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38 どういうことなの
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「年上が好きなのは個人の好みなので何も言いません。ですが、ミレニア以外にも年上の女性はいるでしょう。そういえば、レジー嬢は年上ではないですよね?」
「レジーはレジーだよ。彼女の場合は精神が年上じゃないか」
スカディ様は自信満々に答えたけれど、レジーさんのどこが大人なのか私にはさっぱりわからない。
「彼女の精神は見た目よりも子供にしか思えません。スカディ殿下が子供過ぎるのです。レジー嬢は帰らせたくない。僕の婚約者に興味があって交換しても良いなどと理由のわからないことを言ってくる。ここまでくると、この屋敷に嫌がらせに来たとしか思えません」
「悪かった、悪かったよ! そんなに怒らないでくれよ! だけど、本当に君の婚約者のことを魅力的だと思ったし、彼女が僕のことを好きだと思ったんだよ!」
「ミレニアがあなたのことを好きだと思ったのは勘違いだと思います。そのことは素直に勘違いだと認めていただけますね」
「も、もちろんだよ! ロードは本当に怖いなぁ! でもさ、レジーに愛されてるんだから、ミレニアを僕にくれたって」
「スカディ殿下」
ロード様が冷たい声を出すと、スカディ殿下はびくりと体を震わせて後退った。
すると、ロード様の後ろでお座りしていたメルちゃんが、ロード様の横に立つなりスカディ様を見て唸り始めた。
「か、勘弁してくれよ! いきなりどうしたんだ!」
「早く帰ってほしいみたいですね。食事を邪魔されて怒ってます」
正確には、ロード様の食事を邪魔していることをメルちゃんは怒っているのだと思う。
だって、もうすでにメルちゃんのお皿の中身は空っぽだもの。
遅れてハヤテくんがメルちゃんの隣に行き、スカディ様に向かってウーッと唸る。
ハヤテくんはロード様とメルちゃんがいじめられていると思ったみたいだった。
「わかった! わかったよ! 部屋に戻るよ! なんて凶暴な犬たちなんだ! 今まで過ごしてきた中で一番酷い家だよ!」
「こちらとしましても、スカディ殿下は今まで招待したお客様の中で、一番、マナーがなっていないお客様なのですが?」
「だから、悪かったよ! レジーのことも注意しておく。話を聞いてくれるかわからないけど」
「話を聞いてくれるかどうかではなく、聞かせて下さい。あなたは王子なんでしょう」
ロード様に叱られたスカディ様はしゅんと肩を落として言う。
「僕はどうせ名ばかりの王子なんだよ。皆、僕のことなんてかまってくれない。国の再建で忙しいって、父上も兄上も、僕のことなんて放ったらかしだ。母上は純粋すぎてすぐに騙されるから、城内に軟禁されてて力はないし」
お母様が監禁されているってどういうことなの。
気になった私が口を開くよりも先にロード様がスカディ様に話しかける。
「スカディ殿下にお聞きしたいのですが」
「……何かな」
「レジー嬢がいなければ、本当にここでの生活は送れないのですか」
「そ、それは……」
スカディ様はなんと答えれば良いのかわからないといった感じで目を泳がせる。
そんな彼を見て、ロード様は苦笑する。
「あなたは多少は話が通じるので良いのですが、レジー嬢は全く話が通じませんし、出来れば今すぐにでも帰っていただきたいんです。今、無理やり帰らせる手続きを取っています」
「……わかった、わかったよ。レジーを大人しくさせるように頑張るから、少しだけ時間をくれないか?」
「どうしてそんなにレジー嬢にこだわるんですか」
「だから言っているだろう! 僕にはレジーしかいないんだ」
ロード様は大きく息を吐くと、スカディ様に向かってうなり続けている、メルちゃんとハヤテくんを大人しくさせたのだった。
「レジーはレジーだよ。彼女の場合は精神が年上じゃないか」
スカディ様は自信満々に答えたけれど、レジーさんのどこが大人なのか私にはさっぱりわからない。
「彼女の精神は見た目よりも子供にしか思えません。スカディ殿下が子供過ぎるのです。レジー嬢は帰らせたくない。僕の婚約者に興味があって交換しても良いなどと理由のわからないことを言ってくる。ここまでくると、この屋敷に嫌がらせに来たとしか思えません」
「悪かった、悪かったよ! そんなに怒らないでくれよ! だけど、本当に君の婚約者のことを魅力的だと思ったし、彼女が僕のことを好きだと思ったんだよ!」
「ミレニアがあなたのことを好きだと思ったのは勘違いだと思います。そのことは素直に勘違いだと認めていただけますね」
「も、もちろんだよ! ロードは本当に怖いなぁ! でもさ、レジーに愛されてるんだから、ミレニアを僕にくれたって」
「スカディ殿下」
ロード様が冷たい声を出すと、スカディ殿下はびくりと体を震わせて後退った。
すると、ロード様の後ろでお座りしていたメルちゃんが、ロード様の横に立つなりスカディ様を見て唸り始めた。
「か、勘弁してくれよ! いきなりどうしたんだ!」
「早く帰ってほしいみたいですね。食事を邪魔されて怒ってます」
正確には、ロード様の食事を邪魔していることをメルちゃんは怒っているのだと思う。
だって、もうすでにメルちゃんのお皿の中身は空っぽだもの。
遅れてハヤテくんがメルちゃんの隣に行き、スカディ様に向かってウーッと唸る。
ハヤテくんはロード様とメルちゃんがいじめられていると思ったみたいだった。
「わかった! わかったよ! 部屋に戻るよ! なんて凶暴な犬たちなんだ! 今まで過ごしてきた中で一番酷い家だよ!」
「こちらとしましても、スカディ殿下は今まで招待したお客様の中で、一番、マナーがなっていないお客様なのですが?」
「だから、悪かったよ! レジーのことも注意しておく。話を聞いてくれるかわからないけど」
「話を聞いてくれるかどうかではなく、聞かせて下さい。あなたは王子なんでしょう」
ロード様に叱られたスカディ様はしゅんと肩を落として言う。
「僕はどうせ名ばかりの王子なんだよ。皆、僕のことなんてかまってくれない。国の再建で忙しいって、父上も兄上も、僕のことなんて放ったらかしだ。母上は純粋すぎてすぐに騙されるから、城内に軟禁されてて力はないし」
お母様が監禁されているってどういうことなの。
気になった私が口を開くよりも先にロード様がスカディ様に話しかける。
「スカディ殿下にお聞きしたいのですが」
「……何かな」
「レジー嬢がいなければ、本当にここでの生活は送れないのですか」
「そ、それは……」
スカディ様はなんと答えれば良いのかわからないといった感じで目を泳がせる。
そんな彼を見て、ロード様は苦笑する。
「あなたは多少は話が通じるので良いのですが、レジー嬢は全く話が通じませんし、出来れば今すぐにでも帰っていただきたいんです。今、無理やり帰らせる手続きを取っています」
「……わかった、わかったよ。レジーを大人しくさせるように頑張るから、少しだけ時間をくれないか?」
「どうしてそんなにレジー嬢にこだわるんですか」
「だから言っているだろう! 僕にはレジーしかいないんだ」
ロード様は大きく息を吐くと、スカディ様に向かってうなり続けている、メルちゃんとハヤテくんを大人しくさせたのだった。
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