態だったけれど、なぜか、慌てて顔まで隠すほどに、掛けられた白いシーツに潜りこんだから、やけに怪しく感じて、男性の静止を振り切って中に入る。
「一体何があったんですか!」
「何もありませんよ! 寝ていただけです!」
ぐいぐい布を引っ張るけれど、中々手を放そうとしない。
おかしい。
絶対に何かある。
「ユウヤ! なんで連れてきた?!」
「いや、ちょうど部屋にユーニが来てて。ほら、ユーニには嘘をつきにくいだろ?」
「そんなもん知るか!」
ラス様が怒りに任せて、シーツから顔を出した、その時、彼のシャツの袖が見えて、私は動きを止めた。
「ラス様、それ!」
手首をつかんで確認する。
「これ、血ですか」
ラス様の袖にまだじっとりと染みている、赤黒い何か。
「諦めろって」
「はあ」
ラス様は声に出してため息を吐くと、布をつかむのを止めて、上半身を起こした。
彼のシャツの胸元には血と思われるものが広がっていて、思わず、その場にしゃがみこみそうになる。
「ユーニ!」
慌ててユウヤくんが後ろから抱きとめてくれた。
「だから知らせたくなかったんです」
「それ……、それって、ラス様の?」
ユウヤくんに礼を言ってから、気をしっかり持って、自分の足でしっかり立つ。
そうしてから尋ねると、ラス様は私を支えたままのユウヤくんの方を見た。
「オレを睨むなよ」
「なんて言ったら彼女は納得するんです」
「だから諦めろって」
「~っ」
ラス様が片方の手で頭をおさえたところで、部屋にある窓が突然開き、ユウマくんが顔を出した。
「着替えの服持ってきたぞ! とりあえず、オレので、って、もう遅いか」
「いえ、後で着替えるのに借りますよ」
「そうだな。血がついてるシャツで歩き回られても、見た人間は恐怖だろうしな」
ユウマくんは軽々とした動作で、窓から部屋の中に入ってくると、着替えをラス様に渡しながら、私の方を向いて続ける。
「せっかく言わないようにしてたのによ」
「いや、教えてもらわないといけない事じゃない? というか、なんで? 怪我ですか?」
私の隣に立ったユウマくんに答えたあと、私はもう一度ラス様に問う。
「油断しただけです。次はないように気をつけます」
「だから、なんで血がついてるんですか! ラス様の血なんですよね?」
「城の中にいる回復魔法を使える人間にちゃんと診てもらいましたから大丈夫です」
「だから」
「毒だ」
言いかけた私の言葉を遮って、ユウヤくんが言った。
え?
なんて?
「毒?」
耳を疑って、思わず聞き返した。
「珍しいことではありません。ユウヤも経験があります」
「ちょ、ちょっと待って、どういう事ですか?!」
隠すことを諦めたラス様から話を聞き出したところ、夜遅くまで部下の人達と仕事をしていたら、ラス様への差し入れを持ってきた誰かがいたらしい。
受け取ったのはラス様ではなくて、入って間がない部下の人で、しかもその差し入れがラス様がよく持ち帰りしているお店のものだったらしい。
部下の人は疑いもなく、それをラス様に渡してしまって、ラス様はラス様で部下の人の話をちゃんと聞いていなかったらしく、部下が買ってきた、と思いこんで食べてしまったところ、それが毒入りだったらしい。
すぐに気がついて吐き出したけれど、全部は無理で、執務室を出て部下の人に助けを求めて、すぐに発覚できたから大事に至らなかったみたい。
「殺すつもりなら即効性のものを差し入れたりしないでしょう」
「ラスは小さい頃から毒に身体が慣れるようにされてはいたんだろ?」
「ああ。だから今回は完璧に俺のミス。なんの疑いもなく人からもらったものを食べるなんて、やらかすにも程がある」
ユウマくんの言葉にラス様は大きくため息を吐いた。
「疲れてたから判断能力が落ちてたんじゃないですか?」
「それもあるかもしれませんが、もしそうであったとしたら余計に駄目な気もしますね」
「そうならないように休んでくださいよ。というか、回復魔法をかけてもいいですか」
「気にしなくて大丈夫ですよ」
「大丈夫じゃないです。体内に毒が残ってたらどうするんですか」
これだけは譲らない。
ラス様を睨むように見ると、困った顔をして言った。
「毒消しなら他の方でもできますよ」
「完璧に治したいんです。というか、私の安心と安眠のために!」
「ユーニ、ラスはオマエの回復魔法が他の誰かにばれたら困るから遠慮してんだぞ?」
ムキになっている私をなだめるように、ユウヤくんが頭をなでてくれる。
「魔力が違うってバレるって事ですか? それなら他の方に頼んだって言えばいいじゃないですか」
「それだけじゃないです。あなたの場合は問題の所以外まで治してしまうのは自分でも理解されてるでしょう?」
「そ、それは」
「多少、弱ったところを見せといた方がいいんだって。これはたぶん、警告だろうからな」
ユウマくんがそこまで言ったところで、ユウヤくんがユウマくんの頭を殴り、同じくラス様が身体を動かして、足元付近にいた彼のお腹に蹴りを入れた。
「なんなんだよ!」
「彼女の前でする話じゃないだろ!」
「オマエ、そういう所、リアちゃんに怒られてんじゃねぇの?」
ユウヤくんに思い切りにらまれて、ユウマくんも自分の失言に気がついたらしく、私の方を見て言った。
「さ、ユーニちゃんも疲れたろ? ラスの事はオレが見てるから部屋帰りな」
「そうですよ。お騒がせしました。心配はありませんので、ゆっくりお休みください」
「さ、行くか」
半ば、追いやられるようにして、私はユウヤくんと共に部屋の外に出されてしまった。
けれど、このまま寝られるはずがない。
ユウマくんは警告って言ってた。
という事は、これからも続くかもしれないってこと?
でも、それはなんで?
「別に珍しいことじゃねぇから気にすんな」
「でも! それにユウヤくんもあんな事あったの?」
「だから、小さい頃にオマエのいる村に行って、オマエと出会ったんだろ」
「そういう事か・・・・・」
諦めて部屋に戻る道を歩きながら、小さくため息を吐いた。
弱音を吐いてしまいそうになるけど、もっと強くならなくちゃ。
ユウヤくんの事もラス様の事も、私がちゃんと守ったらいいんだ。
今日はしっかり寝て、明日、ラス様のところに突撃しよう、そう決めて、今のところはユウヤくんと話をつけるはずだった、パーティーの話をする事にしたのだった。
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