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4 かまいませんよね?
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カーミラ様の部屋を出ると、どこか不安げな顔をしたラルフ様が待ってくれていたので、お待たせしていた事を詫びる。
「お待たせしてしまい申し訳ございません」
「いや、それはいいんだが、母から何か言われたのか?」
「とにかく、今日は疲れましたし、お部屋に戻りたいのですが…」
ラルフ様に有無を言わせぬよう、強い意思を感じさせる笑顔を向けると、困った顔をされましたが、渋々といった感じで頷かれました。
部屋に戻ると、ソラ達が緊張した面持ちで一斉に私を見ましたが、首を縦に振ると、皆は安堵した表情に変わりました。
部屋の中はまだ、ごちゃごちゃしてはいますが、お茶を飲めるスペースは確保されていたため、お茶をお願いすると、片付けの途中ではありますが、ラルフ様以外は部屋を出ていきました。
「リノア」
立ったままの状態で、ラルフ様は話をしようとするものですから、苦笑して言う。
「ラルフ様、お話いたしますから、まずはお座りになって下さい」
「…わかった」
こんな事を言ってはなんですが、最近のラルフ様の印象は狂犬のイメージから、大きなワンちゃんに変わりました。
とても失礼な話なので口には出しませんが。
メイドがお茶を入れてくれ、部屋を出ていったところで、一息ついてから口を開く。
「ラルフ様のお母様は、結婚に関しては反対のようですよ? どなたとも結婚してほしくないようです」
「そんな訳ないだろう。今まで見合いの話を持ってきていたのは、母か姉なんだ」
「そうなんですか?」
「ああ。母の紹介である事が多い」
「お見合い相手の方を、どこの誰だかわからない女性だとおっしゃってましたが?」
私の言葉を聞いて、ラルフ様は頭を抱えてしまわれました。
それにしても、ラルフ様は私が嘘を言っているとは思わないのでしょうか?
でも、自分のお母様より私の事を信用してくださるのは嬉しい事です。
すでに嫁いでいる友人に、義母に嫌がらせをされているのに、旦那様が全く助けてくれないそうで、毎日が辛いと言っていた人もいます。
私の場合だと、このままいけば、そんな事はなくて済みそうです。
そうそう。
婚約を解消するように言われた事をお伝えしなくては。
「あと、ラルフ様にお伝えしないといけない大事な事がありまして」
頭を抱えたままのラルフ様に話しかけた時だった。
ラルフ様の執事がやって来て、こう言われました。
「ご夕食の準備が整いました。他の皆様はダイニングルームに揃っておられます」
結局、ラルフ様に婚約解消の話は出来ないまま、ダイニングルームへ向かい、部屋の中に入ると、扉の正面に長いテーブルがあり、ラルフ様のお姉さまらしき、見た目はカーミラ様がもう少し若ければ、こんな感じだったのだろうかと思わせるほど、お綺麗なミラルル様に、ラルフ様を可愛らしくした顔立ちの弟君のフレイ様が、カーミラ様と横一列に並んで座っておられました。
「こっちへおいで」
ラルフ様に連れられ、テーブルをはさんでカーミラ様達の前に立つと、ラルフ様は私を抱き寄せて言った。
「リノア・ブルーミング伯爵令嬢だ。母上には先程、紹介をしたし、リノアは二人で話もしたのだよな?」
「はい」
にっこりと笑ってカーミラ様に笑顔を向けると、彼女も満面の笑みを返してくれました。
その後、ミラルル様とフレイ様が笑みを引きつらせながらも私に挨拶して下さり、食事を開始する事になりましたが、ラルフ様は私の隣に座り、やたらと世話を焼いてこられます。
「リノアは濃い色の野菜が苦手だよな。食べたくない気持ちはわかるが、健康の為には食べたほうがいい」
「どうしてそんな事を知ってるんですか?」
「見てたからな」
見ていたとおっしゃいますが、ラルフ様にバレないように頑張って、旅の途中だった、この何日かは食べていたのですが、いつ見たんでしょう?
それにしても前方からの視線が痛いです。
せっかくの美味しいお料理が堪能できません。
あ、タイミングを逃さない内に、あの話をしてしまう事にしましょう。
「ラルフ様」
「どうした?」
ラルフ様は、お水を飲もうとしていらっしゃいましたが、その手を止めて、グラスを持ったまま、優しい笑顔を向けて下さいました。
そんな彼に私も笑顔で言う。
「婚約を解消したいのですが」
「…は?」
「ですから、婚約を解消したいと申し上げました」
カーミラ様からは、婚約を解消しろ、自分がそう言えと言った事を言うな、と言われただけです。
私がいつ、どこで婚約解消をお願いしたとしても、カーミラ様との約束は守っているわけですし、かまいませんよね?
「お待たせしてしまい申し訳ございません」
「いや、それはいいんだが、母から何か言われたのか?」
「とにかく、今日は疲れましたし、お部屋に戻りたいのですが…」
ラルフ様に有無を言わせぬよう、強い意思を感じさせる笑顔を向けると、困った顔をされましたが、渋々といった感じで頷かれました。
部屋に戻ると、ソラ達が緊張した面持ちで一斉に私を見ましたが、首を縦に振ると、皆は安堵した表情に変わりました。
部屋の中はまだ、ごちゃごちゃしてはいますが、お茶を飲めるスペースは確保されていたため、お茶をお願いすると、片付けの途中ではありますが、ラルフ様以外は部屋を出ていきました。
「リノア」
立ったままの状態で、ラルフ様は話をしようとするものですから、苦笑して言う。
「ラルフ様、お話いたしますから、まずはお座りになって下さい」
「…わかった」
こんな事を言ってはなんですが、最近のラルフ様の印象は狂犬のイメージから、大きなワンちゃんに変わりました。
とても失礼な話なので口には出しませんが。
メイドがお茶を入れてくれ、部屋を出ていったところで、一息ついてから口を開く。
「ラルフ様のお母様は、結婚に関しては反対のようですよ? どなたとも結婚してほしくないようです」
「そんな訳ないだろう。今まで見合いの話を持ってきていたのは、母か姉なんだ」
「そうなんですか?」
「ああ。母の紹介である事が多い」
「お見合い相手の方を、どこの誰だかわからない女性だとおっしゃってましたが?」
私の言葉を聞いて、ラルフ様は頭を抱えてしまわれました。
それにしても、ラルフ様は私が嘘を言っているとは思わないのでしょうか?
でも、自分のお母様より私の事を信用してくださるのは嬉しい事です。
すでに嫁いでいる友人に、義母に嫌がらせをされているのに、旦那様が全く助けてくれないそうで、毎日が辛いと言っていた人もいます。
私の場合だと、このままいけば、そんな事はなくて済みそうです。
そうそう。
婚約を解消するように言われた事をお伝えしなくては。
「あと、ラルフ様にお伝えしないといけない大事な事がありまして」
頭を抱えたままのラルフ様に話しかけた時だった。
ラルフ様の執事がやって来て、こう言われました。
「ご夕食の準備が整いました。他の皆様はダイニングルームに揃っておられます」
結局、ラルフ様に婚約解消の話は出来ないまま、ダイニングルームへ向かい、部屋の中に入ると、扉の正面に長いテーブルがあり、ラルフ様のお姉さまらしき、見た目はカーミラ様がもう少し若ければ、こんな感じだったのだろうかと思わせるほど、お綺麗なミラルル様に、ラルフ様を可愛らしくした顔立ちの弟君のフレイ様が、カーミラ様と横一列に並んで座っておられました。
「こっちへおいで」
ラルフ様に連れられ、テーブルをはさんでカーミラ様達の前に立つと、ラルフ様は私を抱き寄せて言った。
「リノア・ブルーミング伯爵令嬢だ。母上には先程、紹介をしたし、リノアは二人で話もしたのだよな?」
「はい」
にっこりと笑ってカーミラ様に笑顔を向けると、彼女も満面の笑みを返してくれました。
その後、ミラルル様とフレイ様が笑みを引きつらせながらも私に挨拶して下さり、食事を開始する事になりましたが、ラルフ様は私の隣に座り、やたらと世話を焼いてこられます。
「リノアは濃い色の野菜が苦手だよな。食べたくない気持ちはわかるが、健康の為には食べたほうがいい」
「どうしてそんな事を知ってるんですか?」
「見てたからな」
見ていたとおっしゃいますが、ラルフ様にバレないように頑張って、旅の途中だった、この何日かは食べていたのですが、いつ見たんでしょう?
それにしても前方からの視線が痛いです。
せっかくの美味しいお料理が堪能できません。
あ、タイミングを逃さない内に、あの話をしてしまう事にしましょう。
「ラルフ様」
「どうした?」
ラルフ様は、お水を飲もうとしていらっしゃいましたが、その手を止めて、グラスを持ったまま、優しい笑顔を向けて下さいました。
そんな彼に私も笑顔で言う。
「婚約を解消したいのですが」
「…は?」
「ですから、婚約を解消したいと申し上げました」
カーミラ様からは、婚約を解消しろ、自分がそう言えと言った事を言うな、と言われただけです。
私がいつ、どこで婚約解消をお願いしたとしても、カーミラ様との約束は守っているわけですし、かまいませんよね?
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