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5 彼を選んだ理由
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「えっと」
頭が混乱してきたので、一度整理してみようと思い、確認するために声を出す。
「あの、空気読めないおバカさんはラス様の弟なんですか? 」
「一応、イッシュバルド家の次男です」
「ジンさんのお兄さんにもなるんですね」
「世間体的には」
ジンさんというのはイッシュバルド家の三男で、次男に比べたら爽やかな男前だから、ラス様と兄弟と言われても違和感はないのだけど、次男はあまりにも似ていない気がした。
それにラス様のこの言い方だと、次男とは仲は良くなさそう。
あまり次男とは関わらないようにしよう。
「まあ、詳しいことは後日にでも。私は一度、家に戻ります。先程、明日に招集がかかったという知らせを受けましたし、内容は今回の事でしょう。今日はお開きにして、また改めて考えましょう」
「ああ、お疲れさん」
「お疲れ様でした」
ユウヤくんと私のねぎらいの言葉を聞いたラス様は、苦笑して口を開く。
「そう思っていただけるなら、先程の件はなかった事にしていただけませんか」
「無理だな」
「ごめんなさいラス様。それはお断りします」
二人できっぱり答えると、ラス様はこれみよがしに大きなため息をつく。
「悪いことしてるのは本当にわかってるんですよ!」
「存じてますよ。また、あんな顔をされても困りますし、今日のところは了承した事にしておきます」
あんな顔とは失礼な!
まあ、ひどかったのは確かだけど。
「私は譲りませんよ。こうなったらお付き合いしてもらいますから。だって、私は何も知りませんから!」
そうですよ。
私は返事もしなくて良いし、何よりラス様の気持ちなんて聞いた事を忘れたし知らないんですから!
「また可愛いけど変な顔になってるぞ」
ユウヤくんとラス様に笑われて、今日のところはお開きになった。
持っていった食べ物や飲み物は、ユウヤくんとわける事にして、それを持ってユウヤくんと一緒に私の部屋へ向かう。
一人で帰れると言ったけれど、送るの一点張りだったから。
「何か話したい事があるの?」
「ん。なんつーか、勝手にあんな事を言い出して悪かったなと思って」
「ラス様のこと?」
「ああ」
別に謝られることじゃないんだけどな。
「私は助かったよ。それに、頭を下げてくれてありがとう。
その、カッコ良かったよ」
照れくさくてモゴモゴ言うと、ユウヤくんは両手がふさがっているからか、私の頬にキスしてきた。
「何すんの!」
「いや、嬉しかったから」
「もう!」
恥ずかしくなったから、笑うユウヤくんの腕を思い切りつねった。
その日の夜。
私は部屋でリアの来訪を待ちながら寝間着姿でベッドの上に寝転んでいた。
あのあと、ユウヤくんと部屋に戻ると、陛下からの通知がきていて、要約すると、明日の朝から貴族や官僚を集めてアレンくんの褒美についての話をするから、私にもその場に在席するように、という感じだった。
ラス様に連絡があったのと一緒だろう。
それにしても、ラス様には本当に申し訳ない事をしてるなあ。
ラス様が私を好きでなければ、こんな罪悪感はなかったのかな?
ふと、今日のラス様の言葉を思い出す。
そんな簡単に忘れられない、って、言ってたような気がする。
ということは?
いやいや、気持ちにこたえられないのに喜んでどうする!
でも、あんなイケメンに好かれるなんて、この先もうないじゃないですか。
もちろん好きな人はユウヤくんですよ。
けど、大してモテてこなかった人間には免疫がなさすぎて、嬉しいと思ってしまうんですよ!
しかも、あのラス様ですよ!
社交界で令嬢達に大人気のラス様!
ユウヤくんも人気らしいけど、なんか複雑な気持ちになるので素直に喜べない。
そこが恋愛感情がある、なし、の違いなのかな?
もちろん、二人を大切に思う気持ちは比べられないけど。
気持ちにこたえられないのなら、あんなお願いは絶対にすべきではなかった?
でも、今回のように誰かもう一人を選べって言われた時、告白されてなかったら、迷うことなく一択でラス様を選んでたと思うし。
大体、自分の嫁になれって、昔はラス様が言ってきてたんだし良いような気も?
ああああ!
わからない!
私はベッドの上でゴロゴロと転び、
ドスン。
という鈍い音を立てて床に落ちた。
「いだだだ」
思い切り背中を打ち付けて、痛みと共になんとか起き上がったところで、扉を叩く音が聞こえ、
「ユーニ? 大丈夫?」
リアの心配そうな声が聞こえた。
「だ、大丈夫」
返事を返すとゆっくり扉が開き、リアが顔を出した。
「入ってもいい?」
「うん。待ってたよ」
リアは厨房からクッキーなどのお菓子と紅茶やコーヒーをもらって持ってきてくれていたので、ティーテーブルにそれを置き、飲んだり食べたりしながら今日の話をすることにした。
「アレンくん、元気そうだった?」
「うん。それは良かったんだけどね」
「撤回してくれなさそう?」
「うん。泣き落としにかかったけど、見透かされてたみたいで駄目だった」
リアはテーブルに肩肘をつき頭を抱えて続ける。
「嫌いになる、って言おうかとも思ったんだけど」
「それは危ないんじゃない?」
「そう思ってやめた」
止めて正解だと思う。
そんな事を言ったら、次に何をしてくるかわからない。
ユウヤくん達が言うように、どこかに監禁される恐れも。
冷静に考えると愛が重すぎる。
でも、好きでいてくれるのは嬉しい。
複雑な乙女心だ。
「あ、そういえばリア」
「何?」
「もう一人選ばないといけないってなった時、ラス様にお願いする事にした」
「ええ?! 大丈夫なの?」
「やっぱり、そう思うよね」
リアの驚いた反応を見て、また私の罪悪感がふくらんでいく。
けれど、リアの言葉でそんな事など吹っ飛んでしまう。
「まあ、でも私は良かったかな」
「どういう事?」
「ラス様には申し訳ないけど、ユーニが訳のわからない男と結婚させられるって事はなくなりそうだから」
「リア・・・・・」
次の言葉が出てこなくなってしまった私を見て、リアは食べていたクッキーを咀嚼してから言う。
「だって他に良い人いないでしょ? ジンさんに頼んだりしたら」
「ミランダ様がどうなるかわからないよね」
ミランダ様というのはジンさんに思いを寄せている伯爵令嬢で、彼にゾッコンなのを本人以外はみんな知っているので、フリであってもジンさんには頼みにくい。
「でもさ、どうしてユウヤくんはラス様にこだわるんだろう。普通なら自分の婚約者を好きだった人間に、夫候補になれなんて言うかな?」
私は気になっていた事をリアに尋ねてみた。
「うーん」
すると、私の言葉を聞いて、リアは少し唸ったあと答えてくれた。
「私はユウヤくんの気持ちがわかる気がする」
「どういう事?」
「たぶんだけど、ラス様がユウヤくんを裏切らないって信じてるから」
「え?」
「ユーニはさあ、私にユウヤくんを奪われると思うなんて考えた事ある?」
突然の話題の転換に混乱しながらも、首を横に振る。
「考えたことない。リアはそんな事しないでしょ?」
「じゃあ、たとえば、ユーニがユウマくんを好きになったとして、私から奪おうって思ったりする?」
「・・・・・思わない」
リアの言いたいことがわかった。
ユウヤくんはラス様を本当に信じていて、ラス様が彼から私を奪わないと信じている。
「ユウヤくんは悪い奴だねぇ」
リアがそんな事を言いながらも、楽しそうに笑う。
リアが元気になってくれたのは嬉しいけど、笑い事ではないんだけどな。
「でも、私もそれならラス様が良かったなあ」
「え?」
リアがぽつりと呟いたので聞き返す。
「ラス様とユウヤくんを連れて歩けるなんて、令嬢達にしてみれば羨望の的よ。だから、あんたもそうなるんじゃない?」
「恐れ多すぎるよ」
小さなクッキーを口に入れる。
こんな時間に食べたら太る。
わかってはいるけど、やめられない。
まだ、しばらく起きてるから大丈夫。
そんな言い訳を頭の中で考えたあと、明日の事が気になり始め、リアに言う。
「明日の招集の内容、絶対に私達の話だよね」
「たぶん。アレンくんのお願い、皆でどうにかして無かった事にしてくれたらいいんだけど」
はあとため息を吐いたリアは私を見る。
「無理だろうね」
「だよねぇ」
顔を見合わせ、二人でティーテーブルに突っ伏した。
「あ、ユーニ」
「何?」
「ラス様を選ぶのは私も間違ってないと思う。それにラス様も頭ではわかってくれてると思うよ」
リアは突っ伏したままの私の頭を優しくなでながら言ってくれた。
「ありがとリア」
少しだけ、気持ちが楽になった気がした。
頭が混乱してきたので、一度整理してみようと思い、確認するために声を出す。
「あの、空気読めないおバカさんはラス様の弟なんですか? 」
「一応、イッシュバルド家の次男です」
「ジンさんのお兄さんにもなるんですね」
「世間体的には」
ジンさんというのはイッシュバルド家の三男で、次男に比べたら爽やかな男前だから、ラス様と兄弟と言われても違和感はないのだけど、次男はあまりにも似ていない気がした。
それにラス様のこの言い方だと、次男とは仲は良くなさそう。
あまり次男とは関わらないようにしよう。
「まあ、詳しいことは後日にでも。私は一度、家に戻ります。先程、明日に招集がかかったという知らせを受けましたし、内容は今回の事でしょう。今日はお開きにして、また改めて考えましょう」
「ああ、お疲れさん」
「お疲れ様でした」
ユウヤくんと私のねぎらいの言葉を聞いたラス様は、苦笑して口を開く。
「そう思っていただけるなら、先程の件はなかった事にしていただけませんか」
「無理だな」
「ごめんなさいラス様。それはお断りします」
二人できっぱり答えると、ラス様はこれみよがしに大きなため息をつく。
「悪いことしてるのは本当にわかってるんですよ!」
「存じてますよ。また、あんな顔をされても困りますし、今日のところは了承した事にしておきます」
あんな顔とは失礼な!
まあ、ひどかったのは確かだけど。
「私は譲りませんよ。こうなったらお付き合いしてもらいますから。だって、私は何も知りませんから!」
そうですよ。
私は返事もしなくて良いし、何よりラス様の気持ちなんて聞いた事を忘れたし知らないんですから!
「また可愛いけど変な顔になってるぞ」
ユウヤくんとラス様に笑われて、今日のところはお開きになった。
持っていった食べ物や飲み物は、ユウヤくんとわける事にして、それを持ってユウヤくんと一緒に私の部屋へ向かう。
一人で帰れると言ったけれど、送るの一点張りだったから。
「何か話したい事があるの?」
「ん。なんつーか、勝手にあんな事を言い出して悪かったなと思って」
「ラス様のこと?」
「ああ」
別に謝られることじゃないんだけどな。
「私は助かったよ。それに、頭を下げてくれてありがとう。
その、カッコ良かったよ」
照れくさくてモゴモゴ言うと、ユウヤくんは両手がふさがっているからか、私の頬にキスしてきた。
「何すんの!」
「いや、嬉しかったから」
「もう!」
恥ずかしくなったから、笑うユウヤくんの腕を思い切りつねった。
その日の夜。
私は部屋でリアの来訪を待ちながら寝間着姿でベッドの上に寝転んでいた。
あのあと、ユウヤくんと部屋に戻ると、陛下からの通知がきていて、要約すると、明日の朝から貴族や官僚を集めてアレンくんの褒美についての話をするから、私にもその場に在席するように、という感じだった。
ラス様に連絡があったのと一緒だろう。
それにしても、ラス様には本当に申し訳ない事をしてるなあ。
ラス様が私を好きでなければ、こんな罪悪感はなかったのかな?
ふと、今日のラス様の言葉を思い出す。
そんな簡単に忘れられない、って、言ってたような気がする。
ということは?
いやいや、気持ちにこたえられないのに喜んでどうする!
でも、あんなイケメンに好かれるなんて、この先もうないじゃないですか。
もちろん好きな人はユウヤくんですよ。
けど、大してモテてこなかった人間には免疫がなさすぎて、嬉しいと思ってしまうんですよ!
しかも、あのラス様ですよ!
社交界で令嬢達に大人気のラス様!
ユウヤくんも人気らしいけど、なんか複雑な気持ちになるので素直に喜べない。
そこが恋愛感情がある、なし、の違いなのかな?
もちろん、二人を大切に思う気持ちは比べられないけど。
気持ちにこたえられないのなら、あんなお願いは絶対にすべきではなかった?
でも、今回のように誰かもう一人を選べって言われた時、告白されてなかったら、迷うことなく一択でラス様を選んでたと思うし。
大体、自分の嫁になれって、昔はラス様が言ってきてたんだし良いような気も?
ああああ!
わからない!
私はベッドの上でゴロゴロと転び、
ドスン。
という鈍い音を立てて床に落ちた。
「いだだだ」
思い切り背中を打ち付けて、痛みと共になんとか起き上がったところで、扉を叩く音が聞こえ、
「ユーニ? 大丈夫?」
リアの心配そうな声が聞こえた。
「だ、大丈夫」
返事を返すとゆっくり扉が開き、リアが顔を出した。
「入ってもいい?」
「うん。待ってたよ」
リアは厨房からクッキーなどのお菓子と紅茶やコーヒーをもらって持ってきてくれていたので、ティーテーブルにそれを置き、飲んだり食べたりしながら今日の話をすることにした。
「アレンくん、元気そうだった?」
「うん。それは良かったんだけどね」
「撤回してくれなさそう?」
「うん。泣き落としにかかったけど、見透かされてたみたいで駄目だった」
リアはテーブルに肩肘をつき頭を抱えて続ける。
「嫌いになる、って言おうかとも思ったんだけど」
「それは危ないんじゃない?」
「そう思ってやめた」
止めて正解だと思う。
そんな事を言ったら、次に何をしてくるかわからない。
ユウヤくん達が言うように、どこかに監禁される恐れも。
冷静に考えると愛が重すぎる。
でも、好きでいてくれるのは嬉しい。
複雑な乙女心だ。
「あ、そういえばリア」
「何?」
「もう一人選ばないといけないってなった時、ラス様にお願いする事にした」
「ええ?! 大丈夫なの?」
「やっぱり、そう思うよね」
リアの驚いた反応を見て、また私の罪悪感がふくらんでいく。
けれど、リアの言葉でそんな事など吹っ飛んでしまう。
「まあ、でも私は良かったかな」
「どういう事?」
「ラス様には申し訳ないけど、ユーニが訳のわからない男と結婚させられるって事はなくなりそうだから」
「リア・・・・・」
次の言葉が出てこなくなってしまった私を見て、リアは食べていたクッキーを咀嚼してから言う。
「だって他に良い人いないでしょ? ジンさんに頼んだりしたら」
「ミランダ様がどうなるかわからないよね」
ミランダ様というのはジンさんに思いを寄せている伯爵令嬢で、彼にゾッコンなのを本人以外はみんな知っているので、フリであってもジンさんには頼みにくい。
「でもさ、どうしてユウヤくんはラス様にこだわるんだろう。普通なら自分の婚約者を好きだった人間に、夫候補になれなんて言うかな?」
私は気になっていた事をリアに尋ねてみた。
「うーん」
すると、私の言葉を聞いて、リアは少し唸ったあと答えてくれた。
「私はユウヤくんの気持ちがわかる気がする」
「どういう事?」
「たぶんだけど、ラス様がユウヤくんを裏切らないって信じてるから」
「え?」
「ユーニはさあ、私にユウヤくんを奪われると思うなんて考えた事ある?」
突然の話題の転換に混乱しながらも、首を横に振る。
「考えたことない。リアはそんな事しないでしょ?」
「じゃあ、たとえば、ユーニがユウマくんを好きになったとして、私から奪おうって思ったりする?」
「・・・・・思わない」
リアの言いたいことがわかった。
ユウヤくんはラス様を本当に信じていて、ラス様が彼から私を奪わないと信じている。
「ユウヤくんは悪い奴だねぇ」
リアがそんな事を言いながらも、楽しそうに笑う。
リアが元気になってくれたのは嬉しいけど、笑い事ではないんだけどな。
「でも、私もそれならラス様が良かったなあ」
「え?」
リアがぽつりと呟いたので聞き返す。
「ラス様とユウヤくんを連れて歩けるなんて、令嬢達にしてみれば羨望の的よ。だから、あんたもそうなるんじゃない?」
「恐れ多すぎるよ」
小さなクッキーを口に入れる。
こんな時間に食べたら太る。
わかってはいるけど、やめられない。
まだ、しばらく起きてるから大丈夫。
そんな言い訳を頭の中で考えたあと、明日の事が気になり始め、リアに言う。
「明日の招集の内容、絶対に私達の話だよね」
「たぶん。アレンくんのお願い、皆でどうにかして無かった事にしてくれたらいいんだけど」
はあとため息を吐いたリアは私を見る。
「無理だろうね」
「だよねぇ」
顔を見合わせ、二人でティーテーブルに突っ伏した。
「あ、ユーニ」
「何?」
「ラス様を選ぶのは私も間違ってないと思う。それにラス様も頭ではわかってくれてると思うよ」
リアは突っ伏したままの私の頭を優しくなでながら言ってくれた。
「ありがとリア」
少しだけ、気持ちが楽になった気がした。
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