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第7話 手紙
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シラージェはあの後、陛下に私が死にたがっていたという事は自分の勘違いだと伝えてくれた様で、陛下もそれを信じてくれた様だった。
私の命はひとまず危機を免れたと言いたいところだけれど、シラージェがこれで諦めるとも思えない。
彼女が陛下を自分だけのものにする事を諦めるとは到底思えない。
不審と思われない事故死などを狙ってきそうなので、シラージェと一緒にいる時にはバルコニーなど高い場所に近付いたりしないように、毒味役の人が調べてくれていないものは食べたり飲んだりしないなど、緊張しながらの日々を過ごしていた、ある日の事だった。
ゲルドア国という大国の国王陛下から苦情の手紙が届いた。
というのも、以前、王冠を手に入れる際に雇った暗殺者達がゲルドア国まで逃げていて、ゲルドア国で犯罪を犯して捕まったのだ。
ゲルドア国も最近、国王が代替わりしたばかりで、まだ若き国王陛下だけれど、他国に知れ渡るほどの美形で愛妻家で有名であり、国民を優先にする国家を目指している事でも有名だ。
ゲルドア国は大国でありながらも、貧民街などがなく、貧富の差もあるにはあるけれど、貴族と平民との貧富の差はあっても、平民同士での貧富の差は少なく、犯罪が少ない国でも有名だ。
そんな治安の良い国に暗殺集団が入ってきたのだから、ゲルドア国側はご立腹の様だった。
『用事があり、そちらに向かうから事情を説明していただきたい』
挨拶の言葉と私達の国から流れてきた犯罪者を捕まえた事が書かれた内容の後に綺麗な字でそう書かれていた。
その事を、私の国の国王陛下であるテッカ様に伝えると、「君が相手をしておいてくれ。たしか、ゲルドアの国王は僕が君を側妃にしようとしている事も反対しているんだろう? 犯罪者がそちらの国に入ってしまったという謝罪と、リゼアは僕と結婚したいんだと伝えてくれ」と言われてしまった。
失礼に値するかもしれないけれど、他国の国王陛下と話す機会は私にしてみれば助けを求める丁度良いチャンスだ。
だから、嫌がらずに承諾すると、陛下は言った。
「リゼアが妙な事を言わないように、シラージェにも一緒に応対してもらう。彼女が正妃になるのだからね」
「シラージェは貴族の礼儀を知りませんが?」
「彼女だって貴族の娘だろう? 多少はわかるはずだ」
「そんな自覚があるとは思えませんが」
「ヤキモチを妬くのはやめてくれ。シラージェだけで十分だ。シラージェがわからないというなら君が教えてくれ」
「シラージェがいるとゲルドアの国王陛下を怒らせる可能性もあります。同席させるなら他の方にして下さい」
「大丈夫だ。シラージェの美しさを見れば文句を言うはずがない」
陛下は訳のわからない事を言うと、話は終わりだと言わんばかりに、側近に命令して私を部屋から追い出した。
そして、15日後、ゲルドア国の若き王、アーク・ミドラッド様とその奥様であるルルア様がレスルワ国に入国し、それから3日後にレスルワの城にやって来られたのだった。
私の命はひとまず危機を免れたと言いたいところだけれど、シラージェがこれで諦めるとも思えない。
彼女が陛下を自分だけのものにする事を諦めるとは到底思えない。
不審と思われない事故死などを狙ってきそうなので、シラージェと一緒にいる時にはバルコニーなど高い場所に近付いたりしないように、毒味役の人が調べてくれていないものは食べたり飲んだりしないなど、緊張しながらの日々を過ごしていた、ある日の事だった。
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というのも、以前、王冠を手に入れる際に雇った暗殺者達がゲルドア国まで逃げていて、ゲルドア国で犯罪を犯して捕まったのだ。
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失礼に値するかもしれないけれど、他国の国王陛下と話す機会は私にしてみれば助けを求める丁度良いチャンスだ。
だから、嫌がらずに承諾すると、陛下は言った。
「リゼアが妙な事を言わないように、シラージェにも一緒に応対してもらう。彼女が正妃になるのだからね」
「シラージェは貴族の礼儀を知りませんが?」
「彼女だって貴族の娘だろう? 多少はわかるはずだ」
「そんな自覚があるとは思えませんが」
「ヤキモチを妬くのはやめてくれ。シラージェだけで十分だ。シラージェがわからないというなら君が教えてくれ」
「シラージェがいるとゲルドアの国王陛下を怒らせる可能性もあります。同席させるなら他の方にして下さい」
「大丈夫だ。シラージェの美しさを見れば文句を言うはずがない」
陛下は訳のわからない事を言うと、話は終わりだと言わんばかりに、側近に命令して私を部屋から追い出した。
そして、15日後、ゲルドア国の若き王、アーク・ミドラッド様とその奥様であるルルア様がレスルワ国に入国し、それから3日後にレスルワの城にやって来られたのだった。
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