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45 誰にでしょうか

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 ルシエフ公爵邸から追い出される時、レジーさんは癇癪を起こし、部屋で暴れ続けて大変だった。

「私がいなくなったら、絶対に後悔するんだからね! この国は滅びるわよ!」

 それだけでなく、無理やり馬車に乗せられる時に、レジーさんは私たちにそう叫んだ。

「後悔することがあるとするなら、君をこの家に長居させすぎたことくらいかな。君が戻ることによって、ネイナカ国が駄目にならないことを祈ってるよ」
「なんですって!? ネイナカ国はこれから繁栄していくに決まってるでしょう!」

 レジーさんがロード様に言い返した時に、馬車の扉が閉められた。

 スカディ様のほうは滞在先の変更が決まった。
 彼は学園では真面目に勉強していたから、どうにか残してあげられないかと学園側が言ってきたんだそうだ。

 学園側から言ってきたということで、スカディ様は最初は拒否されていた学園寮で暮らせることになった。

 勉強する意欲もあり、真面目だということで先生や周りの生徒から評判が良かったのだと聞いて、少し驚いてしまった。

 ルシエフ公爵邸から旅立つ日、エントランスホールまで見送りに行った私にスカディ様が話しかけてくる。

「ミレニアと会えなくなるなんて悲しいよ」
「スカディ殿下、同じ空の下にいますから、寂しく思う必要はありませんわ」
「同じ空の下にいるのは、ロードだって他の人だってそうだろう」

 スカディ様は苦笑したあと、表情を引き締めて続ける。

「ロード、ミレニア、今までありがとう。それから、使用人たちも僕を世話してくれてありがとう」

 今までとは雰囲気が違うスカディ様に戸惑いながら、私たちは深々と頭を下げた。

「レジー嬢がいなくなってからは別人みたいに大人しかったし、根っからの悪人ではなかったみたいだね」

 スカディ様を見送り、メルちゃんたちが待っている部屋に向かいながら話をしていた時、ふと、ジーギス殿下のことを思い出した。

「はい。ジーギス様と比べると、まだ可愛いほうですね」
「スカディ殿下は、まだ純粋さがあったから相手にできいたけど、ジーギスはただ性格が悪いだけだからな」
「そういえば、ジーギス様はどうされているのでしょうか」
「……捕まった」
「……捕まった? 誰にでしょうか」

 ロード様は眉根を寄せ、こめかみをおさえながら答える。

「お金がなくなったからツケにしてくれと言って、お店に通ってたらしいんだけど、払えなくなって警察に逃げ込んだんだ」
「ど、どういうことですか?」
「……借金取りに殺されそうになったんだ」

 元第三王子がそんなことになっているなんて知ったら、国民はショックを受けるかもしれないわね。


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