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8 貸したくないという理由ではないのですかね?
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私が何を忘れているのか、非常に気になるのは確かですが、忘却の魔法の話については長くなりそうな気もしますし、まずはフレイ様からの呼び出しについての話を優先する事にします。
「そのお話も気になるのは山々なのですが、朝食後にお願いしたい事がございまして…」
「どうした?」
ラルフ様にしてみれば、今の話より気になる事がある方が不思議だったようで、軽く首を傾げられました。
なんて言ったら良いのでしょう。
フレイ様には他言するな、と言われていますし。
「あの、フレイ様のお部屋は、どこにあるのでしょうか」
「は?」
ラルフ様の眉間のシワがより深くなりました。
「フレイ様のお部屋の場所が知りたくて。まだ、侍女やメイド達も来たばかりで、このお屋敷の事はわかりませんし」
「それはそうかもしれないが、なぜ、フレイ限定なんだ?」
「あ、いえ。深い意味はないのですが…」
なんて答えたら良いのでしょう。
素直にお手紙の事を伝えるべきなんでしょうけど、内緒にする様に言われている事をペラペラ話すのも、どうかと思ってしまいますし。
「皆さんのお部屋の場所が知りたかっただけなのです」
苦しい言い訳とはわかっていますが伝えてみると、ラルフ様はやはり納得されていないようです。
まあ、それはそうですよね。
皆さんのお部屋なら、フレイ様を名指しする必要ありませんものね。
「どうしてフレイが気になるんだ。リノアはああいうタイプが好みなのか?」
「はい?」
真剣な眼差しでラルフ様は私を見てこられますが、一体、何を言ってらっしゃるのでしょう?
もしかして、私が弟のフレイ様に興味を持っていると思われていらっしゃる?
「えーと。どうしてそんな事を思われるのでしょうか?」
「…まずは、君から答えてくれ」
「フレイ様が恋愛対象としての好みかと聞かれているのでしたら違います。フレイ様がどのような方か詳しくは存じませんから、見た目だけでは判断できないというのがございますので」
「他のご令嬢はフレイの見た目だけで恋に落ちるぞ?」
「それを言いましたら、ラルフ様の外見だけで恋に落ちるご令嬢もいらっしゃると思いますが…」
二人共イケメンさんですからね。
ラルフ様はちょっと近寄りがたいですが、フレイ様は可愛らしい感じですから、女性も声をかけやすいだけなのかと思われます。
私だって、初対面でどちらに話しかけますか、と聞かれたら、フレイ様と答えるかもです。
「ならいいんだ。ここに来た令嬢のメイド達が、うちのメイドにフレイの部屋を聞いてくるらしいんだ。聞いてこなかった令嬢に関しては何もないんだが、聞いてきた令嬢に関しては、なぜか、その日に家を出てしまう事が多い」
「そ、そうなのですか…」
明らかに怪しいですね。
もしかして、部屋に呼び出して、何か人には言えない事をしている、とか?
「家を出る際に、ご令嬢方はどんな様子なのでしょう?」
「泣いていたりする者が多いが、フレイに結婚を迫る者もいるな」
「ラルフ様はフレイ様にその話をしてみた事は?」
「聞いてはいるが、フレイは俺の為にやっている事だから、何も悪い事はしていないと言うんだ。令嬢達も詳しい話は聞かないでほしいと懇願してくるし」
ラルフ様が困ったように言われます。
うーん。
これは、大体、部屋に行ったら何をされそうなわかる気がします。
「あの、それからそのご令嬢達がどうなったかはわかりますか?」
「違う者と縁談がうまくいった者もいるが、ほとんどはまだ一人でいるな。あと、フレイも誰とも結婚する気がないようだ」
「最低なのです」
「どうした?」
「あ、いえ。私の推測ですから何でもないのです」
ラルフ様に真実を伝えるべきか迷って、一度は首を横に振った。
推測を伝えるのもどうかと思いますし、伝えてしまえば、被害にあった令嬢が傷付いてしまうかもしれません。
かといって、これ以上、被害者を増やすわけにはいかないですし、って、このままでは次の被害者は私になるわけですしね。
「あの、ラルフ様」
「どうした?」
「ケイン様はフレイ様のお部屋を知ってらっしゃいます?」
「知ってはいるが…」
「では、ケイン様をお借りしてもよろしいでしょうか?」
笑顔でお願いすると、ラルフ様は明らかに不機嫌そうな顔をされて、首を横に振られます。
「駄目だ」
「だ、駄目ですか?」
ケイン様に付いてきてもらえば、何かあった時にすぐに助けてもらえそうだと思ったのですが…。
それに、現行犯でおさえられるでしょうし。
「俺も行こう」
ん?
断られた理由って、ケイン様を貸したくないという理由ではないのですかね?
「そのお話も気になるのは山々なのですが、朝食後にお願いしたい事がございまして…」
「どうした?」
ラルフ様にしてみれば、今の話より気になる事がある方が不思議だったようで、軽く首を傾げられました。
なんて言ったら良いのでしょう。
フレイ様には他言するな、と言われていますし。
「あの、フレイ様のお部屋は、どこにあるのでしょうか」
「は?」
ラルフ様の眉間のシワがより深くなりました。
「フレイ様のお部屋の場所が知りたくて。まだ、侍女やメイド達も来たばかりで、このお屋敷の事はわかりませんし」
「それはそうかもしれないが、なぜ、フレイ限定なんだ?」
「あ、いえ。深い意味はないのですが…」
なんて答えたら良いのでしょう。
素直にお手紙の事を伝えるべきなんでしょうけど、内緒にする様に言われている事をペラペラ話すのも、どうかと思ってしまいますし。
「皆さんのお部屋の場所が知りたかっただけなのです」
苦しい言い訳とはわかっていますが伝えてみると、ラルフ様はやはり納得されていないようです。
まあ、それはそうですよね。
皆さんのお部屋なら、フレイ様を名指しする必要ありませんものね。
「どうしてフレイが気になるんだ。リノアはああいうタイプが好みなのか?」
「はい?」
真剣な眼差しでラルフ様は私を見てこられますが、一体、何を言ってらっしゃるのでしょう?
もしかして、私が弟のフレイ様に興味を持っていると思われていらっしゃる?
「えーと。どうしてそんな事を思われるのでしょうか?」
「…まずは、君から答えてくれ」
「フレイ様が恋愛対象としての好みかと聞かれているのでしたら違います。フレイ様がどのような方か詳しくは存じませんから、見た目だけでは判断できないというのがございますので」
「他のご令嬢はフレイの見た目だけで恋に落ちるぞ?」
「それを言いましたら、ラルフ様の外見だけで恋に落ちるご令嬢もいらっしゃると思いますが…」
二人共イケメンさんですからね。
ラルフ様はちょっと近寄りがたいですが、フレイ様は可愛らしい感じですから、女性も声をかけやすいだけなのかと思われます。
私だって、初対面でどちらに話しかけますか、と聞かれたら、フレイ様と答えるかもです。
「ならいいんだ。ここに来た令嬢のメイド達が、うちのメイドにフレイの部屋を聞いてくるらしいんだ。聞いてこなかった令嬢に関しては何もないんだが、聞いてきた令嬢に関しては、なぜか、その日に家を出てしまう事が多い」
「そ、そうなのですか…」
明らかに怪しいですね。
もしかして、部屋に呼び出して、何か人には言えない事をしている、とか?
「家を出る際に、ご令嬢方はどんな様子なのでしょう?」
「泣いていたりする者が多いが、フレイに結婚を迫る者もいるな」
「ラルフ様はフレイ様にその話をしてみた事は?」
「聞いてはいるが、フレイは俺の為にやっている事だから、何も悪い事はしていないと言うんだ。令嬢達も詳しい話は聞かないでほしいと懇願してくるし」
ラルフ様が困ったように言われます。
うーん。
これは、大体、部屋に行ったら何をされそうなわかる気がします。
「あの、それからそのご令嬢達がどうなったかはわかりますか?」
「違う者と縁談がうまくいった者もいるが、ほとんどはまだ一人でいるな。あと、フレイも誰とも結婚する気がないようだ」
「最低なのです」
「どうした?」
「あ、いえ。私の推測ですから何でもないのです」
ラルフ様に真実を伝えるべきか迷って、一度は首を横に振った。
推測を伝えるのもどうかと思いますし、伝えてしまえば、被害にあった令嬢が傷付いてしまうかもしれません。
かといって、これ以上、被害者を増やすわけにはいかないですし、って、このままでは次の被害者は私になるわけですしね。
「あの、ラルフ様」
「どうした?」
「ケイン様はフレイ様のお部屋を知ってらっしゃいます?」
「知ってはいるが…」
「では、ケイン様をお借りしてもよろしいでしょうか?」
笑顔でお願いすると、ラルフ様は明らかに不機嫌そうな顔をされて、首を横に振られます。
「駄目だ」
「だ、駄目ですか?」
ケイン様に付いてきてもらえば、何かあった時にすぐに助けてもらえそうだと思ったのですが…。
それに、現行犯でおさえられるでしょうし。
「俺も行こう」
ん?
断られた理由って、ケイン様を貸したくないという理由ではないのですかね?
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