7 / 21
6 言った覚えは全くないのです!
しおりを挟む
「せ、責任とはどういう事ですの?」
「そのままの意味ですよ。普通は婚約者の方に、あなたの婚約者は浮気してますね、なんて笑顔で言います? その時点であなたの性格が悪いのは伝わってきますけど、そんな事を教えられても、こっちは興味ないですし」
アリス様はくすくす笑いながら続ける。
「自分の性格が悪いことを自覚しておられるならまだ良いんですけど、そんな感じじゃなさそうですし、そういう方って何か痛い目に合わないと気が付かないでしょう?」
「し、失礼だわ!」
「失礼なのはそっちでしょう。私が聞いた話ですと、クラーク辺境伯様はリノア様を大事にしていらっしゃるし、彼女以外の女性に興味がないとも聞いてますけど? あなた達が言っている話と正反対ですよね?」
「そ、それだって噂じゃないですか」
アリス様に言い返した令嬢に私が笑顔で言います。
「アリス様の仰っている事が正しいです。ラルフ様はお仕事や家の事でお忙しい方ではありますが、空いた時間があれば、私に会いに来てくださります。他の女性に会いに行かれる暇なんてありませんし、ラルフ様は結婚してからも愛人を作られる事はないと思えるくらいに私を大事にして下さっていますが?」
「で、ですから、私も噂で聞いただけで、詳しくは知らなくて」
私の横にいるアリス様が怖くてしょうがないようで、チラチラ彼女を見ながら、令嬢は話をされます。
アリス様とは少し話しただけですが、物言いはキツイものの、そこまで怖い方ではなさそうなのですが。
「ところで、あなた方はどちら様? 私の事を知ってるみたいですけど、私は知らないんですけど? ぜひ、お名前をお伺いしたいわぁ」
そう言ったアリス様の笑顔がとても怖くて、前言撤回です。
怖いのです。
「な、名乗る程ではありませんわ!」
逃げようとする令嬢達の1人の腕を、アリス様がつかみ言います。
「名前を聞きたいと言ってるんですよ」
「ですから、名乗る程ではないと…」
「それはあなたの勝手よね? 私は知りたいの」
にっこり笑ってアリス様は言います。
「おい、何してる」
テツ様とラルフ様が私達の様子がおかしい事に気付いて下さったようで、こちらにやって来て下さると、テツ様がアリス様に話しかけられました。
「お話してたの」
「腕をつかんでかよ」
「だって逃げるんだもの。追いかけたくならない?」
「普通は追いかけねぇんだよ」
「私は普通じゃないからいいのよ」
「良くねぇよ! リノア嬢に迷惑かけるだろ!」
テツ様の見た目は紺色の短髪に同じ色の瞳。
ラルフ様ほどではないですが、高身長でスラリとした体型。
ツリ目気味のため、近寄りがたい雰囲気を醸し出しておられますが、イケメンさんです。
そんなテツ様に私は苦笑しながら言う。
「私はかまいませんよ」
「どうかしたのか?」
ラルフ様がアリス様に尋ねると、彼女は令嬢をつかまえたまま言われます。
「名乗ってって言ってるのに名乗ってくれないから」
「彼女たちの名前が知りたいのか?」
「そうなんですけど、知ってます?」
「ああ。今日の招待客にいそうな人間は頭に叩き込んできたからわかる」
ラルフ様の言葉を聞き、令嬢の顔色が一瞬にして青ざめるのがわかりました。
「ならいいわ。引き止めてしまってごめんなさいね?」
「あの」
「はい?」
「申し訳ございません! 二度とあの様な事は申しませんのでお許し下さい」
令嬢はなぜかアリス様に向かって謝られます。
「は? 謝る相手が違うでしょう」
アリス様が低い声で言うと、令嬢は泣き出しそうな顔をしながら、私の方を向いて頭を下げました。
「根も葉もない噂を信じ、ブルーミング伯爵令嬢に対して無礼な発言をしてしまった事を、心からお詫び申し上げます」
「お詫びされましても、私の気持ちはおさまらないのです。私がほしいのは謝罪じゃありませんから」
意地の悪い言い方をしているな、と自分でも思いますが、元々、ひどい事を言ってきたのは相手側ですし、言いたい事を言わせてもらう事にします。
「あなた方がやらないといけない事はわかっていますよね? 悪いと思っているようでしたら、ラルフ様への謝罪だけでなく、していただきたい事があります」
「お許しいただけるなら、何でも致します!」
逃げていたもう1人の令嬢も逃げられないとわかったのか戻ってきて、2人で私に向かって言われますので、笑顔で言います。
「あなた方の話していた噂が嘘だと、1人でも多くの人間に知らせて下さい。まずはこの会場内からお願いしますね」
にっこり笑顔で言うと、令嬢達は涙目で首を縦に何度も振ったあと、ラルフ様に謝罪をされてから、慌てて知り合いの方なのかはわかりませんが、近くにいた令嬢をつかまえて話をはじめられました。
「それくらいで許してあげていいの?」
「下手にやりすぎると恨みを買いますから」
アリス様に答えると、彼女は笑顔で言われます。
「名前も思い出したくなくなるくらいに徹底的に潰せば大丈夫よ?」
「私はアリス様ではないのです」
「リノア様は私と同類だと思ったんだけど」
アリス様の言葉に私だけでなく、ラルフ様とテツ様まで眉を寄せました。
アリス様に同類と言われるほど様な事を言った覚えは全くないのです!
「そのままの意味ですよ。普通は婚約者の方に、あなたの婚約者は浮気してますね、なんて笑顔で言います? その時点であなたの性格が悪いのは伝わってきますけど、そんな事を教えられても、こっちは興味ないですし」
アリス様はくすくす笑いながら続ける。
「自分の性格が悪いことを自覚しておられるならまだ良いんですけど、そんな感じじゃなさそうですし、そういう方って何か痛い目に合わないと気が付かないでしょう?」
「し、失礼だわ!」
「失礼なのはそっちでしょう。私が聞いた話ですと、クラーク辺境伯様はリノア様を大事にしていらっしゃるし、彼女以外の女性に興味がないとも聞いてますけど? あなた達が言っている話と正反対ですよね?」
「そ、それだって噂じゃないですか」
アリス様に言い返した令嬢に私が笑顔で言います。
「アリス様の仰っている事が正しいです。ラルフ様はお仕事や家の事でお忙しい方ではありますが、空いた時間があれば、私に会いに来てくださります。他の女性に会いに行かれる暇なんてありませんし、ラルフ様は結婚してからも愛人を作られる事はないと思えるくらいに私を大事にして下さっていますが?」
「で、ですから、私も噂で聞いただけで、詳しくは知らなくて」
私の横にいるアリス様が怖くてしょうがないようで、チラチラ彼女を見ながら、令嬢は話をされます。
アリス様とは少し話しただけですが、物言いはキツイものの、そこまで怖い方ではなさそうなのですが。
「ところで、あなた方はどちら様? 私の事を知ってるみたいですけど、私は知らないんですけど? ぜひ、お名前をお伺いしたいわぁ」
そう言ったアリス様の笑顔がとても怖くて、前言撤回です。
怖いのです。
「な、名乗る程ではありませんわ!」
逃げようとする令嬢達の1人の腕を、アリス様がつかみ言います。
「名前を聞きたいと言ってるんですよ」
「ですから、名乗る程ではないと…」
「それはあなたの勝手よね? 私は知りたいの」
にっこり笑ってアリス様は言います。
「おい、何してる」
テツ様とラルフ様が私達の様子がおかしい事に気付いて下さったようで、こちらにやって来て下さると、テツ様がアリス様に話しかけられました。
「お話してたの」
「腕をつかんでかよ」
「だって逃げるんだもの。追いかけたくならない?」
「普通は追いかけねぇんだよ」
「私は普通じゃないからいいのよ」
「良くねぇよ! リノア嬢に迷惑かけるだろ!」
テツ様の見た目は紺色の短髪に同じ色の瞳。
ラルフ様ほどではないですが、高身長でスラリとした体型。
ツリ目気味のため、近寄りがたい雰囲気を醸し出しておられますが、イケメンさんです。
そんなテツ様に私は苦笑しながら言う。
「私はかまいませんよ」
「どうかしたのか?」
ラルフ様がアリス様に尋ねると、彼女は令嬢をつかまえたまま言われます。
「名乗ってって言ってるのに名乗ってくれないから」
「彼女たちの名前が知りたいのか?」
「そうなんですけど、知ってます?」
「ああ。今日の招待客にいそうな人間は頭に叩き込んできたからわかる」
ラルフ様の言葉を聞き、令嬢の顔色が一瞬にして青ざめるのがわかりました。
「ならいいわ。引き止めてしまってごめんなさいね?」
「あの」
「はい?」
「申し訳ございません! 二度とあの様な事は申しませんのでお許し下さい」
令嬢はなぜかアリス様に向かって謝られます。
「は? 謝る相手が違うでしょう」
アリス様が低い声で言うと、令嬢は泣き出しそうな顔をしながら、私の方を向いて頭を下げました。
「根も葉もない噂を信じ、ブルーミング伯爵令嬢に対して無礼な発言をしてしまった事を、心からお詫び申し上げます」
「お詫びされましても、私の気持ちはおさまらないのです。私がほしいのは謝罪じゃありませんから」
意地の悪い言い方をしているな、と自分でも思いますが、元々、ひどい事を言ってきたのは相手側ですし、言いたい事を言わせてもらう事にします。
「あなた方がやらないといけない事はわかっていますよね? 悪いと思っているようでしたら、ラルフ様への謝罪だけでなく、していただきたい事があります」
「お許しいただけるなら、何でも致します!」
逃げていたもう1人の令嬢も逃げられないとわかったのか戻ってきて、2人で私に向かって言われますので、笑顔で言います。
「あなた方の話していた噂が嘘だと、1人でも多くの人間に知らせて下さい。まずはこの会場内からお願いしますね」
にっこり笑顔で言うと、令嬢達は涙目で首を縦に何度も振ったあと、ラルフ様に謝罪をされてから、慌てて知り合いの方なのかはわかりませんが、近くにいた令嬢をつかまえて話をはじめられました。
「それくらいで許してあげていいの?」
「下手にやりすぎると恨みを買いますから」
アリス様に答えると、彼女は笑顔で言われます。
「名前も思い出したくなくなるくらいに徹底的に潰せば大丈夫よ?」
「私はアリス様ではないのです」
「リノア様は私と同類だと思ったんだけど」
アリス様の言葉に私だけでなく、ラルフ様とテツ様まで眉を寄せました。
アリス様に同類と言われるほど様な事を言った覚えは全くないのです!
31
お気に入りに追加
741
あなたにおすすめの小説
自己肯定感の低い令嬢が策士な騎士の溺愛に絡め取られるまで
嘉月
恋愛
平凡より少し劣る頭の出来と、ぱっとしない容姿。
誰にも望まれず、夜会ではいつも壁の花になる。
でもそんな事、気にしたこともなかった。だって、人と話すのも目立つのも好きではないのだもの。
このまま実家でのんびりと一生を生きていくのだと信じていた。
そんな拗らせ内気令嬢が策士な騎士の罠に掛かるまでの恋物語
執筆済みで完結確約です。
断罪シーンを自分の夢だと思った悪役令嬢はヒロインに成り代わるべく画策する。
メカ喜楽直人
恋愛
さっきまでやってた18禁乙女ゲームの断罪シーンを夢に見てるっぽい?
「アルテシア・シンクレア公爵令嬢、私はお前との婚約を破棄する。このまま修道院に向かい、これまで自分がやってきた行いを深く考え、その罪を贖う一生を終えるがいい!」
冷たい床に顔を押し付けられた屈辱と、両肩を押さえつけられた痛み。
そして、ちらりと顔を上げれば金髪碧眼のザ王子様なキンキラ衣装を身に着けたイケメンが、聞き覚えのある名前を呼んで、婚約破棄を告げているところだった。
自分が夢の中で悪役令嬢になっていることに気が付いた私は、逆ハーに成功したらしい愛され系ヒロインに対抗して自分がヒロインポジを奪い取るべく行動を開始した。
【完結】悪役令息アレックスは残念な子なので攻略対象者ノワールの執着に気付かない
降魔 鬼灯
恋愛
美人メイドに迫られたアレックスは、自分が悪役令息だったことを思い出す。
ヒロインの姉を凌辱して自殺に追いやり、10年後断罪されるアレックスって俺じゃない?
でも、俺の身体は女なんですけど…。
冤罪で断罪されるのを回避するべく、逃げ出したアレックスは、自分を監禁することになる攻略対象者ノワールに助けを求める。
ボーイズラブではないのですが、主人公の一人称は俺です。苦手な方はお控えください。
小説家になろう、カクヨムでも投稿していますが、アルファポリス版だけ内容が異なります。
教会を追放された元聖女の私、果実飴を作っていたのに、なぜかイケメン騎士様が溺愛してきます!
海空里和
恋愛
王都にある果実店の果実飴は、連日行列の人気店。
そこで働く孤児院出身のエレノアは、聖女として教会からやりがい搾取されたあげく、あっさり捨てられた。大切な人を失い、働くことへの意義を失ったエレノア。しかし、果実飴の成功により、働き方改革に成功して、穏やかな日常を取り戻していた。
そこにやって来たのは、場違いなイケメン騎士。
「エレノア殿、迎えに来ました」
「はあ?」
それから毎日果実飴を買いにやって来る騎士。
果実飴が気に入ったのかと思ったその騎士、イザークは、実はエレノアとの結婚が目的で?!
これは、エレノアにだけ距離感がおかしいイザークと、失意にいながらも大切な物を取り返していくエレノアが、次第に心を通わせていくラブストーリー。
私、侯爵令嬢ですが、家族から疎まれ、皇太子妃になる予定が、国難を救うとかの理由で、野蛮な他国に嫁ぐことになりました。でも、結果オーライです
もぐすけ
恋愛
カトリーヌは王国有数の貴族であるアードレー侯爵家の長女で、十七歳で学園を卒業したあと、皇太子妃になる予定だった。
ところが、幼少時にアードレー家の跡継ぎだった兄を自分のせいで事故死させてしまってから、運命が暗転する。両親から疎まれ、妹と使用人から虐められる日々を過ごすことになったのだ。
十二歳で全寮制の学園に入ってからは勉学に集中できる生活を過ごせるようになるが、カトリーヌは兄を事故死させた自分を許すことが出来ず、時間を惜しんで自己研磨を続ける。王妃になって世のため人のために尽くすことが、兄への一番の償いと信じていたためだった。
しかし、妹のシャルロットと王国の皇太子の策略で、カトリーヌは王国の皇太子妃ではなく、戦争好きの野蛮人の国の皇太子妃として嫁がされてしまう。
だが、野蛮だと思われていた国は、実は合理性を追求して日進月歩する文明国で、そこの皇太子のヒューイは、頭脳明晰で行動力がある超美形の男子だった。
カトリーヌはヒューイと出会い、兄の呪縛から少しずつ解き放され、遂にはヒューイを深く愛するようになる。
一方、妹のシャルロットは王国の王妃になるが、思い描いていた生活とは異なり、王国もアードレー家も力を失って行く……
妹に虐げられましたが、今は幸せに暮らしています
絹乃
恋愛
母亡きあと、後妻と妹に、子爵令嬢のエレオノーラは使用人として働かされていた。妹のダニエラに縁談がきたが、粗野で見た目が悪く、子どものいる隣国の侯爵が相手なのが嫌だった。面倒な結婚をエレオノーラに押しつける。街で迷子の女の子を助けたエレオノーラは、麗しく優しい紳士と出会う。彼こそが見苦しいと噂されていたダニエラの結婚相手だった。紳士と娘に慕われたエレオノーラだったが、ダニエラは相手がイケメンと知ると態度を豹変させて、奪いに来た。
王子様と朝チュンしたら……
梅丸
恋愛
大変! 目が覚めたら隣に見知らぬ男性が! え? でも良く見たら何やらこの国の第三王子に似ている気がするのだが。そう言えば、昨日同僚のメリッサと酒盛り……ではなくて少々のお酒を嗜みながらお話をしていたことを思い出した。でも、途中から記憶がない。実は私はこの世界に転生してきた子爵令嬢である。そして、前世でも同じ間違いを起こしていたのだ。その時にも最初で最後の彼氏と付き合った切っ掛けは朝チュンだったのだ。しかも泥酔しての。学習しない私はそれをまた繰り返してしまったようだ。どうしましょう……この世界では処女信仰が厚いというのに!
五歳の時から、側にいた
田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。
それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。
グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。
前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる