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26 聖女と精霊の涙
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レッテムからノーンコル王国の謁見の間に飛ばされると聞いてすぐに、私の目の前の景色が変わった。
気が付いた時には、何度も訪れたことのあるノーンコル王国の謁見の間にいて、目の前にある壇上にはノーンコル王国の国王陛下にフワエル様、そしてルルミー様がいた。
意外だったのは、わたしと一緒にディオン殿下も飛ばされていたことだった。
「一体、どういうことだ」
ディオン殿下が困惑した表情で尋ねてきたので、はっきりとした根拠はないけれど考えられることを口にしてみる。
「わたし一人では物理的に危ないと思って、神様が一緒に飛ばしてくださったのかもしれません」
「……そういうことか」
ディオン殿下は国王陛下の手に長剣が握られているのを確認してから頷いた。
治癒能力が間に合わないような即死攻撃や連続攻撃をされたら、わたしの命は失われてしまう。
わたしのせいでディオン殿下を危険な状況に置いてしまったことは申し訳ないけれど、神様が考えてのことだから、ディオン殿下に何かある時は神様が助けてくれると信じることにした。
「リーニ、帰ってきてくれたんだね!」
ルルミー様の肩を抱いていたフワエル様は彼女から手を離して、こちらに近寄ってこようとした。
そんなフワエル様を慌ててルルミー様が止める。
「フワエル殿下、あたしがいるのに他の女性の所に行くつもりですか!?」
「そういうわけじゃない。リーニにはこの国の聖女として頑張ってもらうだけだよ。結界を張ってもらって魔物から守ってもらわないといけないんだ」
事情がわかっていないルルミー様とフワエル様のやり取りは無視して、国王陛下に話しかける。
「国王陛下、ソーンウェル王国からのお手紙は読んでいただけたのでしょうか」
「読んだ。だが、ルルミーは渡さぬ!」
「どうしてでしょうか」
「俺は10カ国を治める王になるんだ! そのためにはこの女が必要だ!」
国王陛下は立ち上がって叫んだ。
「信じられないことを言ってるが、それより気になるのは、どうして世界を統治するためにルルミーが必要なんだ?」
「邪神がルルミー様を使って国王陛下にコンタクトを取っているからです」
「邪神は聖女の結界を通り抜けられるのか?」
「どう言ったら良いのかわかりませんが、本体は無理です。ですが、思念体としてなら結界の中でも大丈夫なようですね」
「ルルミーを器にしているということか」
わたしとディオン殿下が小さな声で話をしているのが気に食わなかったのか、ルルミー様が叫ぶ。
「何を言われてもソーンウェルには帰らないから! あたしはこの国にいたら特別でいられるの!」
「ルルミー様、あなたは魔物になるつもりですか!?」
「ならないわ! 邪神が約束してくれたもの! 美しい体のまま長生きさせてくれるって!」
ルルミー様は邪神を信じてしまっているようだった。
「邪神の言葉を信じるつもりか」
「神様なんて綺麗事を言うだけで、何にもしてくれないじゃないですか! それなら、ちゃんと話をしてくれる邪神を信じるわ!」
「お前よりも信仰心の強い人が多いだけだと思うがな」
「目に止めてもらわなければ報われないなんて、もううんざりです!」
ルルミー様が叫ぶと、国王陛下もそれに同意する。
「そうだ! 今まで崇めてきた神は何もしてくれん! 頭が固い小娘にしか力を貸さないのなら、俺は邪神を信じる! 俺の全てを邪神に捧げよう!」
国王陛下が叫んだ、その時だった。
ルルミー様の体がふらついたので、フワエル殿下が慌てて彼女の体を支える。
「どうしたんだ、ルルミー」
「足の力が入らなくて……」
フワエル殿下の問いかけに答えたと同時に、ルルミー様の足からどろりとした青い液体が流れ始めた。
「な、何なの、これっ」
ルルミー様が悲鳴を上げたので、この状況を残念に思いながら話しかける。
「ルルミー様、以前にご連絡差し上げたはずです。思い出せませんか」
「思い出せませんかって……嘘でしょ! そんな! 邪神は自分が付いている間は魔物になんかならないって言っていたわ!」
「付いている間は、ですよね」
私の言葉の意味に気が付いたルルミー様は絶叫する。
「嫌よっ! 魔物になんかなりたくないっ!」
「な、なんだ、この足はっ! 化け物じゃないかっ!」
ルルミー様の足が青色に変わっていくことに気が付いたフワエル様は、ルルミー様の体を壇上から突き落とした。
ルルミー様は悲鳴を上げながら階段を転がり落ちると、わたしたちのすぐ目の前でうつ伏せの状態で動かなくなった。
そうしている内に、ルルミー様の魔物化は進んでいく。
「ルルミー様も酷いですが、フワエル殿下、あなたはもっと酷い人ですね」
気を失っていると見られるルルミー様に治癒魔法と浄化魔法を同時にかけながらフワエル殿下を睨みつける。
「だって、魔物化しているじゃないか」
「そんなことを言ったら、あなたのお父上もそうでしょう」
ディオン殿下が国王陛下のほうに目を向けて言うと、フワエル殿下は怯えたような顔をして、自分の父親に目を向けた。
国王陛下は見たことのない凶悪な顔をして、わたしたちを睨みつけている。
「どうしてしまったというんです、父上!」
「フワエル! 何も怖がらなくても良い! こいつらを片付けたら説明してやるから大人しく待っていろ」
「ですが、父上!」
「待っていろと言っているだろうっ! 言うことを聞かないようなら、お前も排除するぞ!」
国王陛下がフワエル殿下に気を取られている間に、ディオン殿下が素早く動き、持参していた剣の柄で国王陛下の首を強く突いた。
「ぐあっ」
国王陛下は苦しむような叫び声を上げたあと、膝をつき、そのまま前のめりになって倒れた。
そんな国王陛下の背中を見下ろして、ディオン殿下が呟く。
「自分のことしか考えていないんだな」
「それはお前もじゃないか!」
ルルミー様への処置に気を取られて、ピッキーの気配に気が付けなかった。
私の隣に姿を現したピッキーは、ディオン殿下に向かって叫ぶ。
「リーニは僕の運命の相手なんだ! お前なんかに渡さない!」
「何をふざけたことを言ってるんだ」
ディオン殿下が厳しい表情で階段をゆっくりと下りてくる。
「ピッキー! いい加減にして! わたしはあなたの運命の相手でもないし、元恋人でもないのよ!」
「そんなことない! リーニは本当に彼女にそっくりなんだ! 見た目も性格も!」
「それはたまたまよ! 聞いて、ピッキー! あなたに自分の口から真実を伝えたい人がいるの!」
「どうせ神様なんだろう! もうわかってる! オレは闇に落ちるんだ! だから、リーニ、オレとまた、一緒に闇に落ちてくれ」
ピッキーのまとっていた空気が今までの柔らかなものから、邪悪なものに変わった。
邪神が国王陛下からピッキーに乗り移ったのだとわかった。
桁違いの闇の力に恐怖で体が動かない。
「リーニ、怖がらなくてもいいよ」
ピッキーがわたしに顔を近づけた時、わたしの腕が前方に強く引っ張られたかと思うと、一瞬だけ浮き上がった。
そして、それと同時にピッキーが悲鳴を上げる。
「ぎゃああああっ!」
ピッキーのほうを見ると、精霊仲間であるワニのテイラーがピッキーの足に噛みついていた。
「大丈夫か」
恐怖で動けなくなっていたわたしを助けてくれたのはディオン殿下だったようで、わたしを抱き寄せたまま尋ねてきた。
「……ありがとうございます」
闇の力に飲み込まれそうになった恐怖と、目の前の悲しい出来事に目を離せないまま、ディオン殿下の言葉に頷いた。
「ごめんなさい、ピッキー。本当に、本当にごめんなさい」
「ど、どうして、テイラーが?」
倒れたピッキーの体が少しずつ金色の砂になっていく。
そのスピードは緩やかなので、ピッキーはテイラーに尋ねた。
答えを知っているわたしの目から涙がこぼれる。
「ピッキー、あなたの元恋人は私よ」
ピッキーの元恋人の生まれ変わりであるテイラーは、ポロポロと涙を流しながら、ワニの姿からメス鹿の姿に変わったのだった。
気が付いた時には、何度も訪れたことのあるノーンコル王国の謁見の間にいて、目の前にある壇上にはノーンコル王国の国王陛下にフワエル様、そしてルルミー様がいた。
意外だったのは、わたしと一緒にディオン殿下も飛ばされていたことだった。
「一体、どういうことだ」
ディオン殿下が困惑した表情で尋ねてきたので、はっきりとした根拠はないけれど考えられることを口にしてみる。
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「……そういうことか」
ディオン殿下は国王陛下の手に長剣が握られているのを確認してから頷いた。
治癒能力が間に合わないような即死攻撃や連続攻撃をされたら、わたしの命は失われてしまう。
わたしのせいでディオン殿下を危険な状況に置いてしまったことは申し訳ないけれど、神様が考えてのことだから、ディオン殿下に何かある時は神様が助けてくれると信じることにした。
「リーニ、帰ってきてくれたんだね!」
ルルミー様の肩を抱いていたフワエル様は彼女から手を離して、こちらに近寄ってこようとした。
そんなフワエル様を慌ててルルミー様が止める。
「フワエル殿下、あたしがいるのに他の女性の所に行くつもりですか!?」
「そういうわけじゃない。リーニにはこの国の聖女として頑張ってもらうだけだよ。結界を張ってもらって魔物から守ってもらわないといけないんだ」
事情がわかっていないルルミー様とフワエル様のやり取りは無視して、国王陛下に話しかける。
「国王陛下、ソーンウェル王国からのお手紙は読んでいただけたのでしょうか」
「読んだ。だが、ルルミーは渡さぬ!」
「どうしてでしょうか」
「俺は10カ国を治める王になるんだ! そのためにはこの女が必要だ!」
国王陛下は立ち上がって叫んだ。
「信じられないことを言ってるが、それより気になるのは、どうして世界を統治するためにルルミーが必要なんだ?」
「邪神がルルミー様を使って国王陛下にコンタクトを取っているからです」
「邪神は聖女の結界を通り抜けられるのか?」
「どう言ったら良いのかわかりませんが、本体は無理です。ですが、思念体としてなら結界の中でも大丈夫なようですね」
「ルルミーを器にしているということか」
わたしとディオン殿下が小さな声で話をしているのが気に食わなかったのか、ルルミー様が叫ぶ。
「何を言われてもソーンウェルには帰らないから! あたしはこの国にいたら特別でいられるの!」
「ルルミー様、あなたは魔物になるつもりですか!?」
「ならないわ! 邪神が約束してくれたもの! 美しい体のまま長生きさせてくれるって!」
ルルミー様は邪神を信じてしまっているようだった。
「邪神の言葉を信じるつもりか」
「神様なんて綺麗事を言うだけで、何にもしてくれないじゃないですか! それなら、ちゃんと話をしてくれる邪神を信じるわ!」
「お前よりも信仰心の強い人が多いだけだと思うがな」
「目に止めてもらわなければ報われないなんて、もううんざりです!」
ルルミー様が叫ぶと、国王陛下もそれに同意する。
「そうだ! 今まで崇めてきた神は何もしてくれん! 頭が固い小娘にしか力を貸さないのなら、俺は邪神を信じる! 俺の全てを邪神に捧げよう!」
国王陛下が叫んだ、その時だった。
ルルミー様の体がふらついたので、フワエル殿下が慌てて彼女の体を支える。
「どうしたんだ、ルルミー」
「足の力が入らなくて……」
フワエル殿下の問いかけに答えたと同時に、ルルミー様の足からどろりとした青い液体が流れ始めた。
「な、何なの、これっ」
ルルミー様が悲鳴を上げたので、この状況を残念に思いながら話しかける。
「ルルミー様、以前にご連絡差し上げたはずです。思い出せませんか」
「思い出せませんかって……嘘でしょ! そんな! 邪神は自分が付いている間は魔物になんかならないって言っていたわ!」
「付いている間は、ですよね」
私の言葉の意味に気が付いたルルミー様は絶叫する。
「嫌よっ! 魔物になんかなりたくないっ!」
「な、なんだ、この足はっ! 化け物じゃないかっ!」
ルルミー様の足が青色に変わっていくことに気が付いたフワエル様は、ルルミー様の体を壇上から突き落とした。
ルルミー様は悲鳴を上げながら階段を転がり落ちると、わたしたちのすぐ目の前でうつ伏せの状態で動かなくなった。
そうしている内に、ルルミー様の魔物化は進んでいく。
「ルルミー様も酷いですが、フワエル殿下、あなたはもっと酷い人ですね」
気を失っていると見られるルルミー様に治癒魔法と浄化魔法を同時にかけながらフワエル殿下を睨みつける。
「だって、魔物化しているじゃないか」
「そんなことを言ったら、あなたのお父上もそうでしょう」
ディオン殿下が国王陛下のほうに目を向けて言うと、フワエル殿下は怯えたような顔をして、自分の父親に目を向けた。
国王陛下は見たことのない凶悪な顔をして、わたしたちを睨みつけている。
「どうしてしまったというんです、父上!」
「フワエル! 何も怖がらなくても良い! こいつらを片付けたら説明してやるから大人しく待っていろ」
「ですが、父上!」
「待っていろと言っているだろうっ! 言うことを聞かないようなら、お前も排除するぞ!」
国王陛下がフワエル殿下に気を取られている間に、ディオン殿下が素早く動き、持参していた剣の柄で国王陛下の首を強く突いた。
「ぐあっ」
国王陛下は苦しむような叫び声を上げたあと、膝をつき、そのまま前のめりになって倒れた。
そんな国王陛下の背中を見下ろして、ディオン殿下が呟く。
「自分のことしか考えていないんだな」
「それはお前もじゃないか!」
ルルミー様への処置に気を取られて、ピッキーの気配に気が付けなかった。
私の隣に姿を現したピッキーは、ディオン殿下に向かって叫ぶ。
「リーニは僕の運命の相手なんだ! お前なんかに渡さない!」
「何をふざけたことを言ってるんだ」
ディオン殿下が厳しい表情で階段をゆっくりと下りてくる。
「ピッキー! いい加減にして! わたしはあなたの運命の相手でもないし、元恋人でもないのよ!」
「そんなことない! リーニは本当に彼女にそっくりなんだ! 見た目も性格も!」
「それはたまたまよ! 聞いて、ピッキー! あなたに自分の口から真実を伝えたい人がいるの!」
「どうせ神様なんだろう! もうわかってる! オレは闇に落ちるんだ! だから、リーニ、オレとまた、一緒に闇に落ちてくれ」
ピッキーのまとっていた空気が今までの柔らかなものから、邪悪なものに変わった。
邪神が国王陛下からピッキーに乗り移ったのだとわかった。
桁違いの闇の力に恐怖で体が動かない。
「リーニ、怖がらなくてもいいよ」
ピッキーがわたしに顔を近づけた時、わたしの腕が前方に強く引っ張られたかと思うと、一瞬だけ浮き上がった。
そして、それと同時にピッキーが悲鳴を上げる。
「ぎゃああああっ!」
ピッキーのほうを見ると、精霊仲間であるワニのテイラーがピッキーの足に噛みついていた。
「大丈夫か」
恐怖で動けなくなっていたわたしを助けてくれたのはディオン殿下だったようで、わたしを抱き寄せたまま尋ねてきた。
「……ありがとうございます」
闇の力に飲み込まれそうになった恐怖と、目の前の悲しい出来事に目を離せないまま、ディオン殿下の言葉に頷いた。
「ごめんなさい、ピッキー。本当に、本当にごめんなさい」
「ど、どうして、テイラーが?」
倒れたピッキーの体が少しずつ金色の砂になっていく。
そのスピードは緩やかなので、ピッキーはテイラーに尋ねた。
答えを知っているわたしの目から涙がこぼれる。
「ピッキー、あなたの元恋人は私よ」
ピッキーの元恋人の生まれ変わりであるテイラーは、ポロポロと涙を流しながら、ワニの姿からメス鹿の姿に変わったのだった。
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