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19 解消、もしくは破棄されないのでしょうか?
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「君はラルフの顔だけでいいっていうのか!? 爵位がなくっても!?」
ランドン辺境伯が聞いてこられるので、ラルフ様の方に振り向いて許可を得るために話しかける。
「ランドン辺境伯とお話をしても?」
「望むなら」
ラルフ様が頷いてくださったので、ランドン辺境伯に向かって言う。
「顔だけでいい、というのは何か語弊がある気がします。私も元々、婚約破棄された身ですから、私を嫁にもらってくださる方なんて、よっぽどの物好きでないと駄目かと思われます。そして、その物好きがラルフ様なのです!」
言ってから、失礼な事を大きな声で言ってしまった事に気付きましたが、もうどうにもなりません。
「いや、リノアは魅力的だぞ?」
「それはラルフ様の贔屓目なのです」
「そんな事はない」
「おい、イチャつくな!」
私とラルフ様の会話に割って入り、ランドン辺境伯は続けます。
「君は、ラルフじゃなくてももらってくれる相手なら誰でもいいのか?」
「誰でもいいわけではありません。あと、ラルフ様は私にとっては好条件だと思っております」
今までのご令嬢に対しての自責の念もあるからか、私には特に優しくして下さっていますし、私自身はラルフ様を可愛いと思ってますから。
人によってはどう思われるかはわかりませんが、私にしてみれば母性本能をくすぐるのですよね。
ワンちゃんに見えてしまうからでしょうか。
「信じられないな。何人も令嬢を泣かせてるんだよ? 君だって泣かされるかもしれない」
「それはしょうがありません。一切泣かなくて済む人生なんてありえないですから」
「そういう意味じゃなくて、だよ! フレイに何かされたりとか!」
「待て。令嬢が泣かされたりというのはわかるが、フレイがどうだという話はどこから聞いた」
ランドン辺境伯はラルフ様に聞かれ、しまったという顔をされました。
どうして、フレイ様の話をされたんでしょう?
その話は内部の人間か、ご令嬢の関係者しか知らないはずでは?
「な、なんでもない」
「フレイに入れ知恵をしていたのはお前か」
「そういえば、1年ほど前から君は花嫁探しをやめたよな。もしかして、彼女が原因か?」
「まず、お前は俺の質問に答えろ」
ラルフ様の冷たい声に、ランドン辺境伯はびくりと身体を震わせたあと、口を開きます。
「フレイが相談してきたから答えただけだ。令嬢の気持ちが知りたいなら、まずはお前が誘惑しろと。令嬢がフレイの部屋に来た時点でふさわしくないと」
「あら。行ってしまいました」
「リノア様の場合は俺達も一緒に行ったじゃないですか」
ケイン様がフォローして下さいますが、ランドン辺境伯から驚きの声が飛んできます。
「部屋に行った!? ふしだらな女性なんだな! 他の令嬢達と一緒じゃないか!」
「おい」
一瞬の間でした。
ラルフ様はミリー様がテーブルの上に置いたテーブルナイフを手に取り、ランドン辺境伯の口に突っ込まれました。
「リノアの件に関しても、他の令嬢の件に関しても、仕事以外に無関心だった俺の責任であるし、罪だと自覚している。だから、リノアや令嬢達を蔑む発言はするな。喧嘩を売りたいなら堂々と俺に売れ」
「ふぁふぁっふぁ」
ランドン辺境伯は腰を抜かした状態で、涙目になりながら首を縦に振られました。
今頃かもしれませんが、このお二人は姉の婚約者と婚約者の弟、という関係性だけではないのでしょうか?
「あのお二人って過去に何かあったりするのですか?」
「ランドン辺境伯の領地は二つの隣国に接しているんですが、兵力が少ないため、何かあった場合はクラーク家とダーキッド家が対応しているんです」
「ダーキッド家は中立国との辺境ですが、クラーク家は大きな声では言えませんが、敵国との辺境ですし、クラーク家が出る事が多いのですね」
ケイン様の言葉に頷く。
戦争をした事があるとはいえ、和解などで現在は落ち着いているため、敵国という言葉は使ってはいけないのですが、冷戦状態のようなものですし、今回は理解している事を伝えたかったという事で許していただきましょう。
「そうです。ちなみに、ランドン辺境伯は領民を徴兵して戦地に赴かせますが、自分はいつも安全な場所にいるか、体調を崩したといって家にいます。そのため、ラルフ様が指揮をとるため、ランドン領の領民からラルフ様は人気が高いんです。ランドン辺境伯はそれに嫉妬しておられ、尚且、好きな女性がラルフ様にフラれたという事で逆恨みされておられます」
「自分の好きな女性がフラれて逆恨み、とはどういう?」
「あんなに素敵な女性をフるだなんて許さん! っていう理由みたいです。バカですよね」
ケイン様の言葉に聞き返すと、ミリー様がへっぴり腰で立ち上がったランドン辺境伯を見て、鼻で笑いながら言われました。
それにしても、どうしてミラルル様もランドン辺境伯も婚約を解消、もしくは破棄されないのでしょうか?
ランドン辺境伯が聞いてこられるので、ラルフ様の方に振り向いて許可を得るために話しかける。
「ランドン辺境伯とお話をしても?」
「望むなら」
ラルフ様が頷いてくださったので、ランドン辺境伯に向かって言う。
「顔だけでいい、というのは何か語弊がある気がします。私も元々、婚約破棄された身ですから、私を嫁にもらってくださる方なんて、よっぽどの物好きでないと駄目かと思われます。そして、その物好きがラルフ様なのです!」
言ってから、失礼な事を大きな声で言ってしまった事に気付きましたが、もうどうにもなりません。
「いや、リノアは魅力的だぞ?」
「それはラルフ様の贔屓目なのです」
「そんな事はない」
「おい、イチャつくな!」
私とラルフ様の会話に割って入り、ランドン辺境伯は続けます。
「君は、ラルフじゃなくてももらってくれる相手なら誰でもいいのか?」
「誰でもいいわけではありません。あと、ラルフ様は私にとっては好条件だと思っております」
今までのご令嬢に対しての自責の念もあるからか、私には特に優しくして下さっていますし、私自身はラルフ様を可愛いと思ってますから。
人によってはどう思われるかはわかりませんが、私にしてみれば母性本能をくすぐるのですよね。
ワンちゃんに見えてしまうからでしょうか。
「信じられないな。何人も令嬢を泣かせてるんだよ? 君だって泣かされるかもしれない」
「それはしょうがありません。一切泣かなくて済む人生なんてありえないですから」
「そういう意味じゃなくて、だよ! フレイに何かされたりとか!」
「待て。令嬢が泣かされたりというのはわかるが、フレイがどうだという話はどこから聞いた」
ランドン辺境伯はラルフ様に聞かれ、しまったという顔をされました。
どうして、フレイ様の話をされたんでしょう?
その話は内部の人間か、ご令嬢の関係者しか知らないはずでは?
「な、なんでもない」
「フレイに入れ知恵をしていたのはお前か」
「そういえば、1年ほど前から君は花嫁探しをやめたよな。もしかして、彼女が原因か?」
「まず、お前は俺の質問に答えろ」
ラルフ様の冷たい声に、ランドン辺境伯はびくりと身体を震わせたあと、口を開きます。
「フレイが相談してきたから答えただけだ。令嬢の気持ちが知りたいなら、まずはお前が誘惑しろと。令嬢がフレイの部屋に来た時点でふさわしくないと」
「あら。行ってしまいました」
「リノア様の場合は俺達も一緒に行ったじゃないですか」
ケイン様がフォローして下さいますが、ランドン辺境伯から驚きの声が飛んできます。
「部屋に行った!? ふしだらな女性なんだな! 他の令嬢達と一緒じゃないか!」
「おい」
一瞬の間でした。
ラルフ様はミリー様がテーブルの上に置いたテーブルナイフを手に取り、ランドン辺境伯の口に突っ込まれました。
「リノアの件に関しても、他の令嬢の件に関しても、仕事以外に無関心だった俺の責任であるし、罪だと自覚している。だから、リノアや令嬢達を蔑む発言はするな。喧嘩を売りたいなら堂々と俺に売れ」
「ふぁふぁっふぁ」
ランドン辺境伯は腰を抜かした状態で、涙目になりながら首を縦に振られました。
今頃かもしれませんが、このお二人は姉の婚約者と婚約者の弟、という関係性だけではないのでしょうか?
「あのお二人って過去に何かあったりするのですか?」
「ランドン辺境伯の領地は二つの隣国に接しているんですが、兵力が少ないため、何かあった場合はクラーク家とダーキッド家が対応しているんです」
「ダーキッド家は中立国との辺境ですが、クラーク家は大きな声では言えませんが、敵国との辺境ですし、クラーク家が出る事が多いのですね」
ケイン様の言葉に頷く。
戦争をした事があるとはいえ、和解などで現在は落ち着いているため、敵国という言葉は使ってはいけないのですが、冷戦状態のようなものですし、今回は理解している事を伝えたかったという事で許していただきましょう。
「そうです。ちなみに、ランドン辺境伯は領民を徴兵して戦地に赴かせますが、自分はいつも安全な場所にいるか、体調を崩したといって家にいます。そのため、ラルフ様が指揮をとるため、ランドン領の領民からラルフ様は人気が高いんです。ランドン辺境伯はそれに嫉妬しておられ、尚且、好きな女性がラルフ様にフラれたという事で逆恨みされておられます」
「自分の好きな女性がフラれて逆恨み、とはどういう?」
「あんなに素敵な女性をフるだなんて許さん! っていう理由みたいです。バカですよね」
ケイン様の言葉に聞き返すと、ミリー様がへっぴり腰で立ち上がったランドン辺境伯を見て、鼻で笑いながら言われました。
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