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1 今、なんとおっしゃいました?
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今から1ヶ月ほど前の話。
私の住んでいる国、アダルシュの隣国であるサナトラという国がマヌグリラという国と開戦した。
開戦した理由はサナトラの王太子が嫁にと希望したマヌグリラの姫を、彼に嫁がせなかったのが理由らしい。
サナトラの王家は一夫多妻制で、王太子はまだ誰とも結婚していないけれど、たくさんの女性を別宅に囲っているらしい。
はべらせるのならまだしも、熱が冷めれば、その女性を別宅から追い出すという所業をするものだから、親として、そんな男に可愛い娘を嫁がせたくない、マヌグリラの王家の気持ちはわからないでもない。
それに欲しい女が手に入らなかったから、と宣戦布告されるなんて、マヌグリラは思いもよらなかったろう。
第三国であるアダルシュは無視、ならぬ中立を決め込もうとしたけれど、やはりそれだけではいかず、他の第三国の代表者と共に停戦を訴えに行く事になった。
アダルシュから選ばれたのは二人。
一人は私の婚約者であり第一王子であるユウヤくんの弟で第三王子にあたるアレンくん。
本来ならアレン王子または殿下と呼ばなければならないのだけど、本人からの希望で、くん付けで呼ばせてもらっている。
彼は兄弟の順番的にいえば三男だが、長男のユウヤくんと腹違いの兄弟で次男にあたるユウマくんが王位継承を辞退したため、自動的に王太子となった。
というか、ならされたと言うべきか、そこをどう思っているかは本人に聞かないとわからない。
そして、選ばれたもう一人は。
トントン。
自室の扉が控えめに叩かれて、私は顔を上げる。
「どうぞ」
返事を返すと扉が開き、私の侍女の一人であるエミリーさんが入ってきた。
王子の婚約者候補である私が、なぜ侍女にさん付けをしているかというと、その理由は簡単だ。
私が平民だから。
もちろん、エミリーさんはさんはいらないと何度も言ってくるけど、一度癖づいたものは中々なおらない。
「ユーニ様、ユウヤ殿下がいらっしゃってます」
「ユウヤくんが?」
窓辺に置かれた椅子に座って外を眺めていたところだったので、立ち上がって聞き返した。
ユウヤ・ガイアス。
それがアダルシュの第一王子であり、私の婚約者の名前。
私の2つ上で、もうすぐ19歳になる。
子供の頃、とある村に静養に来ていた彼と出会い、四年ほど毎日のように遊んだ。
その時にした結婚の約束を覚えていてくれて、平民である私を彼はお嫁さんにしようとしてくれている。
婚約者の私が言うのもなんだが、黒髪に紅色の赤い瞳が綺麗な高身長のイケメンである。
そんな優良物件の彼が、容姿でいえば平々凡々な私を好きでいてくれている事にたまに疑問を覚えたりするのだけど。
「突然、悪いな」
「ううん、どうしたの?」
中に入ってきた彼は、エミリーさんが室内から出て扉を閉めるなり、私よりも頭2つ分くらい背の高い彼がぎゅう、と抱きしめてきた。
今もそうだけど、普段はパニエやコルセットを必要としないシュミーズドレスを好んで着ているから、彼にとっては抱きしめやすいらしい。
最近は抱きしめられてから会話をするのが普通になってしまった。
もちろん、人前では絶対に禁止だ。
ユウヤくんは私の肩より少し長い黒髪を一房とって口づける。
こういうキザな仕草も似合ってしまうから、なんか悔しい。
「何かあったの?」
一緒に昼を食べようとやって来るのはよくあるけど、今は夕方だからそれはないだろうし、と思って聞いてみると。
「今、早馬が来てアレン達から手紙が届いた」
「え、なんて書いてあったの?!」
私達の国は基本、生活魔法でなりたっている。
でも、魔法だけでは限度があるし、転移、付与魔法が使える人間もほとんどいない。
回復魔法に関しても少数派。
実は私は回復魔法を使えるので少数派になるのだけど、あまり公にはしていない。
手紙に関しては近場だと魔法で届けられるけれど、距離があると基本はそれをしない。
雨に濡れたりもそうだし、1番は誰かに読まれてしまう可能性があるから。
内容が気になって先を急かすと、ユウヤくんは困った顔をした。
「オレ宛に来たわけじゃなくて」
「陛下宛?」
「そう。ただ、その陛下からオマエを連れて一緒に来いって言われたんだよ。リアちゃんはユウマが呼びに行ってる」
「リア達も?」
思わず聞き返してしまう。
リアは私の親友であり、ユウヤくんの弟で第二王子であるユウマくんの婚約者だ。
ちなみにリアも私と年齢は同じで、同じく平民出身。
まあ、リアはすれ違う人が振り返っちゃうくらい可愛いから、ユウマくんが惚れちゃうのもわからない訳でもない。
「何かあったわけじゃないよね?」
「たぶんな。相談したい事があるって言われただけだからなんとも言えねぇけど」
「とりあえず行かないとわからないよね。この格好では駄目かな?」
陛下の所に行くのに、くつろいでいたせいでシワが出来てしまったドレスで良いのか不安になって聞くと、
「別に気にならねぇし、急ぎみたいだったからいいだろ」
簡単に了承を得る事ができた。
「じゃあ早く行こ」
「あ、ユーニ!」
「リア!」
二人で部屋を出ると、廊下でリア達に出会い合流した。
リアは私と同じ水色のシュミーズドレスのすそを短めにアレンジし、黒く長い髪をアップにしていて、つけている青い花のコサージュが可愛い。
「なんの話かわからないのがすごく気になるわね」
「でも、悪い話なら相談なんて言わないんじゃない?」
そう言った私に、リアは可愛らしい顔を歪めて首を横に振った。
「なんか嫌な予感がする」
「え、そうなの?」
「わかんないけど」
「ユウマくんも何も聞いてないの?」
リアの言葉が途切れたので、ユウヤくんと一緒に先を歩いていたユウマくんに話題を振る。
「聞いてねぇな。でも、アレンはもうすぐ帰ってくるらしい」
「ほんとに?!」
「ああ、だからラス達もすぐに帰ってくるだろ」
ユウマくんはユウヤくんの産まれた5日後に産まれた腹違いの弟だけど、2人共、陛下に似ているからか双子と思われてもおかしくないくらい似ている。
目の色も髪の色も体型もほぼ一緒だ。
違うのは言葉遣い。
ユウヤくんも言葉遣いはあまり良くないけど、悪くなった理由はユウマくんのせいらしい。
ユウマくんは12歳までは平民として暮らしてきたらしいので、言葉遣いが丁寧じゃなくてもわかる気はする。
私達が住んでるのは城の敷地内にある大きなお屋敷で、まるまる私とリアのために使われている。
そこから城に行くまでには敷地内が広いため、急いでも2分くらいはかかる。
息を切らして辿り着いたのは謁見の間。
すでに人がいて、中年の男性と、その人の息子だろうか、中年の男性と顔立ちが似ている、私達と変わらないくらいの年齢の男性がいて、若い方の男性は私と目が合うと、なぜか鼻で笑ってきた。
初対面なのになんなの?!
失礼な奴!
一人で憤っていると、ユウヤくんがユウマくんに言った。
「なんでアイツが来てるんだ」
「知らねえよ。オレだってあんなやつの顔見たくねぇし」
二人が嫌そうな感じを丸出しにして話していると、中年の男性が近づいてきて頭を下げた。
「殿下、ご無沙汰しております」
「今回は迷惑かけたな」
「いえ愚息が役に立てましたのなら光栄でございます」
ユウヤくんの言葉に男性が答えた。
愚息?
「愚息はそこにいる奴だろ」
「ユウマ」
ユウヤくんにたしなめられ、ユウマくんは用はないのか、男性に背を向けリアの隣に立ち、彼女と話し始めてしまった。
「悪かったな」
「いえ、耳が痛いところではあります」
そこで他の貴族らしい人達が何人か入ってきたため、男性は息子らしき人のところへ戻っていった。
謁見の間には現在、私達4人以外には数人ほどしかいないが、どの人も高そうな服を着ているから、たぶん貴族だろう。
「いま、集まってる人達って偉い人?」
「公爵家の当主が集まってる」
「え、全部?」
「いや、5大だけだ」
ユウヤくんが私の質問に全部答えてくれた。
同じ公爵家でも派閥はあるし、権力の差もあるらしい。
その中で選ばれた5大公爵家。
とりあえずわかるのは、この場にいるのはとんでもないお偉いさんという事だけ。
あのムカつく奴は当主の息子みたいだ。
「なんか緊張するわね」
「だね」
頷いて、リアと身を寄せ合ったところで陛下と王妃様がおいでになった。
中心部に集まると、ユウヤくん達は前の方に立ち、貴族の人が真ん中、私とリアは1番後ろに付いて、頭を下げ姿勢を低くした。
「楽にしていい」
陛下から一言があったので、顔を上げて身体をもとに戻し、何段か上から見下ろす陛下の首元を見つめる。
「今日は急ですまないな。ただ、急ぎ確認事項があって集まってもらった」
確認事項?
いけないとわかってても、ついついリアと顔を見合わせてしまう。
「今回のサナトラとマヌグリラの件は無事にかたがついた。その褒美をアレンにを与える話をしていたが、今回はその件で話がしたい。アレンの願いだが」
陛下はそこまで言ったあと、なぜか私とリアの方を見た。
な、なんかしましたっけ?
ちなみに褒美はなんでもお願いを叶えてくれるらしいんだけど、アレンくんは何を願ったんだろ。
そんな事を考えてる内に、陛下はこう仰られた。
「王族に嫁いだ者は、夫を二人にする事を義務化とする」
ん?
は?
えっと、今、なんとおっしゃいました?!
私の住んでいる国、アダルシュの隣国であるサナトラという国がマヌグリラという国と開戦した。
開戦した理由はサナトラの王太子が嫁にと希望したマヌグリラの姫を、彼に嫁がせなかったのが理由らしい。
サナトラの王家は一夫多妻制で、王太子はまだ誰とも結婚していないけれど、たくさんの女性を別宅に囲っているらしい。
はべらせるのならまだしも、熱が冷めれば、その女性を別宅から追い出すという所業をするものだから、親として、そんな男に可愛い娘を嫁がせたくない、マヌグリラの王家の気持ちはわからないでもない。
それに欲しい女が手に入らなかったから、と宣戦布告されるなんて、マヌグリラは思いもよらなかったろう。
第三国であるアダルシュは無視、ならぬ中立を決め込もうとしたけれど、やはりそれだけではいかず、他の第三国の代表者と共に停戦を訴えに行く事になった。
アダルシュから選ばれたのは二人。
一人は私の婚約者であり第一王子であるユウヤくんの弟で第三王子にあたるアレンくん。
本来ならアレン王子または殿下と呼ばなければならないのだけど、本人からの希望で、くん付けで呼ばせてもらっている。
彼は兄弟の順番的にいえば三男だが、長男のユウヤくんと腹違いの兄弟で次男にあたるユウマくんが王位継承を辞退したため、自動的に王太子となった。
というか、ならされたと言うべきか、そこをどう思っているかは本人に聞かないとわからない。
そして、選ばれたもう一人は。
トントン。
自室の扉が控えめに叩かれて、私は顔を上げる。
「どうぞ」
返事を返すと扉が開き、私の侍女の一人であるエミリーさんが入ってきた。
王子の婚約者候補である私が、なぜ侍女にさん付けをしているかというと、その理由は簡単だ。
私が平民だから。
もちろん、エミリーさんはさんはいらないと何度も言ってくるけど、一度癖づいたものは中々なおらない。
「ユーニ様、ユウヤ殿下がいらっしゃってます」
「ユウヤくんが?」
窓辺に置かれた椅子に座って外を眺めていたところだったので、立ち上がって聞き返した。
ユウヤ・ガイアス。
それがアダルシュの第一王子であり、私の婚約者の名前。
私の2つ上で、もうすぐ19歳になる。
子供の頃、とある村に静養に来ていた彼と出会い、四年ほど毎日のように遊んだ。
その時にした結婚の約束を覚えていてくれて、平民である私を彼はお嫁さんにしようとしてくれている。
婚約者の私が言うのもなんだが、黒髪に紅色の赤い瞳が綺麗な高身長のイケメンである。
そんな優良物件の彼が、容姿でいえば平々凡々な私を好きでいてくれている事にたまに疑問を覚えたりするのだけど。
「突然、悪いな」
「ううん、どうしたの?」
中に入ってきた彼は、エミリーさんが室内から出て扉を閉めるなり、私よりも頭2つ分くらい背の高い彼がぎゅう、と抱きしめてきた。
今もそうだけど、普段はパニエやコルセットを必要としないシュミーズドレスを好んで着ているから、彼にとっては抱きしめやすいらしい。
最近は抱きしめられてから会話をするのが普通になってしまった。
もちろん、人前では絶対に禁止だ。
ユウヤくんは私の肩より少し長い黒髪を一房とって口づける。
こういうキザな仕草も似合ってしまうから、なんか悔しい。
「何かあったの?」
一緒に昼を食べようとやって来るのはよくあるけど、今は夕方だからそれはないだろうし、と思って聞いてみると。
「今、早馬が来てアレン達から手紙が届いた」
「え、なんて書いてあったの?!」
私達の国は基本、生活魔法でなりたっている。
でも、魔法だけでは限度があるし、転移、付与魔法が使える人間もほとんどいない。
回復魔法に関しても少数派。
実は私は回復魔法を使えるので少数派になるのだけど、あまり公にはしていない。
手紙に関しては近場だと魔法で届けられるけれど、距離があると基本はそれをしない。
雨に濡れたりもそうだし、1番は誰かに読まれてしまう可能性があるから。
内容が気になって先を急かすと、ユウヤくんは困った顔をした。
「オレ宛に来たわけじゃなくて」
「陛下宛?」
「そう。ただ、その陛下からオマエを連れて一緒に来いって言われたんだよ。リアちゃんはユウマが呼びに行ってる」
「リア達も?」
思わず聞き返してしまう。
リアは私の親友であり、ユウヤくんの弟で第二王子であるユウマくんの婚約者だ。
ちなみにリアも私と年齢は同じで、同じく平民出身。
まあ、リアはすれ違う人が振り返っちゃうくらい可愛いから、ユウマくんが惚れちゃうのもわからない訳でもない。
「何かあったわけじゃないよね?」
「たぶんな。相談したい事があるって言われただけだからなんとも言えねぇけど」
「とりあえず行かないとわからないよね。この格好では駄目かな?」
陛下の所に行くのに、くつろいでいたせいでシワが出来てしまったドレスで良いのか不安になって聞くと、
「別に気にならねぇし、急ぎみたいだったからいいだろ」
簡単に了承を得る事ができた。
「じゃあ早く行こ」
「あ、ユーニ!」
「リア!」
二人で部屋を出ると、廊下でリア達に出会い合流した。
リアは私と同じ水色のシュミーズドレスのすそを短めにアレンジし、黒く長い髪をアップにしていて、つけている青い花のコサージュが可愛い。
「なんの話かわからないのがすごく気になるわね」
「でも、悪い話なら相談なんて言わないんじゃない?」
そう言った私に、リアは可愛らしい顔を歪めて首を横に振った。
「なんか嫌な予感がする」
「え、そうなの?」
「わかんないけど」
「ユウマくんも何も聞いてないの?」
リアの言葉が途切れたので、ユウヤくんと一緒に先を歩いていたユウマくんに話題を振る。
「聞いてねぇな。でも、アレンはもうすぐ帰ってくるらしい」
「ほんとに?!」
「ああ、だからラス達もすぐに帰ってくるだろ」
ユウマくんはユウヤくんの産まれた5日後に産まれた腹違いの弟だけど、2人共、陛下に似ているからか双子と思われてもおかしくないくらい似ている。
目の色も髪の色も体型もほぼ一緒だ。
違うのは言葉遣い。
ユウヤくんも言葉遣いはあまり良くないけど、悪くなった理由はユウマくんのせいらしい。
ユウマくんは12歳までは平民として暮らしてきたらしいので、言葉遣いが丁寧じゃなくてもわかる気はする。
私達が住んでるのは城の敷地内にある大きなお屋敷で、まるまる私とリアのために使われている。
そこから城に行くまでには敷地内が広いため、急いでも2分くらいはかかる。
息を切らして辿り着いたのは謁見の間。
すでに人がいて、中年の男性と、その人の息子だろうか、中年の男性と顔立ちが似ている、私達と変わらないくらいの年齢の男性がいて、若い方の男性は私と目が合うと、なぜか鼻で笑ってきた。
初対面なのになんなの?!
失礼な奴!
一人で憤っていると、ユウヤくんがユウマくんに言った。
「なんでアイツが来てるんだ」
「知らねえよ。オレだってあんなやつの顔見たくねぇし」
二人が嫌そうな感じを丸出しにして話していると、中年の男性が近づいてきて頭を下げた。
「殿下、ご無沙汰しております」
「今回は迷惑かけたな」
「いえ愚息が役に立てましたのなら光栄でございます」
ユウヤくんの言葉に男性が答えた。
愚息?
「愚息はそこにいる奴だろ」
「ユウマ」
ユウヤくんにたしなめられ、ユウマくんは用はないのか、男性に背を向けリアの隣に立ち、彼女と話し始めてしまった。
「悪かったな」
「いえ、耳が痛いところではあります」
そこで他の貴族らしい人達が何人か入ってきたため、男性は息子らしき人のところへ戻っていった。
謁見の間には現在、私達4人以外には数人ほどしかいないが、どの人も高そうな服を着ているから、たぶん貴族だろう。
「いま、集まってる人達って偉い人?」
「公爵家の当主が集まってる」
「え、全部?」
「いや、5大だけだ」
ユウヤくんが私の質問に全部答えてくれた。
同じ公爵家でも派閥はあるし、権力の差もあるらしい。
その中で選ばれた5大公爵家。
とりあえずわかるのは、この場にいるのはとんでもないお偉いさんという事だけ。
あのムカつく奴は当主の息子みたいだ。
「なんか緊張するわね」
「だね」
頷いて、リアと身を寄せ合ったところで陛下と王妃様がおいでになった。
中心部に集まると、ユウヤくん達は前の方に立ち、貴族の人が真ん中、私とリアは1番後ろに付いて、頭を下げ姿勢を低くした。
「楽にしていい」
陛下から一言があったので、顔を上げて身体をもとに戻し、何段か上から見下ろす陛下の首元を見つめる。
「今日は急ですまないな。ただ、急ぎ確認事項があって集まってもらった」
確認事項?
いけないとわかってても、ついついリアと顔を見合わせてしまう。
「今回のサナトラとマヌグリラの件は無事にかたがついた。その褒美をアレンにを与える話をしていたが、今回はその件で話がしたい。アレンの願いだが」
陛下はそこまで言ったあと、なぜか私とリアの方を見た。
な、なんかしましたっけ?
ちなみに褒美はなんでもお願いを叶えてくれるらしいんだけど、アレンくんは何を願ったんだろ。
そんな事を考えてる内に、陛下はこう仰られた。
「王族に嫁いだ者は、夫を二人にする事を義務化とする」
ん?
は?
えっと、今、なんとおっしゃいました?!
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