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25 いらない子
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お姉様との一件があった、次の日の夜。
色々と個人的な話がしたかったので、ダイニングルームではなく、私の部屋でクレイと一緒に晩御飯を食べながら、お姉様についての話をします。
「何だか上手くいきすぎて、拍子抜けしちゃいますね」
「その方が有り難いんだから文句言うなよ」
「まあ、そうなんですけれど、お姉様、バーキン様の事は諦めたんでしょうか…」
「それに関しては、アールがバーキンも店に来ていた事を伝えたみたいだな」
「ああ。だから、不誠実だと?」
首を傾げて尋ねると、クレイは無言で首を縦に振りました。
「そういえば、オッサムはそういうお店に行っていなかったんでしょうか」
「だろうな。それに、オッサムがわざわざ伝えてきたんだから、自分もやってたら、調べられたらすぐにバレるだろうから、わざわざ、そんな話はしてこないだろ」
「そう言われてみればそうですね」
頷いてから、フィアナを見ます。
「フィアナは、そういうお店に通う人は嫌いですか?」
「恋人がいなければいいんじゃないでしょうか。それに、付き合いで行かないといけない時もありますし、私としては、行く分には良いかと思います。なんといいますか、店員と客以上の関係にならなければ良いといいますか…」
「という事は、フィアナの中では、バーキン様に対して嫌なイメージはないと?」
「それに関しましてはございません。他の事でしたらありますけれど」
「フィアナはバーキン様のどこか嫌なのですか?」
女子トークなるものをやってみたかったので、壁際に立っているフィアナに聞いてみますと、彼女はきっぱりと答えてくれます。
「軽いにも程があるでしょう。本気で言っているのかどうなのか、全くわかりません」
「フィアナ、それ、バーキンには言うなよ?」
「どういう事でしょう?」
クレイの言葉にフィアナが聞き返すと、クレイが答える。
「真面目になればフィアナが付き合ってくれるなら、あのチャラさをなくしてくる可能性がある」
「良いじゃないですか」
バーキン様が真面目になるのなら良いと思ったので言ってみると、クレイはフィアナを見ます。
「フィアナがバーキンと付き合う気があるなら良いけど、そうでないなら迷惑だろ?」
「今のところはサルケス様とどうこうなるだなんて気持ちは一切ございません」
「どうしてですか?」
「興味がないからです」
フィアナは迷いのない様子で答えてくれました。
バーキン様はフィアナにとって好きなタイプではない様です。
上手くいかないものです。
そういえば、すっかり忘れていましたが、クレイはポピー様に会ってしまいましたが、精神的には大丈夫なのでしょうか?
モヤモヤしているくらいなら、ちゃんと聞いてしまった方が良いのでしょうか?
って、おかしいですね。
どうして、モヤモヤしてしまうのでしょう?
「リサ、どうかしたのか?」
考えていると、クレイから尋ねられてしまいました。
「いえ、何でもないです」
「ならいいけど、食事が進んでないみたいだから」
「考え事をしていると駄目ですね」
「何を考えてたんだ?」
やはり、ポピー様について、どう思ったのか聞いてしまおうか迷いました。
だけど、聞いてはいけない様な気もします。
だって、私とクレイの関係は契約結婚です。
お互いに触れられたくない事はあるはずで、そこに踏み込んでもいい関係性ではないからです。
「……何でもありません」
首を横に振ると、クレイは何か言いたげに口を開きましたが、言葉を発する事は止めて、静かに口を閉じたのでした。
お姉様はアールの件がよっぽどショックだったのか、私との一件の後は部屋から出なくなり、仕事は放り出し、お母様とオッサムとしか話をしなくなったそうです。
私としては、お姉様が仕事をしてくれないのは迷惑ですが、大人しくしてくれている分には良いと思っています。
薄情な妹だと思われますかね?
だけど、私は可哀相だからといって許す事だけが正義だとは思えません。
私に対しての所業を心から謝ってくれない限りは、私は優しくしてあげる必要はないと思っています。
私の優しさを必要としている人がいたとしても、お姉様ではない事もわかりますし。
このまま時が過ぎるかと思っていましたが、そういう訳にもいきませんでした。
可愛い娘の傷付いた様子を、お母様が黙っていられる訳はありませんでした。
「リサ、あなたって子は、自分のお姉様をあんな風にして何が楽しいと言うの!?」
「楽しくはありません。ですが、お姉様の為にはなりましたでしょう?」
「為になったですって!? あなたのせいで他人が信じられなくなったのよ!?」
「私のせいではありません。アール様のせいでしょう? 最初からお姉様だけにしておけば良かったんです。もしくはお店に行くのを止めれば良かっただけです」
「あなたって子は!」
お母様は私に近付いてきたかと思うと、頬を何度も叩いてきました。
ここでやり返す訳にはいきません。
手を出し返したりしたら、王妃の権力として、私をどこかへ幽閉する可能性があります。
「お止め下さい!」
フィアナが叫んでくれたけれど、お母様の手は止まりません。
怒りで我を失ってしまっているようです。
「あんたなんか! あんたなんか生まれてこなかったら!」
「うるせぇな。なら、何で生んだんだよ」
お母様の平手打ち攻撃が止まったと同時、クレイの声が聞こえて、閉じていた目を開けると、お母様の腕をつかんでいるクレイの姿が見えたのでした。
色々と個人的な話がしたかったので、ダイニングルームではなく、私の部屋でクレイと一緒に晩御飯を食べながら、お姉様についての話をします。
「何だか上手くいきすぎて、拍子抜けしちゃいますね」
「その方が有り難いんだから文句言うなよ」
「まあ、そうなんですけれど、お姉様、バーキン様の事は諦めたんでしょうか…」
「それに関しては、アールがバーキンも店に来ていた事を伝えたみたいだな」
「ああ。だから、不誠実だと?」
首を傾げて尋ねると、クレイは無言で首を縦に振りました。
「そういえば、オッサムはそういうお店に行っていなかったんでしょうか」
「だろうな。それに、オッサムがわざわざ伝えてきたんだから、自分もやってたら、調べられたらすぐにバレるだろうから、わざわざ、そんな話はしてこないだろ」
「そう言われてみればそうですね」
頷いてから、フィアナを見ます。
「フィアナは、そういうお店に通う人は嫌いですか?」
「恋人がいなければいいんじゃないでしょうか。それに、付き合いで行かないといけない時もありますし、私としては、行く分には良いかと思います。なんといいますか、店員と客以上の関係にならなければ良いといいますか…」
「という事は、フィアナの中では、バーキン様に対して嫌なイメージはないと?」
「それに関しましてはございません。他の事でしたらありますけれど」
「フィアナはバーキン様のどこか嫌なのですか?」
女子トークなるものをやってみたかったので、壁際に立っているフィアナに聞いてみますと、彼女はきっぱりと答えてくれます。
「軽いにも程があるでしょう。本気で言っているのかどうなのか、全くわかりません」
「フィアナ、それ、バーキンには言うなよ?」
「どういう事でしょう?」
クレイの言葉にフィアナが聞き返すと、クレイが答える。
「真面目になればフィアナが付き合ってくれるなら、あのチャラさをなくしてくる可能性がある」
「良いじゃないですか」
バーキン様が真面目になるのなら良いと思ったので言ってみると、クレイはフィアナを見ます。
「フィアナがバーキンと付き合う気があるなら良いけど、そうでないなら迷惑だろ?」
「今のところはサルケス様とどうこうなるだなんて気持ちは一切ございません」
「どうしてですか?」
「興味がないからです」
フィアナは迷いのない様子で答えてくれました。
バーキン様はフィアナにとって好きなタイプではない様です。
上手くいかないものです。
そういえば、すっかり忘れていましたが、クレイはポピー様に会ってしまいましたが、精神的には大丈夫なのでしょうか?
モヤモヤしているくらいなら、ちゃんと聞いてしまった方が良いのでしょうか?
って、おかしいですね。
どうして、モヤモヤしてしまうのでしょう?
「リサ、どうかしたのか?」
考えていると、クレイから尋ねられてしまいました。
「いえ、何でもないです」
「ならいいけど、食事が進んでないみたいだから」
「考え事をしていると駄目ですね」
「何を考えてたんだ?」
やはり、ポピー様について、どう思ったのか聞いてしまおうか迷いました。
だけど、聞いてはいけない様な気もします。
だって、私とクレイの関係は契約結婚です。
お互いに触れられたくない事はあるはずで、そこに踏み込んでもいい関係性ではないからです。
「……何でもありません」
首を横に振ると、クレイは何か言いたげに口を開きましたが、言葉を発する事は止めて、静かに口を閉じたのでした。
お姉様はアールの件がよっぽどショックだったのか、私との一件の後は部屋から出なくなり、仕事は放り出し、お母様とオッサムとしか話をしなくなったそうです。
私としては、お姉様が仕事をしてくれないのは迷惑ですが、大人しくしてくれている分には良いと思っています。
薄情な妹だと思われますかね?
だけど、私は可哀相だからといって許す事だけが正義だとは思えません。
私に対しての所業を心から謝ってくれない限りは、私は優しくしてあげる必要はないと思っています。
私の優しさを必要としている人がいたとしても、お姉様ではない事もわかりますし。
このまま時が過ぎるかと思っていましたが、そういう訳にもいきませんでした。
可愛い娘の傷付いた様子を、お母様が黙っていられる訳はありませんでした。
「リサ、あなたって子は、自分のお姉様をあんな風にして何が楽しいと言うの!?」
「楽しくはありません。ですが、お姉様の為にはなりましたでしょう?」
「為になったですって!? あなたのせいで他人が信じられなくなったのよ!?」
「私のせいではありません。アール様のせいでしょう? 最初からお姉様だけにしておけば良かったんです。もしくはお店に行くのを止めれば良かっただけです」
「あなたって子は!」
お母様は私に近付いてきたかと思うと、頬を何度も叩いてきました。
ここでやり返す訳にはいきません。
手を出し返したりしたら、王妃の権力として、私をどこかへ幽閉する可能性があります。
「お止め下さい!」
フィアナが叫んでくれたけれど、お母様の手は止まりません。
怒りで我を失ってしまっているようです。
「あんたなんか! あんたなんか生まれてこなかったら!」
「うるせぇな。なら、何で生んだんだよ」
お母様の平手打ち攻撃が止まったと同時、クレイの声が聞こえて、閉じていた目を開けると、お母様の腕をつかんでいるクレイの姿が見えたのでした。
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